第9回商標制度小委員会 議事要旨
平成16年10月7日
特許庁
10月5日(火曜日)10時30分~12時30分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 第9回商標制度小委員会(委員長:土肥一史 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)が開催された。
1.審議内容
事務局から資料1(地域ブランドの保護について)に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。
※下記
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は資料1の24ページ以下に挙げられた検討の方向を示している。
(1)商標法による保護及びニーズについて
- 「産地名+商品名」の表示は識別性に問題があることから、商標法で保護をするのであれば、慎重に考える必要がある。
- 自他識別機能が確立していないものを保護するのならば、商標法の保護体系が崩れる。識別力が出る前のものを保護するほど切実なニーズがあるのか。
- 地域ブランド保護のニーズがあるか確認したい。現行の不競法、JAS法による保護で十分ならば、無理をして商標法で保護する必要はない。ニーズがあるのであれば、商標法で対応する必要がある。地域ブランドの識別力は、「地域」単位で考える必要があるのではないか。このような意味での識別力を有する地域ブランドの主体として適切な者に商標を認めればよい。
が最も良く、第26条第1項第2号のような規定を設け、第三者の正当な使用を認めるというのはどうか。農水省の動向も重要である。
- 食品業界には、地域ブランドを使いたいというニーズがある。農水産物の地域名については、既に消費者保護の観点から、不競法、JAS法、景表法で保護されているのではないか。
- 地域ブランドの対象となるのは、主に農水産物と考えられる。農水省でも検討中で、既にJAS法など他の法律も整備されている。企業がブランド化したものであれば現行の商標法第3条第2項で足りるが、地域経済の活性化のために考えると、現行の法律で足りるのか。商標法において団体商標による保護を認める方向に行かざるを得ないのではないか。
- 識別力を高めようとしているブランドにも、ニーズがあるのではないか。
の証明商標は我が国ではなじまないのではないか。
- 地域おこし、村おこしの観点から、基本的には団体商標で認めるべきではないか。伝承技術の場合、別の場所で伝承者が製作するとアウトサイダーになってしまう。どういう運用にすべきか考える必要があるのではないか。
(2)主体の審査について
の主体の証明は、第3条第2項の証明と同じではないか。地域に団体が2つあるときは、共同出願が不可能ではなく、解決できるのではないか。
が良いと思うが、特許庁において主体の審査ができるか懸念される。現行の審査でも取引の実情を加味することとされているが、実情はうまく機能していない。今回はさらに高度な要件となるため、運用等の体制づくりが大切であり、留意が必要である。
地域ブランドを団体商標として保護する場合、難しいのはその主体の認定である。しかし、私権構成による保護を認める限り、合理的な主体認定の基準を策定しなければならない。
(3)効力について
- 他人の使用については、第26条第1項第2号で対処できるが、それに疑義があるならばアウトサイダーも使用できる規定を別途設けることも考えられる。しかし、のちに地域ブランドが第3条第2項レベルになったときに、その規定が邪魔になるのではないか。団体登録商標から通常登録商標への変更を認めるような、特別な道も開く必要がある。
- 第26条第1項第2号があっても、不当な使用を排除できないならば、適格性の条件が必要なのではないか。
- 商標の使用者をどう考えるか。メンバー、団体自身の使用なのか。
- 地域ブランドの保護として識別力の弱いものも登録されると、類似商品・役務まで排除されることになることが懸念される。慎重な検討をお願いしたい。
(4)その他
- 主体は組合等の団体に限る必要がないのではないか。主体は制約せずに、メンバーが地域の人であることなどの要件で絞ると良いのではないか。
- 調整規定について、農水省の制度が行政規制ならば、不競法の第2条第1項第13号があることから、商標法に調整規定を設ける必要はないのではないか。ただし、農水省の保護制度が私権型なのであれば、二重譲渡禁止などの調整規定が必要である。
2.今後の審議スケジュール
第10回商標制度小委員会は、11月2日(火曜日)10時30分~12時30分、第11回商標制度小委員会は、12月2日(木曜日)14時00分~16時00分に開催する予定。
[更新日 2004年10月8日]
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