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土肥委員長 |
それでは、ちょうど時間になりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第14回商標制度小委員会を開催いたします。 |
田川審議室長 |
それでは、配布資料の確認をさせていただきます。本日の配布資料は、3種類でございます。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、「商標制度の在り方(論点整理)」、それから前回お配りをいたしました「商標制度の在り方について(案)」を再度ご参考までに配布をいたしております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。早速でございますけれども、議題に入らせていただきます。 |
田川審議室長 |
それでは、第1の議題でございます「小売業等のサービスマークとしての保護」につきましてご説明をいたします。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。前回は質問もちょうだいいたしましたので、本日は早速ではございますけれども、議論に移りたいと存じます。ご意見をいただければというふうに思っております。 |
本宮委員 |
今のどこまでということですけれども、総合小売りと単品小売り、この線引きはかなり難しいように思います。あと、2ページ目の |
土肥委員長 |
ありがとうございました。そういうマドプロとの関係も考慮すべきであると、こういうご意見かと存じますけれども、ほかにいかがでございましょうか。松尾委員。 |
松尾委員 |
目安として、この3つ分けて考察されること自体は結構だと思います。しかし、例えば |
土肥委員長 |
ありがとうございました。恐らく、 |
萬歳委員代理(白石氏) |
今の議論のご支援といいましょうか。この小売りサービスのマークが認められる具体的利点ということのお話をしてみたいと思うんです。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
田村委員 |
1つだけよくわからないところがあります。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。鈴木委員。 |
鈴木委員 |
小売業商標の登録制度を設けることの意義というのは、商品分類を片っ端から登録をとらなくてはいけないという実情があって、それを1つの分類で権利をとればカバーできるということと理解しています。そういった制度ができることというのは、恐らく出願人側にとっての最大のメリットだと考えております。そうだとすると、 |
土肥委員長 |
貴重なご意見をありがとうございました。松尾委員。 |
松尾委員 |
今の点ですけれども、私は商標が消費にかかるものと、サービスにかかるものとあるというふうに考えます。そうすると、例えば特定の商品、眼鏡であっても、眼鏡という商品に商標を付けているならば、それは商品商標ということであって、そういうふうに商標を使う方であれば、商品商標をとればいいわけです。しかし、いろいろなメーカーの眼鏡を扱っていて、それぞれの商品には商品商標は使わない。だけど、自分がいろいろなものを品揃えして、お客さんにその特徴を伝えて、その販売をしている。だから、その商品には、例えばメガネドラッグというのは商品の眼鏡には付いていないと思います。店のサービスには付いているわけです。それはその性質からいって、サービスマーク、商品商標ではなく、役務商標であると、そういうふうに商標をどういうふうに使っているかによって、小売サービス業の商標になったり、商品商標になったりするのであって、それは使う人がどういう使い方をするかというところから考えていったらいいだろうと思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。おっしゃるとおりなんですけれども、問題は次にありまして、審査のところなんですけれども、そうすると、商品商標と、つまり販売票と今度の小売役務商標との間の審査を当然するということになるんでしょうか。 |
松尾委員 |
私はむしろサービスマークということである以上、ほかの今のサービスマーク制度と同じように、商品との関係の審査は要らないと思っています。もちろん、11号では要らないわけですけれども、著名表示とかというのが出てくれば、これは全然話は別です。 |
土肥委員長 |
高部委員お願いします。 |
高部委員 |
仮に |
土肥委員長 |
ありがとうございます。ほかにご意見ございますでしょうか。確認のためにお尋ねするんですけれども、仮に |
鈴木委員 |
今の問いかけは、商品商標との間のクロスサーチの要否ということですね。私どもでは、まず |
土肥委員長 |
ありがとうございます。本宮委員。 |
本宮委員 |
今の類否の4条1項11号との関係でいいますと、 |
土肥委員長 |
高部委員。 |
高部委員 |
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本宮委員 |
要らないといいますか、厳密には本来は要るようにも思うのですが、実際それができるかどうかという問題。例えば、今の飲食物の問題に関しても、本来は要るのかもしれませんが、それを特許庁サイドで、どの辺までやれるのかという問題との兼ね合いもあるかと思います。 |
土肥委員長 |
高部委員。 |
高部委員 |
現実に審査がどこまでできるかどうかは別として、その審査が要らないとは法律上は読めないのではないかと思います。「商品もしくは役務」というような規定のし方がしてあって、しかも2条5項では商品の類似の範囲に役務が含まれることがあり,逆もあると明文で規定されていますから、 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。甲論乙論双方ございますけれども、また、そのところは審議室も十分受けとめて、聞かせていただいております。それで時間の関係であと2点ちょっとお尋ねをしたいんですけれども、少し実務的になるんですが、この資料で言うと、指定役務の記載のところですね。ここについて、これは恐らく、こういう場よりももっと別の場がいいのかもしれませんが、何かこの点についてご意見ございますか。例えば、丸々における丸々、こういう役務の記載の仕方というのが出ておるところでございますけれども、つまり、百貨店における品揃えとか、そういう例がここに出ておるんですけれども、これは恐らく、利用者、ユーザーの方の問題になってくるんではないかなと思いますので、ユーザーの方、あるいは代理人の方からご所見いただければと思いますけれども、特にございませんか。 |
鈴木委員 |
それでは指定役務の方ですけれども、先ほどのクロスサーチの有無にも関係してくると考えております。と申しますのも指定役務のところで単品なのか、総合なのかというところがある程度わかりやすくなっていないと、クロスサーチのしようがないのかなと考えています。また、ウォッチングをするという企業の立場からしても、中身がわからないというようなことにもなります。この点、4ページ目のコンビニエンスストアにおける云々、ドラッグストアにおける云々というような書き方で、うまくいくのかなという疑問もありまして、定義があれば、良いのだとは思うのですけれども、こういう多様なカテゴリーの商品を扱っている事業者が、コンビニエンスストアとか、ドラッグストアという言葉で、すべて適切にあらわされているのかなという不安がございます。 |
土肥委員長 |
今の点についてだけなんですけれども、お答えいただけますか。 |
田川審議室長 |
インターネットを介したという点については、諸外国でももともとニース協定の国際分類でも、そういうものがサービスに含まれるということは第9版の中に書いてございますので、書き方の問題については、いろいろ議論があろうかと思いますけれども、インターネットを通じたというような書き方で、何か工夫ができるんじゃないかというふうに思います。 |
土肥委員長 |
竹田委員お願いします。 |
竹田委員 |
今の点にも関連しますが、先ほどのところに戻って結論だけ申し上げると、田村委員や鈴木委員や高部委員が言われたように、 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。ほかにご意見いただけますでしょうか。松尾委員。 |
松尾委員 |
この場所で決めていくというのは、余り意味がないんじゃないかと思います。私、知りませんが、むしろ、これを読みながらお聞きしたいと思ったんですが、コンビニエンスストアというのは、こういう定義であるとか、それからドラッグストアはこういうのをいうとか、家電販売店というのは、こういうものをいうとかいう定義があって、そして、その定義に外れていたらば、命令でも出して行政的に変えさせるとか、そういうような制度があるならば、こういう決め方をしてもいいんですけれども、そうじゃなければ、誰かが書けば当たってしまう、1になったり、2になったり、3でも2になるとか、そういうことでは余り意味がないので、場所的な記載の仕方をするのは問題であると思います。 |
土肥委員長 |
いろいろご意見をちょうだいしておりますが、もちろん |
根本委員 |
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土肥委員長 |
ありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。 |
田川審議室長 |
はい。 |
土肥委員長 |
わかりました。その際にまた議論をいただく。もし、本日最後の方で議論の時間がありましたら、またしていただきたいというふうに思っています。 |
田川審議室長 |
それでは、第2のテーマでございます権利侵害行為への「輸出」の追加につきましてご説明をいたします。 |
土肥委員長 |
どうもありがとうございました。それでは、以上の説明を踏まえまして議論に移りたいと存じます。これもまた同様に、自由にご意見をいただきたいと、こう考えております。いかがでございましょうか。 |
高部委員 |
国際的な制度調和ということで、イギリスやアメリカ、ドイツといったところの紹介がございましたけれども、輸出を規定する立法趣旨との関係で,アジアの諸国の商標法がどうなっているのかという点に関心がございますので、お教えいただければと思います。 |
田川審議室長 |
アジア各国につきましてでございますけれども、資料をもとに調べたところでは、対象といたしまして、中国、韓国、台湾、香港、ASEANのシンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、こういった国を調べましたところ、商標法上、「輸出」を侵害行為と規定しておりますのが韓国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、この5か国でございます。また輸出の水際措置をとっておりますのが中国、韓国、台湾、香港、タイとなっております。 |
高部委員 |
ありがとうございました。先ほど「輸出」を追加する場合の立法趣旨、必要性として模倣品対策とか、我が国に商標権侵害品が環流してくることによる信用の棄損といったことが挙げられたわけですけれども、環流ということが現実に危惧されているのでしょうか。この点は、政策的な問題だと思いますので、輸出を入れるか入れないかはその必要性いかんにかかわってくると思います。アジアの諸国つまり模倣品対策で問題となっているような国々に対して、輸出を侵害行為として規制してほしいということを要求していくのについて、日本はどうなのかと聞かれたときに、私のところはありませんというのでは非常に話がしにくいから、その場合には日本も入れた方がいいというのはよくわかる議論だと思います。 |
田川審議室長 |
中国の場合には、商標法上、明確に輸出を侵害行為としてはおりませんが、輸出の時点で侵害物品の取り締まりをやっております。 |
高部委員 |
輸入ではなくて、輸出の時点での取り締まりですか。 |
田川審議室長 |
はい、そうです。 |
高部委員 |
それは中国における商標権の侵害品ということですね。 |
田川審議室長 |
さようです。 |
高部委員 |
他国の商標権ではなく、あくまでも中国に登録された商標権の侵害品を外に出さないということですか。 |
田川審議室長 |
そういうことです。 |
高部委員 |
ありがとうございます。 |
土肥委員長 |
ほかにいかがでございましょうか。 |
田川審議室長 |
特実意匠との関連もございますし、あとは具体的に法律として書くときの論点として考えられるところを挙げたところでございます。 |
土肥委員長 |
特にございませんでしょうか。竹田委員。 |
竹田委員 |
私が「輸出」を商標の使用に含めることについての問題点としているところは、前回申し上げたとおりですから、ここで繰り返すつもりはありません。あとは政策的な問題と思いますので、その点は政策遂行上、特に知財戦略との関係で必要だということであれば、あえて異を唱えるつもりはありませんが、それにしても、この特許庁のペーパーを見ていても、至るところに属地主義との関係が、関係がないと言いつつ、関係があることが触れられているので、そのことはちょっと気がかりです。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。鈴木委員。 |
鈴木委員 |
私どもも前回、知財協としての意見を申し述べましたので、その点に関して繰り返すことは致しませんが、この「輸出」を追加しようというお考えは、「模倣品・海賊版拡散防止条約」を日本が主導的に推進をしていくと。その中で日本が最先端といいますか、模倣対策について最も厳しい国であるという位置づけでないと、それが実現できない、ということが第一の理由だということでよろしいですか。 |
土肥委員長 |
では、お願いします。 |
田川審議室長 |
政策的にはおっしゃられたとおり、我が国が模倣品対策をきちんとやっていくということが海外に対して模倣品対策を進めるという上では必要なことだというふうに考えております。 |
土肥委員長 |
そうすると、先ほど少し質問として出たと思うんですけれども、還流の実態というのは、正確に補足された上で、由々しき問題であるというところは確かなことなのですか。つまり比較生産コストを考えても、一々日本でつくって、また向こうに持っていって、また持ってくるという、そういうコストをかけて、さらに捕捉される危険性もあるのに、そういう実態が相当あるという、この文章は書いてありますよね。それはどうなんですか。 |
田川審議室長 |
環流につきましては、これはある意味で現行法を前提としたときに、ある種考えられ得るケースとしては環流というのがあるのではないかということでございますが、例えば、誰がつくったかはわからないけれども、侵害物品が輸出をされるといったような実態があるときに、それを差し止めることができないということはやはり問題ではないかということでございます。環流のところは、ある意味、法律上の整理として、こういう類型があり得るのではないかという整理でございます。 |
土肥委員長 |
インターネットと書いてあったから、文章ではそうなっていたと思うんですけれども、そういうきちんとした指摘があるのかなということだったのですけれども。もし他に何かあれば、よろしいですか。松尾委員。 |
松尾委員 |
私、「輸出」を加えることについて、いろいろな理由から、それは賛成してもいいと思っているのですけれども、しかし、今の模倣品対策というのが表面に出てくるというのは、それも目的であるということで、基本的には商標法の話ですから、輸出の市場というのは、輸出されるべき商品が日本においてつくられる。その競業者間で公正な利益を保護するための輸出も規制する、商標権者の利益が国内でもあるという保護法益をきちんと書かないと、政策的なことが先に出るのはちょっと疑問に思います。また何かあるとまた変えるということにもなりかねないと思います。 |
田川審議室長 |
今のご指摘についてお答えしたいと思います。模倣品の議論についてもあるわけでございますけれども、諸外国が商標権者の法律上の利益として第三者が無権原者が輸出をした場合の信用の失墜であるとか、そういったところを保護法益として考えているという観点は、日本も同様に考えるべき点であるというふうに思っております。そういう観点では、少し説明ぶりをきちんと整理をしたいというふうに思います。 |
土肥委員長 |
高部委員。 |
高部委員 |
輸出による信用の失墜というのは,どこの国における信用の失墜でしょうか。 |
田川審議室長 |
それはまず日本国内での信用失墜というのは当然あり得ると思います。例えば、海外に模倣品が出されることによって、当然、日本にもいろいろな反射的に影響があり得ることだというふうに思っております。 |
土肥委員長 |
篠原委員どうぞ。 |
篠原委員 |
ちょっと法律の名前はもう忘れてしまったのですけれども、戦後、日本は輸出で外貨を稼ぐという時代に、例えばカメラだとか、精密機械だとか日本の得意産品の品質を確保する、あるいは粗悪品を海外に輸出して、日本の信用を失墜させないという趣旨から、輸出について検査をし、一定のグレードでないと輸出を認めないという法律があったと思います。この保護法益たしか、国内の産品を海外で信用を維持するというか、信用を落とさないという保護法益だったとは思うんですけれども、今回このご提案は両面あって、1つは著作権者の保護法益を守るということと、海賊品みたいなものを輸出するような国で、日本は信頼できないというようなことにならないような保護法益と両面あるんだとは思うんです。 |
田川審議室長 |
デザインを中心にしておりましたけれども、対象につきましては確認をしたいと思います。 |
松尾委員 |
それは相手の国との関係で商品を通産大臣が特定して、そういうものについて輸出を禁止していたと思います。輸出貿易管理令かなんかそんなものですね。今はそれは使われていないけれども、やはり法律としては残っています。水際で使うときには、そういうのが必要だと思うんです。しかし、財務省の方で実体法で違法じゃないものまで違法とするような解釈するのではなくて、その前提としては、やはり実体法できちんと輸出を定めると、規定すると。そしてその上でほかの国との関係で一般的にするのか、特定するのか、その後に考えるべきであろうと。その法律との関係ではそう思っています。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。ほかにはいかがでございましょうか。高部委員。 |
高部委員 |
あと、今日のペーパーの9ページの一番下のところで、通過の問題が出てきているんですけれども、例えば、特許法の69条でしたか、特許権の効力が単に日本国内を通過するにすぎない何々には及ばないと、そういった規定があるのですけれども、そういった規定とこの通過の問題というのはどういうふうにかかわってくるのか、ちょっと趣旨がよくわからないので、もう少しご説明いただければと思いますが。 |
土肥委員長 |
どうぞ。 |
貴田審議企画班長 |
特許法で規定をしております通過の問題につきましては、船舶や航空機などが領域内を通過していくことを想定しておりまして、模倣品が船で日本に来て、それを通関あるいは輸入目的ではなくて保税地域に置いて、さらに第三国に送り出していくようなケースとは少し規定の性質が違ってくるのではないかなと思っております。特許法のこういう規定が入った背景につきましては、さらに調査をして検討したいというふうに思います。 |
土肥委員長 |
よろしいですか。 |
高部委員 |
はい。 |
土肥委員長 |
この通過というのは、商標の場合も、FTAにおいて、こういうところを書き込んだりしますよね。そういう議論との関係もあるのかな。つまり、東南アジアのどこかの国に侵害品を一回置いておいて、そこでパッケージもかえて、その上でまた仕向国に出すようなことがあったりして、その国は通過するだけだけれども、そこでの侵害もキチンと見ろというふうによく先進国は途上国に求めたりしますけれども、そういう議論かなと思って拝見をしたのですが。 |
田川審議室長 |
それでは、第3点のコンセント制度についてご説明をいたします。 |
土肥委員長 |
どうもありがとうございました。それでは、同様に以上の説明を踏まえまして議論に移りたいと存じます。ご自由にご意見をちょうだいしたいと存じます。琴寄委員、お願いします。 |
琴寄委員 |
今のご説明をお伺いしまして、以前の審議会で私の方で実際にコンセント制度の導入ということについてはニーズがあるということを申し上げたことがあるのですけれども、今のご説明で私の方で理解しておりますのは、現行の審査制度の中で、審査基準を改定してより的確な類否判断ができるようにして、特に4条1項11号の類否判断を審査官の方がされる場合にはコンセントを提出すれば、審査官が合理的な判断をもって非類似と判断する方向で参酌するという形で、どちらかというと、法改正を伴わない形の導入という形で理解しております。法改正云々というところにこだわるわけでは全くないのですけれども、自然に考えますと、非類似という考え方というよりは、むしろ、コンセントを導入する際には、類似であるけれども、混同のおそれがないという考え方をとることが自然のような気もしておりまして、これはおそらく4条1項11号の法改正という形にもつながるような話なのかもしれませんけれども、現行制度の中でのこういう形での導入ということの背景としては、恐らく、私どもの方で法改正にするにはかなりの時間が要するということで、早期導入ということも考えると、こういう現行の範囲内で処理できるやり方も可能ではないかという問題提起のように思いますけれども、そのあたり、事務局の方としてはどのようにお考えなのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。 |
土肥委員長 |
では、お願いします。 |
田川審議室長 |
まず、おっしゃられるとおり、もしこれを法律上類似と混同を生ずるおそれという整理と、これを使用といたしますと、なかなか難しい問題点というのはございます。かつ我が国において、例えば、完全コンセント制度のようなものは、事業者の保護の観点から適切ではないと。そういたしますと、審査の段階、運用の段階でコンセント制度的なもの、先の商標権者の同意があった場合に、類否の判断において、その同意というものを参酌するという運用が考えられるのではないかというご提案でございます。 |
土肥委員長 |
竹田委員。 |
竹田委員 |
これは現行法に基づいて法改正を行わないで、同意する意見書があった場合に、それを参酌して類否判断を実質的には行わない。すなわち、同意があれば、11号はクリアできる運用にするというのであれば、これは非常に重要な問題です。現行法の解釈で、例えば審査基準を変えることによって、そういう制度を導入するというのであれば、私は反対せざるを得ないと思うんですけれども、今の審議室長の答えがそういう趣旨なのかどうかちょっと不明確なのですが、そこのところをもう少しはっきり説明していただけませんか。 |
田川審議室長 |
同意書があった場合に、自動的に類否判断を非類似とするということではなくて、これはあくまでも類否判断の一つの材料として同意書というのを位置づけることによって、類否判断の一つの参考資料として扱うことができるのではないかという趣旨でございます。したがって、運用において、ある種完全コンセント制度的なものを導入しようという趣旨ではございません。 |
土肥委員長 |
どうぞ。 |
竹田委員 |
それはやはり問題だと思います。11号の類否判断は、先行商標の商標権者が同意書を出せば、それでいいというものではありません。これは我が国の経済社会における商標の流通の問題ですから、それを参酌するというのは、今のような形でやって問題はないと本当に思っておられるのか、もう一度確認したいと思います。 |
田川審議室長 |
当然、審査の結果、類似するというふうに判断する場合には、当然、後の商標出願は登録になるものではございません。したがいまして、その点、私どもとしては問題ないのではないかというふうに考えております。 |
土肥委員長 |
ですから、多分、ここでこういうことを言っていいのかどうかわかりませんけれども、コンセントをしないということを言っているのだと思うんですよ。 |
田村委員 |
土肥委員長のまとめであれば別に問題ないのですけれども、留保型コンセントと書いてありますので、やはり、ほかの同意がなかった場合に比べて、例えば商品類否、商標類否が多少は狭まることはさすがに前提となさっているのだろうと思います。確認が必要だと思いますが、もしそうでなければ、導入する意味は多分ないんですよね。幾つか問題点がありまして、狭い感じのコンセント制度のようなのですけれども、それだとすると、企業のニーズには完全には対応していないと思うのです。恐らく一番ニーズがあるのは、関連会社等で別々に商標権を保持したいときだと思うのですが、そうすると、例えば1つの制度、枠組みとしては、出所の混同が起きない範囲であれば、コンセントで認めるというようなタイプの制度などがあるのかなと思いますが、そういうわけでもないということなので、ニーズにそれほど対応していなくて、かえって疑義がたくさん生じるのであれば、これはやらない方がよろしいのではないでしょうか。土肥先生が、これはコンセント制度否定だというご趣旨であれば、やらなければいいのではないかなと思うのです。 |
土肥委員長 |
多分、今でもこういうことはできるのだろうと思う、そういう意味のコンセントなんですよ。意見書の態様の一つとしてコンセントをみるという説明ですから。高部委員どうぞ。 |
高部委員 |
類否の判断とか、出所の混同のおそれというのは、客観的なものであるべきであって、主観的に先行商標の商標権者が同意するかしないか。しかも先行商標の方だって、もしかしたら移転する可能性もあるわけでして、そういったことを考えますと、現行の法律のもとでいくのであれば、あくまでも客観的な類否判断と客観的な混同のおそれの判断をするべきではないかなと思います。そうでないと、審査のところで仮にクリアしたとしても、取り消し訴訟までいったときに、それがどのように斟酌されるのかという保証は一切ないわけで、かえって市場に混乱をもたらしてしまうように思います。 |
土肥委員長 |
田村委員どうぞ。 |
田村委員 |
ひとつ気になるのですが、現行法だと、コンセント制度ではもちろんありませんけれども、実際に登録を得た後での譲渡はできるわけです。その譲渡のときに混同が起きた場合の取り消しの審判の制度があるのですが、あれとの関係がよくわからないのですけれども、おそらく、あそこで適用されるよりは、ここでセーフになる範囲はもちろん狭いというお考えなのですよね。 |
土肥委員長 |
今のご質問は譲渡のときの、権利譲渡の場合の混同についての担保措置との関係ですね。それとの関係はどうかと。 |
貴田審議企画班長 |
ちょっと質問のご趣旨を確認したいのですけれども、譲渡のとき混同が起きて取り消しの請求の対象になるということと、それと今回のコンセントが意見書として出てきて、登録が認められたときに、その扱いがどうなるかということであれば、今提案させていただいているものに基づきますと、類否判断の一つの参考資料ということですので、コンセントのあるなしにかかわらず、非類似だということであれば、無効審判あるいは異議申立て等において非類似だという判断がされますし、そういう無効審判等の中で、そういう意見書に対して重きを置いた評価というのが正しかったかどうかということをきちんと判断をし直すということになるかと思います。 |
田村委員 |
現行法ですと、結局、混同と不正競争の目的ということで、それなりの縛りがあって、コンセントがないですから、一たん登録した後、類似の範囲で譲渡しようとすると、一応そういう縛りでずっとかけているわけですね。それに対して今回の運用次第なのですけれども、もし留保型コンセントというのが、今まで類似判断していたものを幅広く除くという趣旨ですと、先ほど高部委員がちょっとご示唆なさったように、取消審判の制度にかからない野放しの商標権が2つ登録されて並立するわけですね。そうすると、今まででしたら、後から一応、法としては取消審判で縛っていたのが全く類似しないという判断でどう譲渡してもいいという、大変、緩やかなものができてしまうということになるので、それくらいドラスティックな差異があるにもかかわらず、グレーのときにコンセントを見るという非常に曖昧な基準でそこが尻抜けになるのが非常に心配です。全くドラスティックなことばかり申し上げていますけれども、例えばそういうグレーな形ではなくて、現在の取消審判の方の要件にあるものを登録時点に持ってきた制度であるとか、そういった形で明確に正面から認めるか認めないかということをむしろ議論した方がよろしいのではないかと思います。高部委員もおっしゃっていたように、この改正ではないですね。審査基準の改正だと、後で知財高裁のところで大問題になるのではないかという気が私はいたしますけれども。 |
土肥委員長 |
竹田委員どうぞ。 |
竹田委員 |
重ねて申し上げますけれども、コンセント制度を立法政策上、必要かどうかということで正面から取り上げて法改正が必要だという意見が審議会で多数を占めるのであれば、それはそれで私としてはいろいろ意見がありますけれども、一つの方向だとは思います。しかし、現行法のまま、こういう運用をすることは現行法の制度と相入れない、それは田村委員と高部委員がおっしゃったとおりで、そういうことを運用で解決するというのは一番いけないことだと思うんですね。これはぜひ削除していただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
このテーマについては、どういうわけか、学者、弁護士、裁判官のいわゆるユーザーとか、代理人の方のご発言がないのですけれども、恐らくそこのところ、根本委員、ではお願いします。 |
根本委員 |
企業としては、今、魅力ある商標を採択して、それから他人との商標権とのかかわり、もしくは不正競争とのかかわりをクリアして、実際に使用できるというところに至るまでなかなか難しく非常に小さい確率になっています。ですから、企業としては、どういう形であれ、商標の採択の幅が広がるという意味では、まずうれしいということがあるのですが、ここでいうと、同意書を提出した後にまた審査を行って、類似の判断というのが出てくるのですが、この類似の判断の基準が曖昧でちょっとわかりづらい、もしくは企業としてなかなか判断、予測がしづらいということであると、若干企業が名称、商標を採択するという点で二の足を踏んでしまう場合もあるかもしれないということをちょっと申し上げたいと思います。 |
土肥委員長 |
そこのところは、他の委員もおっしゃっておられるところで非常に重要なところなんですけれども、若干認識のずれがそこはあるのだろうと思うんですね。全く同一というのと、極めて酷似するようなものが外れるのかなというふうに思っていたのですけれども、説明だと類似の範囲まで外れるということのようですね。松尾委員も手を挙げられたと思いましたけれども。 |
松尾委員 |
私は、新しい制度を導入するような書き方になっていますが、現実に考えていらっしゃるところがちょっとわからないでおります。結局、ここに(4)に類似商品役務審査基準の改正ということが書いてありますけれども、的確に時代に対応した審査基準を常に持つということは、私は実際不可能だと思います。この類似というものについて、ユーザーの方が問題になっている役務や商品について十分な知識を持っておりますので、はっきりと類似しているというようなものは別ですけれども、特許庁の方でも、審査官がいろいろと判断に困られることがあると思うんです。 |
土肥委員長 |
今、こういう形でおっしゃったのは、意見書に添付する資料、そういう意味ですね。 |
松尾委員 |
そうです。一緒に出すという感じですね。 |
土肥委員長 |
そういう話だと思うんですけれども、篠原委員。 |
篠原委員 |
ここに書いてあることと、ご説明を伺っている範囲内では、何行目ですか、参酌する留保型コンセントを導入する、参酌するということと、留保型コンセントを引っつけているから、ものすごく混同があるのではないかと思います。ご説明を聞くと、留保型コンセントの導入ではないんですね。要は、ご説明は同意書を参考にしますというだけの話なんですよね。書いてあることは、参酌するだけならいいのだけれども、留保型コンセントを導入するということで引っつけているから、何か訳がわからなくなっちゃったのではないですか。私の理解は、要するに同意書を判断の参考にすると、ワン・ノブ・ゼムと、判断のすべてではないというふうに理解したので、それで運用できるのではないかということに賛成なのですが、それで理解間違っていないのかどうか。 |
田川審議室長 |
おっしゃられるとおり、参酌をするということでございまして、そこは次回提出する資料ではきちんと整理をしたいと思います。 |
土肥委員長 |
鈴木委員どうぞ。 |
鈴木委員 |
ニーズのお話で、私ども知財協の意見も申し述べた方がいいのかなと思っております。コンセント制度自体をそのほかの問題を全く取り払って考えると、完全型がいいというのは、民間ではほぼ100%の意見だと思います。苦労してとったコンセントが認められる。そして自分たち当事者はそれが正しい判断だと思っているシチュエーションにおいては完全型が一番自然な姿で、それを行う場合に法改正が必要だろうと考えています。 |
土肥委員長 |
貴重なご意見ありがとうございました。本宮委員、この点はご意見があるんじゃないですか。 |
本宮委員 |
やはりニーズはあるのだと思います。ただ、この形でコンセントが入ったというと、本来諸外国で考えているコンセントと違うものであり、コンセント本来の機能というのでしょうか、それは果たせないのではないか。このような形であるのであれば、やはり見送って類似と混同の議論をするときに、正面から考えていかなければいけないのではないかと思います。 |
土肥委員長 |
私、詳しくは知りませんけれども、おっしゃるように一番最後の「類似商品・役務審査基準」、これは独自にやれる話ですから、こういう形で庁がお出しになったものであれば、これは既に始まっているのではないか。だから、期待はできるだろうというふうに思っております。よろしくお願いいたします。 |
田川審議室長 |
今後のスケジュールでございますが、次回の小委員会につきましては、12月9日金曜日10時から開催を予定しております。それ以降の日程につきましては、再度皆様方のご都合をお伺いして調整したいというふうに考えております。 |
土肥委員長 |
12月9日ですね。10時から、はい、わかりました。 |
[更新日 2006年1月16日]
お問い合わせ |
特許庁総務部総務課制度改正審議室 |