第29回商標制度小委員会 議事要旨
1.日時・場所
日時 平成24年9月25日(火曜日)10時00分から12時00分
場所 特許庁庁舎16階 特別会議室
2.出席者
土肥委員長、遠藤委員、岡本委員、神林委員、高崎委員、竹田委員、田村委員、松尾委員、宮城委員、柳生委員
3.議題
- (1)新しいタイプの商標の効力の制限及びその他の論点について
- (2)登録後に識別力を喪失した商標の取消制度の創設について
- (3)パリ条約第6条の3への対応の在り方について
- (4)商標法における地域ブランドの保護の在り方について
4.議事概要
資料1ないし資料4に沿って事務局から説明したところ、各資料に示された方向性で了承された。事務局からの説明に対し、委員から出された意見の概要は、以下のとおり。
(1)新しいタイプの商標の効力の制限及びその他の論点について
- 26条には、新しいタイプの商標の保護の導入にあわせて改正される3条1項各号及び4条1項18号に該当するものと同程度のものが規定されるのだろうが、26条の予見可能性を高める上でも、3条1項各号及び4条1項18号に該当する新しいタイプの商標の事例を審査基準等において明示して欲しい。
- 著作隣接権以外に、著作者人格権との抵触の問題もあり得るが、これについは、その範囲が難しく、著作権(翻案権、複製権)で解決できる問題でもあるからあえて明定しなくともよいのではないか。
- 商標的使用については、「認識できない態様で使用されている」という書き方よりも、「認識できる態様で使用されていない」という書き方のほうが、抗弁としての位置づけが明確になるのではないか。
- 出願日の特例を設けることにより、いたずらに出願が殺到するような事態は避けるべきである。継続的使用権については、改正法の施行時において使用されているもののみに限る等、どの程度の範囲で認めるかについては慎重に検討して欲しい。
- 防護標章については、その存在意義に疑問もあるため、新しいタイプの商標の防護標章は認めなくても良いのではないか。
(2)登録後に識別力を喪失した商標の取消制度の創設について
- 拙速に導入する必要はなく、新しいタイプの商標の保護が導入されることから、その運用状況等を踏まえ、普通名称化のみにするか、識別力を喪失したものまでも対象とするのかを検討すべきである。
- 26条があるから十分というものではなく、後願排除効や萎縮効果等があることから、識別力を喪失した登録商標を事後的に取り消すことができる制度は必要である。
- 査定時には識別力を有していた商標を査定時から識別力を有していない商標と同列に論じるのは適切ではなく、安易に取消制度を導入すべきではないが、識別力のない登録商標による弊害もあることから、諸外国の制度・運用を調査しつつ、慎重に検討して欲しい。
- 防止措置については、人々の言葉の使い方の自由を制約することにもなるので慎重であるべき。また、一般に使用されているものが辞書に掲載されると考えると、掲載される前の時点で普通名称化してしまっているともいえる。
(3)パリ条約第6条の3への対応の在り方について
現行の不正競争防止法の規定を参考に、4条1項3号に国際機関との関係誤認要件を追加するということであれば、新たに規定される概念が類似と同じ程度のものか、それよりも広く解されるものなのか明確にしてほしい。
(4)商標法における地域ブランドの保護の在り方について
- 現行の地域団体商標制度は、「今ある地域ブランド」の保護に適しているが、「新たに開発された地域ブランド」の保護には課題がある。地域においては、商工会議所、商工会、まちおこしNPOが主体となって、新たな地域ブランドを利用したまちおこしを行っていることから、そうした状況を勘案したうえで、これらの者も地域団体商標の主体として認められるべきである。
- 地域団体商標の主体は、加入の自由が保障されている団体であれば、制度の濫用のおそれも少ないことから、そのような団体にまで広げても良いのではないか。他方で、客体や周知性の要件に関しては、3条2項との関係を考慮しなければならない。
- 地域ブランドの名称には、地域団体商標の対象となっている「地域名+商品名」ではない構成からなる場合もあるので、客体を検討するに際しては、このような名称の保護をも考慮に入れて検討して欲しい。
- 地域団体商標として登録されることにより、海外での冒認出願の問題が懸念されるため、これらの対応も検討していただきたい。
- 「地名のみ」からなる商標については、証明商標による保護の可能性についても検討すべきではないか。
以上
[更新日 2012年10月2日]
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