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第3回商標制度小委員会 議事要旨

平成15年9月12日
特許庁

9月11日(木曜日)15時00分~17時00分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 第3回商標制度小委員会(委員長:土肥一史 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)が開催された。

1.審議内容

事務局から資料1(商標の効力範囲の在り方について)に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。

(1)「類似」及び「混同のおそれ」の概念整理について

  • 類似概念は、登録主義の観点から必要。登録されている商標のうち、実際に使用されているものが2~3割という現状にかんがみると、審査においては、称呼、外観、観念及び審査基準等をもとに、一般的・抽象的観念で形式的に判断し、侵害事件等では「混同」について、取引の実情を考慮し個別具体的に判断すべき。
  • 現行の第4条第1項第11号及び第15号の関係を考えると、「類似」は「混同」であることが前提。制度が悪いのではなく運用が悪いのではないか。
  • 拒絶査定不服審判の審決取消訴訟の最高裁判例で取引の実情等も踏まえて類似の判断をすべきとされている以上、それを審査・審判にも反映すべき。
  • 審査時点では、第27条(登録商標等の範囲)の願書に記載された商標と指定商品又は指定役務の範囲で「類似」の判断をすればよく、取引の実情等まで審査する必要はない。したがって、審決取消訴訟においても取引の実情等まで判断しなくてもいいのではないか。
  • 取引の実情等について何らかの資料が提供されているならば適宜参照しつつ審査をすればいいのではないか。
  • 「混同のおそれ」について商標法の効力の範囲をどう見ていくか、商標法と不競法の関係も考慮に入れて議論する必要ある。
  • 審査の時点で取引の実情等も踏まえて判断することとなると、その結果を予測するための出願人による事前調査の負担が増大するのではないか。

(2)コンセント制度について

  • コンセント制度の導入を要望する。コンセントがあれば、特許庁においては審査を行わないこととする完全型のコンセント制度がよい。
  • コンセント制度については、第4条第1項第10号、第11号、第15号について認めるべきである。
  • 当事者が同意すれば、類似の商標でも登録を認めると、当事者が合意をしても需要者が商品・役務について混同を起こす場合を排除できない可能性があり、慎重に対応する必要があるのではないか。
  • 当事者は、消費者・最終需要者が混同を起こさないからコンセントを認めるのであって、混同を起こすようなものをコンセントすることは企業としては実際ない。
  • 現在の制度でも商標権の登録後の分離移転は認められており、コンセント制度を導入することは、登録後か前かの違いのみである。手続負担を軽減する観点からコンセント制度を導入すべきである。
  • 現行制度の登録後の権利分割移転は権利のけり合いになることがあり、コンセント制度が導入されると便利である。
  • 一般的・抽象的概念で審査することによる審査の不十分な面を補うものとしてコンセント制度が導入されるべきである。

(3)相対的拒絶理由についての異議待ち審査制度について

  • 異議待ち審査制度になると、登録後の類似商標の出願がないかどうか調査する費用負担が増える。また、異議申立てをするコストも増加する。
  • 現行の制度は相対的拒絶理由まで行政庁である特許庁が審査するため、権利が安定しており、商標を安心して使用できる良い制度である。コンセント制度は必要だが、その趣旨が達成されるからといって審査制度を異議待ち審査制度に変更することまでは望まない。
  • 厳格な審査を維持しつつコンセント制度を導入すると、いいとこどりにならないか。権利者が「安心するために」ではなく「確固たる」権利が与えられることが大切。不正競争防止法との関係も踏まえ、商標法がどうしたら商標に強い権利を与えられるかという観点から、商標制度全体を見ていくべきである。
  • 商標登録には行政庁の専門的判断が必要である。日本を含むアジア諸国においては、行政庁の判断に依拠する傾向が強い。
  • 異議待ち審査制度を導入することは、国際的調和から必要。
  • ドイツのような制度(付与後異議、異議待ち、異議申立時の実際の使用)は、実質的な登録主義の放棄である。類似商標がどんどん登録されるおそれがある。
  • 登録主義とは使用をしていなくても商標権の登録が認められる制度のことを言う。ドイツのような制度であっても登録主義の放棄にはならないのではないか。

2.今後の審議スケジュール

第4回商標制度小委員会は、10月20日(月曜日)15時00分~17時00分、第5回商標制度小委員会は、12月1日(月曜日)15時00分~17時00分に開催する予定。

以上

[更新日 2003年9月16日]

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