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産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会
第11回商標審査基準ワーキンググループ議事要旨

1.日時・場所

日時:平成27年7月9日(木曜日)10時00分から12時00分

場所:特許庁9階 庁議室

2.出席者

小塚座長、小川委員、加藤委員、田中委員、外川委員、林委員、本多委員、本田委員

3.議題

  1. 商標審査基準の今後の検討事項とスケジュール
  2. 使用による識別性の審査基準について
  3. 国、地方公共団体等の著名な標章の審査基準について

4.議事内容

平成27年7月9日(木曜日)10時00分から12時00分に開催された、産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会第11回商標審査基準ワーキンググループ(座長:小塚 荘一郎 学習院大学法学部教授)において、議題1に係る「商標審査基準の今後の検討事項とスケジュール」については、了承された。議題2に係る「使用による識別性の審査基準」については、事務局提案の論点は了承され、第13回に基準改訂案を提示することとなった。議題3に係る「国、地方公共団体等の著名な標章の審査基準について」は、基本的な方向性は了承され、所要の修正をした上で、次回に基準改訂案を提示することとなった。

各議題についての審議の概要は以下のとおり。

1. 商標審査基準の今後の検討事項とスケジュール(資料1)

  • 審査基準と審査便覧の役割分担については、審査基準には審査における判断の基本的なルールを記載し、審査便覧にはそのルールを適用した場合の具体的な内容や手続面について記載し、審査基準を補足するということになるのではないか。
  • 裁判例の考え方の基準への反映については、最高裁判決を基本とし、下級審については評価が確立したものを対象とすべきである。なお、引用のしかたとしては、審査基準には関連する裁判例がある旨の注(及び事件番号等)を記載し、裁判例の引用そのものは審査便覧に掲載するのがよい。

2. 使用による識別性の審査基準について(資料2)

  • 審査基準上では商標及び商品・指定役務の同一性が求められているが、商標法第3条第2項の法文上の要件としては明記されていない。近時の裁判例では、商標及び商品・指定役務ともに厳格に同一ではなくとも、取引の実情を考慮した上で緩やかに同一性を認めている。審査基準にもこうした内容を取り込むべきではないか。
  • 企業ユーザの立場からすると、長年の使用において、商標を変化させながらブランド訴求することがある。また、変化させた場合であっても称呼は同一のものとしてブランド管理することが多いため、外観のみならず称呼等も考慮した上で同一性を判断して欲しい。
  • 裁判例は、同一性について緩やかに解するものと厳格に解するものの双方がある。商標法第3条第2項の制定の趣旨は、商標を商品等に使用した結果、その商標がその商品等と密接に結びついて出所表示機能を持つに至った場合に登録を認めるということであるから、法文上明記されていなくとも、暗黙の前提として同一性の要件があるのではないか。
  • 同一性を広く解釈しなくとも、禁止権の範囲で対応することもできるのではないか。取引の実情は一時的なものであるから、それのみで専用権を広げそれに応じて禁止権も広がることは、権利が強大化しすぎるのではないか。
  • 商標法第3条第2項の趣旨としては、使用による識別力の獲得のほかに、審査基準上明記されていないが独占適応性の観点があるため、そのバランスも考慮しながら識別力を獲得した範囲を認定するという原則的な考え方を記載することが望ましい。

3. 国、地方公共団体等の著名な標章の審査基準について(資料3)

  • 商標法第4条第1項第6号の「同一又は類似」は、同法第4条第1項第11号と同様ではなく、公益保護の観点からその範囲を広く解釈して運用されているため、基準改訂イメージの文言はそれに則したものに修正するべき。なお、公益保護が趣旨であるため、「出所の混同」の文字は削除した方が良い。
  • 商標法第4条第1項第6号の「著名」の解釈については、公益保護の観点から、全国的な需要者の間に認識されるにまで至っている必要はないという方向性はよい。ただし、同法4条1項8号の「著名」との関係を整理する必要はある。また、公表してすぐに「著名」となることが想定されるものについても、含めることができるかについて検討が必要ではないか。

[更新日 2015年7月10日]

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