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第19回商標制度小委員会 議事要旨

平成20年6月
経済産業省

6月10日(火曜日)15時00分~17時00分に開催された、産業構造審議会 知的財産政策部会 第19回商標制度小委員会(委員長:土肥一史 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)について、概要は以下のとおり。

1.商標政策を巡る最近の動向について

資料1「商標政策を巡る最近の動向について」に沿って事務局から説明を行った。

2.海外における地名等の商標出願・登録問題について

資料2「海外における地名等の商標出願・登録問題について」に沿って事務局から説明を行った。

3.商標制度の見直しに係る検討課題について

資料3「商標制度の見直しに係る検討課題について」に沿って事務局から説明を行った。
事務局からの説明に対し、委員から出された意見の概要は、以下のとおり。

新しいタイプの商標の導入について

  • 新しいタイプの商標の導入について、国際的な制度調和やユーザニーズの観点から、立法化のための検討を行うことには意義がある。
  • 新しいタイプの商標の導入については、企業が事業を新しく行う際のハードルとならないような配慮が必要ではないか。また、既に導入している諸外国の中には、無審査主義や使用主義の国もあることから、我が国の商標制度とは異なる部分があることも考慮の上、検討する必要があるのではないか。

我が国における著名商標の保護の在り方について

著名商標の保護の在り方の見直しについては、裁判例や諸外国の制度の調査等を十分に行い、検討をする必要があるのではないか。特に、出所の混同を生ずるおそれのない範囲にまで保護を拡大することについては、慎重に検討を行うべきではないか。

登録後に普通名称となった商標の取消制度等の創設について

普通名称化した登録商標に対する取消制度の導入には賛成する。
他方、普通名称化を防止するための措置については、そもそも普通名称化する商標は、自他商品識別力が弱いとも考えられるところ、そのような商標を延命する制度にもなりかねないのではないか。

4.「新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ」(仮称)の設置について

資料5「『新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ』(仮称)の設置について」に沿って事務局から説明を行ったところ、委員から以下の指摘があり、事務局から適宜回答した。
その後、上記ワーキンググループの設置について了承された。

  • 新しいタイプの商標の導入について検討課題とされている商標の定義や使用の定義は、商標制度の根幹に関わる重要課題であるので、ワーキンググループにおける検討の結果を本小委員会においても検討すべきではないか。
    →商標の定義や使用の定義については、ワーキンググループにおける検討の結果を本小委員会に諮る予定である。
  • ワーキンググループにおける議論については、本小委員会の各委員にも伝えて欲しい。
    →ワーキンググループにおける議事の概要は、特許庁のホームページに掲載するとともに、各委員にも連絡する。

5.商標の審査基準の策定方法について

資料6「商標の審査基準の策定方法について(案)」、資料6-1「歴史上の人物名等の商標審査の方向性(案)」及び資料6-2「『類似商品・役務審査基準』の見直しの現状」に沿って事務局から説明を行った。
その後、商標の審査基準の策定方法については、資料6に示された方向性に従って、本小委員会に諮ることが了承された。また、歴史上の人物名等の商標審査の方向性については、資料6-1に示された内容でパブリックコメントに付す旨が、「類似商品・役務審査基準」の見直しについては、資料6-2に示された内容で見直しを進める旨が、それぞれ了承された。
なお、事務局からの説明に対し、委員から出された意見の概要は以下のとおり。

商標の審査基準の策定方法について

審査基準は、審査官による審査のためだけではなく、出願人に予測可能性を与える意味で大きな影響がある。従来の審査基準の改正の策定方法に、今回、新たに本小委員会における議論を加えることは大変有意義である。

歴史上の人物名等の商標審査の方向性について

  • 商標審査において、商標法第4条第1項第7号における公序良俗の概念は、民法第90条における公序良俗に比べて幅広くとらえて適用している実情があり、裁判所もその方向で対応している。商標制度の趣旨に照らし、商標登録するにふさわしくないような商標を拒絶するために、資料6-1に示された内容で公序良俗についての基準を定めることは止むを得ないと考える。
  • 資料6-1で示された判決があるのは理解するが、商標法第4条第1項第7号の適用には様々な意見がある。関連するものとして、商標法第4条第1項第8号についても検討する必要があるのではないか。パブリックコメントは資料6-1のように具体的な内容で行ってほしい。

「類似商品・役務審査基準」の見直しの現状について

資料6-2で示された全体的な方向性には賛成する。ただし、類似商品・役務審査基準は、審査実務上は重要なものである一方、裁判における判断を拘束するものではないことから、いわゆる「けり合い」等の問題については、新たな審査基準を査定時・審決時に粛々と適用させることでよいのではないか。

6.早期審査・早期審理の運用の見直しについて

資料7「早期審査・早期審理の運用の見直しについて(案)」に沿って事務局から説明を行った。
その後、早期審査・早期審理の運用の見直しについては、資料7において示された方向性でパブリックコメントに付し、そこで出された意見等を踏まえて検討を進めることが了承された。
なお、事務局からの説明に対し、委員から出された意見の概要は以下のとおり。

  • 早期審査・早期審理の運用の見直しだけではなく、審査順番待ち期間を3ヶ月とすることを求める者がいるのであれば、相対的な拒絶理由についての審査を行っていない諸外国の制度等を調査の上、例えば、一部の商標出願については相対的な拒絶理由についての審査を行わないというような弾力的な見直しを検討してはどうか。
  • 企業としては、製品を市場に投入する際に、相対的な拒絶理由についての審査を経た商標でないと、製品の販売までにかけた宣伝費等の費用を損失するおそれがあるため、安心して使用することができない。相対的な拒絶理由についての審査を維持した上での審査の短縮を望む。

7.今後の審議スケジュール

設置が了承された「新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ」(仮称)については、本年7月に第1回会合を開催する予定。また、次回の商標制度小委員会は、来年2月に開催する予定。

[更新日 2008年6月13日]

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