第4回商標制度小委員会 議事要旨
平成15年10月23日
特許庁
10月20日(月曜日)15時00分~17時00分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 第4回商標制度小委員会(委員長:土肥一史 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)が開催された。
1.審議内容
事務局から資料1(小売業商標のサービスマークとしての取扱い及び団体商標制度の拡充について)に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。
(1)小売業商標のサービスマークとしての取扱いについて
小売業商標をサービスマークとして登録するという基本的な方向性については異論がなかった。具体的な実施について、以下のような意見があった。
- 現行制度の下で小売業商標を商品商標として登録しても、百貨店やコンビニエンスストアの看板の表示、陳列棚における表示が十分に保護されないおそれがある。また、それらの使用行為を継続しても不使用取消審判で取り消されるおそれがある。
- 使用の範囲限定、権利行使の制限をしつつ、現行制度の範囲内で小売業商標をサービスマークとして認めるべきである。
- 審査において、商品と役務にまたがって類似の商標がないか調査をする、いわゆるクロスサーチを行う必要はないのではないか。
- 小売業商標をサービスマークとして認めると、商品商標との混同は当然発生しうるので、審査においてクロスサーチは必要ではないか。
- 著名でない小売業者が「小売業」を指定役務として商標出願する場合もあるため、個々の商品と「小売業」のクロスサーチをする必要があるのではないか。
- 仮に商品と役務の間で混同が生じる場合は、商標法第24条の4に規定する「混同防止表示請求」のようなもので事後的に解決することが可能ではないか。
- 信用も蓄積されて識別力もあり、ブランドとして機能しているのであれば、単品の商品を扱う専門店の小売業商標も百貨店などと同様、サービスマークとしての登録を認めるべきではないか。
- シャディ事件等の判決が出ている以上、小売業商標をサービスマークとして導入するためには法改正が必要。また、付随的サービスとして行う場合にも小売業商標をサービスマークとして認めるかどうかについては慎重な検討が必要である。
- 単に「小売り」という表示で広く登録を認めることは、過度に広い権利を設定する懸念があるので避けるべきではないか。
- 小売業商標と商品商標のクロスサーチをする場合は、これまでの商品と役務間のクロスサーチの在り方についても検討すべきではないか。
(2)団体商標制度の拡充について
- 主体要件については、法人に限定せず、民事訴訟法第29のように、代表者や定款が定められているものにも拡大すべきではないか。
- 商標は識別力があるものが登録される。識別力を緩和して登録させることは本来の制度とそぐわないため、慎重に検討すべきではないか。
- 産地名称が含まれている場合も、識別力がない商標は登録を認めるべきではないのではないか。
- 産地表示は不競法の品質誤認表示、不当景品類及び不当表示防止法でも保護されていることも踏まえて検討すべきではないか。
- 商標法第3条第2項の識別性の判断に係る運用を改善すれば十分ではないか。
- 欧米の動向を見つつ、国際的な制度調和を目指すべきである。
- 構成員の損害について団体が賠償請求を十分にできるようにするためには、特別の条文を設ける必要があるのではないか。
2.今後の審議スケジュール
第5回商標制度小委員会は、12月1日(月曜日)15時00分~17時00分に開催する予定。
以上
[更新日 2003年10月27日]
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