ここから本文です。
土肥委員長 |
それでは、時計が定刻を示しておりますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第8回商標制度小委員会を開催いたします。 |
花木審議室長 |
それでは、配付資料を確認させていただきます。お手元にクリップどめでとじてあると思うんですが、本日の議事次第と配付資料一覧の紙が表にございます。その次に委員名簿がございまして、その後ろに、資料1ということで本日の検討の素材が用意してございます。タイトルは「模倣品の個人使用目的の輸入及び所持について」と、それから「税関におけるマーク切除後の商品の輸入について」というこの2点でございます。 |
土肥委員長 |
本日は、先ほど御案内させていただきましたように、ユニオン・デ・ファブリカンから、ローラン・デュボアさんと堤さんに参考人としておいでいただいております。御多忙の中どうもありがとうございます。 |
ローラン・デュボア氏 |
ユニオン・デ・ファブリカンの代表のローラン・デュボアです。 |
堤氏 |
堤と申します。よろしくお願いいたします。 |
土肥委員長 |
どうもありがとうございました。 |
堤氏 |
今のところ、インターネットの方がどちらかというと多いというふうに理解しております。個人で偽造品を買って旅行者の方が携帯で持ってくるという方式は昔からございましたけれども、税関で没収されますよというのはかなり書かれておりますので、悪化の兆候が今現在見られるということはございません。インターネットの方は明らかに、これは違法ではないということをくぐり抜けておりますので、増加の一方でございますし、各税関の方に権利者の方が検査に行っている数量からいっても、かなり拮抗するか追い越しているという状態に今なりつつあるし、またそれは増大する一方であるというふうに理解しております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
竹田委員 |
インターネットのオークションで、いわゆる業者ではない個人がオークションにかけるという場合に、ある個人は1個だけオークションにかけているのか、数個かけているのかということをお聞きしたいんです。それから、1個であっても、その人に継続的にそういうことをやろうとする意思があってやっているのかどうかという問題もあると思います。つまり個人でやっていれば、すべて「業要件」を満たさないんじゃなくて、個人であっても複数の販売をして利益を上げようと思えば「業要件」は満たすわけです。後で必要があればお話しようと思いますが、関税定率法でのいわゆる認定手続でもそういうふうに行われていると思いますので、その点ははっきりと言えるのかどうか、実態はどうなのかについてお答えいただきたいと思います。 |
堤氏 |
実態としてどう起きているのかということ以外は考えずにお答えするものですが、個人が「ちょっと偽造品があるからインターネットで売ってみよう」というものは割合と少ないと判断しております。大概の場合は、業者が大量に売っているというふうに物を削除しても残ってしまっておりますし、ほとんどの場合はそうでございます。 |
竹田委員 |
もう一度今の点、よろしいでしょうか。そうであるとすれば、先ほどおっしゃっている「業要件」をはずして個人の輸入も水際措置で禁制品にして、そして取り締まらなければならないという必要性を余り今のお答えから感じないんですが、いかがですか。むしろそういうふうに専門的に個人であっても、実際上はそういう模造品を買って利益を上げることによって利益を図っているという人たちが主体だということならば、個人の輸入を差し止めるという問題とは筋が違うというふうに思いますが、いかがでしょうか。 |
堤氏 |
わかりました、おっしゃっている意味が。要するに買い取っている方は個人なのか業者なのかということでしたら、買い取っているのは全員と言っていいほど個人です。すなわち、業者が例えば、個人輸入の問題についてのみ限定して申し上げますけど、オークションで売っている場合、もしくは、自立のサイトを持っている場合でもいいんですが、完全に業者として海外におりまして、偽造品販売をすることで完全に「業として」やっている。それを個人の方が1個、2個と購入するという形で買い入れます。その個人購入したものが税関を通り抜けてくるときには、個人所持もしくは個人輸入であるということで、とめる手だてがない。 |
土肥委員長 |
高部委員、お願いいたします。 |
高部委員 |
先ほど属地主義とおっしゃったのですが、インターネットのオークションで考えてみますと、海外からオークションに出している人は、製造とか販売という物理的な行為は海外でやっているかもしれませんが、インターネットで日本からもアクセスできる画面に広告を出しているわけですね。そうするとそれは日本の商標法でも取り締まれるのではないかということを指摘したいと思います。 |
堤氏 |
私の立場はあくまでも東京事務所長でございますので、海外での活動について、それもデータももたないであやふやなお答えはできないんですが、海外からの報告であるとか摘発のあれを見ていますと、ともかく日本でこういう偽造品を送ってきた人がいるから、こういう人を捕まえてくださいという形で、持ち込む先というのはほとんど存在してない。それから、経済面問題でも量の面問題でも全く追いつかない状態でございます。例えば主要オークションにおいて偽造品を売っている人間を削除してくれということはできるんですけれども、大概の場合またすぐ出てきて、更に削っても、主要サイトから逃げ出し、それから自立サイトでやっているという状態でございまして、この状態になって自立サイトの本拠地の特定も、どこかのホテルでやっているとか言う場合もあり、一応我々できる範囲やってみるんですが、海外の場合でも取り締まり当局の方が動かないとどうにもならない、実態としてはそういう状態でございます。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。 |
高部委員 |
もう一点、刑事の問題と民事の問題と両方あると思うんですけれども、どちらがより有効なんでしょうか。 |
堤氏 |
何についてでしょう。 |
高部委員 |
例えば並行輸入のところで、並行市場における問題(2)のところでは、民事でもなかなか立証がしにくいということをおっしゃったんですけれども、少なくとも差止請求とか廃棄請求というレベルで言いますと、故意、過失は要らないわけですね。損害賠償は別なんですけれども。そうしますと民事で立証が難しいとおっしゃったのですが、必ずしもそうではないんじゃないか、損害賠償だけのレベルの話なのかという感じがいたしました。 |
堤氏 |
済みません、説明不足で、私の説明で誤解が発生しておりまして申しわけございません。この部分は、刑事での摘発がしずらい状況にあるということを御説明するためのものでございます。権利者は、刑事事件のために犯意の立証、すなわち知情性を立証するためにいろんな方法を使います。我々のできる方法の一つとしては、予め偽造品の販売者に通告状を送って偽造品だということを言ってるのに、まだ売っていますよということを刑事の方に通知する方式をとりますけれども、こういう風にしても、権利者側が偽造品と言っても、権利者は真正品の流通阻害をするために言っているんだと思って信じませんでしたという言いわけをされてしまったりして、うまくいかないという意味で、民事的なサポートをしても刑事でうまく利用してもらえないという意味でお話しいたしました。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。恐らくもっともっとお尋ねになりたいことはあろうと思いますけれども、予定の時間もございますので、今後もしこの点に関しましてユニオン・デ・ファブリカンにその質問等がある場合、この後も引き続きおいでになるということでございますで、またその状況のところでお尋ねすることも可能でございます。一応ここでは、質疑の時間は閉じさせていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
それでは次の、「模倣品の個人使用目的の輸入及び所持」、及び「税関におけるマーク切除後の商品の輸入」、この問題につきまして議論を行いたいと思います。 |
花木審議室長 |
それでは、前回も取り上げた論点と重なっておりますので、簡単に説明させていただきます。資料1でございます。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
竹田委員 |
個人による模造品の輸入を水際措置によって差し止める、それによって模造品が国内に流通することを防ぐという目的を達成するために、商標法の改正を行うとすれば、「業」要件を除いて、個人の輸入、さらには所持まで入れるということはちょっと考えられないと思いますが、仮にそれを入れるとしても、これらの行為について刑事罰を科する必要が出てきます。刑事罰を科かないと関税定率法上の禁制品に入れることはできません。なぜかというと、それは関税定率法では、先ほど審議室長から報告がありましたように刑事罰が科せられているわけで、それが国内での輸入の処理等が刑事罰を科せられないということになると、現行の輸入禁制品とのバランスを失するからです。 |
土肥委員長 |
どうもありがとうございました。 |
竹田委員 |
ちょっとよく趣旨がわからなかったのですが。 |
土肥委員長 |
つまり、今事務局が少し紹介しましたけれども、37条のどこかに、今の間接侵害、みなし侵害のところにちょっと紹介されましたよね。11ページで、少し一つの仮にの考え方として、37条のところに仮に追加するということになりますと、それは商標権侵害と擬制されるわけでございますから、現行法で言うと78条で犯罪事実の認識さえあれば、それは刑事罰が科せられるということになりますね。 |
竹田委員 |
そういう趣旨であるとすると、政策的にそういう立法も可能かということになれば可能かとは思いますが、本来の37条の侵害をみなす行為の類型とは、かなり違ったものをそこに盛り込むことになるのではないでしょうか。それはそれで問題があると思います。 |
土肥委員長 |
わかりました。 |
松尾委員 |
商標法一般について抜本的改正をしようという議論がありまして、そのときに、どこに「業として」というのを置くかということで議論されたことは間違いないと思います。私は今特に水際措置との関係で、もう一度全部を考え直してみたわけです。そのときに思いますには、特許や実用新案、あるいは意匠法につきましては、定義のところに「業」要件を持ってくる余地がないんですね。発明とか物品の意匠というものについては。 |
土肥委員長 |
25条はどうですか。 |
松尾委員 |
25条のところ、26条は「業」要件の効力なんですね。だから、そこに置くのはやはり問題が、おかしいんじゃないかなと思います。置くとすれば侵害のところだと思います。しかし個人輸入との関係で、今短い時間に次の通常国会に間に合うような形で「業として」というのをはずすと、非常に危険だろうと思います。ほかの方に影響してきます。もちろん商標権者だけではなくて専用使用権者、これはみんな「業として」になります。 |
土肥委員長 |
それは、あそこに書いてある、事務局の紹介があったのは、マークの方ではなくて、マークを切った後の例えばシャツとかそのことを言っているものですから。どうもそういうことのようでございます。 |
松尾委員 |
そうですか、それ一般を意匠にかかる物品なんかも含めてね。 |
土肥委員長 |
そういうことです。 |
松尾委員 |
私はマークの方を考えたので、7号じゃないかなと。あそこら辺は解釈で今のところはできるし、明確にする必要があれば、それはやってもいいんじゃないかと思っておりました。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
松尾委員 |
つまり、不正競争防止法の改正の点でも、あれはワーキンググループですけど、あそこでも検討されていますよね。やはり同じように進んでいかないと、何か商標法だけ改正というのはおかしいと思います。 |
土肥委員長 |
原産地表示のところもあるんです。つまり、団体商標とか原産地表示をどうするかというときに、農水省的なそういうアプローチとこの商標のアプローチとありますので、それはそれぞればらばらにすると大変なことが当然起こりますので、束ねるということになるんだろうと思うんです。それと同じように不正商品もあり得る話だと思いますので、少し意見を。 |
花木審議室長 |
束ねるということは一つの考え方だと思うんですが、今具体的にそういう動きはございません。商標についてはむしろそういう形で、模倣品という形で束ねる束ね方よりも、今委員長がおっしゃったように商標の定義とかそういうところにかかわるのであれば、むしろ商標法の大きな見直しの中で商標法としてやった方がより抜け落ちがないのではないかという考え方で現段階では整理しております。 |
土肥委員長 |
高部委員、お願いいたします。 |
高部委員 |
きょう配られた参考資料2の消費者の意識というペーパーなんですが、この数字を見たときに、国民の意識といいますか、個人輸入を取り締まるかどうかということについての国民の意識がこの程度で、かなり高まっていると言えるのでしょうか。そのことと、もう一つは外国とのバランスということもございます。フランス以外はまだ個人輸入について取り締まっていないというような現状での外国とのバランスということもございまして、個人所持や個人輸入を商標法で取り締まるかどうかについては、本当はもう少し議論が必要なのではないかと思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
花木審議室長 |
意識のところについては、これをどう読むのかということかと思います。確かに先生おっしゃるように、必ずしも高くないという見方もあるかと思いますし、一方で個人輸入の取り締まりも有効な方策として、この多くの選択肢の中でこれは複数回答であると思いますが、かなり高い順位で出てきているということをどう評価するかということで御議論いただければと思います。 |
土肥委員長 |
基本的には恐らく個人輸入のところのお話をベースにおいて、基本に置いてお話になっているのかもしれませんけれども、ましてということなのかもしれませんが、「まして個人所持」に関して御意見ございませんでしょうか。 |
田村委員 |
皆さん、多分前提になさっていたということだと思いますが、一応、コメントします。事務局のおつくりいただいたペーパーによりますと、個人所持と個人輸入を区別する理由があるかどうかというところを議論なさっているようですが、余り必要性の高くないところで個人所持までを商標権侵害、さらに刑事罰で規制することはいかがかと私は思っています。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
小塚委員 |
私も今の田村先生の御意見に基本的に同感ですけれども、これが商標法の理論の根本にかかわる問題として提起されるとしますと、なぜ輸入と所持を分けて、輸入だけをという疑問が出てくるというのは、ある意味でよくわかるところでありまして、逆にそういう商標の根本の理論にかかわるところではなく、一種の政策的な対応といいますか、現状とそれからそれに対する有効な手段の範囲の中で、この種の偽ブランド商品を減らしていくために最も有効な手段は何かということで考えたときに、個人輸入について何かすることは比較的効果が大きく、個人所持というのはそれに比して生活に対する侵害の程度が大きい、こう整理すれば区別はできるのであろうと思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
竹田委員 |
商標法の改正に反対して、何も施策はないのかと言われそうですので、その点について申し上げますと、本来的には松尾委員や高部委員が言われたように、模造品全体についての対策措置を講ずる法律があった方がいいと思いますが、ここは商標制度小委員会でいわば縦割りの枠があるとすれば、一つ考えられるのは、模造品の個人の輸入所持に関する法律をつくって、そしてまず第1条で、これは精神規定ですけれども、模造品の定義が必要だと思いますが、個人は、模造品を輸入し所持してはならないという精神規定と、それから2番目に、個人が模造品であることを知って輸入、所持している場合に、行政庁の手続によって例えば没収することができるという規定を置いて、次にその没収については訴訟上の救済措置をとることができるというような法律をつくれば、模造品を持つということは大変なことだということの抑止効果にもなりますし、行政庁によって没収されるのではなしに、司法的にも救済措置も講じ、そして刑事罰等は一切設けないということにすれば、何かバランスがとれるのでないかと思っておりますので、そういうことも御検討いただければという意味で申し上げました。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
松尾委員 |
すみません、切除に行く前に、今竹田委員が言われた没収ということなんですが、私が軽犯罪法というのを考えたのは実はそういうところです。先ほど所持と輸入を変えるとすれば、それは救済の効果が違うのではなかろうかと言われたんですが、それはそうだと思うんですが、例えば輸入にしても、どういう救済を商標法で与えるのか。差し止め損害賠償と言うと、個人個人についてどれだけ商標権者が差止めを請求して効果を上げられるのかということを考えますと、何度も繰り返している人だったら、今度は「業として」になるんですね。そうすると個人輸入の本質的効果というのは、一番いいのは没収だと思うんです。そうすると商標法ではなく、ほかの法律でやるのが一番適切であろうと、こういうところに私の考えがつながってくるんです。そういうわけで、竹田委員のおっしゃるようなやり方とか、軽犯罪法とかそういうようなことを考えていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
ということで、商標の切除なんですが、商標の切除について御意見をいただけますでしょうか。 |
松尾委員 |
バックについていますね。 |
土肥委員長 |
いや、ついていますけれども、要するに商品価値がまだ残ると、衣類としての価値がまだ残るという状態のものでないと意味がないんだろうと思うんです。それがまた入ってきてつけるということなのか。あれは何と言うんですか、真正品でもタグを切って売られたりすることはありますよね。真正品でもタグを切って。いや、真正品でもありますよ。余り詳しくないものですからあれなんですが。 |
山中委員 |
現実にございまして、特にブランド製品で、例えばアウトレット商品を売るようなときに、通常ルートではないということを証明するために、タグを切ってしまうというのは結構見られるケースだと思います。つまり、正規のルートを通っていないという意味で。 |
土肥委員長 |
だから、そういうものがあるから、不正商品も入ってくるということはないんですか。つまり、タグを切ったいわゆる真正品とは別ルートの通常のルートでないものが、アウトレット製品として販売されているという状態があるから、不正商品のタグを切ったものが入ってくるということはないんですか。そういうファッションの世界は余り詳しくないものですから、お尋ねなの。タグを切ったものがまた国内に入ってきて、販売されるときに、単なるシャツとして販売されたのでは、普通のただのシャツですよね。それが真正品と同様な、言ってみればアウトレット商品と同じぐらいの価格でもって売れるから、それが意味を持ってくるということはないのですか。 |
堤氏 |
タグが切られてというふうにおっしゃっていたのは、今御説明があったようにアウトレット商品ということで、正規のB級品という言い方を一般にするみたいですけれども、正規流通品の商品と違うということを示すため商標権者その者が切るとか、襟ネームに金色のマジックをつけて区別できるようにするという方式でやってくるということがございます。この問題はブランド側が自身でやっている話でございまして、商標権上の議論というのは発生しないと思います。 |
土肥委員長 |
そうなんだけれども、要するに切除の話ですから、通関のところまでは商標がついているんだけれども、それを水際で当局に侵害品であるというふうになると、そこを切除すれば入れられるというそこが問題なんですよね、おっしゃっているのは。 |
堤氏 |
そうです。削除すれば入ってしまう、簡単に言うとここは感覚の問題ですけど、削除しても、明確に言うと不正競争防止法上で言うところの偽造品が残って、それが通関されてしまうというのが、権利者側にとってみると非常に口惜しいのと、もう一つ何かつければすぐ復活できる状態で入ってしまうのが嫌だと、こういうことでございます。 |
土肥委員長 |
高部委員。 |
高部委員 |
マーク切除の問題で法律的に一番重要なのは、輸入をどこでたらえるのかということだろうと思うんです。参考資料の4をいただいておりますけれども、「輸入」ということばが出てくる法律というのは非常にたくさんあると思うんですが、輸入というのをどこでとらえるのかというのは、立法目的によって法律ごとに違ってくる可能性はあると思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
田村委員 |
よろしいんですか。 |
土肥委員長 |
いや、部委員のご発言はそのとおりだろうと思ったものですから。 |
花木審議室長 |
特にコメントはありません。 |
田村委員 |
どうもありがとうございます。ちょっと今の点でわからないところが実は発生していまして、先ほど発言しようと思っていたことと違うことですが、これは陸揚げ時または荷揚げ時説をとるとしますと、その後に、この解釈をとったからすべて解決するということがよくわからないところなのです。そこで、輸入禁制品があるということですが、その後マークをはずせば侵害品ではなくなっているのではないですか。そこで、通関を認めざるを得ないのではないかという気もするのです。したがって、輸入の解釈を早めに、陸揚げ時または荷揚げ時説をとったところで、その後マークがはずされてしまえば、はずした時点では、つまり通関前では、もう将来商標権侵害になるものではなくなっているので、結局通関を認めざるを得なくなるのではないかと思います。その点はいかがでしょうか。 |
高部委員 |
商標権侵害を構成していますよね。 |
田村委員 |
1回はですね。 |
高部委員 |
輸入の時点を陸揚げ説とか領海説によりますと、この輸入の時点で侵害行為を行っていますので、その商品は侵害品そのもので、民事で言えば廃棄の対象になります。 |
田村委員 |
なるのですが、結局、普通の通関が絡まない廃棄請求のときも、普通に商標権侵害のものがありますよね。そのときに自主的に侵害者の方がタグをはずしてしまったら、普通の解釈ですと、もうそれは廃棄請求の対象になりませんよね。 |
竹田委員 |
しかし、商標権侵害になった以上は、もうそれはそういうのは認めないと思います。 |
高部委員 |
認めないと思いますよ。 |
田村委員 |
わかりました。先生方と私の見解が違うということでございますね。私はそういうふうに思っておりませんが、ともあれ私の方の疑問はよく理解しました。私の見解はどうもこの中では少数のようですね。 |
土肥委員長 |
36条2項の、その他侵害の予防に必要な行為というそこのところですよね。つまり、侵害の行為を組成した物の廃棄等々、その他侵害の予防に必要なことを請求することができれば、これに当たれば廃棄の対象になるんだろうけど、田村説だと、侵害の予防という観点からすれば。でも、話だと、向こうはつけると言っているわけですから。 |
高部委員 |
侵害の行為を組成していますよね。だから、商標法36条2項の「侵害の行為を組成したもの」として廃棄するんですよ。 |
田村委員 |
いろいろな意見があるのですね。 |
高部委員 |
36条2項の「その他の侵害の予防に必要な行為」ではなく、侵害組成物の廃棄とみるのです。 |
土肥委員長 |
前の侵害組成物の廃棄のところで見るというのが裁判所のようでございますので。 |
田村委員 |
では、そこは意見が違うということも確認できましたので、次の同じ16ページの下の方で、商標法37条8号の解釈というところですが、これは恐らく現行法のままの解釈では無理だろうと思います。「商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物」という言葉がありますので。もちろん、そのマークをつけざるを得ないような形であれば別論ですが、もし何も違う、マークもつけられるという中性の状態になってしまいましたら、この37条8号に当たらないのだろうと思います。ですから、これを規制するとすれば、明確化というよりはむしろ創設的な立法をするということになるのだと思います。 |
土肥委員長 |
それでは、お願いします。 |
花木審議室長 |
先生おっしゃるとおりでございまして、目的が必要であるというふうに、仮に規制する場合は、目的が必要であるというふうに考えております。 |
土肥委員長 |
山中委員、お願いいたします。 |
山中委員 |
今、田村先生の御指摘のあった18ページの③の部分なんですが、要は陸揚げ時にしても通関時にしても、そのマークをはずすことによって、それは商標権の侵害を免れる、すなわち輸入できるという状況が今あるということなんですが、ごく一般的な感覚から申し上げると、そもそも輸入の動機は、その商標を付して、なおかつその商標によって、その商品に化体された信用とともに輸入して販売をするという意図があって輸入しているというのが、ごく一般的な解釈として成り立つんじゃないかと思うんです。そうであれば、そのマークをはずして輸入したものを基本的にはそのままの状態で売るということは、輸入の動機から見て考えられない。当然、つけかえて再販売をするという状況から見ると、マークははずせば入るという解釈自体がそもそもは不自然なのではないかという気がするんですが、そのあたりについてはいかがなんでしょうか。 |
土肥委員長 |
一つの問題は、輸入をどこで見るかということで、いわゆる通関当局の運用の問題があるんだろうと思うんです。そこの問題はいわば商標法の話ではないものですから、恐らくきょうは関係各省庁の方々がおいでになっておりますので、恐らく今おっしゃっていただいたようなことは財務省関係の方にも聞いていただいていると思いますので、恐らくそれは持って帰っていただいて検討いただくことになるんだろうと思います。つまり先ほどのお話ですと、そもそもそこで侵害で、侵害を構成しているんだということですので。そういうことですね、高部委員。 |
高部委員 |
そうです。 |
土肥委員長 |
ですから、そこのところは、おっしゃっているところは、現在の運用をきちんとしていただくということになろうと思います。 |
本宮委員 |
弁理士会の方でもいろいろ検討いたしました。今、土肥委員長がまとめられた形で大体議論は進んだのですけれども、それ以外に、要は小学生から中学生、高校生、そしてその後の社会教育に至るまで、その啓蒙活動をもっと強化して、模倣品は社会悪なのだというようなことを小さいころから植えつけていく。個人輸入・個人所持が今問題となっておりますが、これを長い目で見ていったときには、そういうような教育なりが必要なのではないか。それがあって、その先の10年、20年後、こういう問題がなくなっていくのではないかというような意見も出ておりましたので、この点も何らかの形で強化等していただければと思っております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
花木審議室長 |
それでは、次回でございますが、既に御案内が行っているかと思いますが、10月5日の10時半から開催させていただきます。また、なるべく前倒しで日程を決めるようにという指示をいただいておりまして、その次、第10回は11月2日、同じく10時半からこちらの場所で予定しております。 |
土肥委員長 |
以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第8回商標制度小委員会を閉会させていただきます。 |
[更新日 2004年10月13日]
お問い合わせ |
特許庁総務部総務課制度改正審議室 |