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土肥委員長 |
本日、東京も梅雨が明けたそうでございますけれども、暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第7回商標制度小委員会を開催いたします。 |
土肥委員長 |
今回、委員及び事務局に交代がございましたので、事務局より御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
花木審議室長 |
私は制度改正審議室長に6月の末に参りました花木と申します。前任の木村が内閣法制局参事官の方にかわりまして、前任同様よろしく御指導お願いいたします。 |
鈴木委員 |
日本知的財産協会商標委員長の鈴木です。今年の4月から、前委員長の三宅にかわりまして委員長職を拝命しております。今回、商標制度小委員会に出席するのは初めてでございますが、よろしくお願いいたします。 |
花木審議室長 |
続きまして、社団法人日本食品特許センター商標委員長の西野入博志委員でございます。 |
西野入委員 |
日本食品特許センターの商標委員長をやっております西野入博志と申します。私まだかなり若輩者ですので勉強不足もあるかと思いますが、皆様についていけるように、また業界の意見も言えるように頑張りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。 |
花木審議室長 |
続きまして、日本弁理士会商標委員会委員長の本宮照久委員でございます。 |
本宮委員 |
今年度、日本弁理士会商標委員会委員長を拝命しております本宮でございます。弁理士会でも昨年度から、古関前委員長の下、いろいろ検討してまいりました。そのとき私もその中でいろいろ検討させていただきました。弁理士会の意見等をまとめながらいろいろ発言させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
花木審議室長 |
続きまして、事務局にも異動がございましたので御紹介させていただきます。本日遅れて出席となりますが、特許庁長官として小川洋が6月22日に着任しております。また、同日付で総務部長・澁谷隆、それから、総務課長・豊永厚志が交代して、それぞれ新たに事務局になっております。 |
土肥委員長 |
さて、本日は、模倣品の個人使用目的の輸入及び所持について商標法における規制のあり方について検討を行うとともに、これまでの小委員会において御議論いただきました課題を中心として、ブランド戦略から見た商標制度の検討課題に関し関係団体の御意見として、日本知的財産協会及び日本弁理士会からそれぞれ御意見をいただいておりますので、あわせてそれらに対する議論を進めていきたいと思います。 |
花木審議室長 |
それでは、最初に配付資料を確認させていただきます。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますね。 |
土肥委員長 |
それでは、早速、議題に入らせていただきたいと思います。初めに、模倣品の個人使用目的の輸入及び所持についての商標法における規制のあり方について、これにつきまして事務局から説明をお願いいたします。 |
花木審議室長 |
それでは、資料1について簡単に御説明させていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
どうもありがとうございました。 |
竹田委員 |
前回の審議室からのペーパーでは、一つは個人の模倣品の所持について商標権侵害になるかどうかという観点と、もう一つ商標法になじむかどうかわからないけれども、所持品の没収という観点からの検討もあるかという提起がありましたが、今回は、2番目のものはなじまないということで、対象になっていないと理解してよろしいのでしょうか。 |
花木審議室長 |
いろいろ幅広い考え方はあると思いますが、基本的にどういうものが論理的に観念的に考えられるかということで、そのような提案をしたんだと思うんですけれども、基本的に専門調査会の方から投げられておりますのは、模倣品の個人輸入、個人所持が商標法上どう位置づけられるのかという論点ですので、そちらを重点に御議論いただけたらと思います。ただ、もし今竹田先生の御指摘の点についても何か御意見があるようでしたら、ぜひおっしゃっていただけたら思っております。 |
土肥委員長 |
竹田委員、よろしゅうございますか。 |
竹田委員 |
この問題は私も、先ほど審議室長が紹介された知的財産戦略本部の下の権利保護基盤の強化に関する専門調査会に出ておりまして、そこで議論されている終わりのころの段階になって、産業界からの要望という形で出てきたわけですね。この模倣品の所持一般を商標権侵害として罰則をも含めた規制の対象にすることはできないだろうかということは、当初から予定していたというよりは、産業界からの強い要望を取り入れて、知財推進計画にまで乗るようになったのです。ぜひとも産業界の代表の方々に、その点についてどうお考えなのかという御意見を聞かせていただいて、その上で若干の意見を述べさせていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。 |
琴寄委員 |
産業界というわけではないんですけれども、私個人として、個人輸入というよりは、いわゆる模倣対策の一環として感じていることも含めまして申し上げたいと思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
鈴木委員 |
この問題に関しても知財協の商標委員会の中で検討いたしました。ただ、非常に立法の難しい問題が入ってくるなということで、かなり抽象的な議論にはなっております。まず総論的な話ですが、模倣品は社会悪であることを国民に明確にするという観点に関しては、全く異論はございません。その背景として、模倣品被害というのが、昔から言われているような服飾品などのブランド物だけではなくて、電卓であったり、トナーやバッテリーといったような事務機械器具の消耗品とか、そういったところまで広がっているような事実がありまして、こうしたものを規制するのは日本企業にとっても有益であるという意見が多く出ております。そして、国際知的財産フォーラム等で、外国に対して、模倣品対策の徹底を促しているという実態もありますので、日本人が模倣品の業者のお得意様になってはいけないだろうと、そういう意見も多く出ております。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。ありがとうございました。 |
西野入委員 |
まず、私どもの食品特許センターの委員に対しても、今回私が臨むに当たってちょっとしたアンケートはとってみたのですが、その中でも、何とか個人輸入や個人使用に対しての規制はしてほしい。してほしいというのはあるのですが、ただ実際にどこまでというのは、かなり慎重な意見が出ていました。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。 |
本宮委員 |
弁理士会でもこの点検討いたしました。個人と称した形での組織的な輸入、それと単なる普通の個人的な輸入、いずれも模倣品対策といいますか、模倣品の製造の原因になるものというんでしょうか、そういうような位置づけとして両方ともその行為は考えられることなので、模造品の製造排除という観点からすると、いずれの行為もやはり禁止されるべきではないか、と考えております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
田村委員 |
この問題は、商標法をどのように考えるかということともかかわっているのではないかと思います。学説の方では、商標権の本質について出所識別機能を重視するのか、それとも、むしろ宣伝広告機能と申しますか、財産的な価値を守る、ブランドの価値を守る法律として重視するのかということで、長くいろいろと議論が続いているところであります。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
竹田委員 |
田村委員にお伺いしたいのですが、私がこの議論をするときに一番引っかかるのは業要件ですが、その点との関係は今の先生のお説とはどういう関連を持つわけでしょうか。関係ないと言っておられるように聞こえるのですけれども、どうなんでしょうか。 |
田村委員 |
業の要件にはいろいろな意味があると思います。特許法上、商標権もそうだと思いますが、基本的に業としてが侵害要件に加えられている理由は、多くは家庭内実施というのは微々たる行為であるので、余り権利者に与える影響が少ない。その反面、家庭内までわざわざ産業財産権が及ぶ、そういうことをしてよいのか。微々たる被害しか生じていないのであれば、わざわざ私的領域に介入する必要がないのではないか、そういう話だと思っております。そのような意味でも、もともと商標権は、誤認混同が生じにくい、出所後の混同利用を除けば誤認混同が生じにくい領域であるということもありまして、個人消費については及ぼす必要がないと思っております。 |
竹田委員 |
今の点で田村委員のおっしゃっている輸入の問題が、いわゆる個人の名を使った大量の輸入代行の問題であるとすれば、それは水際措置として、名前は個人の輸入代行であるけれども、実態は業としてということで、商標権侵害でとらえることができると思うのです。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
田村委員 |
どうもありがとうございます。私も商標法上、従来とは異なるものを持ち込むことだという御意見には全く賛成であります。ただ、先ほど申し上げましたことは、個人の名を借りて、実は後ろに業者がいて、大量に輸入が行われていることを念頭に置いて発言したのではなくて、まさに個人で個々に1個か2個買ってくる行為を、多数の人が行っているということ自体が問題なのだろう。そうなってくると微々たる影響しかないとは言えなくなってくるということであります。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
松尾委員 |
今最後の所持と輸入のところにきましたけれども、それよりも前にまとめのところで、意見を言いたいと思います。私は先ほどの4ページに出てきました反対の意見の方の |
土肥委員長 |
ありがとうございました。商標法だけではなくて、国民全体の啓蒙運動を含め、非常に広い範囲にまたがる御提言だろうと思います。これは我々の方で預からしていただくということになります。 |
土肥委員長 |
もしよろしければ、次の課題ということでよろしいですか。 |
鈴木委員 |
それでは、日本知的財産協会の意見書について、その概要を紹介させていただきます。 |
土肥委員長 |
非常に綿密な御検討いただきまして、ありがとうございました。 |
本宮委員 |
弁理士会におきましても、昨年度この委員会で検討しておりました事項について検討してまいりました。実は知財協さんのような形の意見、要望でまとめることもあったわけですけれども、もう一巡するということで、そういう意味ではまだまとまっていない部分もあるということで、前年度どういう議論をしたか、それを報告という形でまとめさせていただきました。事前にその点を御了解いただければと思います。 |
土肥委員長 |
非常に広範に御意見をいただきましてありがとうございました。 |
鈴木委員 |
私どもとしてクロスサーチは原則的にはしないでいただきたいというような要望なんですけれども、必ずしもすべての場合において、商品商標と小売業にかかる商標とが類似しないと言っているわけではありません。意見書の11ページの後段から書かさせていただいたように、単品小売の場合は、その蓋然性は極めて高いのではないかというような考え方を持っております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。 |
萬歳委員 |
第4回のときでございましたでしょうか、私の方から意見を述べさせていただきました。知財協会さんも弁理士会さんの方も、認めるべきであろうという肯定的な御解釈でいらっしゃる。ただし、詰めるところがこれからあるんだろうというふうに思います。いたずらに議論を紛糾させる、そういう気持ちは全くありませんものですから、折り合いのつくような形でうまくできればいいなということで、さらにいろいろ考えてみたいと思っております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。 |
本宮委員 |
格別対立したというところは。 |
土肥委員長 |
特に不使用商標対策についておっしゃっておられますよね。あらゆる点について、費用の点とか取消審判のかなり細かく議論をいただいているんですけれども、不使用商標対策が弁理士会としては、まずもって必要であるという御認識になるわけでしょうか。 |
本宮委員 |
不使用対策、まずもってといいますか、具体的な判断を特許庁の審査においてというようなことを考えた場合には、ある程度具体的なもの同士でないと検討はできないであろう。ある意味では、いろいろなものが引例として引かれてくるわけでして、そうすると不使用については、その対策を考えないといけないのではないか。この点では弁理士会の委員会では、意見として一致しております。 |
土肥委員長 |
わかりました。ありがとうございました。 |
竹田委員 |
今の知財協会と弁理士会の報告の中に防護標章の問題がありましたね。防護標章の問題については、前回、審議室がペーパーをつくりまして、世界的にも珍しい制度であるしこれはむしろ廃止して、そのかわり非類似の役務商品商標にも及ぶ、商ようにする制度を考えるべきではないかということで、私もその方向がいいということを発言しましたし、意見はその方向で集約されたと思っていたのですけれども、きょうの2つの会の報告は、防護標章制度は維持すべきだという意見で、それと同時に効力の範囲も拡大すべきだと。何で維持しながら効力の範囲を拡大するのか私にはさっぱりわかりませんけれども、その辺の議論はまだ収束してないということですか。 |
花木審議室長 |
前回、確かに審議室の方からそういう説明をさせていただきましたが、恐らく廃止した際に、では著名商標をどうやって保護するか、そこの新しい代替的な枠組みの方がまだ具体的に提示できていない。それゆえにいろいろ御心配をいただいているんじゃないかと思いまして、その辺ですね。また別途、不正競争防止法の著名商標の問題、こちらでどういう形でカバーされるのかその相関関係とか、そういった制度的なお互いのすみ分けの問題をきちんと整理した上で、では防護標章についてそれでもさらに必要なのかどうかというのを、まさに第2ラウンドの中で我々の方の案をもうちょっと具体的にして、再度御議論させていただきたいと思っております。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。 |
竹田委員 |
はい。 |
土肥委員長 |
それでは、ちょうどですけれども、6月22日付で特許庁長官に着任されました小川長官がおいでになっておられます。挨拶をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいしたします。 |
小川長官 |
遅参をして申しわけございませんでした。6月22日付で特許庁長官を拝命いたしました小川洋でございます。前職は産業技術環境局長。その前が小泉内閣の内閣官房で内閣審議官をやっておりました。その内閣審議官の頃、特許庁との関係で言いますと、知的財産戦略ということで総理の施政方針演説に始まりまして、戦略会議、戦略大綱、基本法の制定、基本法に基づきます本部の設置、推進計画の策定まで、前々職のときに、内閣官房の方からその仕事をさせていただいたという経験がございます。特許庁それ自身は初めてでございますので、皆様の御協力を得ながらしっかり頑張りたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。 |
土肥委員長 |
長官、ありがとうございました。 |
花木審議室長 |
次回でございますが、8月の末から9月ごろということで、前回第6回で御案内させていただきました、整理していただきました課題について我々の方で考え方を少し提示させていただきたい。また、模倣品を初め若干まだ完全に御議論は収束していない問題がいろいろございますので、そういうものについても御検討願いたいと思っております。具体的な日程は、そういう整理をしつつ委員の皆様方の御都合を改めてお伺いさせていただきたいと思っておりまして、現在念頭に置いているのは、9月上旬ごろということで考えさせていただいております。 |
土肥委員長 |
それでは、次回は9月上旬ということでございますので、どうぞ皆さんにおかれましては、暑い夏ですけれども、乗り切っていただいて、9月にお会いすることを望んでおります。 |
[更新日 2004年8月4日]
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