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産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会
第21回商標審査基準ワーキンググループ議事要旨

1. 日時・場所

日時:平成28年11月10日(木曜日)14時00分から16時15分

会場:特許庁9階 庁議室

2. 出席者

小塚座長、大西委員、小川委員、加藤委員、金子委員、外川委員、本田委員、小林委員(林委員代理)

3. 議題

  1. 公序良俗違反(4条1項7号)の商標審査基準について
  2. 他人の氏名又は名称等(4条1項8号)の商標審査基準について
  3. 類否判断(4条1項11号)の商標審査基準(外観・称呼・観念の類否、商品・役務の類否、結合商標の類否、取引実情説明書)について
  4. 商標法制定の趣旨違背を拒絶理由とする場合における適用条項について

4. 議事内容

平成28年11月10日(木曜日)14時00分から16時15分に開催された、産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会第21回商標審査基準ワーキンググループ(座長:小塚 荘一郎 学習院大学法学部教授)において、議題1「公序良俗違反(4条1項7号)の商標審査基準について」は、資料1-1及び1-2に基づいて、また、議題2「他人の氏名又は名称等(4条1項8号)の商標審査基準について」は、資料2-1及び2-2に基づいて審議され、概ね了承された。

議題3「類否判断(4条1項11号)の商標審査基準について」は、資料3-1~3-4に基づいて審議され、記載ぶりの修正が必要な箇所は一部あるが、概ね了承された。

議題4「商標法制定の趣旨違背を拒絶理由とする場合における適用条項について」は、今後、「指定商品又は指定役務が完全に同一な場合に限り、「商標法3条の趣旨に反する」という理由で拒絶するという運用が了承された。

各議題についての審議の概要は以下のとおり。

1. 公序良俗違反(4条1項7号)の商標審査基準について(資料1-1及び資料1-2)

  • 資料1-1の1.(1)下から3行目に「公共的利益を損なう等の事情が明らかと判断される場合には」とあるが、特許庁として、剽窃的な商標の出願について4条1項7号を適用している裁判例(資料1-1の参考裁判例③~⑤)を考慮していく方向でいくなら、例えば、資料1-2の1ページ(5)「登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある」といった(私的領域の場合も排除していないことがわかる)文言が適切ではないか、という意見が出されたが、資料1-1の記載ぶりは、事務局で検討し、一任されることとなった。
  • 資料1-2について、4条1項7号の適用に当たっては慎重に行うべき旨、審査基準に記載すべきではないかとの指摘があったが、現在の審査実務では、4条1項10号、15号、19号等、4条1項各号に該当する場合にはそれらの条文を適用していることから、あえて審査基準に記載する必要はない旨確認された。
  • 資料1-2の「2.本号に該当する例」の中に、「出願人が『○○株式会社』のときに、商標中に出願人の名称と相違する『××株式会社』の文字を有する場合」の例は記載しないのか」、という質問に対し、事務局から、「この運用はもう少し検討する必要があるため、今回は2.の例として掲載していない」旨回答した。

2. 他人の氏名又は名称等(4条1項8号)の商標審査基準について(資料2-1及び資料2-2)

  • 資料2-2「3.『著名な』略称について」の文中の「常に(中略)基準とすることはせずに」の記載は、説明により部分否定であることは理解できるが、文章だけでは全否定とも読めてしまい、わかりにくいとの意見が出されたため、事務局で、資料2-1の(2)④の裁判例〔国際自由学園事件〕から逸脱することのない範囲で記載ぶりを再検討することとなった。
  • 氏名をローマ字で記載した場合、表記の揺れ(ぶれ)が考えられるため、一つの表記に限定できない場合は、著名な略称に準じて取り扱うという考え方が紹介されたが、ローマ字が他人の氏名と認識される場合は、現状どおり、本号に該当することが確認された。

3. 類否判断(4条1項11号)の商標審査基準(外観・称呼・観念の類否、商品・役務の類否、結合商標の類否、取引実情説明書)について(資料3-1~資料3-4)

  • 審査において考慮できる取引の実情は、指定商品又は指定役務における一般的・恒常的な取引の実情のみを考慮することができるという基準(資料3-4の1.(1))については、賛成の意見が多く出された。
  • 資料3-4の「2.(1)(ア)外観の認定」に「~外形的な要素をいう。」という記載があるが、称呼や観念の認定の文言とあわせたほうがよいのではないか、という意見が出され、事務局で記載ぶりを再検討することとなった。
  • 資料3-4の10ページ「(3)観念の類否について」の最後に「互いに紛らわしいか否かを考察する。」とあり、これは称呼の文言(資料3-4の4ページ(2))にあわせた形と思われるが、観念においては、例えば「概ね同一か否か」など限りなく同一に近いという意味がわかる記載にしたほうがよいとの意見が出され、事務局で記載ぶりを再検討することとなった。
  • 資料3-4の13ページ(例)④の基準は断定的な書きぶりであり、12ページ4.(1)の「なお、結合商標の各構成部分~観念は生じない。」の一文と矛盾するようにも読めてしまうという指摘に対し、事務局において(例)④の記載ぶりを再検討することとなった。
  • 資料3-4の14ページ(イ)の「(例)構成上の相違点が認められる場合」に長い称呼の例があるが、「これは『構成上の相違点』に含まれるのか?」との指摘に対して、タイトルと例示内容に齟齬が生じないよう、タイトルについて事務局で再検討することとなった。
  • 資料3-2の2ページ「3.」について、「このように基準が改訂されたとしても、引用した登録商標の商標権者から一筆もらうことは現実として難しいと思うが、資料3-4の13.の親子会社の関係がある場合についての取扱いについて賛同する」という意見があった。
  • 資料3-4の11.(4)の「①引用した登録商標の商標権者が、単に商標登録出願に係る商標の登録について承諾しているにすぎない場合。」について、基準に残す必要の有無が議論されたが、確認的な意味で記載することとなった。

4. 商標法制定の趣旨違背を拒絶理由とする場合における適用条項について(資料4)

  • 同一の商標について全ての指定商品又は指定役務が同一の場合に「商標法3条の趣旨に反する」との拒絶理由を適用する運用について、賛成の意見が多く出された。また、実際にこの運用が適用されたときは、すぐに拒絶査定をすることなく補正指示等を出して欲しい旨の意見が出された。
  • 当基準ワーキンググループのマターではないが、この取扱いについて、条文上の根拠を明確にするために将来的には立法化を検討してほしい旨の意見が出された。

以上、


[更新日 2016年11月15日]

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