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土肥委員長 |
それでは、ちょうど定刻でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第16回商標制度小委員会を開催いたします。 |
田川審議室長 |
それでは、配布資料の確認をさせていただきます。本日の配布資料は、議事次第、配布資料1枚になっておりますが、それと委員名簿、そして報告書案といたしまして、「商標制度の在り方について」、以上でございます。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。それでは、早速、議題に入らせていただきます。 |
田川審議室長 |
それでは、報告書案につきまして御説明いたします。これまでの議論を踏まえて、事務局で整理をいたしております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。それでは、以上の説明を踏まえまして議論に移りたいと存じます。どうぞ自由にご意見をお願いいたします。 |
鈴木委員 |
それでは、資料の10ページの使用の意思の確認のところなのですけれども、企業の行動として考えられるのが、ハウスマーク等の著名商標を防衛的に出願する場合というのがあり得るのではないかと考えております。したがって、ブローカー対策ということで、これは厳格に審査するということであれば、統一的な審査をしていただいて、防衛的な出願も不要だと認識が定着するぐらい、そういう統一性を持った審査をしていただきたいと考えております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。高部委員も挙手をなさったと思いますけれども、どうぞ。 |
高部委員 |
11ページのところで確認をしておきたい点があります。(c)のところで、特定の事業者の製造販売にかかる商品と、小売業者の提供する役務との間で、同一・類似の商標が使用されたとしても、必ずしも一般的な出所混同を生ずるおそれがあるとは評価されない場合があるということと、(d)のところでも4行目ぐらいですけれども、小売業の役務商標の間でも出所の混同のおそれが生じない関係があり得るという記述があるわけですが、これらの混同が生じない、生ずるおそれがない場合というのは、具体的には、どういう場合を想定しているのかという点を確認したいと思います。 |
土肥委員長 |
今の確認についてお願いします。 |
貴田審議企画班長 |
まず商品と役務の関係で誤認混同が生ずる場合とはどういう場合かということでありますけれども、基本的には、小売において主たる取り扱い商品というのが、何かというところで判断が行われるのではないかと。主たる取り扱い商品と商品が重なるような場合には、混同を生ずるおそれが高いことになろうかと思いますし、そこが違うということであれば、逆に混同のおそれが低いと評価されると考えております。 |
高部委員 |
すみません。私が聞きたいのは、混同を生ずる場合ではなく、生じない場合があるということが前提で記載されているので、混同が生じない場合というのは、どういう場合を具体的に想定されているのかという点です。 |
貴田審議企画班長 |
まず、商品と役務との関係におきましては、先ほど申し上げましたとおり、主たる商品が特定できないといったような場合、例えば、総合小売という場合が想定をされます。こうした場合につきましては、主たる商品を特定できないので、商品商標との間で混同が生じるおそれが低いと評価をされるんではないかと思っております。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。 |
高部委員 |
靴の小売と野菜の小売で混同を生じないというのは、当然、そうだろうと思いますけれども、総合小売というのはあらゆる商品を扱います総合小売りと特定の商品の小売とは、混同を生じるおそれがないとお考えでしょうか。 |
土肥委員長 |
多分、そこは十分詰めて今から考えていくことになると思うんですけれども、基本的には、そういう考えだろうと思います。つまり、商品の場合も34類ありまして、そのすべてについて見ているわけでないので、35類の中のサービスについても、1類の中にすべてあるんですけれども、そのすべてが類似関係にあるというふうに見ていくのではない、基本的に商品と同じようにパラレルに考えて、サービスの場合も小売の場合も考えると。その中を実際、どういうふうに見ていくかというのは、これからの審査基準等の策定、その段階で問題になるんだろうと思うんですけれども、基本は商品とパラレルになる。つまり、商品の場合も同様にサービスの場合も、そういう類似する場合も類似しない場合もあるだろうと。そういう見方だと思いますが。 |
高部委員 |
わかりました。そうしたら、ぜひ、審査の段階で、その点が反映できるような基準をつくっていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
根本委員どうぞ。 |
根本委員 |
私も役務と商品商標の類似について、11ページの部分ですが、著名商標と周知商標についてのプロテクトについては書かれていますが、企業側としては、例えば新商品を売り出していこうという際に、一気に大量の商品広告宣伝をテレビCMや雑誌等の媒体を通じて大々的に活動を開始していく企業が多く、ただし販売を開始した時点ではまだ商標法でいう周知著名を獲得してはいないという商標について、そういった形で広告宣伝に投資している商品の名前が、特定の商品の小売業、もしくは特定エリアの小売の名前と同一であるといった場合は、やはりその商品の出所の混同ということが少し心配に思います。もしくは売り出し始めの大事な新商品の商標の価値の希釈化というところも気にするところであります。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。ほかにご意見ございますでしょうか。松尾委員。 |
松尾委員 |
意見というよりもお聞きしたいのですが、先ほど10ページの使用の意思または使用実績の確認を行うというところ、あっさりと通過しましたけれども、これは具体的にどういうことを考えていらっしゃるんでしょうか。商標の簡素化条約との関係で、出願時に、資料を提出させるということはできないだろうと思いますが、確認を厳格にするということになりますと、具体的な運用の方法をどういうふうにお考えか、それを聞かせていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
この段階で何か……、お願いします。 |
芦葉商標制度企画室長 |
今、先生おっしゃられましたように、条約との関係で出願時に何か余計をことを負荷させるということはできないということになっておりますけれども、例えば、小売業商標の場合に、今回、役務の表示も検討中なんですが、何々業という業態がはっきり書かれるとすれば、通常、一般的に行われている何々業と何々業を同時に行っているかどうかというのは、大体、その蓋然性はわかるのではないかと思われます。通常同時に行っている業態以上のものが書かれている場合には、実際に行っていますでしょうかということを拒絶理由で確認させていただきたいというふうに考えております。出願のときではなくて、拒絶理由の応答として、それを確認させていただきたいというふうに考えてございます。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。本宮委員。 |
本宮委員 |
今の点に関連してですが、業務に関して、業務記載等が条約との関係で要求できなくなり、拒絶理由で対処ということになりましたけれども、ある意味実効性がなければ、拒絶理由をかけたけれども、実際、こういう書類を出していけば大丈夫なんだよというように、それでクリアできてしまえば、実効性は担保されないと思いますので、ある程度、実効性が担保されるような形を望みます。それはある意味、通常の出願にも同じように適用するということであれば、不使用対策といいますか、不使用商標が発生するという、その対策にもなると思いますので、ぜひ、その辺は実効性がある形を望むところでございます。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。まさにおっしゃるように、不使用商標の問題というのは当然あるわけで、全類を出願人というか、代理人の方が35類全部挙げるというようなことをやってもらうと、この制度はなかなかうまくいきませんので、ぜひとも弁理士会におかれましては、十分そのあたりを徹底していただいて、よろしくお願いいたします。 |
本宮委員 |
わかりました。 |
土肥委員長 |
ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか、基本的なこういう内容、方向で。高部委員。 |
高部委員 |
輸出の関係で確認をしたい点があります。15ページでは、通過の関係で(a)、(b)、(c)と書かれていて、(c)については輸出に当たるという記載があるわけです。他方、輸出については、定義としては、一応、13ページの(2)で、侵害物品を国内から国外に送り出す行為と記載されているわけですけれども、15ページの(b)はどういう位置づけになるのでしょうか。 |
貴田審議企画班長 |
(b)につきましては、今回の考え方としまして、こういう陸揚げをされて、そのまま出ていくというものについても、輸出の文言上は該当する可能性はあると思いますけれども、ただ、実際にそこで国内の法益が侵害されているかどうかというところで、(b)のような行為については必ずしも侵害が発生していないケースというのがあり得るのだろうと思います。また、今回、水際の規制に当たっては、ここまでは対象としないということでございますので、そういう意味でも、ケース・バイ・ケースに最後はなるかと思います。 |
高部委員 |
輸出という用語は、輸入とある程度パラレルなものと考えられます。何をもって輸入と考えるのかということに関しては、陸揚げ説、通関説など、いろいろと議論がありました。今回、輸出を規定するに当たって、輸出の時点、つまり、輸入のときに陸揚げ説を採るか、あるいは通関説を採るかといった議論を、余りはっきり決めることなく入れるという趣旨でしょうか。 |
土肥委員長 |
どうぞ。これは質問ですので。 |
田川審議室長 |
今回のケースにつきましては、輸出について、どの時点でということでございますけれども、ここでは概念上、国内から海外に送り出す搬送行為ということでございます。そのときに通関時点かどうかというところは、実はここではきちんと整理をしておりませんけれども、概念上は、国内から国外に搬出する行為というふうに考えております。 |
高部委員 |
つまり、それによって、どの時点で既遂に達するかという点まで厳密に決めていないという趣旨ですね。 |
貴田審議企画班長 |
輸出の時点については、船積みなどの行為が行われた時点で、ここで言うところの輸出が行われたという評価がなされるんだというふうに思っております。この解釈との裏返しで、輸入についても、今回輸出を入れることによって、同様の解釈がなされるんではないかというふうに考えております。 |
高部委員 |
そうすると、従前の陸揚げ説を支持する見解と伺ってよろしいのでしょうか。 |
田川審議室長 |
そのとおりでございます。陸揚げ説です。 |
高部委員 |
ありがとうございました。 |
土肥委員長 |
松尾委員。 |
松尾委員 |
輸出の問題ですけれども、輸出の概念を、極めてある意味では常識的にとらえて、ここでみんな議論してきたと思うのですが、それは一つには、水際措置のために輸出を入れるべきである、あるいは入れたいという、はっきりした希望があって、みんな水際措置で必要ならば入れましょうというところに引っ張られていったのではないかと思います。今までの判例で輸出が問題になったのは、特許の間接侵害との関係で、幾つか最近、そういう判例が出ています。そういうことで特許法の小委員会の方では、かなり、問題を感じておられるのではないかと思います。 |
土肥委員長 |
多分、ここでは竹田委員が両方の委員ではないかと思うんですけれども、何か今の点でございますか。 |
竹田委員 |
松尾委員がご懸念されていることは当然でありまして、特許制度小委員会でも、その点、特に間接侵害との関係ではいろいろ議論していまして、間接侵害に輸出そのものを入れるということはしないと。輸出を目的とする所持はみなし侵害として規定する。現在の特許法に規定している間接侵害は、まだ、その段階では侵害として完成していないものであるのに対して、今度輸出を目的とする所持をみなし侵害として加えると、性質が異なるものを侵害として加えることになるので、私は特許制度小委員会では、101条に規定することはいいけれども、それは従来の間接侵害とは違うみなし侵害であるから、それを同じ条項に並べて5号としては混乱を招くので、その点はきちっと区別してくださいということは申し上げています。松尾委員のご懸念の点は、特許法も商標法もやはり統一的に解釈できるように規定すべきものと思っています。 |
田川審議室長 |
他の特許権、それから意匠権についての整合性でございますけれども、我々としては、同じ考え方で統一的に解釈できるようにすることにしております。 |
土肥委員長 |
ほかにございますか。鈴木委員。 |
鈴木委員 |
輸出を侵害の一対応に組み込むというところに関する話ですけれども、侵害になるかどうかグレーな事例というので、地財協の内部でもヒアリングをしておりまして、その中で幾つか挙がってきた事例というのがございますので、ご紹介させていただければと思っております。 |
貴田審議企画班長 |
基本的に商標法の中で使用として規定をするのがいいのではないかというふうに思っておりまして、不正の目的でというような限定を付けて規定をするということについては、現段階では検討しておりません。おっしゃったような事例で、例えば国内の商標権者が自ら登録はしているけれども、使用もしていなくて、明らかに不正の目的でもって、その輸出行為を何らかの形でとめようとするという場合には、権利濫用等の原則でそういった行為が、まさに逆方向からの不正ですけれども、濫用だと言われる可能性があると思いますし、あえてここで不正の輸出に限って規定をするという必要はないんではないかというふうに思っております。 |
土肥委員長 |
グレーの場合に関して挙げられたような例で止められると、これもまた困るというので、そこの部分の回答はありますか。 |
田川審議室長 |
個別の判断は最終的には、個別事情を見て判断ということになると思います。ご指摘のグレーなケースでございますけれども、今、直ちに、これが商標上どう解釈されるかという回答はございませんが、そこは少し実態をどう解釈するかということによるんだと思います。 |
土肥委員長 |
多分、商標権の侵害はないんだと思うんです。今挙げられたようなケースの場合に。だから、そこははっきりしているんだろうと思うんですが、それで止められると非常に困るんじゃないかなという、そういうご懸念ですよね。 |
鈴木委員 |
そうです。 |
土肥委員長 |
そういう意見のご紹介があったということで、ここは考えさせていただきます。ほかに。根本委員。 |
根本委員 |
小売のところで若干具体的な話なのですが、メーカーの方は企業アピールの場として、ホームページをよく立ち上げているんですが、その中で実際に商品を販売しているような場合があります。一般的に企業ホームページは大きく分けると2種類ありまして、まず、販売なしで企業自体を広告宣伝するような場合、ときには特定商品に絞って、その商品自体を宣伝するようなホームページもあります。 |
土肥委員長 |
これは既に詰めてお考えですか。 |
貴田審議企画班長 |
まず、前者のホームページで企業の広告というか、そういうものをしている場合ですけれども、これが商品についての広告だということがわかるのであれば、それは商品商標をとっていれば、クリアだということだと思います。それから、後者の自社製品を販売をしているとか、インターネット上で販売しているという行為についてですけれども、インターネット上の販売もここで言う、今回対象としているものに入るというふうに考えております。あとは単なる譲渡ではなくて、それ以上のきちんと小売サービスというものがあるかどうかという判断になるかと思います。それは特許庁における登録の段階では、なかなか難しいですけれども、きちんとサービスに使用されているということであれば、実際に権利として使うということが可能になるんだろうと思います。 |
根本委員 |
そうしますと、特定の小売ではなくて、百貨店のような小売の分類でとるというようなことにもなってくるということでしょうか。 |
貴田審議企画班長 |
そこの部分は先ほど申し上げた審査基準との関係もございまして、実態がどうなっているのかということを踏まえて、今後さらに検討していきたいというふうに思います。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。もしよろしければ、以上の3項目ですね。小売業等のサービスマークとしての保護、権利侵害行為への輸出の追加、刑事罰の強化、これも含めて、この3項目についてご了解をいただいたという扱いにさせていただきますが、よろしゅうございますか。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。 |
田川審議室長 |
まず、「著名商標の保護の在り方」につきましてご説明いたします。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。それでは、以上の説明を踏まえまして、この3点に関し議論に移りたいと存じます。前回同様、ご自由にご意見をお願いいたします。 |
本宮委員 |
今回のこの中で、かなり取引の実情という言葉が出ているんですけれども、それと関連するかどうかは別ですが、1つは28ページの「異議待ち審査」の議論をしたときに、不使用の抗弁も併せていろいろ議論したと思います。これは使用対策なり、不使用という大きい問題があると思うのですけれども、「不使用の抗弁」というようなことも対応の方向で議論されていたと思うので、そういうのも含めて、というようなフレーズがあった方がいいのではないかなというのが1点です。 |
土肥委員長 |
確認いたしますけれども、確かに不使用の抗弁については、本委員会において議論したところなんですね。全体の議論の開始2年前ですね。そこから今日までの全体のまとめという、そういう性質のものであれば、今、本宮委員がおっしゃったように、まさに議論したことでございますので、反映していただければというふうに思います。 |
本宮委員 |
25ページ、26ページ、この辺でかなり「取引の実情」というのが言葉として出てきていると思います。取引の実情を反映させた審査ということであれば、先ほどの小売業のときに3条1項柱書きで使用意思を確認し使用意思がないものを入り口で排除していくわけですが、登録になっているものに関しては、実際、取引の実情の判断を阻害するような要因もまだあるわけで、そこの整理をつきやすくするような、ある意味、不使用商標の整理に資するような運用の方向というんですか、それも検討できないのかなと。 |
土肥委員長 |
今のご意見に対して……。50条を議論していないですよね。 |
本宮委員 |
していないですね。 |
土肥委員長 |
要するに、出口の話として使用、不使用を考慮した審査の出口論、入り口は3条柱書きですよね。 |
本宮委員 |
そうですね。今の登録はその分類の全ての商品を書いているのがあるわけでして、それと自分が出願したものとの関係で、取引の実情が全て見えてくるかどうなのか。少ない商品同士であれば、取引の実情を見ながら、というような形がとれると思うのですけれども、多い商品同士で取引の実情を見るような形が、今の実態としてあると思いますので、「取引の実情」という言葉がかなり出てくるのであれば、登録になっている方に関しても、例えば取消審判をかけやすくするとか、そういうのもあると思うので、もう少し不使用関係のことを入れられないのかなというのが、その内容です。 |
土肥委員長 |
先行された商標登録のうち、使用されないものも当然あるんだけれども、そういったものも考慮、織り込んだ上での審査ができないかということのようですけれども。いかがですか……。それは宿題にさせていただきます。どうぞ竹田委員。 |
竹田委員 |
「取引の実情」という言葉は確かに繰り返し出てきておりますし、これは侵害訴訟における、つまり、現実の使用しているもの同士の類否判断の場面と、商標法4条の類似性の判断の場面とで、同じ取引の実情といっても、言っている意味が同じではないと思います。そのことを踏まえた上ですけれども、取引の実情を職権主義に基づいて、審査段階で詳細に審査することは現実に不可能なことですし、それを求めるということをここで書いているのではないでしょう。そうすると、先ほどの説明書があわせて提出された場合を含めて、誰かが何らかのアクションを審査の方に起こした場合において、それを審査していくことが、多分、審査の実情からいうと限度で、それ以上のことを求めようとしても、できないだろうと思います。ただ、そういう点を踏まえて、いわゆるコンセント制度との関係で、取引の実情の1つとして先行商標権者との間の同意書を1つとして見ていく。そういう形で審査が行われるのは妥当だと私も思いますが、そのことと先行商標が不使用であるために商標法の4条の類否判断に、それを配慮して類似性がないから登録するということは、全然違うことであって、それを認めるのは明らかに間違いです。 |
本宮委員 |
実際には、そういう形の展開ではなく、取引の実情を見れるような状況にするためには、不使用商標が存在する状況は余り好ましくないだろうと。そのためには、不使用商標を整理するような、例えば、3条1項柱書きの適用がありましたけれども、ほかにもいろいろ本来は考えるべきなんじゃないかという、そういう意見でございます。ですから、4条1項との関係での問題ではございません。 |
土肥委員長 |
この点はどうなんですか。外からわかるように……。 |
芦葉商標制度企画室長 |
ここで書いています説明書というのは、説明書という書類が新しくできるということではなくて、意見書の中に当事者の説明があってもいいという趣旨ですので、新たな書類ができるということは想定してございません。 |
土肥委員長 |
意見書のあったことは出ると。 |
芦葉商標制度企画室長 |
意見書のあったということは、従前から記録がありますので、その意見書の内容いかんによって審査官の判断が行われているという実態は変わりませんので、新たに説明書という書類ができるということを想定しているわけではございません。 |
土肥委員長 |
ほかにございますか。小塚委員。 |
小塚委員 |
今のところは重要なところだと委員長がおっしゃったので質問をいたしますが、この26ページの上から3行目には、「説明書を参酌すべきであると考えられる」と、こうありまして、1行下を見ますと、「説明書の参酌を可能とする運用について検討する」とあり、その方向に従って審査基準の見直しを行うというのがまとめでございますが、これは微妙にニュアンスが違うと思いますけれども、少し趣旨を明確にしていただいた方がいいのではないか。要するに、説明書をどの程度の重みをもって参酌するということで審査基準を直されるのか、明確にされた方がよろしいのではないかと思います。 |
土肥委員長 |
おっしゃるように、少しご説明だとコンセントとの関係で出てきた部分で、意見書の一態様として当事者の出された説明書は審査官は十分見させていただくという趣旨ですよね。運用についても、そのような運用をすることで、いわゆるコンセントについて利用者のニーズがあるけれども、それに特許庁としてはできるだけ対応していくと。こういうことだったと思って、この文書になっているんじゃないかと思うんですが、先ほどどららかというと、従来と何ら変わらないというようなことだったので、その辺もし何かあれば補足していただければと思います。 |
芦葉商標制度企画室長 |
趣旨といたしましては、今、委員長のおっしゃられたとおりであるというふうに理解しています。そのとおりでございます。 |
土肥委員長 |
そうですか。そういうことのようでございますので。松尾委員。 |
松尾委員 |
まず、全体としての感想ですけれども、この「その他」というところには、随所に「慎重に検討する必要がある」という言葉が出てきます。これは、15年にこの委員会を始めてからの総括をしているようですけれども、初めは先ほど例えば、商標の定義で委員長が、これをいじるとなると非常にエネルギーが必要だと言われましたが、当初はそのエネルギーの必要なことをやろうという意気込みが、皆にあったと思います。ただ、いつの間にか慎重に検討するということで終わっているというのが、私は非常に寂しく思います。私はまだエネルギーがありますので。 |
土肥委員長 |
どうもありがとうございました。この点は審議室長からすると3代前の話で、かなり昔の話なものですから、恐らく貴田さんより前の時点での検討じゃないかと思うんですけれども、我々継続的に委員としてやっておりますので、おっしゃるようにもう少し従前の議論を盛り込む形でまとめるということがいいのかもしれませんけれども、恐らく、事務局は事務局でいろいろ思いがあって、こういう形でおまとめになっているんだろうと思いましたので、最終的にもう一度預からしていただきまして、松尾先生がおっしゃるようなことについては、できるだけ努力させていただきますので、どうぞこのところはよろしくお願いいたします。 |
高部委員 |
もう少し見直していただけるのであれば、例えば、30ページにおいて、商標の定義規定が、現行の規定でも実務上の支障は生じていないと記載され、そのような説明をされたわけですけれども、実務的には、必ずしもそうではありません。ですから、問題がないという書き方は、少し抑え目に書いていただいた方がいいかと思います。 |
土肥委員長 |
これはまさにおっしゃるとおりでございまして、宿題がどんどん増えていきますけれども、そこは責任を持ってまとめのときに考慮させていただきます。根本委員どうぞ。 |
根本委員 |
防護標章制度の22ページのところなのですが、私も防護標章制度の維持というのは賛成ですけれども、理由としまして、過去に委員会でご意見あったかもしれませんが、防護登録されている商標は不使用取消審判の対象にならないということと、類似する他人の先登録商標があっても、その上から登録できるというようなメリットもありますので、企業としては、そういった点も大きなメリットと感じております。そのような防護標章制度自体の長所を少し触れてもいいのかなとも思っております。 |
土肥委員長 |
鈴木委員も冒頭におっしゃったハウスマークとか、そういったようなものの保護のところの関係で出てくるんだろうと思うんですけれども、さりながら、一方で使わないものを登録するというのは、やはりそこは報告書との関係ではできるだけお控えいただきたいと、こういうことなんですけれども、ハウスマークについては、企業のニーズとして、幅広く保護していきたいということも十分わかりますので、どういう形で最終的に、そこを盛り込めることができるかどうかを含めてわからないんですけれども、本日のところは、貴重なご意見としてちょうだいをするということにさせてください。 |
鈴木委員 |
報告書の記載とは直接関係ないんですけれども、この考え方のもとで、法律の改正というのが行われることになると理解しています。そこで最も早いタイミングでということになると、やはり再来年、2007年の1月1日あたりの施行、この辺を目標にして作業をされるということで理解してよろしいでしょうか。 |
田川審議室長 |
今の我々の見込みといたしましては、1つのタイミングとして、小売のサービスマークについては、ニース協定の発行に合わせるというのがひとつの考え方かというふうに思っております。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますか。宿題の締め切りというか、目標の目途になる記述というのは、ニース協定の改訂版のそれに合わせるということのようでございます。ほかによろしゅうございますか。後半の部分については、本委員会においてなかなか余り議論できなかったところでございますし、恐らく、事務局もそのまとめに関しては気合が少し欠けたのかもしれませんけれども、そこを含めて基本的な方向性としては、ここでお示ししたようなもので、商標制度の在り方という報告書をまとめていきたいというふうに考えております。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。それでは、いただいたご意見というものを踏まえながら、この報告書というものをつくらせていただきます。そうでない部分については、基本的には、この形ということにさせていただきますし、それからいただいたご意見のものについても、場合によっては最終的な報告書の中への盛り込みというのが、できない場合もあろうと思いますけれども、そのあたりの必要な修文については、私に一任していただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。ご異論ございませんか。ありがとうございました。 |
田川審議室長 |
ご報告でございます。 |
土肥委員長 |
わかりました。それでは、そういう手続も行っていくということになると思いますので、どうぞご了解をいただきたいと思います。 |
田川審議室長 |
今後のスケジュールでございますが、事務局では今日のご審議におきまして、ご指摘いただいた点を踏まえまして、必要な修文を委員長ともご相談しながらつくっていきたいと思っております。その上でパブリックコメントの手続を行わせていただきます。次回の小委員会につきましては、パブリックコメントによりまして、寄せられました意見等を参考にし、再度ご審議をいただき最終的な報告書としてまとめたいと考えております。なお、次回の開催日時につきましては、2月7日火曜日、13時30分にて御案内をさせていただいているところでございます。場合によりまして、開催日時を再設定する必要がある場合には、再度調整をさせていただきたいというふうに考えております。 |
松尾委員 |
パブリックコメントがいつで、どれぐらいの期間かというのはわかりませんでしょうか。 |
田川審議室長 |
パブリックコメントにつきましては、28日に出しまして、1月27日までという予定でございます。 |
土肥委員長 |
それでは以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第16回の商標制度小委員会を閉会させていただきます。本日はありがとうございました。委員の皆様におかれましては、よいお年をお迎えください。 |
[更新日 2006年1月30日]
お問い合わせ |
特許庁総務部総務課制度改正審議室 |