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第11回商標制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成17年1月14日(金曜日)14時00分~16時10分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:土肥委員長、琴寄委員、鈴木委員、竹田委員、田村委員、西野入委員代理(足立氏)、萬歳委員代理(白石氏)、松尾委員、本宮委員、山中委員
  4. 議題:
    • 「地域ブランド」の保護について
    • 模倣品に係る事例集について

開会

土肥委員長

ちょうど時間でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第11回商標制度小委員会を開催いたします。
前回は、財団法人伝統的工芸品産業振興協会から、伝統的工芸品に係る商標登録のニーズについてのプレゼンテーションをちょうだいした後、「地域ブランドの保護」について検討を行いました。その後、産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会報告書「地域ブランドの保護について」(案)をまとめたわけでございます。その後、この報告書(案)につきまして、平成16年12月20日から平成17年1月7日まで、特許庁のホームページ等を通じて公表いたしまして、一般から意見、パブリックコメントをいただいたわけでございます。
本日は、「地域ブランドの保護について」の意見募集の結果を踏まえ、再度議論をしていただく予定でございます。
また、第8回商標制度小委員会におきまして、個人輸入については今後も継続的に検討を進める必要があるのではないか、とこうなっておりますので、加えて、かつ昨今インターネットオークションサイト等を通じた多量の模倣品の売買が問題とされていることにかんがみ、「水際及びインターネットにおける模倣品問題に関する事例集(案)」についても、あわせて検討を行っていただく予定でございます。
それでは、まず事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

花木審議室長

配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第、配付資料一覧、委員名簿に続きまして、資料1といたしまして「地域ブランドの保護について」、「模倣品に係る事例集について」というものです。主として前回の審議会の議事録的なものでございますが、お配りしております。それから、資料2といたしまして、地域ブランドに関して、「パブリックコメントに提出された主な意見に対する考え方」ということで、先ほど委員長からお話のございました、パブリックコメントに対してこういう考え方でという案を提示させていただいているものでございます。それから、資料3といたしまして「水際及びインターネットにおける模倣品問題に対する事例集(案)」というものもつけさせていただいております。
また、別とじになりますけれども、参考資料1といたしまして、実際の「パブリックコメントに寄せられた意見等」ということで46件のリストと、それから、その後ろにナンバーを付しまして、それぞれ出していただいた御意見の実物を添付させていただいております。
それから、参考資料2といたしまして、実際のパブリックコメントは、今御説明した参考資料1なんですが、大部でございますので、「主な意見」を参考資料2ということで添付させていただいております。
以上でございまして、不足等ございましたらお願いいたします。
また、冒頭にお願いなんですが、資料3の「水際及びインターネットにおける模倣品問題に関する事例集」につきましては、右上に「取扱注意」と書かせていただいております。これは委員会で御検討いただいた後、最終版を公表するという趣旨でございまして、本日あるいは今後の検討によって中身も変わり得ると思いますので、したがいまして、中間段階で公表することはかえって誤解を招き適切でないというふうに思いますので、こちらの資料3につきましては非公開とさせていただきたいと思います。オブザーバーの方々にも配付させていただいておりますけれども、取り扱いについては十分上記の点御了解いただければと思います。よろしくお願いいたします。

土肥委員長

それでは、今事務局よりお願いがございましたように、事例集の取り扱いにつきましてはまだ案でございますので、よろしくお取り扱いをお願いいたします。

地域ブランドの保護について

土肥委員長

それでは早速、議題に入らせていただきます。
初めに事務局より、「地域ブランドの保護について」の説明を行っていただきます。よろしくお願いいたします。

花木審議室長

それでは、パブリックコメントにつきまして、昨年の12月10日から今年の1月7日にかけて募集いたしまして、先ほど御紹介いたしましたように46件の御意見がございました。それを逐一御紹介できればいいんですが、時間の都合もございますので、参考資料2をもとに簡単に、どんな項目ごとにどういう御意見が出てきたかということを御説明させていただいた上で、それに対して事務局としてどう考えているのかということを資料2に基づいて、全体を20分ぐらいで説明させていただきたいと思います。
それでは参考資料2でございますが、パブリックコメントに提出された主な意見ということでございます。
まず、大きく申し上げまして保護対象のところでございますが、12の柱立ては、我々の以前出しました案の項目でございます。それぞれごとにどういう意見だったかということを書かせていただいております。
保護対象につきましては、対象を「地域名+商品名」ということで、その組み合わせからなる文字商標ということで議論させていただいたんですが、パブリックコメントの中には、もうちょっと広くてもいいのではないかという御意見があったところでございます。
それから、「地域名」につきましては、あまり厳密に言わなくても、通称、旧国名等も認めてもいいのではないかという御意見と、あまり広くなり過ぎると利害関係者による意見調整等に困難を生ずるので、その基準の明確化の仕組みが必要ではないかという御意見がございました。
それから、3番目につきましては「商品名」のところでございますが、商品名と言っても、例えば何とか「焼」、何とか「織」のように、商品名と言えるかどうかわかりにくいものもあるのではないかという御意見があったところでございます。
それから、2番目に登録要件でございますが、登録要件につきましては、周知性を第1案と出させていただいたわけでございますが、周知性を基準にするということにつきましては、賛成とする意見が多かったのではないかと思います。一部には、2番目のポツにございますが、その地域の代表としての正当性ということと周知性ということとは、本質的に違うのではないかという御意見も一方でございました。
それから、2ページ目でございますが、地域内に複数の団体があるような場合についてどうなのかという点について御議論がありました。複数あるうちの一方だけ登録させるということにつきましては、地域ブランド保護という本来の目的にむしろ反して、いわゆる「本家」、「元祖」争いのような逆の効果を与えるのではないかという御意見もございました。
それから、2ページ目の2ですが、商標の使用基準のところでございます。こちらにつきましては、策定、公開、提出させるということにつきましては、おおむねそうすべきだという意見が多かったところでございます。
それから、その中身の審査につきましては、全体に特許庁の方で立ち入った審査をすべきという意見はあまりございませんでした。ただ、内容によっては、その効果との関係だと思うんですが、定められた品質基準によって、アウトサイダーが排除されるということがあるとすればそれは問題があるので、そういう場合は審査を行うべきという意見があったかと思います。
それから、次に3ページでございますが、主体の要件につきましては、一定程度加入の自由については、基本的にはそういう加入の自由のある団体、閉鎖的な団体ではないということが必要だろうという意見があったところでございます。
それから、団体の要件につきましては、一方で地方公共団体とかそういったようなところについても広げていいのではないかという意見もございましたが、商工会、商工会議所等を権利主体とすべきではないかという意見もあったところでございます。
それから、数量的な要件につきましては、正確な母数が不明確なため、かえって紛争が起きるのではないかといったような御意見があった一方で、やはり一定の数量的な要素も必要ではないかというような御意見がございました。
4ページでございますが、その他の要件ということで、ここに書いてありますカマンベールとか、チェダーとか、そういった普通名称、慣用名称につきましては登録できないようにすべきであるという意見がございました。
また、既登録商標との関係につきましては、既登録の商標がある場合に、どういう効果があるのかということについて、いろいろな御意見があったところでございます。
考え方の方は、後で別途資料2に基づいて説明させていただきます。
大きな論点といたしまして、5ページの商標権の効力のところでございます。ここについては、先使用者、既にその商標を使っている方との関係で、新しく地域団体商標がどういう効力をもたらすのかという点について、いろいろな御意見がございました。基本的には、先使用者はきちんと保護すべきであるという意見が多かったかと思います。
そのほかに、6ページになりますが、産地表示への効力制限ということで、地域団体商標ができたときに、それを使った加工品等にどの程度効力が及ぶのか、それが現在の商標法26条の効力制限規定で十分なのかどうかという点について御意見があったところでございます。
そのほか、事後的な商標権の取り消し、無効ですとか、移転といったような点についての御意見、さらには最後のその他のところですが、3条2項との関係はどうなのかとか、新しい商標なんだから、新しい商標である旨の表示をさせるべきではないかといったような御意見がございました。
かなりはしょった説明になってしまいますが、もう少し詳しく、資料2の方の我々の考え方というところの中で少し敷衍して説明させていただければと思います。
それでは、資料2の方に基づいて説明させていただきます。
総論のところですが、若干繰り返しになりますが、全体としては46件意見があったわけでございますが、積極的に推進すべきという意見が、伝統的工芸品関係の団体、地域の加工食品関係団体、これはうどんとか、麺類とか、そういったようなところかと思います。また、農業団体、地域振興団体、商工会、商工会議所等から提出いただきました。
一方で、そういう必要性はあるにしても、事業活動における悪影響について懸念を払拭できない、あるいは消費者の混乱の点から慎重な検討を要するという意見が、食品、加工品等の企業、消費者団体等から提出されたところでございます。
それに加えまして、食品関係業界からは、現在ある表示規制法、産地規制法としてのJAS法とか、景表法、公正競争規約といったようなところにおいて、むしろ対処した方がいいのではないか。それとの保護において矛盾を生じないかといったような御意見もございました。
最後に、日本弁護士連合会からは、制度設計が固まっていないため賛否を留保するが、利益調整とか需要者の混乱回避等の問題点をきちんと踏まえて検討すべきであるという御意見がございました。
総論に対する考え方といたしましては、これは報告書案とほぼ同様の内容になっているわけでございますが、まず地域ブランド化を保護するということにつきましては、地域経済の活性化等の面で非常に効果があるという、最初のスタートポイントを確認させていただいた上で、目的といたしまして、周知となった地域ブランドの信用にただ乗りするという傾向がある。したがって、そういうものに対して迅速・的確に警告を行うニーズがあるということからいたしますと、一方でJAS法ですとか、消費者利益の保護といった別途の規制はあるんですけれども、いわゆるただ乗り、フリーライダーに対する迅速な警告という点につきましては、2ページの上の部分でございますが、これは商標法が対象としている保護法益、商標法の趣旨にかなり合致するものではないだろうかということを書かせていただいております。
また、地域ブランドの取り組みにおきましては、政策的に何らかのきっかけをもとに地域の生産者の結束力を高める、あるいは、さらに品質を統一して消費者の信頼を獲得していきたいという将来の発展に向けてのニーズもあるわけでございますので、そういう観点からいたしますと、確かに不正競争防止法においてもそれなりの保護は与えられているわけでございますが、この保護対象や範囲があらかじめ判断されず、実際に争ってみないとなかなかわからないということを考えますと、あらかじめ行政庁において審査し登録するという商標の仕組み、また全国レベルでの一律の保護を可能とするという効果、さらにそれによる後願、後から出てきた類似商標に対する拒絶効果等、あるいは実際の侵害があった場合の過失推定とか損害額の推定等の規定の整った、インフラとして整った商標によって対応することが適切ではないだろうかということで書かせていただいているところでございます。
このような観点から、商標法において、「地域名+商品名」からなる商標を、一定の地域において周知となった段階で団体商標として登録させる。さらにその使用規則の提出・公開も義務づけるということでございます。既に一定の信用を確立したものを対象とした保護ということであれば、しかも品質等も公開させるということであれば、地域ブランドの側にとっても取り組みの支援になるし、それから、消費者保護といった第三者の観点からもメリットがあるものではないだろうかということを書かせていただいているところでございます。
具体的なパブリックコメントの個別の内容に対する考え方につきまして、項目ごとに3ページのところで書かせていただいております。
まず、最初に保護対象のところでございますが、ここは先ほど申し上げましたように「地域名+商品名」の組み合わせ、3ページの(1)1でございますが、もう少し広くてもいいんじゃないかという意見がございました。実際、世の中にある地域ブランド的なものの中には、ここに書いてありますように、何とか「織」ですとか、何とか「焼」ですとか、この「織」、「焼」というのが果たして商品名と普通名称と言えるのかどうか、若干限界的な事例もあり得ると思いますし、商品名の中には「焼き鰻」とかそういった名前もあり得るわけでございますので、そうだといたしますと地域名を含むが、それ自体としては識別力を有しない文字商標ということで対象を考えた方がいいのではないかということを書かせていただいております。
それから、2番目でございます。「地域名」でございますが、地域名にはいろいろなものがあるのではないか、それが混乱のもとにならないかということでございました。ただ、確かに地域名にはいろいろなものがあるんですが、2段落目のところでございますが、地域団体商標は産地表示ではありませんで商標でございますので、その地名から一般的に想起させる地理的範囲と地域ブランドとして用いられる場合の地理的範囲というのは、地域の実情によってさまざまであることが通例であろう。そういうことについて社会的にもそれなりに是認されているのではないかというふうに考えております。そうだといたしますと、4ページの上のところですけれども、ある程度幅を持った解釈・運用ということで、地域名の範囲については、審査官が社会通念及び職権調査によって合理的に判断したらいいのではないかということでございます。
なお、産地表示は産地表示として、別途JAS法や景表法によって規制するという、これは当然のことを書かせていただいているわけでございます。
それから、「商品名」のところでございますが、案の1、案の2というふうに分けて書かせていただいておりますけれども、案の1が厳格な考え方でございまして、「西陣織」と言ったときに、例えば「織」は織物なのだから、指定商品は織物であると、「織」から想起される範囲で考えるべきだというのが案の1でございます。
案の2は、そうは言いながらも、実際に何とか「織」といったときに、その指定商品というのは確かに織物もあるかもしれないですけれども、織物を使った財布とか、カバンとか、いろいろ地域の実態に応じていろいろなものがあり得るということを考えると、そこは実際の周知ということを要件にする以上は、指定商品はその商品の品質等の関係で誤認を生ずるようなものでなければ、比較的弾力的に世の中の実態にあわせて、審査官の判断に基づいて指定商品を指定してもいいのではないだろうかということで、二通り書かせていただきました。
以上が保護対象でございまして、次に5ページ、登録要件のところでございます。こちらにつきましては、大きな論点といたしまして、周知性なのか数量性なのかということがあったかと思いますが、案の1として周知性を書かせていただきました。
周知性につきましては、周知性がいいんじゃないかという意見が多かったかと思いますが、我々の方でも実際に周知性のあるものというものにつきましては、その保護のニーズが生じているということ、さらに周知性をいったん獲得したものにつきましては、数量的要件と異なりまして、周知性については直ちに翌年からなくなるというようなことはなかなか想定しがたいということで、法的な安定性も高いだろうということで、周知性を中心に考えたらいいんじゃないかというふうに書かせていただいております。
では、周知性とは何かということでございますが、2段落目の2行目以降ですが、出願された商標が、出願団体又はその構成員によって、ある商品について使用された結果、出所表示として周知になっているということを要件としたらいいのではないかということでございます。
数量要件については、あわせて考えるべきではないかということもございましたが、こちらにつきましては、後で8ページのところで説明させていただきます。
それから2番目に、複数団体がある場合に、「本家」、「元祖」争いといったような、かえって地域ブランドの保護に逆行する考え方、結論になるのではないかという懸念があると御紹介いたしましたけれども、こちらはそういう御意見も踏まえまして、現行法4条1項10号の考え方と同様に、周知な商標が、出願団体以外の団体の出所表示としても周知となっているようないわば複数団体周知の場合につきましては、基本的には地域団体商標の登録は認めない。共同で出願してきたような場合には認めるということですが、一方だけでは認めないということでどうだろうかということでございます。これに違反して登録された商標については、現在の付与後異議申し立て、あるいは無効審判といった手続において解消されるという成り立ちにしたらどうだろうかということでございます。
これは団体同士でございますが、ある団体の商標として周知である一方、他の企業の出所表示としても周知となっているような場合につきましては、これは企業は団体としての主体要件を満たさないことから、地域団体商標として団体に認めていいのではないかということで書かせていただいております。
それから、登録要件の2番目でございますが、商品の使用規則という論点があったかと思います。こちらについては、策定するということについてはほぼ異論がございませんでした。
(i)のところでございますが、基本的に、全国的に周知になる前に登録するものである。そういう前段階から政策的に保護するようなものである。それから、需要者の側から見ても、一定の品質が担保されるものという期待が生じていることが多いであろうということである。また、現実問題として、地域ブランド的な取り組みが実際に周知になる場合には、これがどういうものかについて団体が使用規則を定めていることが通例でございますので、そういうことからすると、期待にこたえるという意味でも、こういうものを出していただいて公開するということとしても、過剰な負担ではないのではないかということで書かせていただいております。
次に(ii)のところでございますが、その中身の審査はどうかということでございます。これにつきましては、地域ブランドの内容は、基本的に各生産等する団体に委ねられているものでございまして、消費者の保護につきましては、JAS法や景表法といったところで基本的に担保されているという考え方に基づきまして、さらに特許庁において、それを実際に審査するということがあまり現実的ではないと思いますので、そうだといたしますと、商標登録の可否は、7ページの上から3行目でございますけれども、原則としてその指定商品との関係におきまして、商標自体が登録可能なものであるかどうかを判断するに過ぎないということでございまして、ここで品質を登録したからといってJAS法上適法になる、そういう関係が法的効果をもたらすわけではございませんので、そういうことからすると、こちらにつきましては特許庁において実態的な審査を行わないとすることが適当ではないかということで書かせていただいております。
また、主体要件のところでございますが、加入の自由は、開放的な団体であるべきという意見が多かったわけでございます。実際に実質的にその開放性を審査するのは非常に難しいわけでございますので、(i)の後ろから3行目のところでございますが、団体の外形に着目し、不当に加入を拒むことができないような組織形態となっているということを担保すればいいのではないかということでございます。
それから、(ii)の団体要件ですが、対象とする団体につきましては、こちらも最初に御紹介しましたように、地方公共団体、株式会社等でもいいのではないかという意見がございましたが、8ページのところでございますが、今回の制度の対象が、事業者を構成員とする団体を対象とした制度ということで考えてございますので、そういうことからすると、地方公共団体や株式会社につきましては事業者が構成員ではありませんので、非常に難しいのではないか。
一方、商工会、商工会議所等につきましては、現実にそれぞれの全国団体から、そういう対象、自らが対象となることが望ましいという意見もございましたし、構成員も団体、事業者であるということからすると、こういうものを認めてもよいのではないかということで書かせていただいております。
それから、次に数量的な要件でございますが、登録要件の段階で数量的な要件という議論があったかと思いますけれども、数量的要件につきましては、そもそも非常に把握が困難であるということ、さらに仮に把握できたとしても、将来的にその事業者数については変動する余地が非常に大きい。だとすると商標のような安定的な仕組みに非常にそぐいにくいのではないだろうかということで、数量的な要件を課するのは適当ではないのではないかということで書かせていただいております。
その他の要件ですが、これは3条1項1号、2号の普及名称、慣用商標につきましては、現在の商標法に基づくと同様に地域団体商標においても、独占適応性がないということで、登録しないということが適当ではないかということで書かせていただいております。
9ページですが、既登録商標との関係でございます。こちらは基本的に現在の3条2項の登録のものとほぼ同じような考え方でございまして、先にその地名と商品名等からなるいわゆる地域ブランド的な名称を含んだマーク入りの商標がある場合には、これは先願商標として基本的に存在するわけでございますし、登録に当たって「地名+商品名」の部分は、要部ではないという判断で登録しているわけでございますので、現在の4条1項11号の既登録商標とのバッティングという問題も生じない、と整理するのが適当ではないか。
いったんこの登録がされた後につきましては、これも現在3条2項の規定の運用に当たりまして、3条2項で文字商標が登録された場合は、後願の商標に「地名+商品名」を加えたマーク入りの商標が出てきた場合は、4条1項11号を理由として拒絶しておりますので、こちらも同じ考え方でいいのではないかということでございます。
また、地域団体商標として、あるいは3条2項として、ほかの地域が「地名+商品名」の商標を登録している場合は、これは需要者から見て出所の混同が生ずる恐れが高いですので、後に同じ名称の地名で実際の土地が違うというものが出てきた場合であっても、これは登録を拒絶することが適当ではないかということで書かせていただいております。
それから、大きな論点として、次に9ページの(3)効力のところに移らせていただきます。ここはアウトサイダーの問題をどうするかということでございまして、非常にいろいろな意見をいただいたわけでございます。
まず1つは、その団体の非構成員たるアウトサイダーが事業活動している場合。それから10ページに、そういう方から仕入れたものを加工して製品として利用するような場合、いろいろございます。いずれも商標登録の段階、地域団体商標の登録の段階以前に存在していたような方々というのが主になるかと思いますので、こういう場合についてどうするかということについて、案の1、案の2で書かせていただきました。
現在でも、32条で、先使用については効力制限規定があるわけでございますが、より明確化するという意味、さらに将来的にそういう方の事業の発展に支障を及ぼさないという観点から、案の1といたしまして、以前から使用していたアウトサイダーによる使用については商標権の効力は及ばず、また、当該アウトサイダーによる商標の使用についても今後制限を設けないという規定とすべきではないか。
案の2は、その先使用の方が、その商標が周知になっているかどうかによって、段差を設けたらどうかという考え方でございます。
それからもう一つの論点といたしまして、10ページの2ですが、いわゆる産地表示への効力制限。この地域団体商標ができたときに、それを用いた加工品に対する効力ということでございますが、こちらにつきましては次の11ページの上のところですが、26条の規定がございますので、こちらで担保されているのではないかということでございます。
以上、これ以外の効力制限が具体的に必要かどうかということで、3のところで検討しているわけでございますが、ほとんどの場合はこの26条の規定によって、実際上懸念されるような場合はカバーされるのではないか。したがいまして、一つの意見としてこの37条のいわゆる商標の効力範囲につきまして、類似商品、類似商標に及ぶというところについても、限定すべきだという意見も一部あったわけでございますが、ここまで阻止しなくても、実際そういう意見の根っこにある問題というのが原材料と加工品の関係だとしますと、26条によってほぼ担保されているのではないかということを書かせていただきました。
そのほか、論点といたしまして、(4)のところで事後的な取り消し、無効でございますが、こちらについては、事後的な取り消し、無効については措置すべきということで、ほぼ異論はなかったところでございます。
次に12ページの(5)で移転でございますが、この地域団体商標につきましては、特定の主体について認めるという制度でございますので、移転についてはやはり制限を設けるべきだろうということでございまして、これは当初の案どおりでございます。
それから13ページ、使用権の設定につきましては、専用使用権は設定させるべきではないという意見がございました。これも当初の報告書においてもそう書いてあったかと思いますので、専用使用権については、条件を満たすものに限り可能とするという考え方でいいのではないかということを書かせていただいております。
最後、その他でございますが、将来的にこの地域ブランドが育って、3条2項に該当するように全国ブランドになったときに、やはり円滑な引き継ぎができるような規定が必要ではないかという御意見がございました。
また、地域団体商標につきましては、普通の商標とちょっと効力が異なるということで、そちらについて地域団体商標である旨の表示を付するよう努めることを規定することが適当ではないかということで書かせていただいております。
以上ちょっと長くなってしまいましたけれども、パブリックコメントとそれに対する主な考え方ということで紹介させていただきました。どうもありがとうございました。

自由討議

土肥委員長

どうもありがとうございました。
それでは、以上の説明を踏まえて議論に移りたいと存じます。広くどの範囲からでも構いませんので、御意見ございましたらお出しいただければと存じます。
西野入委員の代理の足立さん、どうぞ。

西野入委員
(代理:足立氏)

入り口論のところでちょっと確認といいますか、もう一度ニーズみたいな部分を確認したいんですけれども、2ページのところで、不正競争防止法においてはなかなか保護が難しいのではないかといったことが、今回商標法の方で持ってこなければいけない理由の一つとしてお話がされているようにも思うんですが、改めて確認みたいな質問ではあるんですけれども、実際、不正競争防止法で排除できないということはどういうことがあるのかなというのが疑問としてありまして。不競法でもって第2条1項13号で原産地等の誤認表示の問題はありますし、それに対して14条でもって罰則もかかる。罰則があるという点からすると、著名な商品等の表示よりも厚い保護が不競法においては、原産地等の表示に対してはされているということから考えると、商標法でもってきて保護しなければいけないものというのは何なのかというのが、今ひとつちょっとまだピンとこないというのが実態なんですね。
あともう一つ、『不競法においては争ってみないとわからないからちょっと難しい、だから商標法だ』というお話もあったんですけれども、例えば原産地表示の話等でいきますと、JAS法とか景表法でもって正しい原産地を表示しなければならない義務というのは、各社、生産者だったりとか、加工食品メーカーだったりとかにあって、それの立証義務みたいなものは、景表法においては表示している者、表示している側というんですか強調表示している側に今現在移っている状態になっている中で、『不競法でもって争ってみないとわからないから、ちょっと不競法では保護できないのではないか』というところの議論がもう一つわからないので、説明をいただけたらなと思うんです。

土肥委員長

お願いします。

花木審議室長

JASの産地につきましてはもう釈迦に説法でございますが、生鮮品と加工品とで若干扱いが違うかと思います。生鮮品については原産地表示が義務づけられているわけでございますが、品物によるわけですが、一般的には県の名前、最大細かくて県の名前ということでございまして。この地域ブランドというのは、産地表示とは若干違いまして、この特定の人たち、地域、恐らく通常の場合は県より狭い一定地域の、しかも品質基準を出させるということで、主として想定しているものは製法とか、原料とか、いろいろなものが地域に由来して、地域の特性を活用した商品であるということでございますので、そういうものからするとJAS法で規制している最低限の基準というものとは、やはり性格を若干異にするのかなということかと思います。
不正競争防止法につきましては、こちらは相当程度活用し得る制度だと思うんですが、実際に問題になるものが、この産地というものと若干異なる場合もあるのかなというふうに思っておりまして、いわゆる産地というもの、例えばお茶の場合を例にとりますと、これはもちろん公正競争規約等でいろいろ定めはあるんだと思いますが、産地とブランドというのは、実際のお茶というのは、その産地というよりは、むしろいろんな産地のものを組み合わせたことによってフレーバーを出すとかいろんな形がございますので、そういうものが今御指摘のあった不正競争防止法2条1項13号でどの程度対応できるのかどうかという問題と、あとは今おっしゃいました周知あるいは著名ということで言いますと、周知の証明あるいは不正競争目的の証明といったようなところがなかなか難しい場面もあるのではないか。
また、保護の範囲が不正競争防止法ですと、周知な地域においてのみ必要最小限度の保護ということだと思いますので、将来的な育成ということを念頭に置いた全国レベルでの保護ということについては、若干限界があるのではないだろうかということでございます。
さらに商標、ここには2ページの上のところのポツで書いてあるんですが、一つ商標をとるということによって、地域内の生産者にさらに広く参加を呼びかけて地域ブランドを育成していく、あるいは基準を今回の制度では考えているわけですが、基準を明らかにすることによって消費者の信頼を獲得しながら、さらに品質も統一していくというところまでスコープに入れておりますので、そういう形になってくると、現在の不正競争防止法ではなかなか対応し切れないのではないだろうかということで提案させていただいております。

土肥委員長

そういうことですけれども、足立さんいかがでございましょう。

西野入委員
(代理:足立氏)

ありがとうございます。正直なところまだわからないというのが実態です。さっきもちょっと申し上げたように、JAS法、景表法で表示している側の責任というのがある中で、それがあるベースでもって不競法を使えばそんなに難しくなく活動はできるのではないのかなというのが、まだ疑問としては持ち得ます。
また、通常の商標においても、いわゆる権利法活動というのはかなり大変な仕事であって、自分の権利・ブランドを守るためには、一生懸命いろんな法律を駆使しながら活動していくものだと思うんです。それでもっていろんな形で排除していくという形の中で、今回の地域ブランドというのは、その地域の名前と一般商品を組み合わせた表示というのをブランドとして選ばれた宿命ではないのかなと思うんですけれども。
そうすると、そこのところで第三者が同様の表示をしていて、それが正当な表示であれば、当然商標法において今回の制度においても、使えるということならば、改めてわざわざその制度を商標法に持ってこなくても、不競法のままで今のままで対処ができなくはないのか。考えられることとすると、不競法においてのさっきの原産地等の立証の責任が、今回の商標法の方にもってきたときには、立証の負担が転換するということぐらいが唯一のメリットなのではないかなというふうに思うんですが、その辺はどうなんですか。

土肥委員長

竹田委員、今の御意見に対することですか。

竹田委員

はい。

土肥委員長

では、竹田委員お願いいたします。

竹田委員

不競法で保護できるから商標法で保護する必要はないというのは、私は議論としては、言葉が適切かどうかわからないけど、本末転倒だと思います。つまり商標法は、1条の目的から言えば、商標を使用する者の業務上の信用維持のために、それを保護する必要があるかどうかという視点から決められているんですよね。一方、不競法は、いわゆる公正な競争の確保という観点から決められているわけですね。
ですから、不競法は本来知的財産権4法の保護では埋められない、いわば隙間を埋めるための法律、補充的機能を持つものだというのが本来的な意味です。ですから、商標法で地域ブランドが、商標を使用する者の業務上の信用維持のために必要だということであれば、そちらの観点から商標として保護すべきで、それは必要ないと言うならば、議論は別ですけれども、不競法で保護されているからいいという議論には私はならないと思います。
不競法の商品等表示だって、商標登録されているものもあれば意匠登録されているもの、幾らでもあるわけですね。だからそれは、不競法に規定があるから保護は要らないかというと、そんな議論はやはりないと思います。そこは制度の目的が違えば、それぞれの目的から必要かどうかという観点で判断すべきことであって、そこの隙間を埋める不競法等が知財法等4法で保護しているところとオーバーラップするところが出てくることは当然生じてくるわけですけど、それはそうすることによって、不競法は隙間なく不正な競争から事業者を保護しようという目的を達するのであって、不競法で今おっしゃられたようなことで保護できるから、商標法で登録する制度を設けるべきではないという議論にはならないのではないかと私は思います。

土肥委員長

私も足立代理に申し上げようと思ったのは、知的財産法全体の枠組みの中で、不競法が行為規制法としてございますよね。商標法とか他のそういう知的財産権法というのは、それぞれ保護対象として商標の場合で言うと、名声なり信用なりそういうものを持ってそれを保護しようとしているわけでして、不競法というのは、その信用における行為者の行為が適当かどうか、こういう観点からやりますし、特におっしゃっておられるところの不競法2条1項13号はほとんど裁判例もないですよね。1号なんかに比べますと。恐らく裁判例がほとんどないということは、使いにくいということなんだと思うんです。規定上はあるけれども、営業上の利益、そういうものを持たないと主体となり得ないとか、そういうことがあるんだろうと思いますので、不競法があるからいいのではないかというのは、直ちにはいかないというふうに私は思うんですけれども、足立代理、いかがでございましょうか。

西野入委員
(代理:足立氏)

ありがとうございます。不競法があるから今回のやつはやるべきではないという趣旨でお話をしたつもりではなくて、不競法で守りにくいからという説明があったので、不思議に思ってそれで質問した次第なんですけど。もちろん私の理解のためでもあったんですけれども、そこのところはありがとうございます。わかりました。

土肥委員長

よろしゅうございますか。それでは、松尾委員。

松尾委員

私は、制度としてどうなるのかよくわからないので御質問します。登録要件のところで周知性というのがありますね。その周知性の説明に、商品の出所表示として周知となっているとこういうふうにあります。そうなりますと、これと3条で言う識別力とどういうふうに違うのかということが私にはちょっとよく理解しかねます。つまり出所表示となるようになっているとすれば、もうこれは識別力があるということだと同じじゃなかろうかなというふうに感ずるからです。
それから、周知性の判断については、やはり識別力を取得したと同じようなそれだけの立証ということも必要になるので、かなり大変だなと思います。もともと地域ブランドを「地名+商品名」とした趣旨が、こういう周知性の要件を課することで達せられるのかがよくわかりません。周知性の地理的範囲は、多分識別力のときよりも狭くていいんだろうと思いますが、とにかくそこははっきりしてほしいと思います。これが一つです。
それから、それとの関係で13ページのその他の1で、識別力を有するようになったらば、その商標を3条2項に移行させてもいいんじゃないか。ここで、どういうふうに周知性と識別力の有無と違うのかなと。結局私は、周知性の要件と識別力の要件というのがどうもはっきりしないので、教えていただきたいと思います。

土肥委員長

よろしいですか。それではお願いします。

花木審議室長

ちょっと御質問に対する回答になっているかどうかわからないんですが、恐らく松尾先生のお考えのものと同じだと思うんですけど、周知性というのは、今の4条1項10号にあるようなものを念頭に置いておりまして、ただ、その地理的範囲が、ここに書いてありますように数都道府県であってと。3条2項について確立した解釈かどうかについては異論があるかもしれませんけれども、実務の世界、あるいは多くの解説書等においては、全国的に識別力があるものということでございますので、いずれも商品と商品に付された商標が、どの者の出所表示をあらわすかということが需要者にとって明らかになっている、そういう考え方においては同じであるけれども、その需要者の範囲が全国なのか地域的なものなのか、そういう違いではないかなというふうに考えているところだと思います。

松尾委員

そういう考え方は成立すると思うんです。そういうことであるならば、この商標をどこに置くかということなんですが、私は3条の中にもう1項置いて、そしてこの団体商標については今の識別力が一定地域でもいいということ、それから、もともと3条というのは識別力と独占適応性と両方入っていると言われていますが、3条の3項か何か設けてここにはっきりと、団体商標については識別力が必要だけれども低くて一地方でいいとか、やはり条文としても、どこに位置すべき商標なのかというのをはっきりさせた方がいいというふうに思います。

土肥委員長

これは基本的なところですので、制度の位置づけの問題ですね。この制度の、今度の案というのは団体商標の中に置くということのようですけれども、今3条のところにという松尾委員の御意見がございましたけれども、それは整合性との関係でどうなりましょうか。

花木審議室長

そういうお考えもあるかと思います。実際、周知性という考え方を基軸にしてきたときに、現在の識別力と程度的な、恐らく質的な差はあまり問題にならなくなってくるかと思いますし、効力のところもあまり特別な規定を置かないということであれば、松尾先生のような考え方もあるかと思うんですが、ただ、立ち上がり、この制度の根っこの成り立ちといたしまして、やはり識別力の根っことしては、一定の特定の事業者あるいは団体を識別するに至らない場合であっても、産地レベルの識別力としてそれなりに保護できるものがあるのではないだろうかということで考えておりますので、現在はその成り立ちに従って整理すると、その条文上どこに置くかということの問題はいずれもあるのかもしれないんですけれども、その発想、あるいはEU等も恐らく同じような考え方ですべて成り立っているかと思いますので、その考え方からすると、団体商標の特例ということを置いた方が適当ではないだろうかということで考えている次第でございます。

松尾委員

一言だけ、私それで結構だと思います。ただし、その要件を3条との関係できちんとしておいていただきたいと思います。

土肥委員長

それでは、田村委員お願いいたします。

田村委員

今のところですが、私も花木室長の御意見に賛成です。ただ、現在の文章がそのように読めるかというと少し無理があると思います。むしろ松尾先生が最初読んだように、5ページが、3条2項とどう違うのか、ここで言う出所表示というのは、今までの出所の示し方と変わらないのではないかという疑問を抱かせるような書き方になっていると思うのです。
むしろ室長がおっしゃったような趣旨を明確に反映して、今回問題になっている保護対象というのは、特定の企業はもとより、もしかすると特定の団体の商品として、まだ周知あるいは特別顕著性を持っていないかもしれないけれども、当該産地から出ている商品はあれだな、一定の品質を持っているなという意味での信用が化体している、そういう今までの出所と呼んでいるものよりは、もう少し獏としたものだと思います。それがその程度で周知、要するに特定の団体や特定の企業ではないけれども、当該産地で出ている商品として周知になっているということがまず前提になっていて、その上で、そういうふうに今までちょっと違う出所表示機能を持っている商標を保護するということがまず前提になっていると思います。
そういう前提ですので、本来は特定のものに今までどおりの商標権を与えるわけにはいかないけれども、昨今の情勢にかんがみて財産的価値を保護する必要があるということから、今までの商標とはやや異なる商標権を付与する。それはどう異なるかというと、当該産地について代表し得るようなものがあるのではないか。それに目をつけたのが団体だということになると思います。ですから、団体商標のところに特則が置かれるという整理ではないかと思うのです。
もし今5ページのように書きますと、むしろなぜこれを団体商標に絞るのかというふうな、当然の疑問が出てくると思うのです。ですから、ここは大変大事なところだと思いますので、もう少しこの書き方を、花木室長のおっしゃったような趣旨が伝わるように書いて整理した方がいいのではないかと思います。

土肥委員長

ありがとうございました。
御意見、よろしいですか。それでは御意見をちょうだいするということにさせていただきます。
他にいかがでございましょうか。本宮委員。

本宮委員

今の点と関連するのですけれども、松尾先生、田村先生がおっしゃるのはその通りかなと私も思いました。これについての検討の出だしは、正当な団体に与えるということで、その要件として周知性と数量性のどちらがいいのか、という点から話がはしまっており、そのときは周知性は団体の認知度という観点から話が出ていたと思うのですけれども、それがいつの間にか、3条2項的な内容にシフトした書き方になっているのではないか。ですから、ここでは団体が、ある意味で内容的には商標が、周知になっているという形がメインになってしまっていて、その団体が正当に受けられるものであるという、そこの要件から発生しているという点を考えなければいけないのではないかと思った次第です。

花木審議室長

先生方の御意見は、従来の最初の第1回のところから考えるとそうなのかもしれないんですが、そういう形でいったときに、やはり数量性等の要件については非常に把握しにくく、法的な不安定性もあると。実際に保護の必要性が生じているものはどういうものなのかといったときに、やはり周知なものであろう。それゆえに保護のニーズもあるのではないだろうかということで考えてまいりますと、かなり3条2項に近い方向にシフトした方が、実際のニーズという観点からするといいのではないかということで、現在はそういう書き方になっているわけでございます。そういうふうになってきたときに、もう一度元に戻ったときに、それが7条の特則なのか、3条の特則なのか、どっちがいいのか、そこは整理の問題としてあり得るのかなというふうに、ちょっと個人的な意見なんですが思っております。
正当ということを突き詰めていったときに、なかなか単純な地域性、数量要件だけで、保護のニーズとそれが本当にマッチしているのかどうかといった点についても、必ずしもうまく説明し切れないのではないだろうか。むしろ周知性の方が、そういう意味では現在の、ある3条2項にかなり性格的に近いものにした方が、それが実際の保護のニーズにも合致しているし、保護してもらいたい、保護したいものにもマッチしているんじゃないだろうかということで、そういうような内容に今なっているということかと思います。

土肥委員長

鈴木委員、お願いします。

鈴木委員

今の周知性のお話に関連して質問させていただきたいんですけれども、周知性が要件ということになると、周知の意味が特定の団体や企業ではなく産地をあらわすということでの周知だったとしても、使用意思に基づく商標の場合には登録にならないと理解してよろしいでしょうか。すなわち、まだ使用していない場合は登録にはならない、こういう理解でよろしいでしょうか。

花木審議室長

周知を要件にした場合には、使用は当然必要な条件になるかと思います。

鈴木委員

わかりました。
それともう一つ同じ5ページの中で、最後のただし書きのところなんですけれども、出願団体だけでなく他の企業等の出所表示としても周知になっている場合には、当該の出願団体による地域団体商標の登録は認めるというようなお考えなんですけれども、これは言いかえると、ある企業が企業努力によって商標を商標周知にしたけれども、その企業は登録できないだけでなく、地域団体商標の登録を排除できないと、こういう意味になりましょうか。

花木審議室長

そういう意味でございまして、これはこの地域団体商標の根っこの部分の議論、先ほど田村先生からは、こういう考え方を貫徹するのであれば、企業だけどうしてという御議論はあったかと思いますけれども、成り立ちとして、まさに地域の代表性ある団体、その名称はどの人の管理に任せるのが適当かということを考えたときに、一企業一私人よりは、団体の方が適当だろうというところで考えております。したがいまして、企業の側から見ますと、3条2項で登録することは団体も周知なわけでございますから、いずれにしろできないことでございますし、また、先ほどの効力のところで、先使用権について引き続き使用できるのであれば、実際の問題もあまり生じないのではないか。そうだとすると、この地域団体商標としての性格を考えれば、企業が周知であったとしても、それは拒絶理由にしなくてもいいのではないだろうかということで書かせていただきました。

鈴木委員

そうすると企業の持っている商標、周知よりもさらに高い著名であっても排除できないと、こうなりますか。

花木審議室長

著名な商標があれば、それが3条2項で登録されていれば、それは先願とのバッティングで、4条1項11号で排除ということになるかと思います。

土肥委員長

松尾委員。

松尾委員

この周知性とか品質の保証とかいう関係で、6ページの方に、商標使用規則の策定とか審査というようなことが書かれております。もともと私などは商標使用規則だけではなく、主体の要件としても規約が必要だと思っていました。初めはそういう意見もあったんじゃないかと思いますが、日弁連の意見の2ページ、3ページというところ、特に3ページには、そこで出願人となり得る、登録権利者となり得る地域団体として、規則、規約が必要であるとして、このような条項が書かれているべきであると。例えば商標の管理状況とか、条項とか、団体構成員のメンバーになる資格とか、3ページのところですね、具体的に書いております。これは特にアウトサイダーとの関係なども考慮して、少なくともこういうものはなければいけないんじゃないかということを書いたわけですが。今日いただいたものには、使用規則のことについてはありますけれども、ほかの団体の規約というようなことについては一切触れられていないわけです。私どもこういう団体がどういう団体かということがわかるような規約、それの公表が必要であろうかと思っております。
ちなみに日弁連の意見は、知的財産制度委員会というような特定の委員会ではなくて、全国の日弁連の理事なども全部これを検討しておりますので、商標を特に知らないような弁護士もみんな、「これなら」という見解を表明しているということを御理解いただきたいと思います。

花木審議室長

先生おっしゃった団体の構成の規約については、確かに当初案では書いてございます。こちらは商標の使用の部分についてだけちょっと考え方を示してありますが、一定の条件が必要という考え方もあるかと思います。そこにつきましてはちょっと今回考え方を出しておりませんが、何らかのオープンなものである必要があるだろう。その外形的なオープンさの担保の中で、今のようなものも考えていく必要があるのではないかと思います。

土肥委員長

田村委員。

田村委員

10ページの点は、今のことに多少関連しますが、アウトサイダー問題があります。現在は、最初にこのアウトサイダーの問題について、いろいろと10ページで書いていただいた後に、案の1も案の2も先使用者を中心に書かれています。先使用者以外についてはどうなっているかというと、今10ページの3段目で、具体的な必要性が存在する場合には、さらに追加することが必要ではないかということで、何かすごくオープンに書かれていますが、その具体案が少し見えにくくなっています。
私自身は、先ほど言ったように周知性のところにも関連するのですが、今回の商標というのは、従来型の出所識別表示ではないタイプの、やや今までの商標とは違うタイプのものを新たに商標権にあげると理解しておりますので、当該産地から出た商品であれば、別に先使用に限らず正当使用と認めてよいのではないかと私は思います。
この点は多分いろいろな意見があるかと思います。中には、当該団体の定めている規則に適合した商品である必要があるのではないか等々の御意見もあったかと思うのですが、多分幾つか案があってなかなかまとめにくいところだと思いますが、その点についても何か議論の方向性がちょっと見えないので、さらに追加することが必要だと思います。その上でどのように追加していくかということも、これから少し議論していった方がいいのではないかと思います。
札幌に早めに帰らなければいけない関係で、もう一点だけ述べさせていただきますと、9ページの既登録商標との関係です。ここに書いてあることは、私も運用の仕方としてはこのとおりだと思います。実際「地域名+商品名」の商標登録がされている例のほとんどが図形と組み合わせたりしておりまして、あるいは特殊な文字を使っていたりします。そうすると効力も特殊な図形や特殊な書体が中心になるというのは、もちろんそのとおりだと思います。ですから、ここに書いてあることは全然異論がありませんが、これがもし例えば考え方の2段目で、地域団体商標の登録に際しても、上記のような既登録商標と同一又は類似であることを理由として拒絶しないこととするのが適切ではないかと思います。
それから、一方で、3条2項の規定に基づいて登録されているものが先にあるときには、後で出てくる地域団体商標であって、同一又は類似の指定商品に使用されるものの出願は拒絶されることとするのが適切だと思います。これはもちろんこういうふうに分かれるべきだと思いますが、これは条文でお書きにならない方が多分よいかと思います。今でも例えば3条2項に基づいて登録されようとするときに、出願しようとなったときに、4条1項11号がかからないようになっているかというとそうではなくて、条文上一応かかるわけですね。その上で、その4条1項11号の解釈のところで、先登録商標の類似の範囲を絞っていると思うので、これは私は全く賛成です。恐らくこういうふうにお書きになられた上で、条文化はおそらくしないということになると思うのですが。

花木審議室長

どうもありがとうございます。前段のアウトサイダーの部分につきましては、確かに報告書の中では、正当な使用に対して効力制限を設けることが適当かどうかという問題意識を投げかけたわけでございます。その点についてのパブリックコメントの意見を考えると、やはりこれは対象としているものが、一定の周知性を持っているものを登録するという考え方でございまして、その周知性に伴いまして、実際の保護法益もある程度発生しているということからいたしますと、地域団体商標という形で明確になった後に、さらに後から使い始めて、正当な理由というのが実際どの程度あり得るのかというのが、パブリックコメントの中でもそういう意見はあまりなかったと思いますし、実際上にもかなり考えにくいのではないか。
現実問題としてあり得るのが原材料の問題ではないかということで、そうだとすると26条があれば、あえてさらに追加の必要があるのかどうかについては、必ずしもないのではないだろうかということで今まとめさせていただいています。ただ、全く不要かどうかについてはさらに検討するという趣旨で、10ページの田村先生御指摘の2行を入れさせていただいているということでございます。
後半の既登録との関係、9ページのところにつきましては、現在も条文ではなくて解釈で、いわゆる要部かどうかということで判断しているということでございますので、そことの整合性をとる意味でも、ここについて条文で書くべきではないのではないかという御指摘かと思いますが、そういうことで十分運用していけるのではないだろうかと思いますが、実際の条文については、さらに先生の御意見を参考にさせていただいて十分検討していきたいと思っております。

土肥委員長

では最初に、少し早かったと思うんですけれども、足立さんどうぞ。

西野入委員
(代理:足立氏)

ありがとうございます。そんなに時間はかからないと思いますので。
先ほど26条の話が出たので一緒に伺いたいんですが、10ページで産地表示への効力制限のところで、『単なる産地、原材料等の表示として用いざるを得ない場合がある。このような場合に対応するために、26条において効力が及ばないこととされている』というふうになっているんですが、こういう場合に対応するために26条があるのかなというのがちょっと不思議に思ったんですけれども。通常に普通に使用することが、だれにでもできるものとして26条というのが存在するのではないのかなと。そうすると使用者が普通に使っている限りでは、26条において効力の制限はされるのではないのかなというふうに思ったので、この辺の真意を聞きたいなというのが一つです。
それから、先ほど田村先生のお話が出たのでもう一つちょっと伺いたいんですが、9ページで、現行法3条2項で登録されているもので、今回の「地域名+商品」表示の申請がされた場合に、3条2項で登録されているものがあれば拒絶されるということなんですが、例えば、3条2項でもって指定商品を特定のものに限って、地名のみの登録、地名と同じ表示のみの登録が、例えば3条2項でされている場合に、何か例を挙げた方がいいですかね、例えば、ビールを指定商品として、「東京」というのが例えば3条2項で登録されていたとしたときに、団体が「東京ビール」というものを申請してきた場合に、これは登録になるんでしょうか、拒絶になるんでしょうか。
というこの2点を確認したいんです。

花木審議室長

26条のところでございますが、これはちょっと今手元に解説書がないので当たってみないとあれですが、私の理解といたしましては、まさに普通に用いられる方法でということが書いてあるということは、そういう表示をせざるを得ない、実際にJAS法で産地は表示する義務があるわけでございますので、そういうものに対応した規定なのではないかということで、この表現で問題ない、まさにこの表現のとおりではないかと考えているところでございます。
後半の登録のところについては、実際に私は審査官ではありませんので判断しにくいんですが、確かに地名が入った場合に、商標としての類似性をどのように判断するかということになってくるかと思います。通常の場合、「東京」という形でビールが著名になるかどうか、仮にという場合だと思うんですけれども、「東京ビール」というふうに言って、これは恐らく地域団体商標をイメージした場合だと思うんですけれども、この場合は、商品は確かにビールとビールで同一だと思うんですが、商標は「東京」と「東京ビール」と言ったときに、これは「東京ビール」と「東京」というのは、一般的には商標としては類似と解されるのではないだろうかなと思うんですが、ちょっとそこのところについては、もし間違いがあったら。商標審査官。

土肥委員長

補充を、今のところどうですか。補充をひとつ今のところの点、よろしいでしょうか。お願いします。

小川商標制度企画室長

補充になるかどうかわかりませんが、通常の商標の類否判断とはちょっと違うのかなという気がしています。3条2項でまさに使用している特定の態様で登録になっているという商標と、そういう地名と商品の組み合わせで周知となって初めて地域ブランドとして認められるものとの類否判断というのは、それぞれの商標を一体のものとして見ると言う点で少し違うのかなという気もしています。

土肥委員長

どうぞ、足立さん。

西野入委員
(代理:足立氏)

企業の側からすると、今の話でいくと拒絶していただかないと困るなというのが正直な思いです。同じ商品で、悪い例ですけど、「東京」と「東京ビール」というのが並存して存在していて、実際に先に3条2項で企業のものが登録されている場合に、それこそ26条でもって一般に普通に使用する表示の形態として「東京ビール」と書いたものが売られるならともかく、地域団体商標としてそれが登録されるのではビジネスにかなり影響が出る。企業が蓄積した信用に対して影響が出ると思います。
それから、26条の話なんですが、JAS法で書かざるを得ない場合に対応するためにという部分はもちろんあるとは思うんですが、そうでなくても企業等が普通に商品等の特徴を示すために、原材料何々を使っていますということを示さんがために、普通に表示する方法として使うことというのは一般にある話だと思うんです。それが、このJAS法等で書かなければいけない場合のためだけなんだというふうに読める文章になっているように、ちょっと思えて非常に心配しているというところなんですが、いかがでしょうか。

花木審議室長

26条について、いろいろむしろ私より専門の先生がたくさんいらっしゃる中であれなんですが、一般的にここで書いてあるのは、○○産○○とか、そういうような表記を主として念頭に置いているのだろうなと。そういう表示については恐らくあまり問題がないんだと思います。
例えばお茶のような場合に、「宇治産茶」と書かずに「宇治茶」と書いた場合には、これがどうなのかと。「宇治茶」がその地域団体商標であった場合に。あるいは地域団体商標はまだ制度がありませんので、3条2項であった場合に、例えば「夕張メロン」とあったときに、「夕張産メロン」と書くことはあまり問題がないということで十分いけると思うんですが、「夕張メロン」と書けるかどうかについては、ここはかなり微妙な問題があるのかな、と。26条があるということは、まさに3条2項で登録されたものについてどう判断するかというのがこの趣旨だと思いますので、全くできないわけではないと思うんですが、その書かれた態様、文字の大きさ、書かれた位置等によって最終的に判断するということではないかと思いますが、もし間違いであれば教えていただきたいと思います。

土肥委員長

簡単にお願いします。

西野入委員
(代理:足立氏)

簡単に終わらせます。3条2項を対象にした場合に、そのような考え方は確かにあるんだと思いますが。必ずしも業界内ではその考え方ではないのですが。あわせて今回の地域団体商標制度ができ上がった場合に、○○産○というものだけが、普通に使用する表示なんだというふうに考えられるんであっては困る。先ほどの話でいくと、例えば「宇治茶」であったり「静岡茶」であったりというのは、○○産○○という表示の仕方を必ずしもしません。一般的に普通使用するものですので。もし今の26条でもって、地域団体商標の普通に使用する表示の仕方というのが、○○産○○というものだけを対象に考えられてあるとすると、別の条項等で、普通に使用する場合については効力が除外されるんだということを明確にしていただきたい。お願いいたします。

土肥委員長

そういうことですね。
お待たせしました。竹田委員。もし可能であれば全体的に、時間の関係もございますので、総括的に御意見をちょうだいできればと思っております。

竹田委員

私の総括的な意見を申し上げようと思って手を挙げたわけです。本日の審議室からの考え方については私は基本的に賛成です。このような方向で地域ブランド商標制度を実現するのは望ましいと思っております。案が並列的に出ている部分もありますが、私が一番これを実際に運用していく場合にしっかりとやらなければいけないと思うのは、やはり主体要件の問題でして、その中での団体要件について事業者を構成員とする団体に限るということで、地方公共団体、株式会社を除くということにも私は賛成です。権利能力なき社団については、私が欠席したときにペーパーで、そこまで広げていいのではないかという意見を申し上げたわけですが、その点は本来の制度的には、そこまで広げた方がいいと思いますけれども、これをやるためには商標の登録制度にまでちょっと影響して、その辺も改めないとできないという問題も伴いますので、この際地域ブランド商標を設けるのに、いろいろなクリアしなければならない問題にさらにつけ加えるまでの必要はないと思いますので、これを困難であると言って除くことについても了承します。
ただ、先ほど申し上げた主体要件の中で、商標の使用規則ということがあって、松尾先生の発言もあったことは私も同感するところが多いのですけれども、特に商標の審査に当たって、本当にその団体が地域ブランド商標を取得するのに適した団体かということの審査が適切に行われるかということについて非常に懸念しているわけで、そのためには、こういう商標の使用規則や何かを提出させることも必要であろうと思いますけれどもそれに加えてこれはパブリックコメントの中にも、必要に応じて関係省庁と協議すべきだということはありますけれども、農産品、農芸品については農林水産省とか、あるいは工芸品については経済産業省とか、その辺の意見を聴取することができるような制度を規則なりで設けた方がいいのではないかと思います。
ちょっと余談になりますけど、今度関税定率法が改正されて、輸入禁制品に不正競争組成品が入るという方向で関税審議会の審議がなされていると思いますが、そこでもやはり経産省の知財政策室の意見を聞くということになっているわけですね。だから、こういう審査になれていない商標の審査官がそこのところを適切に審査することができるためにも、そういう運用が法的に規則でも結構ですから、裏づけるような方向を考えた方がよろしいではないかということで御検討いただきたいと思います。
以上です。

土肥委員長

総括的な御意見ありがとうございました。今後この問題をどういう、今後の進行ですね、それについて含めてお答えいただきました。もし可能であれば次のテーマに参りたいと思っております。

花木審議室長

わかりました。地域ブランドの制度につきましては、これを仮に商標法で設ける場合には、関係業界、関係者にとって、非常にそれぞれの営んでいる事業活動に悪影響を及ぼさないようなものであって、さらに地域ブランドの保護に役に立つ制度にする必要があるかと思いますので、引き続き関係者、関係官庁等と協議しながら、また、今の竹田先生の御意見も引き続き御相談させていただきながら進めていきたいと思います。
本件につきましては、本日の御指摘も踏まえまして、さらに報告書の内容につきまして、適切な今申し上げましたような観点から必要な修正等を行った上で、報告書を次回2月18日の審議会においてでき得ればとりまとめさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。

土肥委員長

本日の議論の中で多々御意見をちょうだいしたわけでございますけれども、また別途、本日時間の関係上ちょうだいできなかった部分につきましては事務局の方に御意見をちょうだいしたいと存じます。それで次回までにとりまとめさせていただきたいと思っております。ですから、本日でもって最後というわけでは決してございませんので、もしよろしければ次のテーマ、議題に入らせていただきたいと存じます。よろしゅうございますか。

模倣品に係る事例集について

土肥委員長

それでは次のテーマでございますが、いわゆる事例集(案)ですね。水際及びインターネットにおける模倣品問題に関する事例集(案)をまとめたようでございますので、これについての審議を頂戴したいと存じます。まず、事務局より事例集(案)についての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

花木審議室長

資料3でございます。模倣品につきましては第8回の委員会でも検討いただいたわけでございますが、引き続き検討するということになっていたかと思います。我々事務局の方で、関係業界、関係官庁等を含めまして、現在主として商標法でございますが、商標法及び意匠法に関係して、実際模倣品でどのような点について明らかにすべきというニーズがあるのかといったヒアリングを行ってまいりました。
位置づけでございますが、この資料3の紙につきまして今回御議論いただいた上で、それも踏まえた形で次回の審議会で、こちらにつきましてもとりまとめた上で公表させていただければと思っているところでございます。
内容でございますが、はじめにということでございまして、こちらは今申し上げたような趣旨でございます。実際に商標権侵害品が非常に模倣品については多い。98.7%と税関の認定手続に入ったもののうち、ほとんど商標でございまして、しかも件数も数年前に比べて3倍程度と非常にふえているわけでございます。これは4番目の段落にございますが、個人輸入とか、インターネットとか、そういうものが非常に活発になったということでございます。
この事例集の性格でございますが、特許庁としては、同じパラグラフでございますけれども、産業財産権法を所管・運用する立場から、権利侵害の可能性があるケースを具体的に示させていただいた上で、関係規制当局における取り締まり等の実効性の向上と、それから啓発活動を意図しているということでございます。
最後のパラグラフのところに書いてありますが、特許庁の見解を述べたものという位置づけで、各商標制度小委員会、また意匠制度小委員会の委員の方々に御検討いただいた上で、最終的な責任は特許庁においてまとめるということで、また最終的な判断は司法において判断されるべきということでございます。
基礎編は、商標権と意匠権の基礎知識でございますので、飛ばさせていただきます。
6ページ以降に、事例について約15個程度の事例を挙げさせていただいているところでございます。大きく分けましてローマ数字のIが個人輸入、自分が輸入した場合の事例でございます。それからもう一つのパターンといたしまして、自分が売る場合、インターネットを念頭に置いているんですが、13ページ以降につけております。
輸入した場合の事例につきましては7つ挙げさせていただいておりまして、主な論点としては、個人輸入した場合にそれが業要件に該当するかどうかということでございます。一番典型的な例が事例1で、海外に渡航し偽ブランド品のバックを輸入した場合ということでございまして、1パラグラフ目の4行目でございますが、1個輸入する行為であっても反復継続的な意思で譲渡している場合におきましては、こういうものは商標権侵害の可能性もあるということを書かせていただいております。詳細につきましては、事前にお送りしておりますので、割愛させていただきたいと思います。
事例2は、その場合に本物であると信じていた場合はどうかということでございます。この場合は故意はないわけでございますが、しかしながら、過失があれば差止請求、損害賠償といった規定の適用を受ける可能性があるということを書いております。
また、次の事例3、8ページでございますが、輸入の形態というのは、自分が出掛けて行って買う場合に限らず、インターネットサイトを利用して買った場合という場合でも、当然のことですが輸入に当たりますということでございます。こちらはデジタルカメラ用バッテリーという一見商標とわかりにくいものであっても、こういうような商標権侵害品もあるということでございます。
それから、9ページ、事例4でございますが、友人・知人等を経由して買う場合でございます。こちらにつきましては本人が商標権侵害になるのは当然でございますけれども、3パラグラフ目でございますが、頼まれた友人・知人においても、買ったものを、この場合個人Aさんに引き渡すまでの間保管しているという行為が、商標法第37条第1項第2号の保管行為に当たるとして、いわゆるみなし侵害に当たる場合の可能性があるということを書かせていただいております。
それから、10ページ、事例5のところでございます。企業が従業員を通じて、立て替えで偽ブランド品を輸入させる場合でございます。こちらにつきましては企業の責任が認められるということ、また、両罰規定により会社については1億5000万円以下の罰金刑が科されるということで書かせていただいております。
11ページでございますが、個人輸入を代行していると称しているような場合、いわゆる第8回の委員会でグレーゾーンというようなことで御指摘があったかと思います。こちらにつきましては、下にバイアグラ錠事件の判例を引用させていただいておりますが、個人輸入、代行だからといってこういったような要件に当たる場合は、業性が認められるという判例があるわけでございます。
12ページは意匠権ですので、飛ばさせていただきます。こちらも転売目的で購入ですので、いわゆる業目的が推認されるということでございます。
以上が個人輸入の場合でございまして、2番目にインターネットで出品する場合でございます。13ページですが、事例8として販売する場合、こちらは商標権侵害になるということでございます。販売行為というのは譲渡に当たりますので、それが反復継続の意思で行っている場合には、商標権侵害になるということを書かせていただいております。
14ページでございますが、こちらは最近多いインターネットのオークションでございます。こちらに出品したという段階で既に商標権侵害が実施されたというふうに解釈できるのではないかというのが、このポイントでございます。具体的には出品したことが、2パラグラフ目の下のところに書いてありますが、商標法第2条第3項8号による標章の使用、いわゆる広告行為に当たると思われるということを書いているわけでございます。
また、8号以外に、15ページの右側でございますが、セコムステッカー事件の判例を引用させていただきまして、出品行為というのが販売のための展示、いわゆる2号にも当たるというふうに書かせていただいております。
それから、本物であると信じていた場合、これは先ほどの個人輸入の場合とほぼ同様でございます。
それから、16ページでございますが、明らかに偽ブランド品であることを明示的に表示した場合にはどうかということでございます。こちらの場合に誤認混同との関係というのが一つの大きな論点かと思いますが、こういったようなものについても、商標権侵害となる可能性があるというふうに言えるのではないだろうかということで書かせていただいております。
また、その表示が、出品の段階では表示しておらず、落札後に落札者に対して偽ブランド品であることを通知する場合、こちらにつきましても同様ということかと思います。
それから、17ページでございますが、事例13で、いわゆるID貸しのようなものでございます。これはオークションサイトで販売を行う業者からIDを、いわゆるオークション上のIDを借りた場合でございます。こちらは商標法の商標の使用に当たるという定義にはなかなかならないかと思いますが、この個人Aの共同不法行為、あるいは共犯としての位置づけがあるのではないかということを書かせていただいております。
18ページでございますが、独自サイトでの広告販売ということでございまして、こちらは単にオークションに出品した場合よりも、自らサイトを立ち上げた場合の方が、行政が業としての行為であると認められる余地は高くなるのではないだろうかということを書いているところでございます。
19ページ、意匠権でございますが、意匠につきましても同じような問題があるということでございます。後ろに関連条文をつけさせていただいております。非常にはしょった説明でございますが、論点としては、個人輸入につきましては業との関係、インターネットにおきましては、出品行為が商標法の使用に当たるかどうかという論点が大きいのではないかと思っている次第でございます。
以上でございます。

自由討議

土肥委員長

ありがとうございました。
最初に冒頭説明がございましたように、産業財産権法を所管・運用する立場から、関係規制当局における取り締まり等の実効性の一層の向上のためにこれが1点、それから、国民全体の啓蒙的な要素ももちろんもう一点あるわけでございます。恐らくこういう書き方ですと、かなり字はたくさんございますし、関係規制当局にとっては十分なんだろうと思うんですけれども、啓蒙ということの観点から何か補充することはありますか。

花木審議室長

ここの枠囲いの中に書いたようなものについては、すべて結論として商標権侵害の可能性が高いというふうに今なっておりまして、そういうことであれば国民の皆様との関係では、ここの枠囲いに書いたものは、これは商標権侵害になるんですよということかと思いますが、今の委員長の御指摘もございますので、この最初の枠囲いのところの下に、結論を大きく書くとか、あるいは太字で書くとか、そういった工夫をしていきたいと思います。

土肥委員長

そうですか。ありがとうございました。
それでは、どうぞ御意見をちょうだいしたいと存じます。特に田村委員は最初に、お帰りになるということもございますので、今のうちにお出しください。

田村委員

拝読させていただきまして、私ほとんど異論がございません。

土肥委員長

ありがとうございます。
他にございませんでしょうか。足立さんどうぞ。

西野入委員
(代理:足立氏)

ありがとうございます。企業の側で権利保護活動をやっている中で、こういったものができ上がるというのは非常にありがたいです。非常にうれしく思います。その中で一つお願いとして、2ページ目の『はじめに』の部分で、一番最後のところに、「特許庁の見解を述べたものであり、法的な拘束力を有するものではありません」というふうに、最後にディスクレームのような形で入っているんですけれども、ケースのところにすべて、『可能性があります』、『考えられます』というふうに書いてくださっていますので、「特許庁の見解を述べたものです」でとめていただいて、「法的な拘束力を有するものではありません」という部分は削除いただきたい。その方が啓蒙にも使えるのではないかなと思います。お願いします。

土肥委員長

そういう御要望があったということにさせていただかざるを得ないと思うんですけれども、御要望ですね。じゃあ伺わせていただくということにさせてください。
松尾委員、どうぞ。

松尾委員

私がいろいろ相談を受ける立場でいいますと、今挙げていただいた例は結構だと思いますが、ほかにぜひ入れて欲しいものとして真正商品の並行輸入の問題があります。ここでは偽物じゃないものは本物と書いてありますけれども、どうも私は巷では「真正品」という言葉の方がよく使用されているように思います。
それから、何か個人輸入で本物だったらば、真正品だったら、個人輸入であり無条件で、何の問題もないみたいに誤解している者が非常に多いように思います。したがって、並行輸入で許されるというときにはちゃんと要件があるんだということを明確に、どこかでしておいていただきたいと思います。
それから、普通の人が読むということを考えますと、言葉をちょっと気をつけて。何で侵害になるのかというと、例えば商標法には、「業として」という要件が入るんだとか。それから、無償でもいけないんだと、そういうようなことをちょっとつけ加えて、わかりやすくしていただきたいと思います。
例えば6ページの初めの例ですが、この6行目に、「今後反復継続的に譲渡する意思がある場合等には」と、これだけではちょっとあまりにも、この程度の弱いもので侵害だと言われるのは不当なので、反復継続的に譲渡する意思を持っていたなど、積極性が認められないと結論として、ぐあいが悪いと思うんです。そういうようなところで、ここの場合にも業としてに該当しますということが挙げられると、わかりやすくなると思うんです。そういうふうにもう一度普通の人が読んでもわかるようにしていただきたいと思います。

土肥委員長

確認なんですけれども、真正品の並行輸入についても書いてほしいという御意見ですか。

松尾委員

そうです。それはやはりそういう質問が多いのと、個人輸入で郵便で本物を入れるなど結構多いんですね、このとき商標権侵害になっているはずなんですけれども、本物だから入れてもいいんでしょうというような非常に気軽な考え方が多いように思いますの。今法立論がいろいろありますから、そういう細かいことは別として、基本的にこれならいいというのはありますよね。そういうところを出すとか、本物だから無条件に入れてもいいんだということにならないということを追加して欲しいと思います。

土肥委員長

本物の場合、並行輸入はできない場合があるということを書くのはかなり難しくなりませんか。

松尾委員

いや、そうでもないと思います。日本の商標権者Aの輸入元のメーカーXとは無関係のメーカーYから、そのメーカーYの商品を輸入するとき、Yの真正品であるからといって「真正商品の並行輸入」にはならないと思います。それが一例です。

土肥委員長

そこが難しくなりそうな気がするので。

松尾委員

例えば、逆にこういう場合は並行輸入として認められます、こういう場合以外は侵害になる恐れがありますとか、何か書いていただく必要があるんじゃないかなと思いますが。

土肥委員長

どうぞ、竹田委員。

竹田委員

松尾委員の言われているところは、多分今度の事例集の趣旨は、先ほどお話があったように設例でまず出ている部分は、みんな商標権侵害になる可能性が高いですよという部分を出しているわけですね。だから、もし今言われているような真正輸入品について言うとすれば、真正輸入品は原則的には並行輸入として侵害にならないのがむしろ私は原則だと思うんですが、極めて例外的な設例を設けて、本来は侵害にはなりませんけど、こういう場合は侵害になりますというような形で書くことになりますよね。ただ、私はうまくどういうふうに書けるかわかりませんけど、特許庁にお任せします。

松尾委員

それでは、私がよく相談を受けて、いやそれはだめですよというような例を一、二挙げさせていただきたいと思います。

土肥委員長

それでは、別途事例をちょうだいして御検討いただきたいと存じます。
他にございますか。
この事例集に関して割合時間を要しないのであれば、先ほどの時間をもらったんですけれども、多分もう少し御意見をちょうだいできるのではないかと思ってこの時間を用意しております。
無償なんかのところ、御意見、松尾委員おっしゃったところもございますけれども、とにかく無償のお土産のところあたりで御意見をいただければと思います。どこかにそういうところがありましたよね。何ページですか。

花木審議室長

無償のところにつきましては、先ほど松尾先生御指摘のありました6ページのところで、譲渡には無償の譲渡が入るということを書かせていただいております。また、事例の2では明記はしていないんですけれども、本物であると信じて偽物であることを知らなかった場合に、これがお土産品であった場合にはどうなのかといったような論点が一つあるのかなと。
それから、あとはインターネットで出品する場合、15ページでございますが、事例10のところを見ていただきますと、出品する商品は偽ブランド品ではないと、本物だと思っていた場合であって、それが単に友人・知人から海外のお土産でもらった場合はどうだったのか。この場合につきましては、一般的になかなか単に友人・知人からもらったということのみによって無過失を立証することは困難であろうということ、一方において無過失を立証するために出品に際して、あらかじめ直接ブランドメーカーにその都度問い合わせをして確認することまでは条理上求められないだろうというようなことを今の論点の関係では書かせていただいております。

土肥委員長

竹田委員、お願いいたします。

竹田委員

今の事例1の点ですけれども、確かに譲渡には無償の譲渡も含まれる。そしてこれは反復継続的な意思でというところにかかっているからと思いますけれども、例えば海外へ行って偽ブランド品を数個買ってきて友人に無償で渡したという1回の行為をとらえて、継続反復の意思で商標を譲渡したのに該当するということを認定するのは、実際上はまず不可能だろうと私は思いますね。何回も継続した場合はどうかということになった場合に、果たしてそれを経済活動と言えるのかどうか。1回、偽ブランド品を二、三個買ってきて友人にも分けてやった。次にもう一度、評判がよかったから買ってきて、また友人に無償でやる。それは有償だったらば経済活動とも結びつきますけれども、無償でまた二、三個買ってきて譲渡した場合でも、なおかつ商標権侵害になるかというのは、ちょっと問題があると思いますけどね。

土肥委員長

要するにこれは、かなり黒であるという事例についてまとめるという趣旨が一つあるんだろうと思うんですけれども、どちらかというとグレーとも言えずに、もうセーフじゃないかというふうに思われるようなものについて、場合によっては可能性があるというふうに、そういう表現の中で書き込むというのが適当なのかどうかと思うんですよ。これは委員の方々の御意見をちょうだいしたいと思うんですけれども。

松尾委員

済みません、ですから私も例えば一番初めの1の事件を取り上げるならば、それは反復継続的は1回でもなんてよく教科書に書いてありますけれども、ここでは、今後反復継続的に販売する意思を持って行っている場合等には、業として商品の譲渡などを行っているものという要件に該当する恐れがあるためにとか、何かやはりここは説明してふくらませないと、よく理解ではないのではないかと思います。

土肥委員長

ありがとうございます。
そういうはっきりしている場合についての事例集と、こういう理解でよろしいですか。

花木審議室長

はい。

土肥委員長

他に何かございますでしょうか。
これはこの後の取り扱いはどういうふうになりますでしょうか。この事例集は、今回御検討していただいた上で。

花木審議室長

今いただいたような御意見も含めて、引き続き各委員の先生から御意見をいただいた上で、修正すべき部分は修正いたしまして、次回2月18日にとりまとめさせていただきたいと思います。
最初に説明が不十分であったかと思うんですけれども、今回やる趣旨でございますが、こちらは第8回の商標制度小委員会で、個人輸入、模倣品問題について非常に最近、冒頭申し上げましたように、侵害、模倣品事例のほぼ99%が商標侵害であって、それが数年間で数倍という勢いでふえているということを受けて、その一環としてやっているものでございます。根っこには知財推進計画2004の中で、その検討を求められているものについて議論するということでございます。
したがいまして、今回のやろうとしていることのスコープといたしましては、基本は模倣品ということでございまして、確かに並行輸入につきまして非常に関心が高い、実務上問題があるということは十分承知しているわけでございますが、ただ、スケジュールが今申し上げたような形で知財推進計画との関係で、年度中にやはりまとめるべきではないかと。また、問題があるという事例をある程度出していくという方向だと思いまして、確かに松尾先生も御指摘の念頭には、去年のフレッドペリー判決のような条件論をということかと思いますが、一方で並行輸入品については、世界的な取り扱いの動向も非常に方向性が必ずしも一致していない。また、商標の目的との関係でどの程度需要者の混同ということを考えるのか、あるいは特許法との並びにおきまして、いわゆるBBS事件との関係をどう整理するのかとか、非常に論点が多いのではないだろうか。そういう中で、しかも実際並行輸入をやっていらっしゃる方は事業者でございますので、そうなってくると事業活動の影響というのも十分考えたガイドラインにしなくてはいけないという制約も考えると、決して後ろ向きということではないんですが、そのスケジュールの中で扱うにはやや荷が重いのかなと。
こういう形でいずれにしろ特許庁が出したということになりますと、それなりの効力も考えられるとすると、我々事務局としましては、並行輸入につきましては、この中で扱うというのはやや中途半端になってしまわないかという懸念もいたしますので、その点につきまして、でき得ればこの内容、さらに模倣品に関係した何らかの論点の追加があればそれを取り上げるという形で、次回審議会までに御意見をいただきながら整理させていただければと思っておるんですが、いかがでございますでしょうか。

土肥委員長

いかがございましょうか。
これそもそも例えば事例の4とか事例の5、こういうようなケースがあって、実は個人輸入を擬装したような形での業としての偽ブランド品の輸入が行われる、そういう明確な実態があるというようなことが議論のそもそもの前提としてありましたよね。そういう本来ここで議論する前提としてのそれを正面に出して、その余のことはもう少し、そういうものをトップに出して、それに従としてハンドキャリーの1点を入れる場合は、こういう解釈も可能性である、そういうのが出てくるんだろうと思うんですよね。だけどあまり解釈上もかなり問題のあるようなことが一番最初にボーンと出てくると、やはり特許庁としてもいろいろ後々何だということになるかもしれないので、御注意いただいた方がいいかもしれないですね。そういうメインに挙げるべき事項は本来業として考えられるんだけれども、それを擬装されているようなものは絶対黒だということでいいと思うんです。
そういうまとめ方で、御意見は格別事務局の方にちょうだいするということでよろしゅうございますね。

花木審議室長

今先生のおっしゃった点につきましては、この3ページの商標権侵害の基礎知識のとのころで、そもそも業として行われるものは商標権侵害なんだということで書いたつもりなんですが、確かに実際に見る人は6ページから見始めるとすると、そこの出発点がややわかりにくいかもしれませんので、編集方針については少し今の御意見も含めて見直しをさせていただいて、また中身についても引き続き御意見をいただいて、次回までにとりまとめさせていただきたいと思います。

土肥委員長

では、そのようにとり進めさせていただきます。
最後に御意見を伺いますけれども、本日の第1の論点ですね、地域ブランドの保護について、それから、第2の論点であるところの模倣品問題といいますか、この事例集案について、トータルで構いませんので、時間があと7分程度ございますので、この場でおっしゃっておきたいと思われる委員の方おいでになりましたら、御発言いただければと存じます。松尾委員。

松尾委員

先ほどの地域ブランド商品、団体商標の効力のところで、26条が出てきましたね。正直なところ26条というのは非常に使いにくいんですね。何々産ではなくてもいいわけですけれども、その条文には、社会通念上「商標」ではない意味での「商標」という言葉が出てくるので、ちょっとそこで戸惑うようなところがあるのではないかと思います。結局3条にしても、それから広く知られたという、4条の1項10号というのも、登録できない要件として記載されています。いろいろ考えますと、いずれは初め言われましたように、商標法の抜本的改正というのは必要なはずなので、これを今できないと思いますけれども、そういった問題があるということをどこかで認識しておいていただくか、あるいはそれを書類上記載するとか、何か考えておいていただきたいと思います。

土肥委員長

ありがとうございました。
他に御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは時間もあとわずかになってまいりましたので、今後の審議会の進め方について一言お願いします。

花木審議室長

先ほども申し上げましたが、次回小委員会第12回は、以前事務局より御連絡させていただいているとおり、2月18日午前10時半より、こちら特許庁16階会議室におきまして開催させていただきたいと思います。案件でございますが、「地域ブランドの保護について」の報告書案につきましてとりまとめを行うということ及び、今御議論いただきました「水際及びインターネットにおける模倣品問題に関する事例集」についてとりまとめをしていただくということを行いたいと思います。

土肥委員長

それでは、よろしゅうございますか。次回は今御案内のあったような形で2月18日ということになっております。
それでは、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会第11回商標制度小委員会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

閉会

[更新日 2005年2月9日]

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