ここから本文です。
土肥委員長 |
ちょうど時間でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第11回商標制度小委員会を開催いたします。 |
花木審議室長 |
配付資料の確認をさせていただきます。 |
土肥委員長 |
それでは、今事務局よりお願いがございましたように、事例集の取り扱いにつきましてはまだ案でございますので、よろしくお取り扱いをお願いいたします。 |
土肥委員長 |
それでは早速、議題に入らせていただきます。 |
花木審議室長 |
それでは、パブリックコメントにつきまして、昨年の12月10日から今年の1月7日にかけて募集いたしまして、先ほど御紹介いたしましたように46件の御意見がございました。それを逐一御紹介できればいいんですが、時間の都合もございますので、参考資料2をもとに簡単に、どんな項目ごとにどういう御意見が出てきたかということを御説明させていただいた上で、それに対して事務局としてどう考えているのかということを資料2に基づいて、全体を20分ぐらいで説明させていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
どうもありがとうございました。 |
西野入委員 |
入り口論のところでちょっと確認といいますか、もう一度ニーズみたいな部分を確認したいんですけれども、2ページのところで、不正競争防止法においてはなかなか保護が難しいのではないかといったことが、今回商標法の方で持ってこなければいけない理由の一つとしてお話がされているようにも思うんですが、改めて確認みたいな質問ではあるんですけれども、実際、不正競争防止法で排除できないということはどういうことがあるのかなというのが疑問としてありまして。不競法でもって第2条1項13号で原産地等の誤認表示の問題はありますし、それに対して14条でもって罰則もかかる。罰則があるという点からすると、著名な商品等の表示よりも厚い保護が不競法においては、原産地等の表示に対してはされているということから考えると、商標法でもってきて保護しなければいけないものというのは何なのかというのが、今ひとつちょっとまだピンとこないというのが実態なんですね。 |
土肥委員長 |
お願いします。 |
花木審議室長 |
JASの産地につきましてはもう釈迦に説法でございますが、生鮮品と加工品とで若干扱いが違うかと思います。生鮮品については原産地表示が義務づけられているわけでございますが、品物によるわけですが、一般的には県の名前、最大細かくて県の名前ということでございまして。この地域ブランドというのは、産地表示とは若干違いまして、この特定の人たち、地域、恐らく通常の場合は県より狭い一定地域の、しかも品質基準を出させるということで、主として想定しているものは製法とか、原料とか、いろいろなものが地域に由来して、地域の特性を活用した商品であるということでございますので、そういうものからするとJAS法で規制している最低限の基準というものとは、やはり性格を若干異にするのかなということかと思います。 |
土肥委員長 |
そういうことですけれども、足立さんいかがでございましょう。 |
西野入委員 |
ありがとうございます。正直なところまだわからないというのが実態です。さっきもちょっと申し上げたように、JAS法、景表法で表示している側の責任というのがある中で、それがあるベースでもって不競法を使えばそんなに難しくなく活動はできるのではないのかなというのが、まだ疑問としては持ち得ます。 |
土肥委員長 |
竹田委員、今の御意見に対することですか。 |
竹田委員 |
はい。 |
土肥委員長 |
では、竹田委員お願いいたします。 |
竹田委員 |
不競法で保護できるから商標法で保護する必要はないというのは、私は議論としては、言葉が適切かどうかわからないけど、本末転倒だと思います。つまり商標法は、1条の目的から言えば、商標を使用する者の業務上の信用維持のために、それを保護する必要があるかどうかという視点から決められているんですよね。一方、不競法は、いわゆる公正な競争の確保という観点から決められているわけですね。 |
土肥委員長 |
私も足立代理に申し上げようと思ったのは、知的財産法全体の枠組みの中で、不競法が行為規制法としてございますよね。商標法とか他のそういう知的財産権法というのは、それぞれ保護対象として商標の場合で言うと、名声なり信用なりそういうものを持ってそれを保護しようとしているわけでして、不競法というのは、その信用における行為者の行為が適当かどうか、こういう観点からやりますし、特におっしゃっておられるところの不競法2条1項13号はほとんど裁判例もないですよね。1号なんかに比べますと。恐らく裁判例がほとんどないということは、使いにくいということなんだと思うんです。規定上はあるけれども、営業上の利益、そういうものを持たないと主体となり得ないとか、そういうことがあるんだろうと思いますので、不競法があるからいいのではないかというのは、直ちにはいかないというふうに私は思うんですけれども、足立代理、いかがでございましょうか。 |
西野入委員 |
ありがとうございます。不競法があるから今回のやつはやるべきではないという趣旨でお話をしたつもりではなくて、不競法で守りにくいからという説明があったので、不思議に思ってそれで質問した次第なんですけど。もちろん私の理解のためでもあったんですけれども、そこのところはありがとうございます。わかりました。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。それでは、松尾委員。 |
松尾委員 |
私は、制度としてどうなるのかよくわからないので御質問します。登録要件のところで周知性というのがありますね。その周知性の説明に、商品の出所表示として周知となっているとこういうふうにあります。そうなりますと、これと3条で言う識別力とどういうふうに違うのかということが私にはちょっとよく理解しかねます。つまり出所表示となるようになっているとすれば、もうこれは識別力があるということだと同じじゃなかろうかなというふうに感ずるからです。 |
土肥委員長 |
よろしいですか。それではお願いします。 |
花木審議室長 |
ちょっと御質問に対する回答になっているかどうかわからないんですが、恐らく松尾先生のお考えのものと同じだと思うんですけど、周知性というのは、今の4条1項10号にあるようなものを念頭に置いておりまして、ただ、その地理的範囲が、ここに書いてありますように数都道府県であってと。3条2項について確立した解釈かどうかについては異論があるかもしれませんけれども、実務の世界、あるいは多くの解説書等においては、全国的に識別力があるものということでございますので、いずれも商品と商品に付された商標が、どの者の出所表示をあらわすかということが需要者にとって明らかになっている、そういう考え方においては同じであるけれども、その需要者の範囲が全国なのか地域的なものなのか、そういう違いではないかなというふうに考えているところだと思います。 |
松尾委員 |
そういう考え方は成立すると思うんです。そういうことであるならば、この商標をどこに置くかということなんですが、私は3条の中にもう1項置いて、そしてこの団体商標については今の識別力が一定地域でもいいということ、それから、もともと3条というのは識別力と独占適応性と両方入っていると言われていますが、3条の3項か何か設けてここにはっきりと、団体商標については識別力が必要だけれども低くて一地方でいいとか、やはり条文としても、どこに位置すべき商標なのかというのをはっきりさせた方がいいというふうに思います。 |
土肥委員長 |
これは基本的なところですので、制度の位置づけの問題ですね。この制度の、今度の案というのは団体商標の中に置くということのようですけれども、今3条のところにという松尾委員の御意見がございましたけれども、それは整合性との関係でどうなりましょうか。 |
花木審議室長 |
そういうお考えもあるかと思います。実際、周知性という考え方を基軸にしてきたときに、現在の識別力と程度的な、恐らく質的な差はあまり問題にならなくなってくるかと思いますし、効力のところもあまり特別な規定を置かないということであれば、松尾先生のような考え方もあるかと思うんですが、ただ、立ち上がり、この制度の根っこの成り立ちといたしまして、やはり識別力の根っことしては、一定の特定の事業者あるいは団体を識別するに至らない場合であっても、産地レベルの識別力としてそれなりに保護できるものがあるのではないだろうかということで考えておりますので、現在はその成り立ちに従って整理すると、その条文上どこに置くかということの問題はいずれもあるのかもしれないんですけれども、その発想、あるいはEU等も恐らく同じような考え方ですべて成り立っているかと思いますので、その考え方からすると、団体商標の特例ということを置いた方が適当ではないだろうかということで考えている次第でございます。 |
松尾委員 |
一言だけ、私それで結構だと思います。ただし、その要件を3条との関係できちんとしておいていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
それでは、田村委員お願いいたします。 |
田村委員 |
今のところですが、私も花木室長の御意見に賛成です。ただ、現在の文章がそのように読めるかというと少し無理があると思います。むしろ松尾先生が最初読んだように、5ページが、3条2項とどう違うのか、ここで言う出所表示というのは、今までの出所の示し方と変わらないのではないかという疑問を抱かせるような書き方になっていると思うのです。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
本宮委員 |
今の点と関連するのですけれども、松尾先生、田村先生がおっしゃるのはその通りかなと私も思いました。これについての検討の出だしは、正当な団体に与えるということで、その要件として周知性と数量性のどちらがいいのか、という点から話がはしまっており、そのときは周知性は団体の認知度という観点から話が出ていたと思うのですけれども、それがいつの間にか、3条2項的な内容にシフトした書き方になっているのではないか。ですから、ここでは団体が、ある意味で内容的には商標が、周知になっているという形がメインになってしまっていて、その団体が正当に受けられるものであるという、そこの要件から発生しているという点を考えなければいけないのではないかと思った次第です。 |
花木審議室長 |
先生方の御意見は、従来の最初の第1回のところから考えるとそうなのかもしれないんですが、そういう形でいったときに、やはり数量性等の要件については非常に把握しにくく、法的な不安定性もあると。実際に保護の必要性が生じているものはどういうものなのかといったときに、やはり周知なものであろう。それゆえに保護のニーズもあるのではないだろうかということで考えてまいりますと、かなり3条2項に近い方向にシフトした方が、実際のニーズという観点からするといいのではないかということで、現在はそういう書き方になっているわけでございます。そういうふうになってきたときに、もう一度元に戻ったときに、それが7条の特則なのか、3条の特則なのか、どっちがいいのか、そこは整理の問題としてあり得るのかなというふうに、ちょっと個人的な意見なんですが思っております。 |
土肥委員長 |
鈴木委員、お願いします。 |
鈴木委員 |
今の周知性のお話に関連して質問させていただきたいんですけれども、周知性が要件ということになると、周知の意味が特定の団体や企業ではなく産地をあらわすということでの周知だったとしても、使用意思に基づく商標の場合には登録にならないと理解してよろしいでしょうか。すなわち、まだ使用していない場合は登録にはならない、こういう理解でよろしいでしょうか。 |
花木審議室長 |
周知を要件にした場合には、使用は当然必要な条件になるかと思います。 |
鈴木委員 |
わかりました。 |
花木審議室長 |
そういう意味でございまして、これはこの地域団体商標の根っこの部分の議論、先ほど田村先生からは、こういう考え方を貫徹するのであれば、企業だけどうしてという御議論はあったかと思いますけれども、成り立ちとして、まさに地域の代表性ある団体、その名称はどの人の管理に任せるのが適当かということを考えたときに、一企業一私人よりは、団体の方が適当だろうというところで考えております。したがいまして、企業の側から見ますと、3条2項で登録することは団体も周知なわけでございますから、いずれにしろできないことでございますし、また、先ほどの効力のところで、先使用権について引き続き使用できるのであれば、実際の問題もあまり生じないのではないか。そうだとすると、この地域団体商標としての性格を考えれば、企業が周知であったとしても、それは拒絶理由にしなくてもいいのではないだろうかということで書かせていただきました。 |
鈴木委員 |
そうすると企業の持っている商標、周知よりもさらに高い著名であっても排除できないと、こうなりますか。 |
花木審議室長 |
著名な商標があれば、それが3条2項で登録されていれば、それは先願とのバッティングで、4条1項11号で排除ということになるかと思います。 |
土肥委員長 |
松尾委員。 |
松尾委員 |
この周知性とか品質の保証とかいう関係で、6ページの方に、商標使用規則の策定とか審査というようなことが書かれております。もともと私などは商標使用規則だけではなく、主体の要件としても規約が必要だと思っていました。初めはそういう意見もあったんじゃないかと思いますが、日弁連の意見の2ページ、3ページというところ、特に3ページには、そこで出願人となり得る、登録権利者となり得る地域団体として、規則、規約が必要であるとして、このような条項が書かれているべきであると。例えば商標の管理状況とか、条項とか、団体構成員のメンバーになる資格とか、3ページのところですね、具体的に書いております。これは特にアウトサイダーとの関係なども考慮して、少なくともこういうものはなければいけないんじゃないかということを書いたわけですが。今日いただいたものには、使用規則のことについてはありますけれども、ほかの団体の規約というようなことについては一切触れられていないわけです。私どもこういう団体がどういう団体かということがわかるような規約、それの公表が必要であろうかと思っております。 |
花木審議室長 |
先生おっしゃった団体の構成の規約については、確かに当初案では書いてございます。こちらは商標の使用の部分についてだけちょっと考え方を示してありますが、一定の条件が必要という考え方もあるかと思います。そこにつきましてはちょっと今回考え方を出しておりませんが、何らかのオープンなものである必要があるだろう。その外形的なオープンさの担保の中で、今のようなものも考えていく必要があるのではないかと思います。 |
土肥委員長 |
田村委員。 |
田村委員 |
10ページの点は、今のことに多少関連しますが、アウトサイダー問題があります。現在は、最初にこのアウトサイダーの問題について、いろいろと10ページで書いていただいた後に、案の1も案の2も先使用者を中心に書かれています。先使用者以外についてはどうなっているかというと、今10ページの3段目で、具体的な必要性が存在する場合には、さらに追加することが必要ではないかということで、何かすごくオープンに書かれていますが、その具体案が少し見えにくくなっています。 |
花木審議室長 |
どうもありがとうございます。前段のアウトサイダーの部分につきましては、確かに報告書の中では、正当な使用に対して効力制限を設けることが適当かどうかという問題意識を投げかけたわけでございます。その点についてのパブリックコメントの意見を考えると、やはりこれは対象としているものが、一定の周知性を持っているものを登録するという考え方でございまして、その周知性に伴いまして、実際の保護法益もある程度発生しているということからいたしますと、地域団体商標という形で明確になった後に、さらに後から使い始めて、正当な理由というのが実際どの程度あり得るのかというのが、パブリックコメントの中でもそういう意見はあまりなかったと思いますし、実際上にもかなり考えにくいのではないか。 |
土肥委員長 |
では最初に、少し早かったと思うんですけれども、足立さんどうぞ。 |
西野入委員 |
ありがとうございます。そんなに時間はかからないと思いますので。 |
花木審議室長 |
26条のところでございますが、これはちょっと今手元に解説書がないので当たってみないとあれですが、私の理解といたしましては、まさに普通に用いられる方法でということが書いてあるということは、そういう表示をせざるを得ない、実際にJAS法で産地は表示する義務があるわけでございますので、そういうものに対応した規定なのではないかということで、この表現で問題ない、まさにこの表現のとおりではないかと考えているところでございます。 |
土肥委員長 |
補充を、今のところどうですか。補充をひとつ今のところの点、よろしいでしょうか。お願いします。 |
小川商標制度企画室長 |
補充になるかどうかわかりませんが、通常の商標の類否判断とはちょっと違うのかなという気がしています。3条2項でまさに使用している特定の態様で登録になっているという商標と、そういう地名と商品の組み合わせで周知となって初めて地域ブランドとして認められるものとの類否判断というのは、それぞれの商標を一体のものとして見ると言う点で少し違うのかなという気もしています。 |
土肥委員長 |
どうぞ、足立さん。 |
西野入委員 |
企業の側からすると、今の話でいくと拒絶していただかないと困るなというのが正直な思いです。同じ商品で、悪い例ですけど、「東京」と「東京ビール」というのが並存して存在していて、実際に先に3条2項で企業のものが登録されている場合に、それこそ26条でもって一般に普通に使用する表示の形態として「東京ビール」と書いたものが売られるならともかく、地域団体商標としてそれが登録されるのではビジネスにかなり影響が出る。企業が蓄積した信用に対して影響が出ると思います。 |
花木審議室長 |
26条について、いろいろむしろ私より専門の先生がたくさんいらっしゃる中であれなんですが、一般的にここで書いてあるのは、○○産○○とか、そういうような表記を主として念頭に置いているのだろうなと。そういう表示については恐らくあまり問題がないんだと思います。 |
土肥委員長 |
簡単にお願いします。 |
西野入委員 |
簡単に終わらせます。3条2項を対象にした場合に、そのような考え方は確かにあるんだと思いますが。必ずしも業界内ではその考え方ではないのですが。あわせて今回の地域団体商標制度ができ上がった場合に、○○産○というものだけが、普通に使用する表示なんだというふうに考えられるんであっては困る。先ほどの話でいくと、例えば「宇治茶」であったり「静岡茶」であったりというのは、○○産○○という表示の仕方を必ずしもしません。一般的に普通使用するものですので。もし今の26条でもって、地域団体商標の普通に使用する表示の仕方というのが、○○産○○というものだけを対象に考えられてあるとすると、別の条項等で、普通に使用する場合については効力が除外されるんだということを明確にしていただきたい。お願いいたします。 |
土肥委員長 |
そういうことですね。 |
竹田委員 |
私の総括的な意見を申し上げようと思って手を挙げたわけです。本日の審議室からの考え方については私は基本的に賛成です。このような方向で地域ブランド商標制度を実現するのは望ましいと思っております。案が並列的に出ている部分もありますが、私が一番これを実際に運用していく場合にしっかりとやらなければいけないと思うのは、やはり主体要件の問題でして、その中での団体要件について事業者を構成員とする団体に限るということで、地方公共団体、株式会社を除くということにも私は賛成です。権利能力なき社団については、私が欠席したときにペーパーで、そこまで広げていいのではないかという意見を申し上げたわけですが、その点は本来の制度的には、そこまで広げた方がいいと思いますけれども、これをやるためには商標の登録制度にまでちょっと影響して、その辺も改めないとできないという問題も伴いますので、この際地域ブランド商標を設けるのに、いろいろなクリアしなければならない問題にさらにつけ加えるまでの必要はないと思いますので、これを困難であると言って除くことについても了承します。 |
土肥委員長 |
総括的な御意見ありがとうございました。今後この問題をどういう、今後の進行ですね、それについて含めてお答えいただきました。もし可能であれば次のテーマに参りたいと思っております。 |
花木審議室長 |
わかりました。地域ブランドの制度につきましては、これを仮に商標法で設ける場合には、関係業界、関係者にとって、非常にそれぞれの営んでいる事業活動に悪影響を及ぼさないようなものであって、さらに地域ブランドの保護に役に立つ制度にする必要があるかと思いますので、引き続き関係者、関係官庁等と協議しながら、また、今の竹田先生の御意見も引き続き御相談させていただきながら進めていきたいと思います。 |
土肥委員長 |
本日の議論の中で多々御意見をちょうだいしたわけでございますけれども、また別途、本日時間の関係上ちょうだいできなかった部分につきましては事務局の方に御意見をちょうだいしたいと存じます。それで次回までにとりまとめさせていただきたいと思っております。ですから、本日でもって最後というわけでは決してございませんので、もしよろしければ次のテーマ、議題に入らせていただきたいと存じます。よろしゅうございますか。 |
土肥委員長 |
それでは次のテーマでございますが、いわゆる事例集(案)ですね。水際及びインターネットにおける模倣品問題に関する事例集(案)をまとめたようでございますので、これについての審議を頂戴したいと存じます。まず、事務局より事例集(案)についての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 |
花木審議室長 |
資料3でございます。模倣品につきましては第8回の委員会でも検討いただいたわけでございますが、引き続き検討するということになっていたかと思います。我々事務局の方で、関係業界、関係官庁等を含めまして、現在主として商標法でございますが、商標法及び意匠法に関係して、実際模倣品でどのような点について明らかにすべきというニーズがあるのかといったヒアリングを行ってまいりました。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
花木審議室長 |
ここの枠囲いの中に書いたようなものについては、すべて結論として商標権侵害の可能性が高いというふうに今なっておりまして、そういうことであれば国民の皆様との関係では、ここの枠囲いに書いたものは、これは商標権侵害になるんですよということかと思いますが、今の委員長の御指摘もございますので、この最初の枠囲いのところの下に、結論を大きく書くとか、あるいは太字で書くとか、そういった工夫をしていきたいと思います。 |
土肥委員長 |
そうですか。ありがとうございました。 |
田村委員 |
拝読させていただきまして、私ほとんど異論がございません。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。 |
西野入委員 |
ありがとうございます。企業の側で権利保護活動をやっている中で、こういったものができ上がるというのは非常にありがたいです。非常にうれしく思います。その中で一つお願いとして、2ページ目の『はじめに』の部分で、一番最後のところに、「特許庁の見解を述べたものであり、法的な拘束力を有するものではありません」というふうに、最後にディスクレームのような形で入っているんですけれども、ケースのところにすべて、『可能性があります』、『考えられます』というふうに書いてくださっていますので、「特許庁の見解を述べたものです」でとめていただいて、「法的な拘束力を有するものではありません」という部分は削除いただきたい。その方が啓蒙にも使えるのではないかなと思います。お願いします。 |
土肥委員長 |
そういう御要望があったということにさせていただかざるを得ないと思うんですけれども、御要望ですね。じゃあ伺わせていただくということにさせてください。 |
松尾委員 |
私がいろいろ相談を受ける立場でいいますと、今挙げていただいた例は結構だと思いますが、ほかにぜひ入れて欲しいものとして真正商品の並行輸入の問題があります。ここでは偽物じゃないものは本物と書いてありますけれども、どうも私は巷では「真正品」という言葉の方がよく使用されているように思います。 |
土肥委員長 |
確認なんですけれども、真正品の並行輸入についても書いてほしいという御意見ですか。 |
松尾委員 |
そうです。それはやはりそういう質問が多いのと、個人輸入で郵便で本物を入れるなど結構多いんですね、このとき商標権侵害になっているはずなんですけれども、本物だから入れてもいいんでしょうというような非常に気軽な考え方が多いように思いますの。今法立論がいろいろありますから、そういう細かいことは別として、基本的にこれならいいというのはありますよね。そういうところを出すとか、本物だから無条件に入れてもいいんだということにならないということを追加して欲しいと思います。 |
土肥委員長 |
本物の場合、並行輸入はできない場合があるということを書くのはかなり難しくなりませんか。 |
松尾委員 |
いや、そうでもないと思います。日本の商標権者Aの輸入元のメーカーXとは無関係のメーカーYから、そのメーカーYの商品を輸入するとき、Yの真正品であるからといって「真正商品の並行輸入」にはならないと思います。それが一例です。 |
土肥委員長 |
そこが難しくなりそうな気がするので。 |
松尾委員 |
例えば、逆にこういう場合は並行輸入として認められます、こういう場合以外は侵害になる恐れがありますとか、何か書いていただく必要があるんじゃないかなと思いますが。 |
土肥委員長 |
どうぞ、竹田委員。 |
竹田委員 |
松尾委員の言われているところは、多分今度の事例集の趣旨は、先ほどお話があったように設例でまず出ている部分は、みんな商標権侵害になる可能性が高いですよという部分を出しているわけですね。だから、もし今言われているような真正輸入品について言うとすれば、真正輸入品は原則的には並行輸入として侵害にならないのがむしろ私は原則だと思うんですが、極めて例外的な設例を設けて、本来は侵害にはなりませんけど、こういう場合は侵害になりますというような形で書くことになりますよね。ただ、私はうまくどういうふうに書けるかわかりませんけど、特許庁にお任せします。 |
松尾委員 |
それでは、私がよく相談を受けて、いやそれはだめですよというような例を一、二挙げさせていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
それでは、別途事例をちょうだいして御検討いただきたいと存じます。 |
花木審議室長 |
無償のところにつきましては、先ほど松尾先生御指摘のありました6ページのところで、譲渡には無償の譲渡が入るということを書かせていただいております。また、事例の2では明記はしていないんですけれども、本物であると信じて偽物であることを知らなかった場合に、これがお土産品であった場合にはどうなのかといったような論点が一つあるのかなと。 |
土肥委員長 |
竹田委員、お願いいたします。 |
竹田委員 |
今の事例1の点ですけれども、確かに譲渡には無償の譲渡も含まれる。そしてこれは反復継続的な意思でというところにかかっているからと思いますけれども、例えば海外へ行って偽ブランド品を数個買ってきて友人に無償で渡したという1回の行為をとらえて、継続反復の意思で商標を譲渡したのに該当するということを認定するのは、実際上はまず不可能だろうと私は思いますね。何回も継続した場合はどうかということになった場合に、果たしてそれを経済活動と言えるのかどうか。1回、偽ブランド品を二、三個買ってきて友人にも分けてやった。次にもう一度、評判がよかったから買ってきて、また友人に無償でやる。それは有償だったらば経済活動とも結びつきますけれども、無償でまた二、三個買ってきて譲渡した場合でも、なおかつ商標権侵害になるかというのは、ちょっと問題があると思いますけどね。 |
土肥委員長 |
要するにこれは、かなり黒であるという事例についてまとめるという趣旨が一つあるんだろうと思うんですけれども、どちらかというとグレーとも言えずに、もうセーフじゃないかというふうに思われるようなものについて、場合によっては可能性があるというふうに、そういう表現の中で書き込むというのが適当なのかどうかと思うんですよ。これは委員の方々の御意見をちょうだいしたいと思うんですけれども。 |
松尾委員 |
済みません、ですから私も例えば一番初めの1の事件を取り上げるならば、それは反復継続的は1回でもなんてよく教科書に書いてありますけれども、ここでは、今後反復継続的に販売する意思を持って行っている場合等には、業として商品の譲渡などを行っているものという要件に該当する恐れがあるためにとか、何かやはりここは説明してふくらませないと、よく理解ではないのではないかと思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。 |
花木審議室長 |
はい。 |
土肥委員長 |
他に何かございますでしょうか。 |
花木審議室長 |
今いただいたような御意見も含めて、引き続き各委員の先生から御意見をいただいた上で、修正すべき部分は修正いたしまして、次回2月18日にとりまとめさせていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
いかがございましょうか。 |
花木審議室長 |
今先生のおっしゃった点につきましては、この3ページの商標権侵害の基礎知識のとのころで、そもそも業として行われるものは商標権侵害なんだということで書いたつもりなんですが、確かに実際に見る人は6ページから見始めるとすると、そこの出発点がややわかりにくいかもしれませんので、編集方針については少し今の御意見も含めて見直しをさせていただいて、また中身についても引き続き御意見をいただいて、次回までにとりまとめさせていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
では、そのようにとり進めさせていただきます。 |
松尾委員 |
先ほどの地域ブランド商品、団体商標の効力のところで、26条が出てきましたね。正直なところ26条というのは非常に使いにくいんですね。何々産ではなくてもいいわけですけれども、その条文には、社会通念上「商標」ではない意味での「商標」という言葉が出てくるので、ちょっとそこで戸惑うようなところがあるのではないかと思います。結局3条にしても、それから広く知られたという、4条の1項10号というのも、登録できない要件として記載されています。いろいろ考えますと、いずれは初め言われましたように、商標法の抜本的改正というのは必要なはずなので、これを今できないと思いますけれども、そういった問題があるということをどこかで認識しておいていただくか、あるいはそれを書類上記載するとか、何か考えておいていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
花木審議室長 |
先ほども申し上げましたが、次回小委員会第12回は、以前事務局より御連絡させていただいているとおり、2月18日午前10時半より、こちら特許庁16階会議室におきまして開催させていただきたいと思います。案件でございますが、「地域ブランドの保護について」の報告書案につきましてとりまとめを行うということ及び、今御議論いただきました「水際及びインターネットにおける模倣品問題に関する事例集」についてとりまとめをしていただくということを行いたいと思います。 |
土肥委員長 |
それでは、よろしゅうございますか。次回は今御案内のあったような形で2月18日ということになっております。 |
[更新日 2005年2月9日]
お問い合わせ |
特許庁総務部総務課制度改正審議室 |