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第18回商標制度小委員会 議事録

  1. 日時 平成19年12月18日(火曜日)10時00分~11時30分
  2. 場所 特許庁 特別会議室
  3. 出席委員 土肥委員長、石原委員、井滝委員、小塚委員、篠原委員、高澤委員、竹田委員、根本委員、野田委員、白石委員代理(萬歳委員)、松尾委員
  4. 議題
    • 商標政策を巡る最近の動向について
    • 通常使用権等登録制度の見直しについて
    • 拒絶査定不服審判の請求期間等の適正化について
    • 商標関係料金の見直しについて
    • 手数料納付における口座振替制度の導入について

開会

土肥委員長

おはようございます。定刻でございますので、ただいまから産業構造審議会 知的財産政策部会 第18回商標制度小委員会を開催いたします。本日は御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 

それでは、まず最初に、前回の部会以降、新たに本小委員会の委員になられた方々について事務局から御紹介をお願いいたします。

間庭審議室長

御紹介いたします。

 

日本知的財産協会 副理事長 積水化学工業株式会社 理事・知的財産部長、石原幹也様。

日本弁理士会 商標委員長、井滝裕敬様。

社団法人電子情報技術産業協会 商標専門委員会委員長 松下電器株式会社 IPRオペレーションカンパニー商標・意匠センター所長、野田佳伸様。

 

以上でございます。

土肥委員長

ありがとうございました。

 

本日は、「商標政策を巡る最近の動向」について事務局より御説明いただいた後、「通常使用権等登録制度の見直し」、「拒絶査定不服審判の請求期間等の適正化」、「商標関係料金の見直し」、「手数料納付における口座振替制度の導入」について検討を行いたいと存じます。

 

それでは、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

間庭審議室長

確認させていただきます。

 

本日の配布資料は、

 

資料1「商標政策を巡る最近の動向について」

資料2「商標法上の通常使用権等登録制度の見直しについて(案)」

資料3「拒絶査定不服審判の請求期間等の適正化について(案)」

資料4「商標関係料金の見直しについて(案)」

資料5「特許料等手数料納付の口座振替制度導入について(案)」

参考資料として「通常実施権等登録制度ワーキンググループ報告書」

 

以上6点でございます。不足等ございませんでしょうか。

商標政策を巡る最近の動向について

土肥委員長

ありがとうございました。

 

それでは、早速、議題に入らせていただきます。初めに「商標政策を巡る最近の動向」について事務局から説明をお願いいたします。

森吉商標課長

森吉と申します。私の方から説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

 

資料1について説明いたします。

 

1ページ目でございますが、最初に、商標出願動向についてでございます。左のグラフにありますように、近年増加傾向と言えるかと思います。特に、広告・金融といったサービス分野の増加が著しいことが特徴として言えるかと思います。マドリッド協定議定書の出願なんですけれども、右のグラフの下の方ですが、出願合計とマドプロ出願、グラフの折れ線、傾斜は同じですけれども、マドプロの出願は5年間で約2.5倍という増加を示しております。

 

続きまして、2ページ目に移らせていただきます。審査を巡る現状ということで説明させていただきます。昨年度、FA処理を21万区分、FA期間、平均審査順番待ち期間が6.1カ月という状況でございました。今年度についても、FA期間6.0カ月にすべく努力しているところでございます。

 

グラフの方を説明させていただきますと、左側のグラフでピンクの折れ線グラフ、出願増の傾向の中で、この数年間FAはわずかですが短縮というような状況でございます。特に本年4月1日以降の出願に対しては、不使用商標対策ということで、商標の使用又は使用の意思の確認について合理的な疑義がある場合は、3条1項柱書きを適用するという運用を始めております。この柱書きの運用について、11月ぐらいから本格的に運用を始めたところでございます。

 

続きまして、3ページ目に入らせていただきます。国際関係ということで、まず今年のポイントでございますけれども、商標三極会合が挙げられるかと思います。御承知かもしれませんが、日本、アメリカ、欧州の三庁の間で、制度あるいは運用の改善につなげることを目的として、2001年からほぼ毎年1回開催しております。

 

今年は、この10月15~16日に、東京で開催いたしました。

 

今回の大きなニュースとしては、初めて中国商標局がゲストとして参加したということです。内容的には、出願・処理、電子化、審査処理の迅速化、もう1点は中国の商標法改正について三庁及び中国商標局と意見交換を実施しました。特に、中国はこの数年間、毎年出願が10万件増ということで大きな伸びを示しておりますので、処理の促進ということから、三庁がどのような処理促進施策をしているかを紹介したということが大きなポイントかと思います。

 

また、三庁のみの会合では、中国への協力、あるいは商品・役務表示リストのさらなる活用、マドリッド制度の将来構想、商標検索システム、これらについて意見交換が行われました。最終的には三極間で共同声明を作成しております。

 

また、この三極会合にあわせまして、日中商標長官級会合を東京で開催しております。特に日本のアウトソーシングについて紹介させていただきました。

 

続きまして、4ページ目、WIPOでの議論ということで、1つ目がマドリッド制度。マドリッド制度について、今年9月のマドリッド同盟総会において、これは日本は直接関係はありませんけれども、マドリッド協定とマドリッド協定議定書の双方が適用される国については、これまではマドリッド協定が優先されていたんですけれども、今後はマドリッド協定議定書が優先されることが採択されました。今後と申しましても、2008年9月施行で、その後議定書が優先されるということが採択されました。

 

今後も、マドリッド制度の利便性を向上させるために、指定国審査情報の開示、基礎要件の見直し、あるいは更正通報期限の設定、これらについて引き続き作業部会が開かれる予定になっております。

 

下段のニース協定。これについては、今年の1月1日から第9版が発効したところでございますけれども、5年後の第10版発効に向け、既に改訂作業が進められております。

 

続きまして、5ページ目に移らせていただきます。SCT。商標・意匠・地理的表示の法律に関する常設委員会ということでございますけれども、今年の11月に第18回会合が行われまして、「新しいタイプの商標」、あるいは「異議申立手続」、「意匠制度」等について検討が行われました。

 

来年6月の第19回会合で、これらについて引き続き議論が行われる予定となっております。

 

4.のシンガポール条約。昨年の3月に、シンガポールにおいて採択された「商標法に関するシンガポール条約」は、基本的にこれまでの商標法条約の内容を基礎として、主に出願手法の多様化、これは電子出願を容認するという点でございます。これについては我が国は既に対応済みということが言えます。

 

続きまして、手続のさらなる簡素化及び調和ということで、ライセンスの登録手続の共通化という点が入っております。今回の改正でも、その一部について、ライセンスの対価の部分なんですけれども、これについては今回の改正で対応するということを考えております。

 

続きまして、出願に関する手続の期間を守れなかった場合の救済措置。出願人がうっかり手続を忘れてしまったときに、しばらくの期間、手続が可能というような救済措置なんですけれども、これについては今回の改正では対応しておりません。

 

下段になりますけれども、2007年11月現在、シンガポール及びスイスの2カ国が批准書を寄託していますが、まだ効力発生の条件を満たしておりませんので、今のところはまだ効力は発生していないという状況でございます。ちなみに11月現在とありますけれども、今朝確認しましたところ、今日現在WIPOのホームページを見ても、批准している国は2カ国のままでございました。

 

続きまして、国内の方の制度についてですが、地域団体商標制度の現状です。2006年4月に、地域経済の活性化を支援することを目的として、地域団体商標制度を施行しました。出願が14日現在、775件ですけれども、昨日1件出願がありまして、776件でございます。登録件数は、14日現在ですと331件、今日現在は334件が登録になっております。

 

地域団体商標制度につきましては、ブルーの枠の一番下でございますが、農水省との連携ということで、経済産業省と農水省で「知的財産連携推進連絡会議」を設置して、両省で協力して地域振興を図っている状況でございます。

 

次に7ページ、この登録になった331件について各地域ごとに商標を示しております。

 

続きまして、8ページ目でございます。小売等役務商標制度の現状ということで、今年の4月から、小売業者等が使用する商標について、役務商標として保護する制度を導入しました。これまでに約1万9000件の出願がされております。このうち新制度を導入するに当たりまして、4月から6月末、現実には7月2日まででしたけれども、特例期間を設けまして、出願日は同一とするというような制度なんですけれども、この期間に出願されたものが、1万9000件のうち1万7000件が特例期間に出願されております。

 

この4月からの出願でございますので、11月初旬から本格的な審査に着手したところでございます。

 

周知活動につきましては、中ほどにありますように全国47都道府県において説明会を開催中とありますけれども、10月から12月にかけて開催しておりまして、あす滋賀で、あさって岐阜県で開催して、これで47都道府県すべて終了します。

 

最後に9ページでございます。新しいタイプの商標への取り組み。先ほどSCTでも議論されていると説明させていただきましたが、これまで我が国で保護対象となっている商標と申しますと、文字・記号、図形、立体、色彩の組み合わせが保護対象となっておりますけれども、これに加えて、音、香り、ホログラム、動き等についても、欧米諸国で保護対象となっていることから、我が国においても、これらを保護対象とすることについてどうかということを現在、この9月から知的財産研究所で検討を開始しております。

 

実はこの新しいタイプの商標は、平成13年にも一度導入について検討させていただいたことがあるんですけれども、そのときは、日本のユーザーニーズがなかったということ、あるいはこういったものが登録になるとウオッチング負担が非常に心配であるということから、当時は見送るという結論になっております。最近になりまして、各国、主要国が保護対象としていること、あるいは日本企業も海外で音の商標などを保有していることから、今年度改めて検討を始めたという状況でございます。

 

参考としてありますのは、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、OHIM、これらの国の1994年から2006年、13年間の合計という形で数字を出させていただきました。13年間の合計ですから、通常の一般的な出願から考えますと、件数的にはそれほど多いということは言えないのかもしれませんけれども、各国とも、こういった新しいタイプの商標を保護対象としているということが言えると思います。

 

以上で現状について説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

土肥委員長

どうもありがとうございました。

 

それでは、ただいまの御報告といいましょうか、商標政策を巡る最近の動向につきまして御質問、御意見等ございましたらお出しください。

 

特にございませんか。よろしゅうございますか。

 

これは、いわゆる審議事項というよりも報告事項ということでございますので、今現在の動向というのはこういうところであるというところを御認識いただければと思いますが、よろしゅうございますか。

 

ありがとうございました。

通常使用権等登録制度の見直しについて
拒絶査定不服審判の請求期間等の適正化について
商標関係料金の見直しについて
手数料納付における口座振替制度の導入について

土肥委員長

それでは、次の議題に入りたいと存じます。議題の3、4、5、6ですけれども、「通常使用権等登録制度の見直し」、「拒絶査定不服審判の請求期間等の適正化」、「商標関係料金の見直し」、「手数料納付における口座振替制度の導入」の各事項について、事務局より続けてまとめて説明をお願いいたしまして、御意見、御質問等は全体の説明の後にお願いしたいと考えております。

 

それでは、よろしくお願いします。

間庭審議室長

制度改正審議室長の間庭でございます。御説明させていただきます。

 

資料2でございます。商標法上の通常使用権等の登録制度の見直しについてでございます。

 

検討の背景でございますが、これは取っかかりは特許の方の通常実施権の登録制度の見直しでございまして、ここに書いてございますように、近年の知財ビジネスの多様化やM&A等企業再編の活発化に伴う特許権の移転の増大とか、企業における「選択と集中」やライセンスビジネスの多様化等を背景としたライセンスの拡大、ライセンスの重要性の増大、これらに伴いまして、企業がライセンスに基づく事業活動を安定して継続できる環境の整備が求められているところでございます。

 

現行、通常実施権について特許法上、登録制度がございます。これに登録していれば、特許権者がライセンスしている特許権を譲渡する、ないし特許権者が破産して特許権そのものが新権利者に移転した場合であっても、通常実施権の許諾を受けているライセンシーは、その権利移転後も事業を継続できるという登録制度があるわけでございますけれども、この登録制度をより企業のニーズに合致した利便性の高いものにしようということで、私ども、当部会の特許制度小委員会の中に通常実施権等登録制度ワーキンググループを設置しまして、その登録制度の見直しについて検討を行ってきたわけでございます。

 

このワーキンググループの座長には、本日も御出席いただいております竹田委員にお願いして、今年の7月から5回ほど検討を行ってきたわけでございまして、その方向性が先般、先週の13日の日に取りまとめられました。

 

それについては簡単に御説明いたしますが、1枚めくっていただいて、参考1というカラーの横長のポンチ絵みたいなものがございますけれども、この中で大きく2つのことを新たに制度を創設する、ないし改正しようではないかということで、この中段の左側の箱が、出願段階における登録制度の創設ということで、特許について特許権の登録制度というのは今の登録制度があるわけですけれども、最近の企業活動の実態を見ますと、特許権になる前の出願段階の発明の活用が拡大しておりまして、そのライセンスというのも実際に行われている。

 

特に、大学のTLOとか中小ベンチャー企業では、特許権になるのを待たずに、自分のところで発明したものを大企業にライセンスを積極的にしていきたいというニーズがある。そのような出願段階のライセンスを保護する制度を創設するなど、発明のより早期の活用に資するための制度整備を今回行うべしということでございまして、特許権になる前の出願段階のライセンスについて、新たに登録制度を今回創設するという方向性を出していただいたところでございます。

 

2つ目が、この右側の箱でございまして、通常実施権等登録制度の活用に向けた見直し。これは今回新たに創設する出願段階もそうですし、今ある特許権になった後の登録制度もそうですけれども、登録事項の非開示ニーズ、ライセンスの内容というのは企業の営業秘密にかかわることであって、現行制度ですと、登録するとすべてそれらが一般に公示されることになっているところで、そういったものの開示を一定程度制限できないかということ。

 

こういうところが制限されればより使いやすいということでございまして、ライセンシーの保護に資するための制度整備ということで、1つに現在の登録事項のうちライセンシーの氏名、住所というもの、もう1つは通常実施権の範囲、すなわち期間、地域といったもの、これらについて広く一般に開示するのではなく、一定の利害関係人にのみ開示するようなスキームに制度改正をするということ。

 

また、登録事項のうち対価については、これも営業秘密にかかわる事項ですし、経済状況に応じて変動するという要素もございます。そういったことから対価については、そもそも登録事項としてはなじまない。したがって、登録事項から除外するという方向性を出していただきました。

 

こういった大きな2つのことに加えて、つけ足しですけれども、その他の検討事項で、登録の効力発生日ということで、その他の右側ですが、現在、登録申請を受け付けた日と実際に登録する日がタイムラグがあるところを、登録申請受付日を登録日とみなすような改正も今回することとなったわけでございます。

 

以上が特許の話でございますけれども、特許でこういう方向性が出たところで、私どもとしても、この特許の検討に並行して、商標についてどうするのか、有識者の方々、関係団体の方々、企業の方々からも話を聞きまして、表紙に戻っていただきまして、2.の商標制度における見直しをどうするかということでございます。

 

商標では2つ、(1)、(2)がございますが、1つは対価を登録記載事項から除外する。これは特許でやるのと同じように商標でも、対価について登録事項から今回除外する。先ほど商標課長からお話がございましたように、これは、行く行く我が国が加入を検討していくことになる、シンガポール条約の対応にもなるものでございます。これについては、法律そのものではなく、商標登録令で準用する特許登録令の規定を改正するという、政令の改正になるわけでございます。

 

2番目は、先ほど特許の方で最後に申し上げました登録申請受付日を登録された日とみなして、その日から登録の効力を発生させる。これも特許と商標とで制度的に制度を異にする理由はございませんので、特許、商標とも同様にこのようなことをやりたいと考えてございます。

 

なお、特許でやります出願段階のライセンスについて、商標では、特許に比べるとFAの期間が短い等によってそれほど強いニーズがございませんでしたので、今回は出願段階のライセンスについては、商標についてはやらない。また、先ほど申し上げた通常実施権者の氏名の非開示、ないし通常実施権の範囲の非開示、特許の方ではやるわけですけれども、商標の方でも話を聞いたのですが、商標の方は、ライセンスを受けたら、そもそもそれは使用して公になるということで、これは特許とは全く事情が異なりますので、やる理由はございませんので、それらの非開示化についてもやらないということでございます。商標では、以上、対価の除外と登録申請日を登録日とみなす、この2点を制度改正させていただきたいと考えてございます。

 

私からは以上でございます。

米津審判課長

審判課長の米津でございます。私の方から、お手元の資料3に基づきまして、拒絶査定不服審判の請求期間等の適正化について御説明を申し上げたいと思います。

 

本提案は、今の御説明にもございましたけれども、まず特許の方で、拒絶査定不服審判の請求期間を長くしてはどうかという議論がなされておりまして、それと横並びで、商標についても変更してはどうかということでございます。

 

概要のところは飛ばさせていただきまして、まず特許の方の改正の検討内容を御説明させていただきたいと思います。

 

2.現行の拒絶査定不服審判の請求手続でございますけれども、特許審査で拒絶査定になった場合、請求の趣旨や理由等を記載した審判請求書を提出して、拒絶査定不服審判を請求できるということになっております。

 

この拒絶査定不服審判の請求が可能な期間というのは、拒絶査定の謄本の送達があった日から30日以内とされております。

 

また、その後、審判請求の日から30日以内に、願書に添付した明細書等の補正をすることができることになっております。

 

そして、さらに審判請求書の中の「請求の理由」については、その後も補正ができるという扱いになっております。

 

3.の問題の所在でございますけれども、拒絶査定不服審判の請求の当否は、明細書等の補正の内容も含めてその権利取得の可能性を十分検討して、総合的かつ慎重に御検討いただくものであると考えますが、この拒絶査定の謄本の送達日から30日以内という審判請求期間は若干短いのではないか、逆に審判請求の当否について検討を十分行うことができないまま、駆け込み的に審判請求を行うことがあるのではないかという指摘もされております。

 

そこに「資料2」と書いてございますけれども、資料の9ページでございますが、資料2の審判請求期間に関するアンケート結果というのが載っております。

 

Q1で、拒絶査定不服審判を請求することができる期間――30日ですけれども、以内に査定不服審判を請求するかどうかを十分に検討し、結論を出すことはできるでしょうかという問いに対して、答えとしては、「80%以上の案件は十分検討可能」というお答えも27%あるんですが、逆に、「50%未満の案件は十分検討可能」というのが30%。逆に言うと、50%以上の案件は十分検討できないというお答えが一番多いといったアンケート結果もございます。

 

Q2でございますが、拒絶査定不服審判を請求できる期間内に、審判請求をするかどうか十分に検討できない案件について、とりあえず審判を請求するというケースはあるでしょうか。仮にある場合、その占める割合はどの程度でしょうかという問いでございますが、それに対しては、「20%未満ある」というお答えが55%と多くなっております。

 

10ページでございますが、Q3として、その査定不服審判の請求期間及び請求時の手続補正期間は、それぞれ手続を行う上で適切なものとお考えでしょうかという問いでございますが、一応「両方とも適切」というお答えが35%でございますが、「請求期間は短いが、手続補正期間は適切」というのが28%、「請求期間は適切であるが、手続補正期間は短い」というのが15%、「両方とも短い」というのが21%ございまして、いずれかが短いというお答えになっているのが、64%ぐらいあるということでございます。

 

Q4でございますが、短いと回答された請求期間として、どの程度だったら適当だとお考えでしょうかという問いでございますが、「60日以内」というのが62%で、「90日以内」というのが14%ということなんですが、ここでは、補正の期間というところまで考慮したお答えになっていないと思われますので、それで「60日以内」が一番多い割合になっている状況であります。

 

1ページ目に戻っていただきまして、こういった状況を踏まえて、明細書の補正を審判請求日から一定期間(30日以内)に行うことを可能としている現行制度では、その請求期間が比較的短いこともありまして、明細書の補正内容を踏まえた適切な審判請求の当否の判断が行われない場合もあるのではないかと考えられます。

 

ということで、最近の特許庁の審査の迅速化に伴って、拒絶査定の件数が非常にふえております。それで、この制度を利用される方にとっても、審判請求の当否を判断するための負担と申しますか、その時間を十分確保することが困難になってきているのではないかということでございます。

 

参考の表にございますように、最近の拒絶査定不服審判の請求件数は、2006年で見ますと、1999年比でもって184%ということで非常にふえているということでございます。

 

4.の対応の検討でございますが、1点目で、査定不服審判の請求期間(30日)を現在よりも延長することとしてはどうかということでございます。

 

2点目として、その延長に伴って、明細書等の補正期間を、審判の請求日から一定期間内に可能となっている現状を、これは請求と同時にする場合に限るということとしてはどうかということでございます。

 

詳細については、特許制度小委員会で別途検討をお願いするということでございます。

 

(2)の具体案でございますが、ではどうするかということなんですけれども、査定不服審判の請求期間を3月としたらどうかということでございます。このように十分な検討期間を設けるということは、手続保証の観点から非常に好ましいことと考えられます。明細書等の補正時期の変更の趣旨を含めた請求期間、他国の審判請求期間、国内の他の不服申立制度における請求期間等を考慮すると、この3月という請求期間とすることが望ましいのではないかということでございます。

 

3ページに行っておりますけれども、こういって請求期間を延ばすと、第三者の監視負担が増加するというデメリットもあるのではないかということでございます。ただ、第三者にしてみれば、拒絶査定不服審判の請求可能な期間の間、その期間についてずっと常に監視し続ける必要はなくて、実際には、不服審判の請求可能期間経過後に、その出願の拒絶査定が確定したかどうかを確認すれば足りるものと考えます。それと欧米の審判請求期間は2~3月であるということで、それも踏まえれば、3月程度に延ばしたとしても、第三者にとって過大な不利益にはならないと考えております。

 

また、第三者が特許出願に係る発明を実施できる時期が遅くなるという問題も想定されますが、現在よりも2月程度遅れることのデメリット、それと手続保障を与えることの重要性、そのバランスで考えますれば、全体としては、その遅れも許容される範囲内のものではないかと考えております。

 

2)の明細書等の補正は、審判請求と同時のみ可能とするということでございますが、一応審判請求期間を延長することによりまして、その期間内に明細書等の補正内容も一緒に検討していただいて、補正内容を確定した時点で、同時に審判請求をしていただくということが期待されております。

 

それで第三者の監視負担、先ほどもございましたが、そういうこととのバランスも考慮すれば、明細書等の補正期間は、審判請求期間を延長することに伴って、審判請求と同時のみ可能とするのが望ましいのではないかと考えます。

 

次のパラグラフについては、4ページの参考図の方をごらんいただければと思います。現行制度では、拒絶査定後30日以内に審判請求ができまして、その後、審判請求から30日以内に明細書等の補正ができる。合計補正検討可能期間が60日ということでございますが、今御提案している案では、拒絶査定後3カ月以内に審判請求及び明細書等の補正、これは請求と同時の場合のみできるということで、補正検討可能時間は3月ということでございます。こういった審判請求と同時にのみ明細書の補正を可能とするとした場合でも、3月の検討期間が確保されますので、実質的な不利益はないものと考えております。

 

また、より適切な補正を検討していただいて、それに基づく審判請求がなされることが期待されますので、第三者にとっても、補正内容が確定された上で審判請求がされるということで、監視負担の過度の増加にはならないものと考えております。

 

5ページ目でございますが、審判請求書の「請求の理由」の欄の記載については、今もいつでも補正、補充が認められるということですが、これについては現行どおり、審判請求後の補正を認めることにしてはいかがかと思っております。

 

この請求の理由については、請求後に補正をしていただいて、十分な審判請求の理由が書かれていれば、審理の際にも審判請求人の方の意図を速やかに把握することができまして、迅速かつ質の高い適正な審理に役立つものと考えております。

 

もう1点は、審判請求の事実や明細書等の補正の内容は、この理由の補充の時点では既に確定している。3月なら3月たったときに、補正も確定していますし、審判請求するかどうかということも確定しているわけですから、第三者の監視負担の面から見ても格別な問題とはならないと考えております。

 

次に、商標等における審判の請求期間でございますが、今申し上げましたように、今回の特許の方での御提案というのが、制度利用者の十分な手続保障の観点から、請求期間を延長してはどうかという趣旨でございますので、商標法における拒絶査定不服審判の請求期間についても、特許と横並びで、今は30日でございますが、これを3月に延長することが望ましいのではないかと考えております。

 

あとは改正内容ですけれども、商標登録出願について拒絶査定の確定時期が、2月ほど遅くなるというデメリットというか、問題点があるかと思いますが、その場合どういうことが問題になるかというと、ある商標登録出願及び、その後願があった場合に、先願の未登録商標の存在を理由として後願に拒絶理由が通知された場合、その先願について別途拒絶の査定がなされた場合には、先願の拒絶査定の確定を待つことで、後願の商標登録出願について審査することができることになるわけですが、その査定の時期が、現在よりも最大2月ほど遅くなるのではないかという問題が想定されます。

 

しかしながら、拒絶査定を受けた出願人の方に対しては、他の行政不服申立制度と同程度の手続保障を与えるべきという考え方、及び先願が拒絶査定される件数規模にかんがみれば、それほど大きな不利益ではないのではないかということでございます。

 

ちなみに、試算してみますと、6ページの一番下の方の欄外に書いてございますが、商標制度で、年間6万件程度の拒絶理由通知が出されております。実際に先後願の関係で、先願を引用されて拒絶理由がなされるケースで、引用商標に先願の未登録の商標を含むケースは4500件程度で、結果的に拒絶査定を受けた先願を1件でも引用商標として含んでいる割合は約半分ということで、4500件の約半分の2000件強がこの例に該当するということで、最大3%程度ではないかと見込んでおります。

 

次に6ページの真ん中辺の2)でございますが、補正却下決定不服審判がございまして、これについても、現行の制度では30日の審判請求期間となっておりますが、これについてどうするかという問題もございます。

 

改正の内容としては、不服申立制度の利用者に対する手続保障という観点では、先ほどの拒絶査定不服審判と共通すると考えますので、同様に「30日」を「3月」に延長するという改正が望ましいのではないかと考えております。

 

7ページに行っていただきまして、関連する改正事項になりますが、これは特許の場合でございますけれども、特許制度では分割出願という制度がございます。これもやはり拒絶査定後、査定の謄本の送達があった日から30日以内にできるとされておりますが、これについても先ほどと同様な理由でもって、3月というふうに合わせたらどうかということでございます。

 

次の2)でございますが、特許、実用、意匠については、変更出願という制度もございまして、これもやはり30日の間できるということになっておりますが、これについても同様に、拒絶査定不服審判を請求するか変更出願するかというのは、出願人の方の選択でございますので、同様に30日から3月に延長することにしてはどうかということでございます。

 

8ページ以降は、審判部の各種施策について書いてございますが、これは知的財産政策部会の場でも御説明申し上げましたので、後で見ておいていただければと思います。

 

私の方からは以上でございます。

小川総務課長

引き続きまして、商標関係料金の見直しについて、私総務課長の小川ですけれども、御説明申し上げます。

 

資料4で説明させていただきます。

 

初めに一言お断りさせていただきますと、料金関係は、予算と関係がありまして、査定内示があるまで、20日なんですけれども、具体的な数字、ここに載せていない数字がございます。適宜、口頭でいろいろ御説明させていただきながら御議論していただければと思いますので、御了承いただければと思います。

 

まず特許の特別会計の概要ということで、参考資料の方から説明させていただきます。6ページをごらんください。特許特別会計は、全体として収支相償の原則のもとで、産業界を初めとする出願人の方々からの料金、特許料で歳入を構成しておりまして、これをもちまして審査・審判等々事務に要する歳出を支弁するという形で行われておりまして、究極的にそれがバランスするような仕組みで運営されております。

 

下の方の(3)のところですが、これまでも累次、収支相償の原則を設定にしながら料金の改定が行われてきまして、財源を確保する目的で、すべての料金を引き上げたり、または出願人の請求コウの増加等への対応ということで、費用負担の軽減を図るために引き下げたりと。また、昨今では平成15年、この特許の請求の急増に対応するということで、出願人間の費用負担の不均衡の解消、迅速・的確な特許審査の実現を図るため、この出願料と特許料を引き下げ、審査請求料を引き上げたという経緯がございます。また、その他のところにもありますように、商標関係では、平成9年、不使用対策等での分納制度の導入を含めて改正がなされてきたところでございます。

 

7ページの下の方でございますが、現在、特許特別会計の推移でありますが、歳入、歳出の推移状況については、歳入では、平成16年、審査請求料の引き上げを行っておりまして、また、審査請求期間の短縮による請求件数の一時的な増加というもので、歳入は増加しております。8ページのグラフでいくと、青のところが歳入ですが、増加しております。

 

また、歳出面では、平成16年、データ通信サービスの残債の一括返済等で一時的な増加は、赤の折れ線グラフがあるわけですけれども、そのほかは歳出の合理化が徹底しておりまして、審査請求数の増加にあるにもかかわらず、低い水準での増加になっております。全体として歳出、歳入構造、9ページの円グラフでごらんいただきたいと思いますが、歳入、歳出の規模は書いてあるとおりでありまして、歳入の方では、特許の審査請求料が約4割、特許料で25%、商標関係では全体歳入の4分の1を賄っているということであります。

 

それに対して歳出の方では、人件費なり審査審判関係の経費、機械化経費というものはそれぞれ4分の1ずつありまして、その他事業費として残りを賄っておるわけでございます。

 

以上、概観であります。

 

1ページに戻っていただきまして、これからが本題でありますが、まず、知財を巡る最近の環境の変化ということでまとめさせていただいております。商標に関しては、企業活動におけるブランド価値の創造が非常に重要になってきまして、この商標の重要性が高まっている状況がございます。一方で、諸外国への出願も多くなっている中で、諸外国での商標関係料金と比較して、その高さが高額であるものが問題として指摘されていることも多くなっております。

 

下の表でごらんいただきますと、図表1の平成3年から7年ぐらいの青いところ、その企業における商標関連費用というものは、500万円以上を支払っているものの数はみんな1桁台のパーセンテージ、それぞれの区分だったのが、平成18年になってくると、非常に高額の費用負担をしているところの割合が多くなってきている状況が見られると思います。

 

図表2は、海外への商標出願の増加というものが示されております。

 

次に2ページでありますが、図表3では国際比較が示されております。上の方は、出願手数料と設定登録料を合わせたものが権利取得に必要な経費ということで、日本では12万強になっております。下の箱は、権利維持に必要な費用(更新登録申請手数料)がありまして、日本では22万。1つのモデルケースについてでございます。

 

それに対して右側の方の他国で見てみますと、どこよりも非常に多くなっております。ヨーロッパなんかを見てみると、権利取得に必要な経費と権利維持に必要な費用が同じような額になっております。

 

これが商標の世界での問題点でございます。

 

(2)では特許の世界での問題点が示されておりまして、これも近年、企業における知財活動費が増加しているのが図表4に示されております。

 

図表5にもあるように、これは企業における研究開発費、対内総生産比率が増加のような状況にある。企業は研究開発費を回収するために、権利を相当期間保有しようというわけであります。一方、現行の特許料は累進構造になっておりますので、後ろに行くほど高くなっている料金であります。そういう中で研究費の回収に必要な分だけ権利を持とうとすると、その費用の負担が重なってくるような状況にあるということでございます。

 

3ページの(3)でございますが、こういう客観的な状況に加えまして、平成15年の改正特許法のときに、附則において、この法律施行から5年経過した後、見直せというような条項があるほか、国会附帯決議でも、その施行状況を見つつ見直せと言っております。また、ことし5月にも経産大臣の方から、この制度全体の料金の見直しの指示を受けているところでございます。そういう経緯で始まったわけでございます。

 

2.以降が、具体的な収支見通し等の議論でございます。一般的に特許会計では、IT等のインフラ投資とか、国際業務とか、管理業務がございまして、区分経理が困難なために余り厳密な意味での部門間の収支バランスは計算していないわけでございますが、結果的に、大ざっぱに言えば特許部門では少し赤が出ておりまして、その赤の部分を商標の部分の歳入で補いつつ、特許会計全体ではバランスさせるという形で運営してきております。

 

そういう中で、今後の特許特別会計の歳入、歳出の中期的な試算を今回行ってきました。もちろん中期的・安定的に運営するという前提もございますので、手堅くいろいろな不確定要素というものも見ております。歳入においては、今後の研究開発動向、出願動向、審査請求行動等の変化といったものを見据えております。そういう中で一定の歳入見通しを立ててきました。

 

また、歳出面では審査迅速化の実現のため、審査官の増員とかあります。また、中小企業の新システムの構築、中小企業の知財活動の支援、そういうような歳出の今後の要因も最大限入れて検討してきたわけであります。

 

そういう中で、3.の引き下げの可能幅というところでありますように、中長期的な収支見通しの結果、一定程度歳入を引き下げることが可能と見込まれるという結論になっております。

 

ここのところは具体的な数字を入れて申し上げますと、平成20年度から平成25年度までの間を見通した結果、平均して歳入を毎年210億円程度引き下げることが可能な状況になっております。それぞれ歳入面、歳出面での要因を見てみますと、歳入については、前回、15年に料金を見直しているんですが、そのとき予想していたよりも多くの審査請求件数が今きております。そのために将来的に審査請求料の収入とか特許料の収入というのは予想よりも多く増加することが見込まれて、歳入増が見込まれます。

 

一方、歳出については、今後一時的に審査の迅速化のために、先行技術調査の外注を増加させたり、任期付きの審査官の人件費も今後は増加することが予想されています。また、新システムの導入ということで、IT投資も今後数百億の単位で増加する。そういうもので一時的には歳出も増加するんですけれども、平成23年に新システムが稼働します。そうすると機械化経費を削減することができまして、ほかに業務の効率化も見込まれておりまして、そういうもので今申し上げたような今後5年、20年から25年までの間で、平均して歳入を毎年210億円程度引き下げることが可能なレベルまで予想できます。

 

そういう全体の状況の中で、先ほど申し上げた政策課題とかユーザーからのニーズも踏まえ、また、難しいんですが共通経費なんかもある一定の過程で分けていって、ある程度部門であらあらの収支を見てみますと、この特許と商標の部門では今後収入超過が見込まれる。あと実用新案と意匠のところではほとんど収支は均衡していることが見込まれます。

 

そういう考慮の結果、今回、特許部門と商標部門でその料金の引き下げを検討していきたいと思っております。

 

じゃあ、どういう形でそれを引き下げるのかということですが、特許については、中小企業からの引き下げニーズが強かったり、研究開発促進という政策的なウエイト、あと部門間のバランスを考慮して、特許部門と商標部門のバランスを考えていきたいと思っております。その結果、特許では、毎年55億円程度の歳入引き下げのインパクトを持たせ、また、商標部門では155億円の歳入引き下げのインパクトを持たせる。合わせて210億ということでそれぞれを考えていきたいと思っております。

 

ただ、先ほどから申し上げたとおり、25年までを見通したことで1つの見通しを立てているんですが、それ以降はかなり不確定要素が増すと。先ほどの任期付き審査官についても、26年度以降その人員は減っていくとか、外注件数も減少に伴う。1つの請求件数のピークのこぶが減少してくるという状況とか、その5年先の世界でいくと、また出願動向も少し見通しにくいということもありますので、今回料金を見直した一定期間後には、この施行状況をもう1回見直す必要があるだろうと考えております。

 

4.で具体的引き下げ方法ということで出ております。他国と比較して割高になっているということですので、商標については、出願料、設定登録料、更新登録料を引き下げることにしたいと思っております。全体で先ほどの155億円程度の歳入引き下げ効果を考えますと、今の料金を平均で43%低下させるような料金引き下げになります。

 

具体的に言いますと、商標を権利で、20年権利を維持したということを想定すると、現行は13万円の費用がかかるわけですが、それを7万円にするというインパクトでございます。

 

4ページの表6のところでは、このアンケートでのニーズが出ております。

 

先ほどの13万から7万というのは、10年維持するということの想定でございます。失礼しました。

 

表7のところでは、商標の活用状況に関するアンケートということで、更新登録申請せずに新出願するという、例の更新の料金が高くなるために、更新をせずに新たに出願し直してしまうという行動も最近では多くなっているということもございます。

 

5ページでございますが、こういう料金を引き下げることに対して、不使用商標の問題も従来から指摘されているところでございます。我々、今回の改定では、その料金の中でも改定後も、更新登録料は設定登録料よりも引き続き高く設定することは維持したいと思っております。

 

また、不使用商標対策の運用ということで、冒頭、商標課長の方からも説明がございましたが、運用の中で不使用な状況が推定される場合には、それが確認できる場合には、拒絶するという運用も今後行っていきたいと思っておりまして、不使用対策への対応も十分ではないかと考えております。

 

あと、ちなみに特許の方の料金の引き下げも現在検討しておりますが、同じように特許分野については、中小企業の負担感の強い10年目以降の特許料を重点的に考え、全体としては平均12%の引き下げを検討しておるところでございます。

 

以上でございます。

醍醐会計課長

会計課長の醍醐でございます。

 

資料5に基づきまして、手数料納付における口座振替制度の導入について御説明させていただきます。

 

初めに1ページ目でございますけれども、オンライン出願と納付方法の実情について御説明いたします。

 

御承知のように、特許庁では、世界に先駆けてペーパーレス化を推進しておりまして、早くからネットワークインフラの活用を図ることで制度利用者の利便性の向上に努めてまいりました。左側の表にございますように、オンライン利用比率を見ていただきますと、特許で97%、商標で83%と非常に高い比率になっております。これに対して欧米の比率を見ていただきますと、アメリカで57、欧州で33、国内の行政機関に至ると15%と非常に低い率になっております。

 

これに対して、右側にございますけれども、決済方法については、この表にございますように99.7%が非電子的であります。特許印紙により納付が行われております。この理由は、電子的なネットワークインフラ、電子決済のインフラの未整備というのが非常に大きな要因となっております。

 

これにつきましては、次の2ページ目をごらんいただきたいんですが、これは過去、電子決済インフラの整備の経緯をまとめてございます。従来は国庫金納付については、今御説明しましたように印紙・現金が主流でございまして、口座振替というのがある場合も、磁気テープによって収納機関と金融機関のデータ授受を行ったということでございまして、実質的にゼン納、同時納と同視し得るネットワークインフラがなかったというのが実態でございます。

 

16年1月になりまして、マルチペイメントネットワークが運営する、電子現金納付というのが開始されております。特許庁においても17年10月から導入しておりますが、この電子現金納付については、下に書いてございますように、一件毎に納付が必要であったり、あるいはネットバンキング契約が必要、あるいは金額の制限があるといろいろな制約がございまして、電子決済のインフラとしては不十分という形でございます。

 

19年2月でございますが、特許庁、それから関税局等がマルチペイメントネットワーク運営機構に対して、国庫金の歳入以降についてマルペを利用したリアルタイムの口座振替の実現を要請しまして、これについて「ダイレクト方式インターフェース仕様書」というのが作成されました。これによりまして、24時間、申請だけで納付が可能、それから国庫金の歳入以降がオンライン化、それから国庫金では本邦初となるリアルタイム口座振替というのが制度上可能になっております。

 

3ページ目でございますが、新しい決済のニーズ方法について、昨年の2月に調査しております。出願人等2000人に対して実施した結果、新しい決済方法につきましては、特に重視する点は「手続の簡素化」、それから、希望する決済方法は「銀行口座自動引き落とし」ということで、右側の表にございますように、アンケート対象者からの要望も非常に高かったという状況でございます。

 

4ページ目でございますが、より簡便で安全な決済方法の提供という観点、それから今申し上げました利用者のニーズの観点、それから国庫金の電子決済インフラの具備ということで、こういう要件を踏まえまして、新しく口座振替制度を導入したいと考えております。

 

この口座振替制度でございますけれども、あらかじめ、特許庁、出願人、金融機関の3者が、金融機関が出願人にかわって手数料等を納付する旨を契約で合意しまして、出願人から口座振替による納付の申し込みをしたときは、特許庁が国庫金口座への振替を金融機関に指示するという形でございます。これを実現するために、具体的な根拠規定として「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」を改正したいと考えております。

 

5ページ目でございますが、今申し上げましたもののイメージでございます。上にございますように1)から順番になっておりまして、口座振替の申出書をまず入手しますと、申請人と特許庁、金融機関で三者間契約を結ぶ形になります。その後に振替番号を通知すると、あとは振替番号ととともに申請しますと、特許庁が納付番号を取得して、自動的に金融機関に振替指図をする、こういうスキームでございます。

 

それから6ページ目でございますが、ダイレクト方式口座振替のメリットでございます。上のところに書いてございますように、従来は印紙を購入しなければいけないということで、安全面あるいは手続の煩雑さということで非常に問題があったわけでございますが、こういうものが不要になります。

 

それから、真ん中にございますように、従来は予納口座等がございますが、登録料であるとか、出願料であるとか、全部一本で口座が開設されております。これがそれぞれごとの口座が開設できるという形になります。

 

それから、右側にございますように、電子現金決済システムがあったわけでございますが、これは1件ずつ処理しなければいけないという形になっておりまして、多件処理ができるということで非常に大きなメリットがございます。

 

7ページ目でございますが、法律改正を前提として、全体のスケジュールを申し上げますと、19年度中に特許庁、金融機関のシステム開発を完了する。それから20年4月から広報活動を行いまして、来年の夏ぐらいにはJPOと金融機関との連動試験を予定しております。20年10月から申請者の事前受け付けを開始いたしまして、21年1月から本格稼働という形で考えております。

 

8ページ目でございますが、申請者等へのアンケートで、要望のありましたクレジット決済についてですが、クレジット決済については、クレジットカード会社で構成する公金クレジット決済協議会が「クレジットカード決済導入の手引き」というものを作成しております。こういうものを検討し、さらなる利用者の利便性の向上に資する環境整備等を図るため、引き続き関係省庁、あるいはクレジットカード事業者との調整を行って、早期に所要の措置を講じたいと考えております。

 

9ページ目でございますが、さらなる電子化へ向けての検討ということでございます。特別の専用ソフトを不要として、インターネット+Webでの申請を可能としたり、あるいは申請ガイダンス、申請アシスト機能を充実させ、初心者であっても簡単に申請ができるように、ワン・ストップ・ポータル機能、それからインタラクティブ申請機能の両方の機能を目指します。それから、そのほかに現在紙でしか出願できていない書類についても、制度が許す限りにおいてオンライン手続を可能とすることを検討し、将来的には100%のオンライン率を目指したいと考えております。

 

最後の10ページ目でございますが、海外の決済方法についての表でございます。口座自動振替、クレジットカード等一部導入している国もございますが、これらの国と日本との大きな違いは、日本の場合は債権管理法等ございまして、債権管理が非常に厳しいという点が大きな違いでございます。

 

説明は以上でございます。

土肥委員長

どうもありがとうございました。

 

それでは、3.通常使用権等登録制度の見直し以下の4つの審議項目につきまして、皆様の御質問、御意見がございましたらお願いいたします。

 

井滝委員どうぞ。

井滝委員

商標委員長の井滝と申します。

 

資料4の料金の見直しですけれども、ここに挙げられているのは出願と登録と更新について検討されてますけれども、これだけというふうに理解してよろしいのでしょうか。

小川総務課長

分納とか全体として見直すことにいたしまして。分納とかすべての料金について43%掛けて、それで下げるということにしております。

井滝委員

例えば審判の請求費用とかそういうものは。

小川総務課長

請求の方は、審判の方の請求は対象としていません。

井滝委員

今後そういう予定とか、そういうのもないというふうに理解してよろしいのでしょうか。例えば、ふだん仕事をしていて一番気になるのは、旧分類で登録されたものが、書き換えによって複数の分類に類似商品が分かれる場合があるのです。例えば旧分類の、10類で医療機械器具について登録になっていた場合、それが書き換えをすると医療機械器具というのが、例えば5類の医療用腕環、10類の医療用機械器具、12類の車椅子というふうに多区分に分類されるわけですね。そうすると、こちらで例えば医療用機械器具について登録を取りたくて、旧分類で登録された先行商標があった。そうすると旧分類のままでしたら、取り消し審判は1分類だけしかありませんから、その審判請求費用はその1分類だけで済んだのすけれども、たまたまそれが書き換えで先行登録が5類、10類、12類に書き換えられて分かれている。そういう場合になると結局その印紙代が、1件目は5万5000円で、2分類目から4万円ですね。4万円掛ける2で8万、合計で、13万5000円という高額な費用になってしまう。そういう場合も検討事項に入れていただきたいなということが正直な話です。

土肥委員長

いかがでしょうか。

小川総務課長

具体的に後でまた御意見をお聞かせいただけますか。

井滝委員

はい。

土肥委員長

それでは、ほかにいかがでございましょうか。

 

どうぞ、篠原委員。

篠原委員

ただいま御説明がございました商標関係料金の引き下げ、中小企業にとっても大変有意義なことだと思うんですけれども、大ざっぱな感じで、ざっくりした数字でいいんですけれども、例えば今商標権が大企業と中小企業と比べ、比率はどれぐらいの比率になっているのか。あるいは商標関係収入全体の中で、中小企業の支払いと大企業の支払いの比率がどれぐらい。要するに大幅なインパクトが中小企業に与えるボリュームというか、インパクトを知りたいんです。

小川総務課長

金額ベースであれなんですけれども、商標の取っている人たちの利用の割合でいくと、件数ベースで36%が中小企業になっています。

篠原委員

収入総額でいくと、余りよく分かりませんか。

小川総務課長

済みません、今ちょっと手元に数字がないんですけれども。

篠原委員

この資料4の1ページを拝見しますと、今言った数字に近いんですけれども、平成18年度、100万円以下というのは34.2%ですよね。そうすると、大体このゾーン以下が中小企業と思っていいですか。一概には言えないのでしょうけど。

小川総務課長

いろいろな業種とか何かで多分この区分とか何かのあれも違うでしょうし。

篠原委員

ばらつきますか。

小川総務課長

それで1対1対応になっているんではないかと思います。

土肥委員長

どうぞ、石原委員。

石原委員

知的財産協会で副理事長をしています石原です。

 

拒絶査定不服審判の期間のことで御質問したいのですが、4ページです。特許に関しまして、3カ月検討期間をいただけるということは歓迎ですが、商標の場合そんなに期間は必要かなと思います。実務者の観点からの印象です。それでも特許と横並びということであれば、あえて具合が悪いという必要もないかなと判断しています。この4ページのところで、結局3カ月に延ばされていますが、例えば審判請求期間を2カ月にして、今までと同じように補正期間を30日、トータルで3カ月というような選択肢が検討されたのか、それでまた、それがなぜトータル3カ月と、補正期間はゼロというふうにされたのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。

米津審判課長

そういった選択肢もあろうかと思いますが、結局、審判請求するときには補正も含めて考えていただいて、きちんとした補正案に基づいた審判請求をしていただくのが審理の充実、効率化にも一番良いだろうということで、補正とセットで考えていただきたいということから、こういう御提案になっておるということです。

石原委員

わかりました。ありがとうございます。

土肥委員長

よろしゅうございますか。今の質問の趣旨は、特許制度ではそういうことが十分妥当するんだろうということなんですけれども、商標も同じことが妥当するということですね。

米津審判課長

商標の場合は、補正というのは指定商品等の補正ぐらいだと思いますけれども、確かに、補正とセットで審判請求を考えて欲しいといった面もございますが、あとは横並びで、他の行政不服手続、公取の不服申し立てとか、国税、等々と比べても、それらは2~3カ月というところが多いので、それらとの横並びも考えて、3カ月ということでいかがかなということでございます。

土肥委員長

ありがとうございました。そのようなことでございました。

 

ほかに。どうぞ、野田委員。

野田委員

電子情報技術産業協会の野田でございます。

 

ちょっと1点確認なんですが、資料4の料金の件ですけれども、5ページ目の(2)の少し上に、「新料金は、更新登録料を、出願料と設定登録料との合計額と同額とした」という表現があります。一方で、先ほど小川総務課長さんの御説明の中で、更新登録料を、出願料と設定登録料を少し高めにするとおっしゃったと思うんですが、聞き間違いかもしれませんが、要するに更新登録料と、出願料、設定登録料の関係がどこまで決まっているのか。私の理解では、厳密にというわけではないんですが、現状よりはるかに差を縮めて、ほぼ同額に近いレベルということではないかなと思っているんです。そのあたり、もしも制度上見えておれば教えていただけないでしょうか。

小川総務課長

特に更新登録料、あとは例えば分納の制度なんかでもあろうかと思うんですけれども、そこは今の傾斜よりも後ろの方の傾斜を少し縮めて、傾斜を緩くして、それで設定するということを考えております。具体的には設定登録料でありますのが、登録料で現行では区分数掛ける6万6000円というところを、登録料自身は区分数掛ける3万7600円ということで考えております。あと更新の方につきましては、現行の区分数、現行料金では区分数掛ける1万5000、15万1000円を、新料金では区分数掛ける4万8500円というように考えております。

土肥委員長

ほかにはいかがでございましょうか。

 

特にございませんか。

 

本日皆さんの御意見を伺うことにつきましては、先ほど来申しておりますように、通常使用権登録制度の見直しの方向性、それから審判の請求期間等の適正化、3カ月にする等そういうことでございますけれども、それから商標関係の料金のドラスティックな見直し、それから最後に、これも当然だと思うんですけれども口座振替制度の導入、この4点でございます。

 

今御説明がございましたように法律改正、政令改正と、、そういうことに今後方向性としてはなっていくんだろうと思いますけれども、このような方向性に商標制度を進めていくことで皆様の基本的な御了解をいただけたというふうにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

[「異議なし」の声あり]

土肥委員長

ありがとうございました。

 

それでは、基本的な方向性について御了解をいただいたとして進めたいと存じます。

 

少し早めなんですけれども、今後のスケジュールについて説明をお願いいたします。

間庭審議室長

どうもありがとうございました。

 

本日、御了解いただきました基本的な方向性につきまして、私ども1月下旬に知的財産政策部会の開催を予定してございますので、その場で報告させていただきたいと思っております。

 

以上でございます。

土肥委員長

ありがとうございました。

 

それでは、本日の審議事項は以上でございますので、以上を持ちまして、産業構造審議会 知的財産政策部会 第18回商標制度小委員会を閉会したいと存じます。

 

本日は、御審議をいただきましてまことにありがとうございました。

閉会

[更新日 2008年1月22日]

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