• 用語解説

ここから本文です。

第10回商標制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成16年12月2日(木曜日)14時00分~16時10分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:土肥委員長、小塚委員、琴寄委員、鈴木委員代理(飯田氏)、高部委員、田村委員、西野入委員代理(北村氏)、松尾委員、本宮委員、山中委員
  4. 議題:「地域ブランド」の保護について

開会

土肥委員長

それでは、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第10回商標制度小委員会を開催いたします。
前回は、地域ブランドの問題について御審議いただきまして、さまざまな御意見をちょうだいいたしました。本日も前回に引き続き、商標法における地域ブランドの保護についての検討を行っていただく予定でございます。
本日の議事の流れにつきましては、まず、伝統的工芸品産業振興協会専務理事・阿久澤様より、ニーズの実態に関するプレゼンテーションを行っていただき、その後、事務局から説明を行っていただきます。続きまして、社団法人日本食品特許センターからの意見書につきまして、本日欠席の西野入委員の代理として出席をしていただいております社団法人日本食品特許センター商標委員会副委員長の北村様より御説明をちょうだいいたします。それらを踏まえた上で、残りの時間で皆様に議論を行っていただく予定でございます。
それでは、まず、事務局より配付資料の確認をお願いします。

花木審議室長

それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
お手元の資料でございますが、議事次第、配付資料一覧、委員名簿のほかに、資料1としまして「地域ブランドの保護について」、資料2としまして、本日の主な討議資料でございます「地域ブランドの保護について」の報告書(案)ということでお出しさせていただいております。それに参考資料として5つつけてございまして、「地域ブランドに関するニーズ調査結果(代表例)」、それから、参考資料2は前回の審議会で出させていただきました「諸外国の団体・証明商標制度」の資料でございます。それから、資料3としまして、経済産業省の製造産業局の方で、本年6月に実施いたしました「鉱工業品分野における地理的表示保護に関するアンケート調査結果」を添付させていただいております。
以上が本文の関係の資料なんですが、関係団体の御意見といたしまして、参考資料4として、社団法人日本食品特許センター様からの「意見書」、それから、参考資料5としまして、本日御欠席の竹田委員から「意見書」をいただいておりますので、添付させていただきました。
以上でございますが、不足等ございましたらお願いいたします。

土肥委員長

よろしゅうございますか。

地域ブランドに関するニーズの実態について
-伝統的工芸品産業振興協会

土肥委員長

それでは、早速、議題に入らせていただきます。
初めに、伝統的工芸品産業振興協会専務理事・阿久澤様よりプレゼンテーションをちょうだいいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

阿久澤氏

御紹介いただきました財団法人伝統的工芸品産業振興協会専務理事の阿久澤でございます。
本日は、この席にお招きいただきまして、大変ありがとうございます。私どもといたしましては、地域ブランド確立のために、「地域名+普通名詞」となっております表示を商標としてお認めいただくことを願うべく、お話させていただきます。
まず、初めに「伝統的工芸品」というのは一体何か、どういうものかということから御説明させていただきます。皆様に資料として、この緑色の本をお配りさせていただきました。これの4ページをお開き願えたらと思います。この4ページの上の方に書いてございますが、伝統的工芸品というものは、今からちょうど30年前に制定されました「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」というもの、これに基づいて指定していただいているものでございます。この上の方の部分の1、2の2の方に5項目ほどその要件が書いてあります。この5つの要件をクリアしたものが申請されると、指定されるということになっておるわけでございます。
一番初めに、「主として日常生活の用に供されるものであること」、これは今回の審議に当たっては余り重要ではないと思います。
2、これが「製造過程の主要部分が手工業的であること」、これも読んでおわかりのとおりでございます。
3、「伝統的技術または技法によって製造されていること」、4にも「伝統的」という言葉が出てまいりますが、ここで言う伝統的とは、100年以上の歴史を有することというふうに解釈されております。なお、ちょうど今から30年前、昭和49年から数えて100年前というと、ほぼ江戸時代ということで、明治以前に確立された日用品というものが伝統的工芸品であったというふうに理解されておりました。
それから、「伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料で用いられていること」、これも伝統的な原材料というふうに規定されておりますが、実は明治以前に使われていた原材料も、既に現在の日本では入手が困難になっておるものもございます。そういうものにつきましては、それと同等の代替品を認めるということに、ほとんどの場合なっております。
それから5番目、これが一番本日のこの委員会の中で関係するところでございますが、「一定の地域で産地形成されていること」という条件がございます。ここで産地形成というのは、おおむね10企業または30人以上の従事者がいることを指しております。これは産業振興ということがこの法律のねらいということでございますので、個別に一つの企業だけが、一人だけが、100年以上、200年以上にわたってずっとつくり続けてきたというものが仮にあったとしても、これは産業ではないと。大事なものであると思うけれども、産業ではないだろうということで、この法律の振興対象にはしておりません。
こういうような条件を持った地域産業が申請してまいりますと、これを経済産業省の方で審査していただきまして、もちろん委員会をつくって、専門家、有識者にお集まりいただいて御審査願うわけですが、そこで認められたものが初めて、「伝統的工芸品」として指定されるわけでございます。
この本の中に書いてある写真が、ほとんどがそのために書かれている本でございますけれども、この本の最後の方に、63ページ以降が一覧表になっておりますので、この一覧表を次にごらんいただければと思っております。
この一覧表の一番左側が工芸品名ということで、指定された工芸品名でございます。これをごらんいただきますと、ページ数がずっと並んでおりますが、面倒なんですけれども、ごらんいただくとすぐお気づきのように、ほとんどすべてが「地域名+普通名詞」という形になっております。皆様よく御存じの大島紬とか、有田伊万里焼とか、三条仏壇、石州和紙等々、地名もしくは旧地名、もしくはある地方名といったものと普通名詞の組み合わせで工芸品が命名されているわけでございます。
中にはちょっと変わった命名もございまして、例えば66ページの上から5つ目、これは「ひでひら塗」と読みますが、この秀衝塗とか、あるいは同じページの下から3つ目、大内塗といったように、人名からきているものもございます。
また、その隣の67ページには、上から2つ目に樺細工とございまして、真ん中辺に一位一刀彫というのがあります。この樺(かば)というのはサクラの皮のことでございまして、樺という名前のサクラの皮でつくったものでございますが、この原料品名からきているということで、原料品名からきているものが2つほど、人名からきているものが2つほどということで、全体では実は現時点では206品目あるわけですが、そのうちの4つが地名以外のもの、というふうにお考えいただいておおむね結構だと思います。
なぜちょっとあいまいに言うかと申しますと、中には「本場黄八丈」というように、八丈島でつくったから黄八丈というふうに思いがちですが、どうやら八丈絹をつくっていたから「八丈島」という名前になったというように、何か本居宣長先生が書いておられるんだそうで、ほとんど間違いないだろうと思いますので。よく、地名が先か工芸品が先かというような争いのあるものも幾つかございますので、おおむね200ぐらいが、「地名+普通名詞」ということで命名されているものでございます。
そして、これらの工芸品がそれぞれの産地、地域におきましては、それぞれの地域の誇りとして、自治体や住民に大変大事にされてきているというわけです。それは当たり前と言えば当たり前なんですが、ほとんどのものが100年以前から、そういった名前で生き続けていまして、いわばその地域のご先祖が、たつきとしてきたものがずっとつながっているということで、みんなで大事に守ってきたものだというふうに言われております。
こういう工芸品が実は現在まで、商標としては残念ながら認められていないということでございまして、じゃあ認めてないと一体どういう問題が起こるのかということでございます。もちろん、こちらの委員の先生方にはもう御説明の要もないと思いますが、あえて私どもが実感しているところ、見聞きしているところということを少し御説明しますと、伝工品の名前でホテルができている、喫茶店ができている、ケーキの名前になっているとか、パチンコの台になっているとか、こういったようなものが実際に出てきておりまして、あんなのほっといておいていいのかということが、それぞれの産地の組合のリーダーにはいろいろなところから入ってくるようです。中には、風俗的なものに関係しかねないような施設等にも有名な伝工品名が使われたりしていることがありますので、それに対してはそのつど、それぞれの産地はお願いに行ってそれをやめてもらうとか、そういう努力をしているわけです。なかなか言うことを聞いてくれないということで、大変困っているという例が幾つかございます。
それで、商標登録を申請してみるわけですが、ほとんどの場合残念ながらだめだということで、困っているところがいまだに幾つか残っております。
また、中には、他の産地がコピー商品をつくって、その産地の名前をつけて売り出していくというようなことも間々見受けられるところです。従来は余りそうしたものはなかったんですけれども、やはり国際化の時代になってきて、人件費の低い外国で、技術者を連れて行って教え込んで、それを安い値段で買いたたいて、よその産地の名前で売りに出てきたというようなことが幾つか残念ながら見受けられまして、これについて産地防衛の立場から一生懸命、商標をとりたいというふうに努力している産地が多くなっているわけでございます。
特にこれからは、ジャパンブランドということで、外国に日本のいいものをどんどん認めてもらおうというような動きが国策として今出てきているわけですが、それと同時に、それは大変結構なことですが、やはり一方では、我々のブランドを守るということも絶対にしておかないと非常に危険なことになるのではないかと思います。
ここで、大変珍しい事例として、後で資料で御説明いただけるのかもしれませんけれども、西陣織というブランドは、これは現時点ではほぼ唯一と言ってもいいかと思いますが、「地名+普通名詞」で商標が認められた事例でございます。これは文字で認められたもので、デザインで認められたものではなくて、ちゃんと文字で認められたものが唯一あるというふうに聞いております。
これにつきまして、一体どうしてそういう事例が認められたのかというと、たしか昭和45年前後だったと思うんですけれども、台湾のある会社が、「西陣織」という国際商標を取りに出てきたという情報が西陣の組合の方に入ってまいりまして、これは大変なことになるだろうというので、あわてて弁理士さんと相談して、いろいろな方々と相談して、特許庁さんの方にお願いに来て、もうこのままほっておくと向こうに取られてしまうと、「西陣織」という言葉が使えなくなってしまうということで、大変、業界、行政ともに立ち上がって大騒ぎをいたしました。
その当時の国際情勢として、台湾政府の方は、余りこれを荒立てたくない、経済協力関係もあるところであるからという配慮もあったやに聞いておりますけれども、幸いなことにあちら様が引き下がってくれた、却下してくれたということで、「西陣織」というブランドは台湾では取られなかったわけです。
しかし、このまま放っておくといつまたこういう問題が出てくるかわからないということで、随分お願いして、何とか取らせていただいたということで、現在もこれは生きておりまして、大変喜んでいるところでございます。
その辺の事情のことを結構、京都の他の伝統工芸業者等も知っておりまして、それぞれ自分のところも取ってみたい、取りたい、お願いしたいということで、動きをしておるわけですが、なかなかそれができないということで、現在申請中のものがたしか2件ほどあるのではないかと思いますが、そんな状況になっているところでございます。
こんな状況から、ぜひ伝統的工芸品の名称につきまして、特別な御配慮を願えればと思うわけでございますが、最後に虫のいいお願いを幾つかさせていただければと思っております。もし、この伝統的工芸品、「地名+普通名詞」ということが商標として認めていただけるとなりました場合には、その権利主体について、少し特別の御配慮など願えたらいいのではないか。これは業界全体というよりも、まだまだ業界の中でも意見が大変分かれるところであって、まだまだ一本化されているわけではないわけですが、例えば自治体とか、財団法人とか、協同組合の連合体とか、そういったところにまで権利主体に認めていただけないかなというふうに思うところです。
と申しますのは、それぞれの伝統的工芸品のイメージを守るためには、恐らく単なる一つの名称だけではなくて、例えば「博多織」を例にとりますと、博多織、博多帯、博多献上帯、博多献上、あるいは博多織物、そういった周辺のものをたくさん取っていかなければならない。そして、それを他のものに利用されないためには、たくさんの分類項目ほとんどを取っていかなければならないだろうということになるわけです。そうすると、実は大変なお金がかかります。
伝統的工芸品産業は、ほとんどが実は零細な企業の集団で、先ほど申し上げました10企業もしくは30人以上というところのぎりぎりのところで団体を構成している産地がかなりございます。その辺のところにとりましては、せっかく商標名として取れる権利をいただいたとしても、現実には取れないということになりかねないので、その辺はもちろんこちらで御配慮いただくということではなく、本日こちらにたくさんの省庁の方々もいらしていただいておられますので、そちらの方々につきましても、そういった点があるということをぜひ御配慮願えたらありがたいなと思っております。
それからもう一つ、もっと虫のいい話でございますけれども、先程ご説明させていただきましたように「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」というのがありまして、これによって申請された工芸品につきましては、大変厳密な調査をして、工芸品指定をしていただいております。工芸品指定ができたものにつきましては、何らかの形でこういった商標法と連動して、そのことだけでかなり書類が軽減されるような認定のされ方をしていただければ大変ありがたいなと思うところでございます。ひとつよろしく審議のほどお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。

土肥委員長

どうもありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました内容につきまして、御質問がございましたらお願いいたします。
西野入委員、きょうは北村さんですね。お願いいたします。

西野入委員
(代理:北村氏)

どうも御説明ありがとうございました。
一つお伺いしたいのが、文献やニュースとかで拝見したんですが、例えば西陣織ですと、過去には地元の方々が海外で生産させて、それを逆輸入して西陣織という、そういうこともあったかに聞いておるんですけれども。海外でつくらせても、もちろん一定のスペックに基づいてということかと思うんですけれども、今後、そういう場合に地域、生産地を限定するということがちょっと邪魔になってくるといいますか、そういう可能性についてはいかがでしょうか。

阿久澤氏

実は今回の御説明の中でそのことをもう少し詳しく説明させていただこうかと思いましたけれども、ちょっと難しくなるので省略させていただきまして、大変失礼いたしました。少し説明させていただきます。
経済産業大臣指定伝統的工芸品というものは、これは地域を限定して指定します。そして、100年以上の技術でもともとあった原材料でやっていくもの、これが指定の伝統的工芸品です。これが指定された西陣織というもの、それででき上がったものが経済産業大臣指定伝統的工芸品になるわけです。
しかし、一般的に西陣の産地組合では、必ずしも伝統的工芸品だけをつくっているわけではないわけです。新しい技術や新しい素材で、もっともっと新しいものをどんどんつくって、そして産業というのは伸びていくわけです。ここで言う私どものところで扱っている伝統的工芸品に関しては、実は私どものところでもそれを表示するための証票をつくって、それによって管理していくということを行っております。
しかし、その証票というんですか、あのマークなんですが、これについては伝統的なものでないとだめなんです。それ以外のものには張れないわけです。全部検査して、それ以外のものには張れないという形にしています。
ところが、そうでないもの、西陣地区の西陣の業者が自分たちで新しいものをつくったり、あるいは隣の兵庫県で物をつくらせたり、そういったようなものをしていても、それが西陣の業者が自分たちで色を選び、技術を選び、指導し、そしてこの仕様書によってつくらせているものだったら、これも「西陣織」と呼んでいいと組合が決めている場合があります。実は決めてない組合もありまして、それはだめだというところもあります。これは産地によって千差万別で、全く違うところなんです。
それぞれ、ではどこまでを何々織、何々焼と言うかというのは、それぞれの産地ごとに自分たちで決めてもらわないといけないのではないか。私どものところでは、たまたま経済産業省さんの御指導によって、一定のきちっとした形で、まあ間違いのないというんですか、決してそれが品質の高いものとは言いません。新しい技術により、新しい素材によってやったものの方が品質のいいものもあります。
例えば、これは品質と言えるかどうかわかりませんが、箪笥なんかは、今どきの箪笥は空調等が極めて効いていますから、合板を素材にした方が変形しない、曲がらないとか、いろんないい点もあるわけです。ところが伝統的工芸品の場合は、無垢板でなければだめだよという指定になっているわけです。だから、無垢板であるものについてのみ、伝統的工芸品という証紙は使っています。しかし産地は、多くの場合皆さんが好む合板の方をつくっているわけですから、それについては同じように、名前としては、適当に言っていいのかどうかわかりませんが、例えば岩谷堂箪笥とか、春日部桐箪笥とか、そういう名前でどんどん出していっている。
今お願いしたいのは、その全体を含んで、それぞれの産地が、これは自分ところのブランドと認めたいと思うものについて保護をお願いできればと思うわけです。

土肥委員長

ありがとうございました。
よろしゅうございますか。

西野入委員
(代理:北村氏)

ありがとうございます。

土肥委員長

この点、また後ほど御質問等ちょうだいすることもあり得るかと思いますので、それで阿久澤様の御説明ありがとうございました。また後でお尋ねするかもしれません。

地域ブランドの保護について

土肥委員長

それでは、今度は、事務局から地域ブランドの保護についての説明をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。

花木審議室長

それでは、資料1と資料2に基づきまして説明させていただきます。委員の皆様に事前にお送りさせていただいておりますので、ポイントに中心を置いて、ちょっと時間の関係もありまして説明させていただければと思っております。
まず、資料1でございますが、こちらは前回の議論のまとめということでございます。要すれば前回の議事要旨とほぼ同じ内容でございます。一言で申し上げれば、前回は、地域ブランドを保護する場合に、1、2、3と団体商標でいくのか、証明商標なのか、さらに団体商標の場合に、団体であればいいのか、あるいは一定の要件を加重すべきなのかということを軸に御議論いただきました。
結論としては、仮に制度を多く立てるのであれば団体商標であって、しかもその団体については、多少なりともその要件を設けた方がいいのではないかということであったかと思います。
それからもう一つは、ただ制度をつくるにしても、そのニーズが大前提である。したがって、そのニーズについて現段階では必ずしも明らかでないということで、それについて事務局の方で調査をするようにということであったかと思います。
したがいまして、事務局の方でも調査いたしましたし、またこれは後ほど資料2ということで御説明させていただきますが、先ほど阿久澤専務の方から、一つの例ということで伝統的工芸品についてお話いただいたところでございます。
それでは、本日の主な資料でございます資料2の方を御説明させていただきたいと思います。「地域ブランドの保護について」、商標制度小委員会報告書(案)ということでございます。
めくっていただきまして1ページでございますが、まず、地域ブランドの定義と位置づけ。地域ブランドとは何だろうということでございます。これはなかなか定義が難しいんですが、一応我々の方で書いておりますのが、地域が一体となって、地域で共通した統一的なブランドを用いて、何らかの関連性を有する商品又は役務の提供を行う取り組み、ということで書かせていただいております。
このような取り組みといたしましては、先ほど申し上げましたような、地域の方がある程度集まって、何らかの基準を設けて、それについて共通のブランドを使うという取り組みであることが通例ではないかと思います。
こういう地域ブランド化をすることによって、地域ブランド自体の付加価値も上がるわけですが、これは前回と同じ図なんですけれども、それを通じて地域イメージ自体のブランド化、それによるさまざまな経済的な波及効果もあるだろうということで、最近注目を集めているということかと思います。
また、単に産地振興に資するということだけではなくて、地域性が明確な商標として的確に利用された場合には、需要者の商品又は役務の選別を助けるということで、需要者利益の保護にもかなうということではないかというふうに理解しております。
2ページ目でございますが、そういう地域ブランドの取り組みを、そういう形である程度ザクッという形だと思いますが、取り上げたときに、その中でブランドというのはどういう位置づけなのかということでございます。
先ほど申し上げましたように、一定のブランドをもとに、それに基準を設けて使いたいということが多いということかと思いますが、やはり地域の事業者の多くが集まっていること、また地域のリソースを用いているということもありまして、「地名」を使いたいということが一つ言えるかと思います。後ほど具体的な事例については、ザッと御説明させていただきます。
地名の使い方としては、今伝産品でお話がございましたように、地域名に商品名を加えた形の商標ということで言えるのではないかと思います。このような商標につきましては、現在の商標法上は、3つ目のパラグラフに書いてございますが、文字としては、原則として商標登録ができないということでございます。例外的に、現在の商標法の第3条2項でも、使用により識別力を獲得した場合というのは登録できるという規定があるわけでございますが、こちらにつきましては、通説といいますか、有力説におきましては、「狭小な地域で出所識別力を有するに至った」だけでは足りない、「全国的なものであることを要すべき」というふうに解されておりまして、また審査実務上も比較的、そういうことで3条2項の適用というのは少ない。
下の脚注の4についてでございますが、平成16年7月現在で867件、3条2項の適用がございますが、これはすべてが地域ブランドではありませんで、いわゆる3条の2項で適用除外になっております3条1項第3号から第5号までのすべてでこれだけの件数ということですので、地域ブランドについては、さらに少ないということでございます。
諸外国の取り扱いでございますが、2ページの一番下のところですが、例えばということでEUの場合、これは前回も御説明させていただいたとおりなんですが、こういった原産地表示のみからなる商標であっても、業界団体の構成員の商品を非構成員のものから識別するためのものとして、生産者団体に登録させることができるという制度がかなり設けられておりまして、また個別の国におきましても、ドイツ、イギリス、フランスといったあたりでもそういう制度があるわけでございます。また、最近では、前回御説明したとおり韓国におきまして、地理的表示を可能とする制度がかなり具体化しているということでございます。
次に3ページでございますが、それでは、我が国においてはどうかということですが、先ほど阿久澤専務の方からお話がありましたように、そういうニーズもありますし、後ほど申し上げますように農産品とかそういったニーズもございますので、かなり要望もあるということなのかなと受けとめております。
こういう動きも踏まえまして、政府レベルで、例えば「知的財産推進計画2004」の中で、地域ブランドの保護制度を検討すべきである。あるいは、経済財政諮問会議において策定された「新産業創造戦略」の中でも、地域ブランド保護制度の整備を検討するということがうたわれているわけでございます。
また、最近の動きとしまして、知財推進本部におきましては、先月11月24日に、日本ブランド・ワーキンググループというのを立ち上げまして、その中でも地域ブランドの保護のあり方について検討される予定と聞いております。
なお、商標との関係では、一番最後のところに書きましたが、これは実は初めてではございませんで、平成7年5月の商標問題検討小委員会の報告書の中で、各委員の御意見をとりまとめた形の文章として、団体商標ということを前提にして、いわゆる3条1項3号の「産地」に該当する表示であっても登録できるように措置することとする、というのが報告書として書かれているということでございまして、これをもとに今回御検討をさせていただければと思っている次第でございます。
それで、次がニーズのところでございます。4ページでございますが、地域ブランドを以上のようにとらえた場合にどういうニーズがあるかということでございますが、一つが大きな固まりとして伝統的工芸品、ここは割愛いたしますが、先ほど専務からお話がありましたように、指定された206品目のうち201品目、これはカウントが若干数が違っているかもしれませんが、我々がカウントしたところですと、そういう形でほぼすべてと言っていいに近いんですが、何らかの形で地名が名称として用いられている。そういう中で実際に文字で登録できているのは、現段階では西陣織だけでありまして、ほとんどのものは図形と一緒に使っているということでございます。
また、現在、文字のみで商標登録を希望しているもの、実際に申請が出ているのは、現在では3件でございますが、こういったものについては具体的に組合の方からも意見が強いということでございます。
また、もう一つの大きな固まりとしては、やはり農産品がございまして、地域とも密接に関連しているということもございまして、こちらについてはほとんどが、古いものだけではなくて新しいものも含めて、「地域名+商品名」という形で登録したいというニーズがあると受けとめています。
5ページを見ていただきますと、有名なものとしては、よく挙げられる夕張メロン等があるわけでございますが、その他にも、図形入りで登録されているものが非常に多くございまして、さらに現在文字のみで商標登録を希望しているというふうに具体的に当方で把握しているものとしても、例えばということで北は北海道から、高森牛というのは山口でございますが、加世田かぼちゃ、南は鹿児島まで、いろんなものがございます。
それから、3番目のグループとして、比較的新しい工業製品とか、食品加工品の分野があるかと思います。食品加工品等につきましては、地名表示のニーズが非常に強いということで、現在でも文字のみで商標登録されている、例えば信州味噌とか、三輪素麺とか、そういったものがございます。
一般の工業製品につきましては、伝産品より若干新しい準伝産品的なものがここに書いてあります、笹野彫とか、笹野一刀彫といったような地名表示のニーズがありますが、比較的新しい工芸品ですと、若干ダイレクトに文字を入れるというよりは、文字を若干変形して使いたい。ただ、地名という部分の周辺のニーズがあるということでございます。例えばということで、地名をもじって「THE291」ということで、福井県産眼鏡枠、あるいはめくっていただきまして、6ページ目の「NARA-SAKURA」というのは、奈良県大和高田市の靴下生産組合でございますが、純粋に奈良靴下と言って売りたいというより、むしろ「NARA-SAKURA」というイメージで売りたい。ただ、ダイレクトに地名で表示したいというの、例えば豊岡カバンとか、そういうものがあるというふうに認識しています。
それから、第4のグループとして役務でございますが、ここに書いてございますような餃子とか、ラーメンとか、中房温泉とか、そういったようなものでニーズがあるということでございます。
今のは具体例の取り上げなんですが、全体的に見ますと、7ページのとのころをちょっと御紹介させていただきたいと思います。経済産業省の製造産業局が、本年の6月に国内の298産地を県経由で調査しましたけれども、このような回答がございました。
まず、商標登録につきましては、「している」という産地が35産地あったわけでございますが、役立っている点といたしまして、例えば外国製品、あるいは他産地製品との差別化、あるいは組合員としての集約、意思統一とか、消費者にとって安心とか、そういうことを挙げておられます。ただ、実際の商標登録はほとんど図形でございますので、改善すべき点として、できれば図形等の複合ではなく、名称のみで登録したいというような声が挙がっているということでございます。
また、商標登録していない産地が多いんですが、この産地について聞いてみますと、(2)のところでございますが、「出願したが拒絶された」というのが11産地ございます。具体的に拒絶されたという部分について回答を見ていきますと、例えば商品の品質、産地、販売地を表示するに過ぎず、自他商品の識別標識としては機能しないという、いわゆる教科書どおりの回答で拒絶されているものもございます。また、行動を起こしたが却下されたことについて、「地名+名詞」が認められないのであれば、ほとんど工芸品は名詞を保護されないということを言っておられる方もいらっしゃるということでございます。
「出願したが拒絶された」ということの前に、そもそも出願しようとしたんだけれども、弁護士あるいは弁理士さんから、無理と言われ断念したという回答もございました。
8ページ、9ページ以降でございますが、地域ブランドについて、経済産業政策的な観点で若干幾つかの事例を取り上げさせていただいております。
一つは、取り組みのきっかけごとに見た場合どういうものがあるかということでございますが、(1)として、従来、地域経済を担っていた基幹産業が衰退したとか、何らかの外的要因が生じたときに、地域を挙げて新しい商品の開発に取り組もう、そのときに地域ブランドを使いたいというニーズが一つあるのかなと。これは有名な例ですと、夕張メロンとかそういうものがあるわけでございます。
それから、もう一つのパターンとして(2)でございますが、もともとつくっていたり大規模な生産をしていたものであって、その地域であるがゆえに高い付加価値を持たせたいということでやっていらっしゃる場合、あるいは地域全体で共同で大規模な装置を導入して、その投資をきちんと付加価値を高めることによって回収したいというようなニーズがございます。一つの例として、この十勝川西長いもというのを挙げさせていただいております。
それから9ページでございますが、(3)のところで、(2)とかなり似ているのかもしれませんが、地域全体で技術開発をやりたい、あるいは安全・安心ということを証明したい、消費者へのPRをしたいというようなニーズがございます。例えば十勝ブランドですとか、役務的なものについては、こういったものがかなりあるということでございます。
取り組みの効果でございますが、非常にアバウトなまとめになっているんですが、もちろん成功した場合においては、この商品又は役務が品質が向上して付加価値が高まるということで、収入がふえるということもあるんですが、それだけではなく、例えばということでこんな例もあると。加工品への展開ということで経済効果が上がっている、あるいは就業の場ができている。それから、特産品によって外部から観光客がふえている。夕張の場合、年間200万人の観光客があるということですが、その少なくとも過半数は、夕張メロン関係ではないかというのが地元の認識でございます。また、地域イメージが向上して、企業誘致とか、後継者問題とか、そういった問題についても非常に効果があるということがございます。
それでは、ニーズを商標という観点から見たときにどういうものなのかというのを10ページに書いてございます。商標登録取得のニーズでございますが、一つは取り組みの開始段階で、先ほどアンケートにもございましたように、地域の一体性を高めたいというニーズがある。地域で集団的にやりたい。そのきっかけとして商標を使いたいというニーズがございます。
それから、実際に立ち上がった段階でございますが、この段階はかなり切迫したニーズがあるのではないかと思っておりまして、ある程度地域レベルの市場で識別されて、一般品より高値で取引されたようなものにつきましては、全国的な知名度がなくても、粗悪な類似品が出回ることが多いわけでございます。
注の9として、現在は確立した夕張メロンの事例を取り上げておりますが、昭和35年に、夕張市内の農家17軒で始まった夕張メロンですが、早くも昭和40年ぐらいには、北海道の二条市場に「夕張メロン」と称する類似品があらわれ始めた。ただ、地名が入っておりますので商標が取れないということで、商標登録を検討したんですが、なかなかとれなかった。図形では取れたというのが昭和52年でございますが、図形では、市場での掲示とか出荷箱に対して権利行使ができないということで、文字で商標を取りたいということで出願したんですが、2度拒絶査定を受けて、3度目になって、平成5年になってやっと登録された。いかに3条2項のハードルが高いかということでございます。
一方、注の10といたしまして、最近の地域ブランド的取り組み事例ということで、地名は入ってないんですが、新産業創造戦略でも取り上げられております徳島県佐那河内村のももいちごの場合、こちらは地名が入っていないので、現在でも商標を既に登録しておられます。この団体、農協さんなんですが、ヒアリングさせていただいたんですが、いちご自体の品質とかパッケージというのも大事だし、消費者への信頼というのも大事なんだけれども、やはり商標というのもそういうものと並ぶツールなんです。したがって、商標があるがゆえに、類似品に対しても、早い段階から根拠として迅速な警告等ができる。したがって付加価値も高められるということで、現在は、この「ももいちご」というのは非常に商標管理に気を使って、1箱、最盛期には1万円程度の高値で出荷して、付加価値が定着しているということでございます。恐らくこちらも地名を使って3条2項ということであると、現段階では夕張メロンの例から考えると、なかなか難しいということではないか。
潜在的なこういうものは、2のポツのところでございますが、全国的に調査いたしまして、参考資料の横長の方で、後で見ていただければと思うんですが、かなりございまして、例えばということで書かせていただいておりますが、鹿児島県の加世田かぼちゃの場合、普通のかぼちゃの2倍から3倍の値段がするというふうに鹿児島県は言っておりましたが、全国的な識別力は恐らくまだ発生していないのではないか。実際にこういうものをとりたいというふうにしている事例も、例えば高森牛、こちらは弁護士に相談したけれども、無理だと言われて困っているということでございます。
それから、3が確立した段階でございまして、こちらは先ほどの伝統的工芸品のようなものがイメージされるかと思います。先ほどプレゼンテーションがございましたように、海外で製造して使われるということで、水際での差し止め等のニーズがあるということになります。
こちらについては、現行法でも3条2項で登録できる余地もあると思われるんですが、その条文の趣旨等が、全国的な識別でどういうふうに判断するのか、あるいは条文の問題なのか運用の問題なのかということはあるかと思いますが、なかなか明確な予見可能性がないということで、商標登録が可能かどうかの判断が難しいという悩みを抱えているというのは先ほどお話があったとおりでございます。現在、最近出願いたしまして、審判まで上がって拒絶された例として、伝産品の中で播州毛鉤という事例がございます。
それから11ページですが、商標の具体的担い手ということでございますが、基本的な考え方として、我々事務局が産地をヒアリングして一つ非常に言われたのが、そもそもブランドのイメージというのは、その事業者にとっては非常に重要である。そのブランドのイメージ管理を第三者に委任しようとか、そういうのは基本的におかしいのではないか、そういうところは余りないのではないか、自分たちでやりたいというのが一番強いのではないかということでございます。
先ほどの参考資料の横長の表を幾つか見ていただきましても、多くは農業協同組合とか、工業協同組合とか、いわゆる組合的なものが多いわけでございまして、そういうものが一つのニーズの中心ではないのかなと。地域ブランドを文字で商標登録したいというニーズを考えたときに、具体的担い手として一つ考えられるのではないか。
これに対して、地域内の何らかの公的機関、先ほどプレゼンテーションの中でもございましたが、地方公共団体とか財団法人等、こういう事例も幾つかございました。我々もヒアリングさせていただきましたが、一般的には地域内の製品の規格化や底上げ、技術開発や販売支援、いわゆる横から見て認証するとかそういうような形で、みずから出荷しているということではないわけでございます。したがいまして、こういった場合における公的機関の役割は、12ページでございますが、第三者の立場から一定の基準を満たしていることを認証する、いわゆる証明商標的な取り組みと言えるのではないか。
この場合に多く言えることは、図入りのシールを張るというのが非常に典型的な例でございまして、そういうことから考えると、直ちにこういう場合について文字商標としての地名入り商標を取得し、管理運用したいというニーズがあるかどうかというところについては、現段階で必ずしも明らかではないのではないかと書かせていただきました。
ただしということで、3でございますが、もちろん例外はあるわけでございまして、先ほど阿久澤専務の方からもお話がございましたし、我々の方で調べた中でも、地域ブランド化の取り組みの中には、やはり事業協同組合と少し活動範囲が違うとかというようなこともありまして、地方公共団体、あるいは第三セクターとか、財団法人とか、そういったところが商標の管理を中核的にやっている場合もございます。
一例として松坂牛の場合は、松坂市松坂牛振興公社ですか、第三セクターが中心になってやっておられるわけでございます。こういったものについても、したがいまして地域ブランドの管理主体として適切なシェアをどういう形で明確に選定できるか、あるいは団体商標の主体としてそういう人が適切なのかどうか、商品管理主体として法人格の具備等の観点からどうなのかということも踏まえながら、検討する必要があるのではないかと思っています。
以上がニーズでございまして、それを踏まえまして、13ページ以降に具体的にどういう制度ということを書かせていただいております。
基本的考え方でございますが、(1)といたしましては、ごく簡単に申し上げますと、やはりニーズはあるのではないかということでございます。とれないということについて、制度的な検討も求められているということでございます。
(2)のところでございますが、それではということなんですけれども、こういった地域ブランドというのは、特定の事業者団体の商品又は役務の出所を表示するという意味では、必ずしも自他商品の識別力を有しているとは言えないかもしれないんですが、「地域名」と「商品名」という組み合わせでございますので、当該産地において生産された商品という意味はございます。したがいまして、その生産者の集合体である主体について使用すれば、産地における生産者という形での識別力は認められるのではないか。恐らくEUなり何なりは、そういう考え方で商標法の中にこういう表示を取り込んでいるわけでございます。したがって、我が国でも同様のことができるのではないだろうかということでございます。
(3)でございますが、その場合にどういう人に。産地という抽象的なものに商標権を与えるわけにはいきませんので、そうだとすると、だれにその集合体としての識別力を認めるのかということでございます。集合体だとすれば、単なる一生産者・一提供者に対して認めるというよりは、むしろ集合体である組合(団体)である等一定の要件を課することが適当ではないかということで、繰り返しになりますが、諸外国においても団体商標としてやっている場合が多いというふうに認識しております。
また、前回の審議会でも、一定の要件を課するべきであるということでございましたので、この一定の要件ということについて検討していきたいということでございます。
それから14ページでございますが、以上のような考え方ですと、一定の団体に産地としての識別力の商標を擬制するような形になりますので、そうしますと地域内ですけれども、その団体に所属していないという方、地域内のアウトサイダーというふうに書かせていただきましたが、そちらについての権利行使の限界、あるいは一定の団体がその団体の適格性を満たさなくなった、この団体という条件を満たさなくなった場合の扱いとか、権利移転の制限等についても検討する必要があるのではないかということでございます。
一方ということで、地域ブランドの保護については、現在でも3条2項の規定も一定の役割を果たしておりますので、こういう規定についての要件を法律上一層明確に規定するとか、運用基準をより一層明確にすることについても、あわせて検討する必要があるのではないかと思っております。
(6)は、なお書きでございますが、商標法はあくまでも識別法として、商品又はサービスの出所を識別しているに過ぎないわけでございますので、仮に(1)から(4)までの考え方で新しい制度をつくる場合にも、それを特許庁が商標制度、登録したからといって、その商品の品質とか優秀性を特許庁が保証する性格のものではないということを念のため書かせていただいております。
最後の段落のところですが、商標法の役割はというところですが、各種の品質規制法規がございますし、また表示規制法規等もございますので、そういうものとの間での適切な役割分担のもとで、生産者の品質向上に向けた意欲を保護し、需要者による識別を手助けするという観点から、いわば地域ブランドの取り組みに対するインフラとして、商標としてどういう部分が担えるかという役割を検討いただければと思っておりまして、地域ブランド化が直ちに商標登録したことによって成功するというものではないと、ある意味当然のことでございますが、書かせていただいております。
ちょっと時間が長くなってございますが、制度の具体的内容について骨格を申し上げます。
今申し上げましたとおり、地域ブランドの保護に当たって、商標法の役割につきましては、需要者の識別を助け、また、類似品の排除を通じた付加価値の適切な保護ということかと思います。
現行商標法3条2項につきましても、そういう意味では一定の役割を担っておりますので、そういうものを明確化し、立法的あるいは運用という形にしろ、地域ブランドの保護を図ることもできる余地もあるのではないか。
ただ、同条項につきましては冒頭申し上げましたように、全国的な識別力というのが大前提でございますので、そうだとすると、そこに至るプロセスというのはなかなか保護しづらいということがあるのかなと思います。先ほどの伝産協会さんの場合は、ある意味確立した部分に近いのかもしれません。そのプロセスに至るニーズというのは、なかなかそれを全国レベルで代表するような団体がございませんでしたので、我々の方で調べさせていただいたということなんですが、そういうニーズがあるんじゃないかということでございます。
こういう場合に新しい制度として、EU等の諸外国において講じられていると同様な、商標法上の団体商標制度の一環としての地域ブランド保護制度というのが検討できるのではないかというのが本日の御提案でございます。
このような制度をどう読むかですが、仮に「地域団体商標」制度というふうに呼ばせていただきますと、こういう制度については、以下のような骨格があるのではないか。
一つは保護対象でございますが、実際のニーズは、先ほど申し上げたとおりでございますので、地域名と商品名の組み合わせということで、文字商標ということを考えるということでございます。
それから、登録要件につきましては、一つは主体の要件で(2)の1でございますが、諸外国の立法例を勘案すれば、団体商標による保護というのが基本ではないだろうか。さらに、地域の生産者等の集合体としての識別力を特定の生産者団体に擬制するわけでございますので、一定の要件が必要ではないかというのが前回の審議会の議論であったかと思います。
具体的には16ページで一つ書かせていただいておりますが、数量的な要件。ある程度多数の方が入っている。これは過半数なのか、3分の2なのか、4分の3なのか、あるいは脚注の13で書かせていただきましたが、登録の効果として、後ほど申し上げますように正当理由ということで、ある程度アウトサイダーであっても、地域内の方の使用であれば侵害にならないということと組み合わせて考えれば、主体要件については、それほど厳格なものとしなくてもよいという考え方もあるんじゃないかと思いますので、そのあたりについて御議論いただければと思っております。
余り細かいところまで申し上げるつもりはありませんが、最初の明朝体のところのポツでございますが、この数量要件をした場合に、数量要件というのはどういうふうにするのかということなんですが、基本的には出願者の方が、自分たちは少なくとも過半数はいますよという、何らかの合理的な説明をしていただくということかなと思っております。
ローマ数字のiiですが、周知性の要件ということで、これは委員の先生方の中にも、我々事前に御相談させていただいた中で、そういう御意見もございまして、数量的な要件を課す場合、この数量的な要件の認め方次第なのかもしれませんが、なかなか困難な場合もあるのではないか。したがって、数量的な要件に変えて、一定の周知性の要件でもいいのではないかという考え方もあったかと思います。
17ページのところに移りまして、ただし周知性の要件と言った場合、現行の3条2項との違いは何なのかとか、そういったあたりについて十分な説明が必要ではないかと思います。
その他ということで、自由に加入できるとか、その他何らかの付加的な要件が必要かどうかという点を御議論いただければと思います。
以上が主体でございまして、17ページの2ですが、対象となる商品の要件でございます。こちらにつきましては、特許庁の方で、そもそも例えば松坂牛とはこういうものであるべきとか、そういった識見を持っているかというとそういうことはないわけでございますが、ただ、全く何も決めなくていいのかどうかということについて御議論をお願いしたいと思っております。
我々の提案としましては、使用される商品の生産等の範囲、先ほど北村代理からも御質問がありましたけれども、どこで生産されるものなのか、あるいは品質はどういうものなのかについて出願の際に明らかになっておって、しかも今後商標の使用に当たって、我々はこういうものについて使うんですということを要件とすべきかどうかということでございます。
ここは考え方をちょっと説明させていただきまして、17ページの下のポツですが、地域ブランドを商標として登録することは、直ちにその品質とか優秀性を保証するものではないんですが、地域団体商標は、通常の商標と異なって、一定の品質を具備するものと受けとめられかねないのではないか、そういう意見もあるかと思います。
18ページですが、したがって、登録に当たって、そのようなどのようなものについて用いようとしているということを自らおっしゃっていただくことが必要ではないか。諸外国の事例として見ますと、例えばEUの場合はそういう要件が課されているのではないかと思います。
なお、審査官として、例えば夕張メロンはこういうメロンであるべきだとか、松坂牛はこうあるべきといったそういうようなことはやりませんが、明らかに例えば○○牛という日本の地名が入っているので、その品質が外国産の例えば海外産の牛の肉とかそういう誤認に当たるようなものは審査する、そういう基本的なスタンスが考えられるのではないかというふうに提案させていただいております。
18ページの品質のところをもう一つ書かせていただいておりますが、この商品の基準につきましては、登録要件とする考え方のほかに、いずれにしても、誤認以外審査官が審査しないのであれば、むしろ指定商品として書いてもらう、あるいは登録後使用の段階で公開していただくという考え方も成り立ち得るのではないか。これは法的効果との関係で相関関係になるのかなと思っております。
それから、18ページ、その他の登録要件でございますが、一応我々の提案としましては、使用というのを一つ要件にさせていただいたらよろしいのではないかと思っております。地域ブランドの考え方といたしまして、地域団体商標をつくるときには、この使用による識別性というのは全く別の概念で立論しているわけでございますので、使用されているのかどうかというのは基本的には要らない、必須の要素ではないのではないかと思っております。
ただ、このような商標を登録することは、まさに今回産業政策上の必要性を考慮して検討しているということでございますと、実際に使っていない、あるいは使用の計画がないものを保護するというのは、産業政策上も必要がないとすれば、使用というのが一つの要件になるのではないか。ただし、その場合どの程度の使用を求めるのかという議論はあるかと思います。
その他でございますが、19ページのiiでございますけれども、これはある意味確認的なものでございますが、地域団体商標というのは、ある意味3条1項第3号のうちの産地、販売地、提供地を抜くという考え方ですので、したがいまして、それがそもそも普通名称である場合、例えば「さつまいも」というのを登録したいと鹿児島県の農協さんが言ってこられても、それは普通名称化しておれば、それは排他的独占権を認められないだろう。それから、他人の周知商標と類似している、あるいは商品の品質又は役務の質を誤認させる。例えば非常に伝統的なものとして、この名称はこういう品質のものだということが広く知られている場合に、たまたま産地で非常に多い方が工業的な手法をとっているからといって、その名前を使おうとする場合は登録できないという整理になるのかなというふうに思っております。
2番目の段落でございますが、地域団体商標であっても、先に食品会社とか大企業が3条2項の規定に基づき広告宣伝等を行って著名になっている、あるいは地域の取り組みであるけど非常に著名になっているような場合で、3条2項で先願の商標登録がなされておれば、当然取れないということになります。たまたま地名と商品名の組み合わせが、ほかにも同じ地名でほかにも同じ商品をつくっている人がいて、そちらが先に地域団体商標として取られた場合には登録できないという先願、後願の関係が生ずるのかなと。ちょっと細かいところですが、その当たりの要件を考えております。
それから、大きな議論として(3)の効力でございますが、地域団体商標権につきましては、通常の商標権より、やはり効力の面で少し違う扱いをする必要があるのではないかというふうに思っております。
具体的には、正当に使用する第三者には及ばないということで考えられないか。正当な使用というのは、これは議論の余地があるかと思いますが、その地域内で生産されたものかどうか、あるいは基準との関係で何かあるのかどうか、団体構成員自体がその基準を守っておられるのかどうか、等の点を総合的に考慮して判断というのが一つあるのではないかと思っています。
と申しますのは、20ページのところでございますが、EUにはそういう制度があるということでございます。
2は、26条の現行の例えば北海道産チーズとか、そういうような産地表示は当然できるということでございます。
そのほか、先使用者と何らかの効力制限が必要かどうかという論点でございます。
あとは手続的な論点がございまして、(4)は事後的に要件を満たさなくなった場合の扱い、取消・無効等の条件に加える、あるいは商標権の移転、ライセンス、その他の問題について、何か手続的な条件が必要かどうかということでございます。
ちょっと長くなってしまいましたが、以上でございます。どうもありがとうございました。

土肥委員長

どうもありがとうございました。

地域ブランドの保護について関係団体の意見について
-社団法人日本食品特許センター

土肥委員長

それでは、引き続きまして、社団法人食品特許センターからの意見書をちょうだいしておりまして、これにつきまして同センターの商標委員会副委員長の北村様、きょうおいでいただいておりますけれども、御説明をちょうだいしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

西野入委員
(代理:北村氏)

よろしくお願いいたします。
本日は、私どもの意見を聞いていただくお時間をいただきまして、ありがとうございます。また、今回御提示いただきました事務局案で、私どもの意見を一部反映していただいた点や、さまざまな調査をしていただいた点について、事務局様の方に謝意を申し上げたいと思います。
まず、私ども食品メーカーは、この制度について実際に影響を受けることが予想されますので、それでこの審議や最終報告書の方に私ども意見をぜひ反映していただきたいとの思いから、意見書を提出させていただきました。
そこで前提として申し上げたいのは、日本の生産者団体様は諸外国と違ってささまざまな事業を行っておられて、特に食品加工の分野においては我々の事業と重なってくるものであります。現に生産者団体さんで、加工食品の分類で多数の商標登録が見られるところであります。
そういう前提の上でちょっと話をさせていただきたいんですが、まず、意見書の1ページ目の1番なんですが、商標制度小委員会では、「地域ブランドの保護について」の課題のもと、主として、識別力が確立していない産地名と商品名の文字のみからなる標章、以下「産地名+商品名」と言わせていただきたいんですが、を団体商標として特定の団体にのみ商標登録を認める制度を中心に議論が行われていると存じますが、当委員会では、本制度については全面的には反対との意見が強く、その必要性、合理性について納得できる状況ではありません。
ちょっと補足させていただきたいんですが、今まで御説明していただいたようなニーズの一つ一つを否定するつもりはないんですけれども、ただ、さまざまな弊害が予想されますところ、どうしてもそれでもやらないといけないのか、ほかに方法があるのではないかとか、そういう疑問が解消されません。それに、今の商標制度が社会的に問題になっているという状況でもないと思います。本当に社会にとってこういう制度が有益なのかというところに、まだ納得できる状況ではないということです。
次に2で、「地名+商品名」という表示の使用は一般企業においても慣用化しており、これを誤認の恐れもないのに制限することや、特定のものへの届出や許可が必要となれば、企業の事業活動に不等な制限を加え、かつ商慣行を混乱させるものであると危惧いたします。
2ページに行きます。3、「地域ブランドの保護」は、さまざまな角度から検討すべき重要な課題であり、次の情報をいただいた上で、我々が十分に検討する時間をいただきたいと存じます。(1)は、なぜ本制度が必要なのか、具体的な理由と、生じている具体的な問題点。(2)は、具体的な制度案。
担当者にお聞きしますと、この制度は難しくてわかりにくいという声も多いのが実態です。わかりにくいから賛否のしようがないという方もかなりいらっしゃいます。あるいは知財という観点だけでなく、消費者保護やマーケティング等、さまざまな観点から検討されるべきものだと思います。
一方、その検討が必要だというのは私ども食品メーカーだけではございませんで、多くの当事者、消費者とかそういった方々が本当にこの制度を理解した上で、その上で議論を尽くすことが必要かと存じます。そのためには十分な時間が必要だと思います。
次に4に参ります。公益性、自他商品識別性の観点から、本来識別力を有する標章と使用により識別力を獲得した標章以外は独占適応性を認めないということが判例や学説により確立しているにもかかわらず、識別力を緩和して登録させることは商標法本来の制度や機能とそごを来す可能性がある点を踏まえ、慎重に検討していただきたいと存じます。
5、現在の地域ブランドに関する問題を把握した上で、本当に商標法でできること、やるべきことを考え、まずは現行の第3条2項を活用とした「地域ブランド」の保護こそ、検討されるべきではないかと存じます。
これは、非常に多数のこういう意見を聞いております。
次に6、社会的、経済的に影響力の大きい案件であると考えられますので、商標制度小委員会及び産業構造審議会内だけでの議論でなく、パブリックコメントの募集を初め、広く関係者及び関係団体の意見を集約し、検討していただきたく存じます。
これは大きな案件ですので、1回だけでなく、何回かやる必要であるのではないかと存じます。また、そのパブリックコメントの応募の時期についても十分な配慮がなされるべきではないかと存じます。
7、地域ブランド、地理的表示及び食品表示については、既にさまざまな制度があり、かつ現在も、さまざまな省庁や審議会、国際機関等で議論がなされております。消費者が混乱することや、事業者に多大な負担をもたらすことのないよう、全体として整合性があり、わかりやすい制度でなければならないと存じます。
この、わかりやすい制度というところを強調させていただきたいと思います。
次に3ページ目に参りまして、今は全体的なお話をさせていただいたんですが、ここでは具体的に私ども食品特許センター商標委員の各委員から寄せられました意見を、まだ一部ではございますが、紹介させていただきたいと思います。
まず、1番、「産地名+商品名」の登録制度を検討する理由なんですが、初めに申し上げたいのが、こういう市場というのは、限られた市場のパイの中の競争になってくるわけなんですけれども、この制度によって一体どういう状態を目指すのか、何を優先させるのかというビジョンが明確になっていないと思います。
本文の方に入らせていただきますと、「地域ブランド」を保護するためという内容で議論をスタートしましたが、何をもって「地域ブランド」なのかが商標制度小委員会の中でまだ明確になっていないと存じます。したがって、識別力を獲得していない「産地名+商品名」への商標権の付与が、なぜ「地域ブランド」として議論されるべきなのかということに関しても、まだ問題意識が共有できていないままであると存じます。
ちょっと補足させていただきますと、そもそも一部の有名なものはともかく、差別化されていない「商品名+品名」というのが果たして商標と言えるのか、商標として使っているのか、さらには、それはブランドと言えるんでしょうか、というような疑問があるかと思います。
本文に戻りまして、まずは、保護する法益や、他に商標法の分野において議論すべき課題はないか、などといったことから議論されてしかるべきであると考えます。
最初に申しましたように、3条2項を検討するというのもその一つだと思いますし、米印の方は具体的なことを記載させていただいておるんですが、3条2項登録済みのものも含めて、近年成功している地域ブランドの商品の多くは、品質保持に関する努力はもちろんなんですが、マークを併用したり、特徴のあるロゴを採用したり、認証制度を利用したりして、自他識別力を高める努力を行っておるものと存じます。
次に、特徴のない「産地名+商品名」からなる標章が乱立すると、それぞれの商品・銘柄の差別性が全体的に薄れてしまいまして、かえって陳腐化してしまって、結果的に足を引っ張り合うことになりかねないということも考えられます。そうすると一過性のブームで終わってしまう危険も十分考えられると思います。
次に、本制度のような権利化の方向よりも、例えば、是非は別として、旧地名や地形、名所旧跡、あと伝統行事とかもあるんですけれども、そういった地域に関する名称で、3条で拒絶することができず特定のものが独占できる標章をどうするかといったような、権利化で狭めるのではなくて、むしろ地域ブランドの活用の道を広げるようなテーマの方が、もしかしたらニーズとしては高いかもしれません。
これは実際実務に携わっていますと、このような地域の方々の悩みに接することは結構ございますが、詳細は時間の関係もありますので、ここまでとさせていただきたいんですが、ここに、平成11年11月29日、母袋旗事件を御紹介させていただいております。
次に、2の特定の団体に権利を付与することの理由がよくわからないということなんですが、使用する正当性と独占する正当性というのは違うと思うんです。
また本文に入らせていただきますと、「地域ブランド」の形成は、リーダーシップをとる主体や関係するメンバーのつながり、歴史的経緯もさまざまでございますところ、なぜ特定の団体に最初から「産地名+商品名」の商標権を与えることが地域ブランドの保護につながるのか疑問であります。
この辺については資料を持ってきておりますので、できましたら後で回覧させていただければと思います。
また、事業者等の協同組合が公的機関であるという解釈にも疑問があります。
これは参考として、中小企業等協同組合法、農業協同組合法を挙げさせていただいているんですが、あとここにあります農水省の研究会の資料についても、できましたら後で回覧させていただければと思います。
かつ現実問題として、産地の団体自身による不正表示事件というのが多発している現状がございます。ですから、多数が入っているからといって正当ということは言えないんじゃないかと思います。
あと、書いてないんですが、不正というのではないんですが、地域の団体さんでも、他地域の原料を買って一緒に使っています。それは別に不正とかではなくて、原料安定化とか、品揃えとか、そういった観点からだと思われます。
次に4ページです。また、地域ブランドを先駆的に生み出したり、その価値向上に貢献したりしてきた団体、企業、個人、グループの努力や投資が存在することや、地域イメージと密接な関係を持ちながら事業展開を行っている企業もあるということについて、ぜひとも御考慮いただきたいものと存じます。
先ほど事務局の方から御説明いただいたブランドの事例の中には、実際は企業が名前に着目して、先駆けて使っていたというものもございます。あと地方公共団体や地域の団体の事例が多く紹介されていたんですが、そうでないものも多いですので、その辺についても、実際の資料をまた後でぜひ回覧させていただければと思います。
次に米印のところなんですが、協同組合や第三セクターの中には、実態は一般の企業と余り変わらないものや、より強い組織力を有する団体もございます。
ちょっと書いてないんですが、あと会社の名前がその後、地名になったという事例もございます。
地域ブランドを使用できる者を最初から特定の集団に絞り込むことによって、本当に地域ブランドを高めることができる者が産地・商品名標章を使用できなくなることもあり得るため、かえって地域ブランドの形成や価値向上を妨げることにもなりかねません。
真のブランド価値向上のためには、個々の商品のみならず、さまざまな事業を統合した地域全体のブランディングや広域のブランディングといった観点も重要であるとよく言われておりますが、そのときに一部の団体による個々の商品の「産地名+商品名」という標章の商標登録が阻害要因になる場合も出てくるのではないかと懸念されます。
次に、3、商標法の主旨への適合性です。
既に確立され一定の秩序を保っている制度を変えてまで、この制度で保護すべき理由が不明なままです。「地域活性化のため」ということであれば、部分的に特化した極めて政策的な事項でありますので、「偽ブランド品の個人輸入の制限」の際に議論されたように、特別な法制や政策によって対応するのが相応ではないかと存じます。
商標制度という産業界共通の重要な基盤であり、かつ半永久的な排他的使用権をもたらすことが可能な制度において、一部の団体にアドバンテージを与えることは、過剰な保護ではないかと懸念いたしております。
また、地域自体に識別力を認めるという解釈については、商品の自他識別能力とは全く異なっており、「地域」という主体が確定できない漠然とした概念に識別力を認めるということが一般には理解しがたいものであると存じます。
あと書いてないんですが、追加させていただきまして、この解釈でいきますと、商標の品質保証機能という面からもこういう解釈は問題があるのではないかと思います。
言うまでもないことですが、ブランドを確立するためには、必要な投資や努力がなされ、名称に応じた品質管理がなされ、消費者に認知され、支持されなければならないものであり、そうなったときに初めて、本来、自他識別力のない標章も商標として機能し始めるものではないかと存じます。
品質を証明する地域ブランドということであれば、商標法よりも、むしろ認証制度の方がふさわしいのではないかと存じます。
4、地理的名称の使われ方と産地の定義です。
(1)地理的名称の使われ方。地理的名称は、育成地、これは例えば牛ですと生まれた土地もありますし、肥育地というのもありますので、集積地、原料の産地、原料と言っても加工食品は複数ございますが、それぞれの原料の産地、製造地、これについても1次加工地、2次加工地といろんな定義がございます。あと販売地、企業ブランド、製法、味のイメージの表現、原料へのこだわりや安心感のアピール、差別化、地域社会との協力等と、さまざまな目的で使用されております。その中で「地名+商品名」は、慣用化された表現として一般の企業にもよく使用されております。
5ページに参ります。2、「産地名」の概念ですが、食品の「産地名」の定義は、商品や産地やパッケージ全体の表示のし方等によってケースバイケースであり、一本化は容易でありません。また、「地域」といった場合でも、国、都道府県、これは海外も含みます。市町村といった行政区画と一致するものばかりではなく、昔の地名や「アルプス」、「みちのく」など、その地域としての外延があいまいなものも数多くあります。
そのような状況下で「産地名+商品名」の標章を、出願人である団体が一定の資格を有するものであれば登録する、という今回の御提案において、その一定の資格の定義づけや審査をどのようになされるのか、疑問として残るわけです。
例1でワインのことを記載させていただいておるんですが、本場のフランスにおいて、「原産地統制呼称ワイン」という制度があるんですが、これにおいては、ワインの地理的名称というのはぶどうの収穫地をあらわしていて、醸造地、瓶詰め地とは必ずしも言えないわけです。日本においてそこまで確立したものはないんですが、おおむねぶどうの収穫地を指すことが多いとは思うんですが、そういったワインにおいて地域、産地を代表する団体との概念を持ち込むと、ごく少数の人たちに権利を与えることになったり、本来権利を持つべきでない人、団体に持たせたりという結果になりかねません。
また、清酒の場合は、全然定義は異なっております。
次に、例3に「下関のふぐ」の事例があるんですが、ふぐは下関でとれるわけではなくて、全国各地から下関の市場に集まってくるわけです。これはブランドの担い手は仲卸業者さんなんですね。ですから生産者ではなくて、そういう卸売業者さんが地域産品のブランドの担い手になっているというケースも結構ございます。そういう場合に、法的には生産者に与えてしまった場合に、果たして社会的にはそれで妥当なのかという問題はあるかと思います。
あと牛乳とチーズとあるんですが、同じ類似商品の中でも全然定義は異なっております。
あと「讃岐うどん」のことなども記載しているんですが、公正競争規約では、こういった麺類については他産地でつくっていてもいいわけですね。ただ、「本場」とつけているとそれぞれの県でつくってないといけないんですが、そうでない場合はほかの地域でも使えるという現状がございます。
次に、3)……

土肥委員長

済みません、北村さん、ちょっとお読みいただくのであれば、多分前に送っていただいておりまして、この出席委員は全員読んでおると思うんですね。ですから…

西野入委員
(代理:北村氏)

いえ、本日配付というふうにお聞きしておりますけれども。

土肥委員長

そうなんですか。

花木審議室長

参考資料は本日ですね。

土肥委員長

時間の関係もありますので、最もおっしゃっていただきたいところをひとつお願いいたします。

西野入委員
(代理:北村氏)

そうですか、どれも大事で難しいところなんですが、では、かいつまんで御説明させていただきたいと思います。3)のJAS法や景品表示法との規制の関係なんですが、先ほども申しましたとおり産地の擬装表示が相次いでおりまして、私どもメーカーもいろんな法規に照らし合わせて慎重な検討をしております。これは産地名を含んだ商品名についても、より厳密にやっているわけですが、それは本当にものすごく大変で、費用もかけてやっておりますので、ここにさらに商標法で歯止めがかかるということは到底納得できないものでありますし、いろいろ複雑になり過ぎて、事業者に過大な負担が課されるのではないかと懸念しております。
さらに、ここも重要なんですけれども、特定銘柄の認証制度――特定JASとか、ミニJAS、地域の産品の認証制度であるEマークとか、さまざまな認証制度があるんですが、こういうものと相まって、一般消費者のさらなる混乱を招くことを懸念しております。食の表示というのは安全・健康に関わってまいりますので、何かあったら、食品表示の信頼性が今以上にますます疑われるところであります。
一方、銘柄の認証制度というのは、品質を担保するものでありますところ、今回の検討されている商標というのは、地名の顧客誘引力に注目し、依拠したものであると存じますので、特許庁はその中身との整合性は保証しませんということになるかと思いますが、それに対して一般の方々はどう思うかというのは、非常に心配されるところでございます。
次のページに行かせていただきます。公正取引委員会云々は省略させていただきまして、5の権利の主体性の正当性につきましても、特許庁の方でこういうものを審査するのは大変ではないかということですので、省略させていただきます。
6番の団体構成員以外の自由な使用と第3条2項による登録ということなんですが、ここは仮に本制度を導入するとしても、この商標というのは識別力が余りないという性質を持っているから、そうすると私どもはこれから、ここ以下に述べているような解釈じゃないとおかしいですよね、という確認の意味で記載させていただいております。
かいつまんで言いますと、アウトサイダーも他の法令に照らして、違法でない限りは自由に使えないとおかしいのではないかということです。かつアウトサイダーが使用によって識別力を獲得すれば、それは当然登録という形で報われるべきではないかということです。つまり、事業者は擬装表示とかそういう違法なことをしない限りは、何ら今までと変わらないということが保証されないと困るなと。かつ、それが解釈運用でというのではなくて、法律の法文上でも明確にしていただかないと非常に困ります。あと訴訟の場合も、営業秘密が守られなければ非常に困ります。
先ほど正当な使用というのは何かという話も出たんですが、これは産地とは限りません、産地であったり企業ブランドであったりとか、他の法令に反していなければ、自由でなければならないと思います。
あと6の最後に書いてあるんですが、現場の声として、このような制度が導入されると「地名+商品名」で使いにくいので、そうすると産地のものを使うメリットも余りなくなってしまうので、国産から外国産の原料にシフトするだろうという声も現場の声として寄せられております。
次に7で、団体の定める規則による使用条件の問題なんですが、ここでは第2段落目に着目していただきたいんですが、もしアウトサイダーが団体が定めた規則などの使用条件に従わなければならないとした場合は、本来だれでも使えたはずのものについて、特定の団体が規格を任意に決定できるという大きな権益を得るものであり、かつそれを特許庁が承認することになるということを懸念いたします。
ここの1から4に記載しておりますように、アウトサイダーに対して排他的な利用が可能となります。この辺について公正取引委員会の資料をまた回覧させていただければと思うんです。2、産地や品質に関係なく、ライセンスフィーさえ払えば使えるという状態が出てくる可能性があります。現にこういう事例もあるように見受けられます。
次に8ページです。TRIPS協定に対するスタンスとの整合性なんですが、我が国がTRIPS協定の地理的表示の保護に関して、慎重な姿勢をとっていることとのそごを来すのではないかということを懸念しています。
あと、ここは記載していないんですが、EUについては、EUで地理的表示の制度ができたのも、商標制度になじまないからであるということが農水省様の検討会の資料にも書かれていたんですが、それについてどうなのかということ。あとEU団体商標制度についても、地名については使用規則が国の政策へ合致しているかとか、公序良俗に反していないかということが拒絶理由として挙げられているものと思います。
また、米国の団体商標制度についても、団体については識別性は緩くなされるけれども、中に含まれる地理的表示そのものについては、ジスクレームをされるのが一般的だというふうに文献にございますし、その審査も非常に慎重になされているというふうにありました。ここのところは、ほかの委員の方でお詳しい方に、ぜひこの辺の詳しいところはお伺いできればと思います。
あと他国と比べるときに考えないといけないのは、日本の農協というのは、外国と違いまして総合農協で、いろんなことをおやりになっているという全然前提条件が違っているということかと思います。
9番は商品・商標の類似です。これは識別力がない商標ですので、どういう類似の概念を創設するか。従来から言いますと類似商標が全くないということになるのか、それとも何か新しい概念を創設することになるのか、ということが疑問です。ここに、こういう場合は類似になるんですかということを細かく書いているんですが、こういうことも一つ一つクリアしていく必要があるかと思います。
10番、ストック商標については、先ほど項目として挙がっておりましたので、省略させていただきます。
11番についても、多くが議題に上がっておりますので、省略させていただきたいと思いますが、ただ、1の商品名とは何かというところなんですが、JAS規格に準ずるのか、それともJAS規格にないような、例えばフルーツミックスジュースとか、そういう名称も商品名になるのかということです。
次に9ページに行きまして、6、お茶のように、原料と加工品が同じ類に存在する場合の取り扱いとか、最後の9の旧地名や地形の名称等、こういったものもどうなるのかぜひ詰めていただきたいと思います。
以上、長い時間申しわけございませんでした。よろしくお願いいたします。

土肥委員長

どうもありがとうございました。お急がせするようになってしまいましてどうも済みません。ありがとうございました。
それでは、本日御欠席なんですけれども、竹田委員の事前にいただいた意見書をポイントで簡単に御紹介いただけますか。

花木審議室長

参考資料の5といたしまして、竹田委員に事前に資料を送付しておりまして、その際に御意見をいただいております。なお、竹田委員には、あらかじめ先ほどの意見書もお渡ししていることを申し上げます。
参考資料5でございますが、地域ブランドを商標登録することについて、2004年12月2日、竹田稔。
地域ブランドを商標登録することについて、必要な法改正をすることに賛成する。
1.でございますが、前回の議論において、地域ブランドを商標として保護するニーズがあるかどうかという点でございましたが、この点については十分とは言えないまでも、かなりのニーズが存するものと推認される。したがって、地域ブランドに商品としての自他識別性がある場合、当該登録主体の識別機能を表示するものといえない場合であっても、これを保護する必要性は存在する。
2.でございますが、問題として、主体をどのように認定するのか。また、いわゆるアウトサイダー、生産者組織である場合に、その組織に属しないが、当該地域ブランドの生産者と認められる者の扱いということで、御指摘いただいております。
iの主体のところでございますが、基本的に明確性と証明の容易性ということをおっしゃっておられます。そのために、商標法第7条の社団法人・組合であること、またはその他の法人・権利能力のない社団であることを要件としてはどうか、前者に限定するのは狭すぎるのではないかという御意見でございます。
また、数量的要件については、数量の認定に困難が生ずるので、むしろ3条2項の趣旨に沿って、周知性の要件を検討して、周知性のレベルを引き下げるという御意見をいただいております。
また、アウトサイダーの問題でございますが、正当に使用という提案に賛成するということでございます。
3.として、特に法改正により認めた場合に、運用が適正に行われることが重要であり、特に審査能力が問われるということで、運用上十分な配慮ということをいただいております。
以上でございます。

自由討議

土肥委員長

ありがとうございました。
本日はいろいろ御意見、プレゼンテーションをちょうだいいたしまして、これに基づいて本日の議論に移りたいと思います。
それでは、もうこれは前回も議論しておるところでございますので、自由に御意見をいただければと存じます。それから、議論の中で、先ほど北村さんがお話なさったところで足らなかったところ、そういうところを場合によっては付加していただければいいと思いますし、阿久澤さんにも御発言いただければちょうだいしたいと存じます。どうぞ御自由に。
本宮委員、どうぞ。

本宮委員

一つ質問なり確認なりさせていただきたい点がございまして、この参考資料1のところで、生産(管理)主体というところがございますけれども、ここで一つの名称について何々組合とか何々市とかいうように複数の主体が出ているところがありますが、あと先ほどの工芸品の方でも、結城紬などにおいては複数の協同組合が出ておりますが、この辺は競合関係という形で考えるべきなのか、それとも、これはみんな一体として仲良くやっているんですよというように考えられるのか、その点を御確認いただければと思います。

土肥委員長

これは事務局からお願いします。

花木審議室長

参考資料1の性格ですが、これは都府県の方に出しまして、この様式に従って埋めていただいたものということでございます。したがいまして、ここで複数挙がっているものについては、それぞれ事情があると思います。本宮委員のおっしゃった、いずれの場合もあり得ると思いますが、我々今回対象にしようとしているのは、地域ブランドとして地域でまとまっているものを対象にしていきたいというふうに思っています。

土肥委員長

本宮委員、よろしゅうございますか。
いかがでございましょうか、全部どうぞと申し上げてもなかなかということであれば、主体の問題、客体の問題、そういう順番を追ってということもありましょう。いかがでございましょうか。松尾委員。

松尾委員

今北村さんが、産地というのは何だろうかとかいろいろ言われましたが、私もちょっと実は地域ブランドというところで、結構アンケートなども地域ブランドでとっていらっしゃるようなので、これがどれだけ普及しているのか、一般に同じ概念でとらえられているのかどうか、ちょっとそこら辺に疑問を持っているわけなんです。これ英語で言うと、リージョナルと言うんですね。そう言われるとまた、産地でもなければ何か特定の一定の地域ということだけ、ちょっとわかるような気もするんですけど、地域ブランドでいいのかなと。地域ブランドと言いますと、ちょっと概念がはっきりしませんので、問題になるのは地理的表示と、さっき商品、産地名、何でしたっけ、産地名、商品名。商品名というのもわからないので、むしろ地理的名称と普通名称というような、だれにでもよくわかるようなものでくくって、それを問題の対象にした方がわかりやすくていいのではないかと思っております。

土肥委員長

先ほど事務局は、「地域団体商標」という言葉を使わせていただいたんですが、そういうものではいかがでしょうか。

松尾委員

それが、ちょっとどうもわからないんじゃないかなと。それで、これ、中の書類も見てましても、さっきの御説明を伺っていても、「地域」と言っていらっしゃるときと「産地」と言っていらっしゃるときも両方ありまして、さてな、どっちがどういうふうにしたらいいのかなと。だから、やはりとらえるのに、わかりやすいようなものを使っていただいた方がよいのではないかと思います。
ちょっと付け加えて言いますと、ほかのものは、例えば北村さんが心配していらっしゃったような団体などは、余り狭くしないで、特定の人だけが利益を得るというような形にしなければいいと思います。それから、アウトサイダーの問題も、一定の要件がちゃんと備わっていれば排除しないという、それはどういう形にするかは別ですけれども、そういうことが考えられると思います。
また、出願するものを何か人数とか数量で余り決めないで、ただし規則や管理のそういうマニュアルをちゃんと備えているところとかそういうようなことで、いろいろと御心配になるようなことは法律的に手当てができるのではないかと思っております。

土肥委員長

ありがとうございます。
おっしゃるように26条問題は、この制度を考える上で最も重要なポイントでございますので、そこは事務局におかれても、十分手当てしていただければと思いますけれども。
主体の問題はいかがでしょうか。主体。田村委員。

田村委員

本日の事務局さんの資料2の15ページから16ページが主体のところだと思いますが、案が2つ示されておりまして、数量的な要件を加えるか、あるいは周知性、類似の要件を加えるか、あるいはその他ということになっています。私もこの点に関しては、本日参考資料の5として付されていた、竹田先生のお考えとほぼ同じように思っております。
数と申しましても、どの範囲で分母をとるのかというのは大変難しくなりますし、また、単純な数で比較するのか、売上高で比較するのか等、いろいろな問題も出てくると思います。かなり恣意的になるか、あるいは裁量が過ぎるか、非常にいろいろなところで紛争が起きるような気がいたします。また、当初、数を何とかそろえてきましても、その後抜けた場合にどうなるか等の問題もありますので、むしろ16ページの(2)の方向で行くべきではないかと思います。
そのとき、もちろん当たり前ですが、新しい制度をつくろうというのですから、現在の3条2項の特別顕著性までは要求しないだろうと思います。では、どういうものが要件なのか、大変難しくなるのですが、本日の竹田先生の御提案に少しヒントがあるかと思いました。竹田先生の提出された参考資料の5の1の中の3行目に、「地域ブランドに商品としての自他識別性がある場合」というふうにサラッと書いておられますが、これは恐らくは、登録主体の識別機能を表示するものとまでは言えないから、なかなか3条2項には当たらないけれど、一定の商品として成立していると認識されているものだとおもいます。つまり複数の出所なので、なかなか特定の出所と識別されるとは言えないまでも、一定の商品が存在するものとして認識されているもの、ということを念頭に置かれているのではないかと思うのですが、このような形で何か新しく要件をつくることができるのではないかなという気がしております。
とりあえず、主体に関してはそのように思っております。

土肥委員長

今おっしゃった商品に関して、というところで、商品について自他識別性があるというところから主体を見ていくのだと思いますが、その場合、周知性の要件を仮に少し緩和してと言っても、やはり立証の過程では数量的な要素とか、そういった要素を必ず伴いますよね。

田村委員

それは出てくると思います。ただ、単純に2分の1とか4分の3とはしないということです。

土肥委員長

わかりました。
本宮委員、お願いします。

本宮委員

主体に関しましては、一つは7条の、ここでは社団法人もしくは事業協同組合法云々という限定がかかっていますが、地方公共団体がやっていたりとか、商工会議所とか、そういうようなところもあるように思えますので、ある程度柔軟性を持たせて、例えば「その他政令で定める要件を満たす団体」というようなものを加えて、柔軟性を持たせた方がいいのではないか、というのが1点です。
それと今の数量性、周知性に関しては、数量性には立証の困難性があるということで、そういう意味では周知性の方がいいのでないかというような御指摘がなされていますけれども、ここに関しては、きょうの資料2の13ページの脚注に、「地域における商品の生産を正当に代表する者」という、それを証するような書面を出しなさいというようなスタンスにして、要は数量的なところが立証の困難性を伴うのであれば周知性の方でいけるだろうし、もしくはその母数がはっきりしていて、それのうちのほとんどが入っているんだよということであれば数量性でもいけると思いますので、そのどちらかに絞るというよりは、両方なり、もしくはもっとさらに立証できるようなオプションがあるのであれば、何らかの形でそれを証するような書面が出てくれば、「正当に代表する者」だよという、そういうような認定はできないかなと考えております。

土肥委員長

ありがとうございます。
恐らく田村委員もそういう方向ではないかと思います。
高部委員、どうぞ。

高部委員

前回は、地域ブランドのニーズそのものはあるという前提でした。きょうは、その点について多少反対意見が出ておりましたので、最終的にはパブリックコメントを見た上でということになるのかもしれませんが、ここでは、「地域名+商品名」という形の商標を認めるという前提、そういう方向をとることを前提としてお話ししたいと思います。そこで、一番問題になるのは、識別力の点だろうと思います。商標法は、識別力のあるものを保護するというものですので、商標法の趣旨から反しない範囲でやるべきだということになると思います。
現行の3条2項よりも緩やかでいいというご意見が出ておりましたけれども、「緩やか」というのは何について緩やかなのかということを、もう少し議論をする必要があると思います。本日の資料の主体のところ、15ページから後の部分なんですが、私も、考え方として先ほど本宮委員がおっしゃったような、数量で立証が可能な、ある程度明確なものについては数量で証拠を出すのが一番認定しやすいのではないかと思っております。数量が一定程度いっていれば、例えば全部に近いとか、あるいは4分の3以上というところまでいけば、そういう場合には周知性、この(2)で言われている周知性も当然満たすというような関係にあると思います。
具体的な数量を明らかにするのが非常に困難であるという場合に、初めて、もう少し漠然とした周知性という言葉で表現されるようなものを要求することになると思います。そのときに、あとは立法技術の問題かもしれませんが、3条2項の表現ぶりとどのような形で区別していくのかというところが重要だと思っております。
それからもう一つ主体の点で、先ほど市とか公共団体に認めてはどうかというご意見がありました。団体商標においては団体の構成員なるものを有するもの、法人なり組合なりで構成員を有するというものを主体にする場合には、だれが使用しているのかというのが非常にはっきりするのですが、構成員を有しない公共団体あるいは会社といった場合になりますと、実際に商標を使用するのは一体だれなのか。通常今までの団体商標とはさらに違う、特別の団体商標ということになるのかという点で、少し疑問があるように思います。
それからもう一つはアウトサイダーの問題ですが、アウトサイダーについて正当な形で使用している人に対して、商標権の効力を及ぼさないということに賛成でございます。
以上です。

土肥委員長

ありがとうございました。
3条2項の問題ですよね、周知性の話は、何人かの業務にかかる商品であることを認識することができる、そこの問題だと思うんですけれども、おっしゃっておられるところは、何人のところのそこのところを緩和して見ていこうという、そういう趣旨だと思うんです。

高部委員

主体ではなくて、物で見るということなんですか。

土肥委員長

いや、物は恐らくその次の話だ思うのですが、対象となっているのは主体の話ですよね、そこはいわゆる地域ブランドとして商品としても認識されている、そういうものがまず先にありますので、そういうものでないものはもともとこの制度には乗ってこない、そういうことになるんだろうと思います。

高部委員

そうしますと、当初ニーズのところでお話のあった立ち上がり段階とか、これから地域の統一的なブランドを中心にして付加価値を高めていこうという早期の段階では、まだ商標権は取得できないということになってよろしいんでしょうか。

土肥委員長

そこなんですけれども、事務局案では、少なくとも使用を必要としておりますので。

花木審議室長

よろしいでしょうか。我々としては、今まさに高部先生のおっしゃったとおりで、地域ブランドについては、比較的初期の段階から保護のニーズがあると思っておりまして、そうだとすると周知ということになるとそこの観点でやはり、少し保護の問題が立ち上がりの段階で難しくなるのではないか。数量であれば認め得るのではないかということでございます。
今回御提案させていただいている考え方というのは、むしろ産地表示としての産地としての識別性というか、そういう考え方で産地の生産者の集合体という、いわゆるバーチャルな概念なんですが、そういう識別力をこの地名表示が、まあ地理的表示ということで、商標法で言いますと、松尾先生の御指摘ありました、産地または役務の提供地における普通名称の使用という形になるんだと思いますが、そういうものが認められるのではないか。そのバーチャルな識別力では、どの団体に対して認めるのが適当なのかどうかという御議論かと思います。
周知について3条2項とのレベルの問題、これは立法技術の問題なのかもしれませんが、もう一つちょっと懸念していますのは、例えばオホーツク海という広い地名を考えた場合に、例えばオホーツク海沿岸のある村においてニシンがとれていて、その村はニシンで有名であるとしたときに、その村の組合に「オホーツク海ニシン」という名称を与えていいのかどうか。そうするとオホーツク海沿岸の他の村は、権利がないのかどうかという議論になると思います。ほかの村もやろうとしたときに、そこが先にやってある程度周知になったものを保護するのか、あるいは「オホーツク海」という名称を使いたいのであれば、オホーツク海沿岸のニシンをとっている人の半分以上とか、そういう条件をまず満たした上でやってください、そのどちらがいいでしょうかという、そういう議論はあり得るのかなと思っております。そういう観点を考えると、数量的と言った方が、そういう条件を課した方がより明確ではないか。
また、挙証性の点につきましては、我々は聞いておりますのは、地域ブランドとして取り組もうといういわゆるまじめなものであれば、実質的には市町村等が、その地域内でどの程度生産しているかというのを把握していることが通例でございまして、逆にそれが何ら客観的な証明ができないというものは、果たして真に地域ブランドなのかどうか、そこの点でもいわゆる本質的な取り組みでないようなものを排除するという意味でも、結果的に数量要件を入れるということは、それなりに意味があるのではないかと思って提案させていただいている次第です。

土肥委員長

事務局の提案では、地方自治体なり、横から見るのは考えていないという趣旨ではなかったかと思いますが、その点はどうですか。

花木審議室長

この数量の挙証につきましては、自ら挙証すると言っても、自分たちですべて統計をとりなさいということではありませんで、現在の3条2項につきましても、周知性については地方公共団体が証明することができますし、同じように合理的な統計、農協の統計、あるいは2分の1と言っても、具体的に何十何点何パーセントというのを確定してくださいということではありませんで、どう考えても、我々は少なくともこの基準はクリアしていますよということを合理的に追認できる方法で挙証していただければいいのではないかというふうに思っておりまして、そうだとするとさほど過酷なハードルではないし、むしろ周知性と言ったときに生じ得る不安定性を回避するという意味では一つの案ではないかなと思っておりまして、事務局としては、数量要件の方がよいのではないかというふうに思って提案させていただいているところです。

土肥委員長

数量要件一本ですか。

花木審議室長

はい。ただ、周知性についての今のような御意見もございましたので、そこはよく検討させていただいて、また御相談させていただきたいと思います。

土肥委員長

わかりました。
客体については、事務局が考えておる案でよろしゅうございますか。対象となる商品、サービスの要件、そこの問題ですけれども。田村委員どうぞ。

田村委員

この基準についてよくわからないところがございまして、これは実は19ページの次の論点だと思いますが、正当な使用者への効力制限のとのころにも出てまいりまして、生産された商品が団体が定めた基準を満たしているかどうか、アウトサイダーが生産した商品が団体が定めた基準を満たしているかどうか等も含めて考慮するということなので、第三者の使用への影響力も大分あるものだと思うのですが、これについて現在の事務局の案ですと、基準は提出させるけれども、それは余り審査しないということであります。
そうしますと、例えば特定のアウトサイダーをわざわざ排除するために、恣意的に基準が定められたりしないかとか、あるいはちゃんとした基準ではあるけれども、運用においてあまり守っていなくて、例えば特定のアウトサイダーなり特定の派閥活動等があって、分派された元構成員等に対して、恣意的に正当な使用ではないために用いられないか等の不安がございます。
むしろこういったものは、特にお気になさらずに、登録を認めて、そのかわり、次の論点になってしまって恐縮なんですが、当該産地から出る商品については、アウトサイダーを含めて第三者の利用はすべて自由とする、そういった形で運用するのはいかがかなと思います。逆にもしこういったある特定の基準に適合していることが、第三者の正当使用の要件だということになりますと、むしろ逆に基準の方はしっかり審査して、また事後的に更新の都度、その基準が遵守されているかどうか、団体なりに遵守されているかどうか見るという形で、むしろもっと立派なものにすべきなので、今は少し折衷を取り過ぎているのではないかという気がします。
それから、先ほどの点に関係しますが、私自身は立ち上がりの保護の問題があることは承知しておりますが、ひとまず先ほど周知性の方に絞ったのは、これもアウトサイダーが気になるのですが、ただ単に多数の人が手を挙げて、それで登録を認めるということになりますと、少し先願主義の弊害みたいなものが出るのではないかなと思います。単に多数が手を挙げただけではなくて、それなりに地域ブランドとして確立しつつあることが必要ではないかと思いましたので、周知性ということを提言しております。
とりあえず、何かすべてアウトサイダー問題に関係しますが、多々申し上げてしまいました。

土肥委員長

ありがとうございました。
どうぞ。

花木審議室長

田村先生の関係でございますが、基準の意義につきましては、18ページのところに書いておりますように、基準の法的効果との関係性かなというふうに思っております。したがいまして、単にあるということだけであれば、登録要件としないで、使用に当たり公開するという形もあるのかなというふうに思っております。いずれにしろ、検討させていただきたいと思っております。
ただ、実際にここに入れましたのは、実際に地域ブランドとして、まじめにやろうとしているところになるべく絞った方がいいのではないかということで、それを我々がヒアリングさせていただいたときに、まずそういうものは大体基準があるというふうに認識しておりますので、加重な負担にはならないというふうに思って。また、ほかのいろいろな規制法令との関係もありますので、そういうことを一つ言わせていただいたということになります。
それから、アウトサイダーとの関係で、もう一つの数量だけだとという点でございますが、19ページのその他のところでございますが、数量だけでいった場合に、本来その商品が伝統的な製法等である程度周知である。全国的な識別まではなくても、周知である。そういうものとの関係で問題が生じないかという御懸念でございますが、我々としては、ここのいわゆる他人の周知商標と類似している4条1項10号のところとか、あるいはそういうふうに新しい製法でつくられたものについて、伝統的なものであると誤認させるような状態が伝統的な製法についてある場合は、こちらの方で登録が阻却できるのではないかと思っておりまして、それもあって、数量ということで今提案させていただいているところでございます。

土肥委員長

ありがとうございます。
そうすると客体となる商品、役務については、基準というものは登録――ちょっとお待ちいただけますか。そういう登録要件とはしないという方向で考えているということでございますね。
どうぞ、北村さん。

西野入委員
(代理:北村氏)

今基準についてお話が出たので、ちょっと補足というか述べさせていただきたいんですが、今までの話でそもそも論の話がなされていないので、別にこの制度に納得して申し上げるわけではないんですけれども、仮に今アウトサイダーと基準ということが問題になっているんですが、何がしかの基準を団体が設けて、それが第三者に対して拘束力があるというと、非常に大きな権益であるし、アウトサイダーから見ると非常に大きい制限であるので、それはちょっと問題があると思うんです。
例えば業界の自主基準である公正競争規約をつくる際は、公正競争規約というのは団体の中しか制限しないわけですが、そういった場合でも、公取の方から、いろんな立場の方の意見を聞きなさいとかそういう指導も受けますし、あと公正取引委員会の了承がなければできないわけですね。そういう独占権ではないものでさえそういう厳しい面をクリアしてやっているところを、こういう独占権をもたらす商標権において、規定というのが本当にそんな団体の任意でつくられていいのかというのは大いに疑問です。ましてや第三者に効力を及ぼすというのは、非常に問題があると思います。

土肥委員長

あくまでもこの制度は、出所表示制度としての団体商標制度の中に属するものでありまして、そういう品質の基準を云々する制度はないと理解してよろしいんでしょうか。

花木審議室長

基準の効果との関係で、効果を高めれば当然基準策定についてのデュープロセスが要求されるということだと思いますので、それを踏まえてよく検討させていただきたいと思います。

土肥委員長

高部委員どうぞ。

高部委員

この基準なるものを、どういう形で公開するのかというのは一つの問題だろうと思います。仮に公開したとしても、商標法で法的な効力が与えられるということになると、それはいろいろ問題があるのではないかと思います。商標をとろうと出願して商標権者になろうとしている人たちは、その人たちが使うことによって、一定の品質を目指して集合している団体ですね。ですから、その団体の構成員に対して一定の品質以上のものを求めるのは当然のことだと思いますし、そういうことによってブランドを維持していこう、発展させていこうという努力をしているわけです。
それに対して、アウトサイダーが同じ名称を使って品質の全然違うものをつくるということになると、それは末端の消費者のところで非常に混乱をすることになるので、そういう意味でアウトサイダーに対する規制の場合にも、品質基準が一定の意味を持つことは場合によってはあり得るのではないかと思います。
そのときに品質を満たしていないような形で使われて、その結果商標の価値をおとしめられるという意味で一定の数量を満たした構成員の要件、主体の要件に、もう一度反映させていくということになるのかなと思います。

土肥委員長

今の御意見の中のところなんですけれども、その地域の生産者なりが、その団体には属していないが使用するという場合に、異なった品質のものについてこの地域ブランドを使用する、ここのところなんですけれども、これは事務局の案では、そこを排除できるんですか、できないんですか。

花木審議室長

現在は、具体的には正当な使用という形にしたいと思っておりまして、そこの中身につきましては、19ページの下のところに書いてございますが、その地域内で生産されたものなのかどうか、この基準の効力をどの程度見るかですが、一定の期待性はあるのではないかと思っておりますし、また団体構成員自身がその基準を守っているのかどうかとか、そういうような点も含めて総合的に勘案するというのが一番適当ではないかというふうに思っております。

土肥委員長

どうぞ、松尾委員。

松尾委員

今のところとも関係しますが、私はやはり特許庁が基準というものを審査するのではないけれども、それがどういうものかということがわかるように公表していただきたいというのが一つ。それから、団体の中の構成員というのが何人なのかわからないわけですね。非常に多い場合もあります。そういうわけで第三者及び需要者の保護ということを考えますと、その特定の団体標章を使うことができている人、許されている人は、団体商標であるということを常に表示して使うということも、これは一つの要件としてあるべきだろうと思います。
もう一つつけ加えますと、この18ページのところに、「使用による識別性」というのは、従来の識別性とは違うということを書いてあますね、後半の方に。私は当然そういうことになると思いますが、理論的にどういうことだから違うことになるのかということは、やはり説明すべきだろうと思います。時間がないので、もしできれば私どこかで意見を書面で述べさせていただきたいと思います。

土肥委員長

ありがとうございました。
恐らくおっしゃるように時間の関係もございますので、本日の議論の中で述べていただけないようなところは、別途書面等をちょうだいするということで足りないところを補わせていただきたいと思いますが、時間的に私はまだ3時58分ぐらいだと思っているんですけれども、その余のところで、例えば先ほど松尾委員がおっしゃった使用の問題とか、こういうその余の要件、登録要件とか、先ほどから26条の問題はよく了解しておりますが、その余のところで重要な点がございましたらおっしゃっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。田村委員。

田村委員

これは、でき上がる新しい商標の効力にもかかわると思うのですが、もし仮に、第三者の正当な使用のところで少し通常の商標権の効力が弱いものだといたしますと、できれば、いったんある意味で新しい商標が登録された後、しばらくこの登録商標の庇護の下でブランドを培っていくわけですから、それが直に夕張メロンのように3条2項を満たすような商標になることもあると思うので、そのときには、ぜひ変更を認めるような形の制度を導入していただきたいと思います。

土肥委員長

貴重な御意見、ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。

花木審議室長

今の田村委員の御指摘に関しまして、我々も同様の問題意識を持っておりまして、説明は時間の関係で省略いたしましたが、21ページの(6)のその他の最初のポツとして書かせていただいておりますので、ぜひ検討させていただきたいと思います。

土肥委員長

これですね。
どうぞ。

西野入委員
(代理:北村氏)

先ほど正当な使用というところで産地の製造者ということが出てきたので、念押しさせていただきたいんですけれども、産地の製造者に限らないわけですね、正当な使用というのは。そこのところを間違えないでいただきたいと思います。

土肥委員長

もちろん、それはその通りだと思いますけれども。そうですね。

花木審議室長

正当な使用については、こういった要件も勘案しながら、総合的に判断するというのが適当ではないかと思っております。

西野入委員
(代理:北村氏)

そこでまた別の、いろんな制度と観点が違うような二重、三重の基準というのができると、またそれはそれでいろいろ問題があると思います。

土肥委員長

そこはそんなに変わりますかね。正当な使用について、流通業者等が使用するような場合も含めて、通常の商標の場合と変わってまいりますか。

西野入委員
(代理:北村氏)

いえ、通常の商標ではなくて、例えばいろんな観点から検討していくわけですが、JAS法の観点から、不競法の観点、景表法の観点、そこに商標法の観点からの検討が加わるというのは、もう二重、三重、四重の規制ということになりますので、その点は御理解いただきたいと思います。

土肥委員長

わかりました。御意見は御意見としてちょうだいするということにさせていただいて。
それでは、時間がちょうど4時近くになってまいりましたので、本日御議論いただいたところで、やはりこういう地域ブランドの問題を考えていく、ニーズの問題はやはりあるんだという、そういう方向で考えたいというふうに思っております。多分ここは皆さん御異論はないんじゃないかと思います。何でもってこういうニーズに対応するかというと、本委員会としては商標制度小委員会でございますので、商標制度をもって考える、なかんずく団体商標という既存の制度の中で適切に措置するという方向で考えたいというふうに思います。これは恐らく皆さんも、その点は御異論がないのではないかと思っております。
また、細かいところになりますと、主体の問題、客体の問題、特に客体では基準の問題等もございますけれども、そういう主体の問題についても、客体の問題についても、細かいところについてはやはり一度パブリックコメント等を出して、広く委員の方のみならずこの商標制度に携わる方の御意見をちょうだいした上で、再度もう一度我々の中で議論するような場がもしできればいいのではないかと思うんですが、そういうことは可能ですか、パブリックコメントをやった後に。よろしいですか。

花木審議室長

はい。

土肥委員長

では、そういうことがございますので、この問題をパブリックコメントにかけさていただいて、きょうの議論あるいは従来から出ておりました議論、特に26条問題、これは非常に強く正当使用の問題をおっしゃっておられるわけでありますけれども、その問題と、それからこの制度を使うニーズを損なわないような形での案を一つ示していただいて、パブリックコメントをやっていただきたいというふうに思っております。
それで、本日の議論の足りない部分については、パブリックコメントの前、どのぐらい期間的に余裕がございますか、もしあるとすれば。

花木審議室長

火曜日ぐらいまでには。

土肥委員長

来週の火曜日ぐらいまでに。

松尾委員

早い。

土肥委員長

早いですか。もうちょっと遅くなりませんか。

花木審議室長

ちょっとパブリックコメントが。

土肥委員長

そうですか、やるとすればどういうふうになるのかということをお願いします。

西野入委員
(代理:北村氏)

済みません、パブリックコメントの時期を確認させていただきたいんですが。

花木審議室長

パブリックコメントは、委員長の御指摘もありますので、報告書の案をなるべく御意見を早めに、ちょっと時間が短いということですが、ツーワーキングデーで何とか。あした金曜日と、それから月曜日ぐらいで意見をいただけないかと。とりあえずそれを踏まえて我々の方で修正させていただきまして、パブリックコメントにつきましては一応4週間という規定がございますので、次回の商標審議会が1月14日ということもございますので、我々の希望としては、事務的なスケジュールとしては一応来週火曜日、あるいはどうしてもということであれば、水曜日のできれば午前中ぐらいに意見をいただいて、それを反映させていただいた形で。あるいは意見があって、異議があって、ここについては異議があるということを公開させてほしいということであれば、そういうことを付記させていただいた上で、本日の参考資料の中にありました意見書、あるいは竹田委員の意見書、あるいは各先生方の方の御意見で、これはパブコメに際して公開してほしいということであればおっしゃっていただいて、それも含めて、また本日の議事要旨も含める形でパブリックコメントにかけさせていただきまして、我々の方で整理した上で、次回の審議会が1月14日の14時からということでセットさせていただいておりますので、そこまでの中でパブリックコメント、あるいは我々の中での法制的な検討も含めて、引き続き相談させていただく。この委員会としてのとりまとめとしては、あくまで1月14日のものが本文であるということでもって御理解いただければ大変ありがたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

土肥委員長

今事務局がそのようにお尋ねをしておるわけですけれども、よろしゅうございますか。
それでは、そのようにさせていただきます。

西野入委員
(代理:北村氏)

済みません、パブリックコメントの時期が年末ということで、非常に各団体とも対応しずらい時期であると思いますので、どうしてもそのタイミングでやらなければいけないんでしたら、またその期間の長さですとか、あと回数ですとか、そういったものについてもぜひ御考慮いただければと思います。

花木審議室長

期間についてはなかなか難しい、次回の審議会の日程が決まっておりますので、年末年始というのはよくわかるんですが、その分我々としては周知を、単にホームページに載せるということだけではなくて、各県を通じて、あるいは本省を通じて、業界団体等にこういうものがありますということを公表することをもって、などの努力をさせていただくということで何とかその期間でお願いしたいと思います。

土肥委員長

よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会第10回商標制度小委員会を閉会させていただきます。
それで、この次なんですけれども、次回は今御紹介がありましたように1月14日の14時から予定しております。パブコメの意見を参考にして、その最終的な意見、報告書をまとめたいと思っておりますけれども、あわせて模倣品問題についての商標法上の考え方の整理についての議論もしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。

閉会

[更新日 2004年12月21日]

お問い合わせ

特許庁総務部総務課制度改正審議室
電話:03-3581-1101 内線2118
FAX:03-3501-0624
E-mail:PA0A00@jpo.go.jp