第22回商標制度小委員会 議事要旨
平成22年7月
経済産業省
7月2日(金曜日)10時00分~12時00分に開催された、産業構造審議会 知的財産政策部会 第22回商標制度小委員会(委員長:土肥 一史 日本大学大学院知的財産専門職大学院教授・一橋大学名誉教授)について、概要は以下のとおり。
1.我が国における著名商標の保護の在り方について
資料1「我が国における著名商標の保護の在り方について」に沿って事務局から説明をした後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。
(1)防護標章登録制度について
    - 防護標章登録を受けている事実が商標の著名性の立証資料とされている点については、防護標章登録の存在は、あくまで一つの補充的事実に過ぎず、訴訟において必要かというと疑問を感じる。また、権利が10年間固定化されるという事実に鑑みると廃止もあり得ると考えるが、ユーザーの意向や取引での役割も踏まえて考えるべき。 
 
    - 企業の実務としては、海外での侵害や冒認出願への対処などに防護標章登録の事実を主張・立証することもあり、模倣品対策等にも役立つため、防護標章登録制度は存続させるべき。 
 
    - 防護標章登録の権利範囲については、類似の標章の範囲まで拡大するか、あるいは、「同一」を社会通念上同一まで認めてもよいのではないか。 
 
    - 商標法の本質である出所識別機能からすると、防護標章登録の権利範囲としては、同一の標章の範囲にとどめるのが適切であって、類似の標章の範囲まで広げるというのは行きすぎではないか。 
 
    - 海外等で著名性の立証資料として使うことや、不使用取消を避けるために防護登録を受けることは、本来の趣旨とは異なっている。制度本来の趣旨とは異なる利用のニーズがあるのであれば、別の方策で対処してもよいのではないか。 
 
(2)非類似の商品・役務への著名な登録商標の商標権の効力の拡大について
    - 商標権の効力の拡大については、不正競争防止法との関係が問題となる。商標法に不正競争防止法と同じような規定を入れても、著名性の認定等、現在の不正競争防止法の主張立証内容とほとんど同じになる。商標法に改めて不正競争防止法と同様の規定を設ける必要はあるのか。現行法の枠組との関係でも疑問がある。 
 
    - 商標法の本質は、出所識別力のある商標を保護することにある。一方、不正競争防止法の本質は、公正な競争秩序を維持することにあり、いわば知財四法を補完するものといえる。両法の本質の相違からすれば、不正競争防止法で措置しているものを商標法で手当てする必要はないのではないか。 
 
    - 商標権の効力を拡大すると、例えば、先使用の取扱いにおいて不正競争防止法と違いが生じ、結果として商標権の保護が強くなりすぎてしまう等のデメリットがある。効力の拡大については慎重であるべき。 
 
2.新しいタイプの商標について(登録要件について)
資料2-1「新しいタイプの商標の登録要件について」、資料2-2「新しいタイプの商標と一商標一出願の原則について」、資料2-3「新しいタイプの商標の識別性について」、資料2-4「新しいタイプの商標の類似について」及び資料2-5「新しいタイプの商標とその他の拒絶理由について」に沿って事務局から説明をした後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。
    - 音、色彩などの新しいタイプの商標は、CM等の広告宣伝で多く使用されているが、企業は商品のイメージや顧客の認知を高めるために使用しており、商標として認識していない。 
 
    - 音は本来商標として機能し得ず、例外的に識別性を獲得した場合に登録されるべきものではないか。企業の広告活動に支障を来さないという視点も重要。 
 
    - 自然音などのありふれた音はCM中で使用が制限されると支障があることから、ありふれた商標として拒絶すべきではないか。また、長い音の商標は商標として認識されるとは考えられず、短い音に限って登録を認めるような工夫が必要ではないか。 
 
    - 真に保護されるべき商標のみが登録されるよう、法律だけでなく、基準においても例を示す等しっかり手当てして欲しい。 
 
    - 仮に、使用により識別力を獲得した場合にだけ登録が認められるような制度とするならば、従来の商標法の整理とは基本的に異なるものではないか。 
 
    - 事務局の提示する著作権に関する整理に異存はない。 
 
[更新日 2010年7月12日]
    
        
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