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第11回商標制度小委員会 議事要旨

平成17年1月18日
特許庁

1月14日(金曜日)14時00分~16時00分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 第11回商標制度小委員会(委員長:土肥一史 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)が開催された。

1.審議内容

事務局から資料1、資料2(パブリックコメントに提出された主な意見に対する考え方について)及び資料3(水際及びインターネットにおける模倣品問題に関する事例集(案))に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。

地域ブランド(パブリックコメントに提出された主な意見に対する考え方)について

(1)総論

  • 不正競争防止法第2条第1項第13号で原産地誤認表示は不正競争とされており、罰則まで科され、著名表示より厚く保護されているところ、不正競争防止法での保護が難しいから商標法で保護するという理由にはならないのではないか。
  • 不正競争防止法は、知的財産四法では埋められない部分を補完的に保護するものであり、不正競争防止法で保護ができるので商標法で守らなくて良いというのは本末転倒である。不正競争防止法と商標法の目的は異なっており、商標法の目的である「業務上の信用の維持」に合致するならば、商標法で保護すべきである。
  • 不正競争防止法は、権利付与法ではなく行為規制法である。競争主体の何らかの行為の悪性をとらえて不正競争行為とする。ブランド保護のような保護の対象となる信用・名声の有無は問わないものであるから、不正競争行為の規定があれば、商標法による保護がいらないというものではない。不正競争防止法第2条第1項第13号は、裁判例もほとんどなく、また、営業上の利益がないと差止請求等の主体となり得ないため、実態として使い勝手が悪いといえる。
  • 基本的に地域ブランドの保護を商標制度によって実現することに賛成する。

(2)登録要件

(周知性)

  • 「周知性」のあるものを登録するとした場合、第3条第2項により「識別力」があるとしたものとの関係がわかりにくい。むしろ、第3条に1項設け、地域団体商標の場合には、要件を緩和し一定地域における識別力がある場合には登録できるとした方がよいのではないか。
  • まだ特定の企業はもとより団体としても特別顕著性はないが、地域(産地)から出ているという漠としたものでも当該産地として周知といえる。「地域名+商品(役務)名」からなる商標は、本来の商標権として与える訳にはいかないが、産地を代表し得るようなもの(団体)が管理する権利であると整理すべきではないか。通常の商標権と同じ効力があるとすると、なぜ団体にしぼるのかという疑問が沸いてしまう。

(商標使用規則に係る要件)

  • 品質保証との観点から、主体の要件として、商標の管理条項、メンバーの加入資格等について定めた団体の規則・規約を定めていることが必要であり、その団体の規則・規約の提出、公表が必要ではないか。
  • 商標使用規則、団体適格の審査については、特許庁の審査官は慣れておらず、また、公的に裏付ける必要があると考えられることから、審査官が適切に審査できるように、必要に応じて関係省庁と協議することができるようにすべきではないか。

(主体要件)

権利能力なき社団については、制度趣旨からすれば主体として認めるべきと考えられるが、商標制度全体に影響を与える問題であり、今回は対象としないこともやむを得ない。

(既登録商標との関係)

現在の運用でも第4条第1項第11号の解釈で、出願商標と識別力のある図形付き商標との類否、第3条第2項が適用された既登録商標との類否が判断されているため、今回も解釈で対応すべきであり、条文として規定する必要はないのではないか。

(3)地域団体商標に係る商標権の効力について

  • 地域団体商標は従来型の商標と異なる商標なので、同一の地域の産品であれば正当使用と認めていいと考えられることから、すべて効力制限に追加すべきである。
  • 「産地表示への効力制限」の部分では、JAS法等の規制に対応するために用いざるを得ないから第26条が規定されていると読めるが、地域団体商標のような商標は、本来、自由に使用されることが多いから規定されているのではないか。
  • 第26条で効力が制限される表示が「○○産××」(○○=地域名、××=商品名)に限られると困るので、条文で明確にしていただきたい。
  • 第26条は非常に使いにくいので、今後商標法の抜本的見直しの際に改正が必要。

模倣品に係る事例集(水際及びインターネットにおける模倣品問題に関する事例集(案))について

  • 内容について、ほとんど異論なし。
  • 権利保護活動をしている企業の立場として、このような事例集が作成されることは有り難い。
  • 普及啓発のために作成されるのであれば、結論を分かりやすく示すべきではないか。
  • 真正品の並行輸入に係る個人輸入であっても、場合によっては侵害の要件を満たしていることを明記してはどうか。

2.今後の審議スケジュール

パブリックコメント及び本日の指摘を踏まえ、報告書(案)を修正し、次回の商標制度小委員会においてとりまとめる予定。第12回商標制度小委員会は、平成17年2月18日(金曜日)10時30分~12時30分に開催する予定。

[更新日 2005年1月19日]

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