第2回商標審査基準ワーキンググループ議事要旨
平成24年11月
経済産業省
9月27日(木曜日)15時から17時に開催された、産業構造審議会 知的財産政策部会 商標制度小委員会 第2回商標審査基準ワーキンググループ(座長:小塚 荘一郎 学習院大学法学部 教授)について、議事の要旨は以下のとおり。
1.国内外の地理的名称からなる商標登録出願の取扱いについて
資料1-1「国内外の地理的名称からなる商標登録出願の取扱いについて」、資料1-2「『商標審査基準』の改正案(国内外の地理的名称からなる商標登録出願の取扱いについて)に対する御意見及び御意見に対する考え方について」、資料1-3「商標審査基準改正案」に沿って事務局から説明を行ったところ、「国内外の地理的名称からなる商標登録出願の取扱い」に関する商標審査基準改正案について一部修正し、商標審査基準を一部改正することが了承された。
事務局からの説明に対し、委員から出された主な意見の要旨は、以下のとおり。
- 商標審査基準改正案は、表現ぶりに一部修正が必要な部分があると思われるが、前回の議論を踏まえた結果を反映しており、内容的に賛同し得る。
- 「3条1項6号を適用すると掲げた商標であっても使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至っている商標については同号を適用しない旨の改正案は不要である」との意見がパブリックコメントで提出されているが、一般の人にとっては理解容易となるので記載は必要である。
- 国内外の地理的名称からなる商標は、実際の審査実務においては3条1項3号が適用され、3条1項6号の新基準が適用されるケースは殆どないものと想定されるが、地理的名称からなる商標の中には、3条1項3号の適用が難く、事務局作成の資料にあるように、事業者の所在地の例として「チューリッヒ」や指定商品の仕向地の例として「ジュネーブ」もあり得ることから、3条1項6号の規定を適用する審査基準の作成には意義がある。
- 3条1項6号の基準案において、事業者の設立地等の国内外の地理的名称を表示する商標等は3条1項3号の規定に該当しない場合であっても、事業者の設立地等として多くの場合すでに一般的に使用されあるいは将来必ず一般的に使用されることを踏まえ、原則として本号に該当する旨規定しているが、同規定で「踏まえ」としている部分は、適用の要件ではなく、事業者の設立地等が識別機能を果たし得ないとする理由を示したものと考えてよいかとの質問がなされたところ、事務局から、事業者の設立地等が識別力を有さないという理由付けを記載し、本号の規定を理解しやすくした旨回答し、了解された。
- ビジネスでは外国語で特定の語をブランドに採用することがあるが、こういったブランドが偶然にどこかの地名であるということもあるので、実際の本審査基準の運用にあたってはかかる点は考慮されるのかとの質問に対し、事務局から、現在の3条1項3号の産地、販売地に該当するか否かの判断においても、産地、販売地として認識される要因があれば原則として同号を適用しており、本改正案についても同様の運用となると考えている旨回答し、了解された。
- 本審査基準は、審査段階における判断基準ではあるが、審判段階においても判断の基準となるのかとの質問に対して、事務局からは、審査基準であり審査に向けた基準ではあるが審判においても新基準の趣旨を踏まえて判断していきたい旨の回答がされた。
2.商標制度小委員会での「新しいタイプの商標」の検討状況の中間報告について
資料2「商標法の保護対象に追加する商標のタイプについて」及び資料3「商標法の保護対象に追加する商標のタイプの検討課題」に沿って事務局から説明を行ったところ、事務局からの説明に対し、委員から出された主な意見の要旨は、以下のとおり。
- 新しいタイプの商標の審査基準を検討する場合には、新しいタイプの商標に関係を有するような業界の意見を反映させるためのメンバー構成を考えていただきたい。
- 今後WGにおいて検討するに当たり、願書への商標の記載方法であるとか、商標の範囲の公示方法など、新しいタイプの商標毎に検討していくことが良いのではないか。
- におい・香りの商標についての識別力のまとめ方は非常に賛同できるものであるが、音の商標についても、このような類型化の分析がされるのかとの質問に対し、事務局から、音の商標についても、におい・香りの商標の例にならって整理していきたいと考えている旨の回答がされた。
- 新しい商標を出願する際、願書の記載・特定がまず困難であり、願書が適切に記載されたとしても識別力の欠如ということで、出願がほとんど拒絶されてしまうのではないかということを懸念している。出願人側からすると、時間をかけ苦労して実体審査にたどり着いたとしても、登録の見込みも薄いのであれば、せめて早く結果を知らせて欲しいので、方式と実体審査を並行して行うことについても検討していただきたい。
[更新日 2012年11月2日]
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