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委員長 |
定刻になりましたので、ただいまから第13回特許制度小委員会を開催いたします。 |
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事務局 |
お手元の資料の確認をさせていただきます。資料1から3まで。まず資料1が議事次第と配付資料の一覧。資料2が委員名簿。資料3が、本日議論していただく「職務発明制度の在り方について(その3)」でございます。それから、参考資料といたしまして、本日ご欠席の委員よりご意見をいただいております。 |
委員長 |
ありがとうございました。先ほどちょっとご説明がありましたけれども、本日欠席されております委員からコメントをいただいておりますので、ご紹介いただけますでしょうか。 |
事務局 |
お手元の参考資料の1枚紙でございます。論点は2つあるかと思いますけれども、まず、1に書かれておりますところは、対価について、企業と従業者に基本的にゆだねるべきという今回の事務局案については、その方向性は賛同いただいているということでございます。ただし、法が定める対価の規範が、通常の企業における現実の効率的な報酬制度と整合性がとれていないとやはり問題があるのではないかという指摘でございます。 |
委員長 |
どうもありがとうございました。ただいま事務局からご説明がありましたとおり、これまでの議論を踏まえて論点を整理していただいております。スケジュールの関係もありますので、次回の小委員会では、できれば報告書案を作成して、それをご議論していただきたいと考えておりますので、その点をお含みおきいただいて、これからこのペーパーに基づいてご議論をいただきたいと思います。 |
委員 |
まず、事務局案の確認ですけれども、従業者が相当の対価の請求の訴訟を起こした場合、企業の側では、相当の対価については事務局案の1ページから2ページに出てくるような手続を踏んで報奨規程がつくられているということを主張、立証することによって、原則的にこの報奨規程による相当の対価の支払いがなされることが証明できる。ただ、それに対して従業者の側は、1つは、当てはめの間違い。例えば、報奨規程に決められたA基準によって100万円支払うべきなのに、B基準によって50万円支払ったのは当てはめを間違ったのだということで、差額の50万の請求をすることができる。その場合の、その当てはめが間違っていることの挙証責任は従業者側にある。 |
事務局 |
ご丁寧な質問ありがとうございます。まさにそのとおり、正しいご理解だと思います。 |
委員 |
もう1点だけ。報奨規程の場合は今のでいいとして、契約でいく場合には、個々的な契約になるわけですね。個々的な契約の場合の手続というのはどうかかわってくるのか。つまり、個々的な契約であっても、一般的に、企業の側としてはこういう基準でいきますということを報奨規程と同じような手続を踏んでなされてなければいけないのか。その点がちょっとよくわからなかったんです。 |
事務局 |
この案でも契約を否定するものではございません。規程ではなく、契約で承継や対価の決定をされているケースというのはあるかと思います。それを想定いたしまして、資料の2ページの④でございますが、上から4行目に、発明の後の承継契約、つまり事後承継の契約を行った場合には、契約に当たっての交渉の状況が参酌されると考えております。一方的な契約ではだめで、お互いにほぼ対等の立場で交渉できるような環境なりを考慮することになるかと思います。 |
事務局 |
1点だけ補足させていただきますと、当てはめの間違いのところ、今、委員のおっしゃられたとおりなんですけれども、基本的に、間違いということの中に、仮に使用者と従業者の間で当該発明の経済価値をめぐって純粋な見解の対立のようなものがあることはよくあると思うのです。そういうものというのは、基本的に当てはめの間違いということには直ちにはならないだろうとは思っておりまして、当然そこで、どれぐらいきちんと不服を聞いたのかとか、説明がなされたのかとかという、ある意味では納得度とのバランスで決まってくる話だとも思いますし、基本的には、当てはめのところで、発明の純粋な経済的価値の評価をめぐって対立があるということだけで、それが不当だということにはならないだろうということが1点。 |
委員 |
半分程度、今の質問とダブっていましたので、ダブらない部分だけお聞きしたいと思うんですけれども、質問の後半のところで、法の趣旨から金額が妥当でない、あるいは合理的でないという場合に、従業者側に妥当でない、合理的でないという挙証責任があるという話でございましたけれども、我々としては、基準の策定が合理的である、当てはめが合理的であるということで、それに基づいてなされた金額が出た場合には、それについては裁判所は介入しないというように考えたのですけれども、それ以外の、法の趣旨に照らして妥当でないというのが、どういうケースが想定されるのか、ちょっとわからないので、わかったら教えてほしいというのが1点でございます。 |
事務局 |
最初のご質問で、合理的な手続を経ていればその結果になるのではないかということですが、いわゆる純粋手続ですね、手続さえ踏んでいればいいというのではありません。基準の策定に当たっては、デュープロセスを経る中で、当然ながら規程の中身についても従業者に示して協議の対象とするわけですし、それから、当てはめにつきましては、当然、当てはめの手続をきちんとやって、従業者に不服がある場合には申し立ての機会を与え、それに対してどう答えるかとかが重要でございます。そういったプロセスの中身をきちんと行っていれば、裁判所もそれを尊重するであろうという制度を目指しているということで我々は書いているところでございます。 |
委員 |
ということは、基準の策定の合理性、当てはめの合理性がちゃんとなされたかどうかという意味でございますね。 |
事務局 |
はい、そのとおりです。 |
委員 |
わかりました。 |
委員 |
今の点が大変大きなポイントだと思うんですが、手続の策定、当てはめというプロセスがそれぞれ合理的である。つまり、きちんと手続を経て策定し、当てはめも手続を経て行えば、それは合理性が基本的に認められるのはずっと議論してきたことで、全くそのとおりなんですが、100%そうなのかどうかということが、先ほどの議論だと思うのです。 |
事務局 |
まず、1点目については、基本的に、前回「その2」でご説明した内容と相違はないということでございます。当然ながら、職務発明の争いについては、まさに対価の額が論点でございますから、それを論点から外すような内容というのは我々としても考えられないということでございますので、その点について我々の視点は基本的には変わっていません。ただし、今までも一貫してご説明してきたとおり、手続が合理的になされれば、相当の割合で裁判所も尊重するような規定にしていく方向で改正したいと考えているわけでございます。 |
委員 |
そうすると、今の想定されている3項の中から「相当の対価」という概念は消えるわけですか。 |
事務局 |
不合理性があった場合には相当の対価を請求する権利を有するという現行3項の骨格はそのまま残します。相当の対価という言葉も残します。ただし、例えば、使用者・従業者間で合意したといいますか、対価について納得している場合にはその限りではないとか、そういった構成を考えています。 |
委員 |
今の点の理解の確認ですけれども、今の最高裁判例の立場を前提にすると、対価が相当の対価に満たなければ、その差額分を当然に請求できるという構造で考えているけれども、最高裁判例の考え方というのはそうはいっていませんが、考え方としては、相当の対価に満たないような対価の定めは基本的に効力はないわけであって、相当の対価の請求権が認められるという構造になっているけれども、その意味では、定めが相当の対価に当たっているかどうかというのが、定めの効力を判定する際の基準になっているけれども、今のご説明は、対価の効力をそのまま認めるかどうかに当たっては、おっしゃるところの不合理かどうかというのが効力判断の基準に置きかわる。相当の対価というのは効力判断の基準ではなくなるわけですね。つまり、不合理かどうかが基準になる。不合理だとされると、対価の定めの効力が失われるわけですから、相当の対価というのが生きてくる。そういう構造でお考えだと理解すればよろしいですか。つまり、無効かどうかの判断の基準を相当の対価から不合理に置きかえるという理解でよろしいんでしょうか。 |
事務局 |
そのとおりです。 |
委員 |
今のところ、やっぱりよくわからないんですが、そういうことになりますと、先ほどから、規程の中身というものも問題だとおっしゃいましたよね。その中身というのはどういうことなんでしょうか。今のご説明からしますと、それは中身じゃなくて、策定、手続の当てはめが合理的かどうかという問題ですよね。そうすると、私はやはりそれと中身との関係がわからないんです。 |
事務局 |
まず1点整理をさせていただくと、現行の職務発明規程がそのまま新しい35条改正案において尊重されるものになるとは我々も考えていませんで、何となれば、企業等における現状の規定というのはこういったプロセスを経ないでつくられておりますから、したがって、新しい35条で尊重されるものとするためには、まず、このプロセスを経て新しい規程をつくっていただく必要があります。 |
委員 |
そうすると、具体的な意味の中身じゃないわけですね。規程の中身というのは、規程の決め方とか、納得とか、制度的に報酬の規定がどうなっているか、そういうところは重視されるということでしょうか。 |
事務局 |
はい。当然、その規程を定めるに当たってのプロセスでは中身の議論もされますから、手続と内容というのは両方とも含まれるということです。 |
委員 |
その内容というのは何でしょうか。 |
事務局 |
金額とか、あるいは、どういう場合にどういう支払い方をするかといった規程の中身そのものですね。それも当然そのプロセスの中では議論されるものと考えております。 |
事務局 |
例えば、いくら手続を踏んで決めていても、発明の軽重といいますか、そういうものに全く何の配慮もせずに一律の金額だけというようなものをお決めになるということだと、それは場合によっては不合理ということになるかもしれない。そういう意味においては、内容面も審査の対象にはなるだろう。ただ、そこであくまでも審査の中心になるのはやはり手続面、それで納得をできるだけするような形で手続が履践されるということがまずは重要だろうということで考えております。 |
委員 |
委員からのペーパー、私は基本的には賛成したい立場なんですが、前々から、基本的には企業と発明者の間で取り決めをさせていただきたいと。その1つの方法として、合理的な取り決めをすれば、あるいはその取り決めに従った運用をすれば、それですべてというふうに頭の中では考えておったわけですけれども、きょうに至ってもそれではおかしいという議論もありますし、どうも相当な対価という、そのものに、後ろにつながっている以上、非常に不安定な要素が含まれているのではないかと感ずるわけです。 |
事務局 |
その点につきましては、何度もご説明しているとおり、規程がない場合といっても、場合によっては個別契約でやる場合もありますから、単純に規程がない場合ということで、いきなり相当の対価にいくという規程は実際上は無理であるとは思うのですけれども、いずれにせよ、個別契約の点を除けば、規程がない場合は相当の対価にいくということについて皆さんご異論はないと思います。 |
委員 |
今、何件かの判決が出て、大体、相当の対価というのが決まってきているような感じもするんですが、実際の取り決めの中の額があの程度いってなければ、不合理性があるというようにみられるということなんでしょうか。 |
事務局 |
いえ、それは全く違います。現在の35条では、今回考えているような手続の規定がありませんから、いきなり4項で相当の対価を算定するということになります。また、2.でも書かせていただいたように、そもそも4項の解釈自体も判決によって違っているというような状況ですけれども、今回の改正案につきましては、そこに手続規定を入れて、使用者、従業者の納得度を求めるような規定にしておりますから、結果的に、そこから求められた対価の額がこれまでの判例における「相当の対価」と同程度となるかは必ずしも断言はできないと思います。 |
委員 |
基本的には企業と従業者の間の取り決めで認めていただきたい。ただ、それだけですと、今、心配されるような規程なり取り決めをする場合もあるでしょうから、そこで合理的ということをむしろ精神規定で入れていき、努力として表現するのは結構だと思うんですが、あくまでもそれではなくて、額の合理性というのがいつも後で引いてくるんですと、やはり問題を残すと思うんです。そういう意味で、強行規定の3項を後ろにつなげるというのはどうかなと思うんです。つながってなければ、そういう問題にはならないんだろうと思うんです。 |
事務局 |
相当な対価と合理的な対価というのは全く違うものだと。少なくとも法的評価においては全く違うものだと考えております。もちろん、契約で定まった合理的な対価というのがあって――ここではそれが不合理でなければ基本的に合理的だという意味においていっているんですけれども――それは、少なくとも判断の基準というのは全然違うだろうと。 |
委員 |
よくわかりませんね。要するに、ざっくり、どういうイメージで35条3項を考えられているのか示していただいた方がいいのかもしれないけれども、今の相当の対価と、相当と合理的だということは違うんだという説明がよくわからないのですが。 |
事務局 |
基本構造は、3項はそのまま残しまして、それで、3項の規定にかかわらず、当該契約、勤務規則その他の定めにおいて対価について定めたときは、その定めるところによるという趣旨の条文を置く。ただし、契約などで定まる対価の決定が、協議の状況ですとか意見の聴取の状況、そういったものに照らして交渉力等の格差にかんがみ不合理であると認められる場合はこの限りでない。すなわち、契約とか勤務規則で定めたところによらないで、相当の対価請求権が復活する、そういう法律の構造は考えております。 |
委員 |
そうです。 |
事務局 |
ただ、多分それは、立証責任の配分の問題とかがあって、恐らくそれだと使用者側が合理性すべてについて立証責任を負う。法的な形態としてはそのようになる余地が大きいのではないかとは思うんです。 |
委員 |
余り細かな議論をしてもいけないのかもしれませんが、1つは、推定規定を置けば、相当の対価の今の立証責任の点は逆だと思います。 |
委員 |
私は基本的には事務局案に賛成ですけれども、あとは説明の仕方の問題かなと思うんです。ただ、基本的な考え方としては、前からいっているように、従業者は相当な対価を請求する権利を有する。企業がプロセスを踏んで報奨規程を設ければ、その報奨規程によって定められた額が相当な対価とみなされる。しかし、そのプロセスを踏まなかったときには、合理的プロセスを踏まなかったことが立証できないことによって、それによれない。だけど、それによれれば、あとはもうそれで原則的にずっといくわけで、ただ、当てはめが間違ったときはこれはまた別の問題と。 |
委員 |
私もそう思いますね。合理的な対価、相当な対価、ではどのように中身が違うかという議論がどうしても出てきますし、当事者が、企業・従業者が考える場合だって、相当な対価じゃないものでいいなんて思っているわけではないので、やはり目標は相当な対価だと思います。新しい4項で両方の当事者の立場を考えられる規定を具体的に設けようとしてらっしゃるので、それが相当な対価であり、あとは、相当な対価とみなすか、推定するかでやった方がよほどいいと思います。そもそも、なぜ契約や就業規則で対価を決めるかというと、やはり発明した以上相当な対価を与えましょうということなので、それで筋を通さないと、2つの対価で、理論的に非常に説明が難しくなるかと思います。 |
委員 |
また整理だけのために発言させていただきますが、先ほど委員の方がおっしゃっているのは、従業者というのは基本的に相当の対価は必ず得られないといけない。ただ、企業が定めをすれば、そしてそれが合理的であれば、それが相当の対価だ。だから相当の対価は認められる。でも、企業が何の定めも置かない場合は、相当の対価をだれかが決めないといけない。最終的には裁判所が当該ケースをみて、これが相当の対価だという適正な額を1つぽんと決める。これも相当の対価だと。いずれにせよ、そういう形で、従業者というのは必ず相当の対価を得られないといけないという前提で説明されていると思います。 |
事務局 |
今おっしゃっていただいたとおりでございます。 |
委員 |
だいぶ法律論が先行しているように思いますが、今、幾つか議論が出ましたように、うまく説明をしていただければ、私は事務局案でいいと思います。今日、事務局のご説明で私は非常によくわかりましたが、できれば、1つのモデルケースをつくっていただければと思います。先ほど発言された委員の疑問点を伺っていますと、やはりどこか危なっかしくて、こういう場合はどうなるのかということが納得できないところがあるようです。このようなときはこれですぱっといきますよと。そして、それに外れる場合は、例えばこういうケースですよというようなことだと思います。私も法律の詳しいことはわかりませんが、特にきょうのご説明で非常によくわかったのは、1ページの1の①の予測可能性というのが重要なキーワードだということです。ある発明に対して、発明した人がこれで幾らいただけるのかということが全く予測できない場合、あるいは予測できる額がすごく低い場合には、不安ないし不満があるだろうと思います。 |
事務局 |
今の予測可能性ですけれども、このように計算すれば合理的な対価になるとかという意味での予測可能性ではなくて、一定の手続を経て定めた対価の額というのが訴訟においてもかなりの確率で尊重されるという意味で予測可能性があるということです。 |
委員 |
それは画一的にここで決めなくても、各社がお決めになればいいんだと私は思うんです。 |
事務局 |
おっしゃるとおりです。したがって、そこは使用者・従業者の間できちんと議論されて求めたものが尊重され、予測可能性が高まるのではないでしょうか。 |
委員 |
それをみると、発明者は、大体これに対してはこの程度だろうと、自分でも予想がつくようなものだということですね。 |
事務局 |
はい、そうです。予想がつくと共に、お互い納得したものになるということです。 |
委員 |
先ほど来、整理いただいた委員には申しわけないんだけれども、委員が整理されるとますますわからなくなってくるんですけれども、今おっしゃったように、⑥というのがありまして、読んだだけだと、非常にわかりやすいなと思ったんですが、説明を整理されるとわからなくなってくるんです。 |
事務局 |
そこは冒頭でご説明したとおり、対価の決定の中には4つの要素がありますというご説明をしました。手続といっても、純然たる手続と、当然、そのプロセスの中には規程なりの対価の額というのも入ります。したがって、前回の説明を引用されました、いわゆる使用者と従業者の非対称性というのは、1ページの1.②のところにもありますように、手続については、使用者と従業者の立場の相違にかんがみて、不合理かどうかというところは当然ながら判断の基準になります。単純に手続を踏んでいることだけではなくて、弱者たるというとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、従業者が、ある程度参画できるなり、意見をいう機会を与えられているかとか、そういったことがここの不合理性の判断の1つの要素になるということですので、規程がない場合はもちろんですけれども、不合理な手続を経て決められた対価というのは、ある意味で規程がないのと同じだという解釈をしていることになるので、そういう意味で、委員の整理というのは事務局の考え方をうまく整理されたなと、事務局としては思っているんですけれども。 |
委員 |
先ほど4つの要素といいましたが、もう一度おっしゃっていただけますか。 |
委員 |
事務局案がある場合と、ない場合とでは違うということですね。事務局案による場合とよらない場合とで違うという趣旨です。 |
事務局 |
まず、大きく分けると、基準をつくる場合ですけれども、基準の策定と基準の当てはめですね。2つポイントがある。それぞれの中に、手続と内容があるということです。それで4通りですね。内容というのは、対価の問題ですから、規程の策定に当たっては、職務発明の規程の中にどういうケースは幾ら支払われるという規程の中身そのものです。それから、当てはめの場合には、ある判断をしたことによって幾ら支払われるという、これが最終的な支払いの対価になるかと思いますが、その当てはめの結果導き出された対価の額。この4つが要素として考えられます。 |
委員 |
先ほどから立証責任のことについての発言がありますけれども、この4つが不合理だということを立証するのはどちらになるんですか。発明者の側なんでしょうか。 |
事務局 |
基本的に、事務局で今考えておりますのは、定めが何らかの形で存在するということの立証責任というのは使用者側にあるだろうと思っております。ただ、それが不合理かどうかということの証明責任というのは原告たる従業者側にあるのではないかと思います。 |
委員 |
今、著しく逸脱するとおっしゃっていましたけれども、1.の括弧の中で、「一方、不合理である場合」ここは「一方」と「不合理」の間に「著しく」というのを入れてもいいと思うんです。そういう提案をさせていただきたいんです。というのは、会社の中での自治というものを最大限尊重するというポジションを明確に打ち出していただけたらと考える次第です。 |
委員長 |
表現についてはもう少し検討させていただきます。今の点は十分参考にさせていただきます。 |
委員 |
整理ではなく、実質的な質問をさせていただきたいと思いますが、今の点とまさにかかわる点なんですけれども、そして、一番最初に委員の方がご質問された点ともかかわる点なんですけれども、手続が合理的か不合理かというのを第一の基準として定めの効力を無効とするかどうかを判断すべきだという事務局のお考えについてご質問させていただければと思います。 |
委員 |
今のお話のようでしたら、私の考えと余り変わりません。先ほど、法の趣旨に照らしてというのは具体的にどういうケースがあるんですかというご質問をしたのは、今、先生がおっしゃったような例を聞きたかった。つまり、過去にワンマン社長のときに使ったやつを当てはめるとか、あるいは、私が考えたのは、例えば労働協約を批准するときに買収して賛成票を出させたとか(笑声)、そういうのを含めて我々は手続合理性の中に含まれていると思っているから、それでいいんじゃないかといっているわけで、したがって、言葉の内包をどこまでそこに含めるかというだけの問題だと思っていますので。 |
委員 |
私も、今、議論ある中で、先ほど委員に整理していただいて、よくわかったのですけれども、基本的には事務局の案に賛成なわけです。 |
事務局 |
対価の決定というのは、先ほどからご説明しているとおり、4つの要素から成り立っていて、プロセスはその一部だということです。だから、当然、内容も入ります。ただし、1.③に書いてありますように、その不合理性の判断については、4要素のうちでも特に手続面を重視して判断すべきではないかというのが事務局の考え方でございます。 |
委員 |
先ほど来、2つの議論があると思います。相当の対価という用語をめぐる議論と、もう1つは実質の議論だと思います。先ほど、委員の方がご指摘になっているのは、相当の対価という用語をめぐる議論だと思います。 |
委員 |
とられかねないでしょう。 |
委員 |
今おっしゃっているのは、概念をそこで使い分けてしまうと、法改正をして、今までは発明者に相当の対価を払っていたんだけど、今度は相当でなくていいんということにしようと立法改正趣旨をとられたのでは、ここで今まで議論していたことと違うんじゃないだろうかと思います。ここで議論していたのは、あくまでも相当の対価をどうやって決めるのかという議論をしてきたんじゃないですかというのが、相当の対価をめぐる委員のご意見ではないかと思います。 |
委員 |
今のお話ですと、先ほど私が質問させていただいた、相当の対価というのは、今、裁判所で決めた額が相当の対価というようにされませんかといったら、それは関係ないとおっしゃいましたよね。ところが、今のお話だと、2つあってはいかんというと、相当の対価といいますと、何を意味するんでしょう。企業で合理的に決めたのが相当の対価と、言葉の使い方だけであって、裁判所で決めている相当の対価とは違う相当の対価があるというように理解してよろしいんでしょうか。 |
事務局 |
私どもの真意は、言葉の使い方ということではなくて、現在、裁判所が、先ほども申し上げたように、ある意味では絶対的な正義のようなものとして定める「相当の対価」ではないと。もっと幅のあるものとして対価というものを許容しましょうということをいっているわけです。それを今後、相当の対価と呼ぶかどうか。今の第3項にいう相当の対価というのは、ある意味では1つしかない対価だろう。それでなくても、幅がどれぐらいあるのかわかりませんが、0.2から1.5ぐらいまであるのかどうかわかりませんが、それぐらいの幅のあるものであれば、少なくとも私どもは合理的な対価だろうと考えている。それを相当の対価と呼ぶかどうかというのは、またそれは別の議論が必要なのかなという気はしておりますけれども、趣旨としてはそういうことです。 |
委員 |
またしても整理の発言で申しわけありませんが、非常に重要なポイントなので、申し上げておきます。といいますのは、現在の判例法がどうなっているかということ。したがって、改正の必要があるのかないのかということとかかわるがゆえに、ちょっと発言させていただきます。といいますのは、先程来発言いただいたご意見と同様だと思いますが、相当の対価の意味をどう解するかについては2つの考え方が裁判例をみていてもありまして、1つは、オリンパス事件の2審判決が示した考え方だと思います。つまり、定めが特許法35条3項、4項の趣旨に照らして合理的であるといえれば、それが相当の対価なのだと。合理性があるといえなければ、それは相当の対価ではないというような考え方を、そのとおり結論を示したかどうかは別として、そういう判断を示しております。 |
委員 |
先ほどご発言いただいた、私の意見の整理は、後半は完全に委員自身のご意見だと思いますけれども(笑声)、それはともかく、2点、簡単に。 |
委員 |
私は、企業に10年ほど設計者として勤務していまして、どっちかというと従業者の立場でいろいろ報奨規程もみてきたんですけれども、対価の決定の不合理性、合理性があるか、ないかという点なんですが、お互い、雇用者と従業者が同意といいますか、双方納得すれば、合理性があるんだろうと思うんです。そういう考え方でいいのかと思うんですけれども、そう考えますと、まるっきり規程がない、報奨規程がないというのはやはり不合理だと思うんです。 |
委員長 |
ほかに、何かまだご意見、ご質問、おありでしょうか。 |
委員 |
直接関係ないんですが、この職務発明に適用される発明の対象なんですが、ドイツの職務発明規定は、誤解かもしれませんが、私の認識は、ドイツの法人に雇用されている従業者に適用されるというように理解しているんですが、この35条でいう職務発明と称するのは、やはり日本法人に雇用されている従業者の発明――役員も入るんでしょうけれども、そういうものに限るというように解釈してよろしいんでしょうか。そうでないとするならば、それに限るようにしていただけるんでしょうか。 |
委員長 |
それは適用範囲のご質問だと思いますけれども、1、2に関してはもうこれでよろしいですか。 |
委員 |
すみません。2についてもう1つあるんですけれども、順番が逆だったでしょうか。 |
委員長 |
リスクの件は、私も経済学者として委員と同様の意見をもっております。 |
委員 |
私も全く賛成ですけれども、ここで、日立金属の事件を引用されている理由がよくわかりませんで、この金額そのものが、いろいろと貢献を参酌してくれているので、この金額は極めて妥当だというご理解のもとで事務局がお出しになっているとしたら、ちょっと大変な問題だなと感じております。 |
事務局 |
いずれも4項、2.のところのご意見、ご質問だと思いますけれども、まず、日立金属事件を挙げたのは、これまでも重要判決についてご紹介をさせていただいているので、まずはご紹介という意味があります。 |
委員 |
理由はわかりましたけれども、少なくとも、結果としての判決の金額そのものは、国際相場からいうとかけ離れているものです。理由がどういうことであるというよりは、我々企業の競争力として研究開発にどんどん投資できるような対価にしていただきたい。日本だけ一方的に低くしてくれといっているわけではなくて、世間相場にしてほしいというか、世界相場にしてほしいということで、突出した金額にならないようにしたいというのが趣旨です。そういう意味では、御欠席の委員がおっしゃるように、ここの部分、何でこんなに高いのかというと、リスクが全然入ってないからじゃないかという気がしますので、その辺をぜひご考慮いただければと思います。 |
委員長 |
まだいろいろご意見あると思いますけれども、3、4についてもきょうご議論いただきたいと思っておりまして、この後、中間報告を作成する過程で個別にご意見をお伺いする機会もあると思いますので、少し先へ進ませていただければと思いますけれども、どうしても今、意見をここでいっておきたいということであれば、お伺いしたいと思いますが。では、まだ発言のない方。 |
委員 |
相当の対価のところなんですけれども、大学の例をどなたか引き合いにお出しになられましたが、非実施機関ですから、ロイヤルティーとか何かが違うのは当然だと思いますし、リスクの部分も考えるべきだと思うんですけれども、最終的な構造としてどのようになるのかというのを教えていただきたいんですが、相当の対価というのは、本来、法定通常実施権は会社がもっているわけですから、残りの分の譲渡の独占の対価ですよね。その独占の対価のところに対して、研究開発費だとか何とかを考慮するというのは、どういう構造になるのか。 |
事務局 |
余り厳格に算定の仕方を規定しようということは考えていません。ドイツの例もありますので、基本的には、要素を非常に概括的に規定するということではないかと思っています。 |
委員 |
そこが、さっきからの話をずっと聞いていまして、根本的に、相当の対価の算定が物すごく難しいということが企業側の印象であって、さっき、1と100だともうだめじゃないかとか、1.5から0.5ぐらいにおさまるんじゃないかとか、そういう話より、もっと企業側の方がそこのばらつきというのを想定されていると思うんです。そこにさらにこのような要素を入れる入れ方を間違えてしまうと、利益が出るまで相当の対価は発生しないとか、とんでもないことにもなってしまいそうな気もするんですが、そんなことにはならないですか。 |
事務局 |
基本的に、相当の対価という部分にいかなくてもやれるようにしたいというのが今回の制度の設計の趣旨です。しかし、どうしても相当の対価にいってしまったと。契約が不合理か、あるいはそういう決定がないような場合ですね。そういう場合は裁判所が定めるんだけれども、そのときの定め方の考慮要素としては、幅広く読み込めるようなものにはしたいと思っております。 |
委員 |
そういうことであれば、さっきの1.5とか2とかいうところは、仮に出したことであって――たしか1.5から2とかいいましたね。相当広いと思われるんです。 |
事務局 |
だから、現在の4項、3項を前提にするところの相当の対価というのは、非常に幅のない概念だろうと思うんです。ただ、それは、今後、契約とか勤務規則で定めたものが不合理でなければ、それによるんだという制度設計をすることによって、それを相当の対価と呼ぶかどうかは別にして、それは幅のあるものとしてとらえることは可能になるだろう。基本的に、そこでは、ある意味では4項の世界で積み上げて、あるいはそれから引き去るというような計算をしなくても、契約で合理的だというように定められれば、それでいいんじゃないかということを申し上げているわけです。その場合は、契約を定める定め方として、必ず4項に従った定め方をしないと、契約そのものが不合理になるということはございませんので、そういう理解はしておりません。 |
委員 |
1つだけ。この事務局案の大きな方向でいいと思うんですけれども、予測可能性を高めるために、こういう場合だと、手続の決め方とか内容として不合理だよというような例が、何らかの形で、報告書になるのか、それとも実際に条文ができた段階で注釈書に書き込むという形になるのかわかりませんけれども、例えば、不服申し立ての機会という言葉が出てきますけれども、社内で1回だけ再審査して、それでもうファイナルというのが、多くの会社はそうじゃないかと思うんですが、それでいいのかというのも、改めて我々は不安に思うわけです。だから、その辺にアドレスをする資料を何かつくっていただけたらと思います。 |
委員長 |
よろしいでしょうか。――1と2につきましては、いろいろと貴重なご意見をいただきまして、特に相当の対価と合理性の関係について、整理の仕方、ロジックの組み立て方に大変建設的なご意見をいただいたと思います。そのほかにもさまざまなご示唆をいただきましたので、それを勘案した上で、今後、中間報告書案の作成に移りたいと思いますが、その過程でまたいろいろと個別に皆様のご意見をお伺いしたいと思いますので、それでよろしゅうございますでしょうか。 |
委員 |
まず、今回の表現されている、35条には外国の承継や承継に対する対価については取り決めない、難しさがあるということで理解いたしました。ただ、その後、ただし書きがよく理解できないんですが、現在やっているから、そのとおり取り決めをするのが望ましいというんですが、これは、35条の対価に換算されるのか。全く別で、インセンティブのためにやったらどうですかということなんでしょうか。どちらなんでしょうか。 |
事務局 |
後者です。 |
委員 |
ということは、今度の法改正の中には何も入ってこないんですね。 |
事務局 |
そうです。ただ、あくまで使用者・従業者間で、外国の部分についても納得できるような取り決めをすることが望ましいのではないでしょうかという示唆をさせていただいているというだけです。 |
委員 |
その意味としては、もし35条の強行規定にいかなきゃならなくなったときも、考慮はされませんよということになるわけですか。 |
事務局 |
はい。 |
委員 |
対象外ですね。もう1つ、先ほどちょっとお願いしたんですが、この規定がどの発明に及ぶのかというのを明確にしていただけたらと思うんです。理由は、グローバルに企業間連携、いろんな共同研究なりをやったときに、お互いの国の発明者が移動したり、共同発明したりするようなことも考えられますので、どの場合に日本の35条が適用されるかというのを明確にしていただいていたらいいんじゃないかと思うんですね。希望としては、日本の法人に雇用されている従業者が日本において発明した場合と。恐らく、その従業者がアメリカに長期間出張していて、アメリカで発明したような場合は適用しないとか、そういう明確な規定にしていただけるとありがたいなと思うんですけれども、いかがでございましょう。 |
事務局 |
35条が、いわゆる外国における発明にも直ちに効力――もちろん、日本で特許になっているということが前提ですけれども、そういうものに効力を及ぼす、そういう趣旨の規定かどうかというのは、多分、争いのあるところかなと思いますが、確かに、日立事件の判決等をそのまま押し及ぼしていきますと、35条がそういうものにも適用される余地はあるだろうと思っております。 |
委員 |
実害というのは、裁判所で裁かれる実害じゃないんですが、お互いにどの基準で対価なりインセンティブを払うのかというのが非常に複雑になるんじゃないかと思うんです。例えば、アメリカの企業で雇用されている従業者が日本に来て、発明活動をしました。そこから出た発明に対して日本の特許をもらいました。アメリカの企業としては、アメリカの取り決めで払いたいと思っていると思うんですね。その場合に、日本の取り決めで払いなさい――日本の取り決めがあるのかどうかわかりませんけれども、アメリカの取り決めで適用してよろしいんでしょうか。逆の場合は、日本法人の従業者が日本で発明して日本で特許をとったときははっきりするんですが、アメリカに行って、アメリカの企業と共同で発明したり、あるいは単独でアメリカで発明しましたという場合に、これが適用されるんでしょうか。 |
事務局 |
日立の判決の趣旨などを考えますと、適用はされるだろうと。 |
委員 |
そのときの対価はどうやって払うんですか。 |
事務局 |
35条です。もちろん、改正後の35条ということを念頭に置いていただければいいんじゃないかということです。 |
委員 |
ドイツの職務発明は、私の理解が正しいかどうかわかりませんが、ドイツ法人の従業者にしか適用しないというようにはならないんでしょうか。 |
事務局 |
今の点については、補足の説明をさせていただきますと、ドイツの従業者発明法で、適用対象がドイツの従業者という明文規定はありません。過去の判例も探しましたが、そのような判断を示している判例もみつかりませんでした。ただし、学説的には、ドイツで雇用されている使用者・従業者に適用されるのだという学説が有力です。必ずしも明文規定がないということをご紹介させていただきます。 |
委員 |
日本の場合はそのようにはならないんでしょうか。 |
事務局 |
日本法人だけに適用するとかというのは無理だと思うんです。これは多分、国際条約に違反することになるんじゃないかと思うんですが。 |
委員 |
先ほど、インセンティブというお答えでよろしいんですよね。取り決めが行われることが望ましいのではないかということで。④の書き方って、大分違うようなニュアンスで受け取りましたので。何か日本特許に基づく利益と同様に対価の取り決めが行われるべきではないかということなので、これも、望ましいのではないかということなんですね。 |
事務局 |
そのとおりです。 |
委員 |
わかりました。それと、ちょっともとへ戻って、今気がついたんですけれども、1の④の上から2行目、「従業者との協議の状況」と書いてありますが、「従業者等」ですね。 |
事務局 |
はい。 |
委員 |
わかりました。③については、私は、現状の認識からすれば、事務局案でよろしいのではないかと思います。 |
委員長 |
ほかにございませんか。 |
委員 |
時効の話で、賃金債権と同じくするにはどうも余り根拠がないんじゃないかというお話でしたけれども、例えば、退職金とか、ほかにいろいろあるんじゃないかと思うんですけれども、そういう比較はされないんですか。 |
事務局 |
それもあり得ますけれども、その場合であっても、①とか③とかを必ずしも満足するようなものではないと考えております。 |
委員 |
ご参考までに、4の理由づけ、①、②のうち、①については、現実の就業関係を前提にする限り困難なことは否めずと。それはそういう見方もできるんでしょうが、逆に、労働基準法で通常の賃金債権が2年、退職金債権が5年となっています。退職金の方が長いわけですが、その理由は、退職後は訴訟を提起して争うことが難しいから、したがって、通常の賃金よりも長くしたという説明が立法趣旨なんですね。ですから、逆の見方もあり得るということが1点。 |
委員 |
先ほど委員がおっしゃった、退職金債権は権利行使をすることが難しいという議論になったのか、ちょっと教えていただけますか。 |
委員 |
退職するわけですね。退職して雇用関係が切れてしまうと、訴訟を提起しにくいということです。 |
委員 |
そこの説明のところがよくわかりません。縁が切れちゃうから訴えやすいんじゃないかと思いますが。 |
委員 |
それはなぜ厚生労働省の方でそう判断したのかは知りませんが(笑声)、厚生労働省における立法趣旨はそうだと思います。 |
委員 |
わかりました。 |
委員 |
今の項目ですね。もし委員がおっしゃるように短くすることが可能でしたら、企業としては短ければ短いほどいいわけで、ぜひ意見として最終版には取り入れていただければと思います。 |
委員 |
合理性があればですよ。何でもかんでも短いというのは……誤解のないように。 |
事務局 |
③の趣旨もありますし、当然、この件については、使用者側に有利であるということは、反対に従業者側には不利な改正になるという、非常にわかりやすい改正で、よほどきちんとした正当化するような理由がない限り、事務局としては、短期消滅時効を導入するというのは難しいのではないかという結論なのですが、その点はいかがでしょうか。 |
委員 |
私も企業の気持ちはわからないではないけれども、これだけの改正をやるということは、従業者側にとっては、かなりの批判も出てくる可能性もあるわけで、そういう中でやるときに、さらにその上積みしてということは、この際は見送って、これで改正を実現するのが、日本の職務発明制度の改正にとっても大きな前進だと思いますので、この辺のところで消滅時効の点は見送られた方がいかがかと思います。 |
委員 |
見送るかどうかはお任せしますけれども、この理由づけをもう少しきちんとしてもらいたい。次の回もありますので。次の世代の話ですけれども。 |
委員 |
先ほど委員の方から私どもの後押しをしてもらいまして、ありがとうございました。この部分は、できればそういうことで私どもはしていただきたい。 |
委員 |
短期消滅時効に関しましては、事務局がお書きになられているとおりでして、とりわけ③の点は見過ごさずに重視していただければと思います。権利を認める以上、それが時間がたてば消滅するというのは、考えてみると、ちょっとおかしな制度といえばおかしな制度で、それが10年、20年になってくると、無理もないかなというところはありますけれども、それがもっと短くなってきますと、それを正当化するだけの理由が必要になってくるであろうと。③の(1)(2)に書かれているのはまさにそのとおりでして、こういう点で、特に大きい問題もないのに権利がなくなるのだというのは、よほどの正当化理由が必要になってくる。それがお出しになれるのであれば別問題ですけれども、それは難しいのではないか。ですから、今回は見送るというような問題を超えたところがあるという認識はおもちいただければ(笑声)……、短期消滅時効全般について、問題のあるところですので、また、時効期間が、今の民法で定めている10年とか、そういうので本当にいいのかという、より大きい問題の中でとらえるべき事柄でもありますので、問題の性格がそういうものだという認識はおもちいただければと思います。 |
委員 |
私もそういう認識はもっております。 |
委員 |
今の発言にありました理由づけならわかるんですが、今回の改正が一方で企業側に有利で、したがって、その取引として従業者の短期消滅時効については企業に我慢しろみたいな、そういう理由づけは余り好きではないし、そういうことはここで議論すべきことではないと思います。 |
委員長 |
3、4について、ほかに何かご意見おありでしょうか。よろしいでしょうか。 |
委員 |
今ずっと議論しているのは、特許法で議論しているわけですが、意匠も準用規定なので同じだということで、意匠も同じだということになるんでしょうか。 |
事務局 |
以前ご紹介しましたように、委員からその点の問題提起もいただいておりましたけれども、今回の事務局案で、とりあえず委員会の案としてご承認いただけるのであれば、基本的に、分野の特殊性というのは、使用者・従業者間の話し合いの中で吸収できるのかと思います。必ずしも特許と意匠の間で画一的な制度である必然性はなくて、そこはかなり柔軟に対応できるようになるかと思いますので、ここはこの事務局案が意匠にもそのまま適用されるということで、問題がないのではないかと理解をしております。 |
委員 |
何となく違うようにも思うんですけれども、これだとしたら、意匠出願は、逆にいうとしない方向に動いてしまうんじゃないのかなという気が非常にするものですから。車という特殊性から考えると、国内でまねされることは、ほとんどないので、出さない方向にどんどんいくのかなと思います。 |
事務局 |
そこはまた皆さんのご意見を踏まえて、報告書案の中で言及させていただきますので、そこでまたご意見をいただきたいと思います。 |
委員長 |
ほかに何か、特に発言しておきたいということはございませんでしょうか。よろしゅうございますか。 |
事務局 |
冒頭、委員長からもご紹介ありましたけれども、次回までに事務局の方で職務発明制度の在り方についての報告書案を作成させていただきます。できるだけ早めに事前に皆様のお手元にお送りして、ご意見をいただければと思います。 |
委員長 |
それでは、以上で第13回の特許制度小委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。 |
――了――
[更新日 2003年10月28日]
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