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委員長 |
それでは、定刻になりましたので、始めたいと思います。 |
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事務局 |
それでは、私の方からお手元の資料を確認させていただきたいと思います。 |
事務局 |
それでは、私の方から、お手元の資料3「職務発明制度の在り方について」の報告書案を御説明させていただきたいと思います。 |
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委員長 |
どうもありがとうございました。 |
委員 |
内容的にはここで議論されたことが大体誤解されないような形で、まあまとまりもそれなりにあって、苦心の跡が非常によく出ていると思います。それでもなおいろいろ言いたいことは少しあるのですけれども、どうしても引っかかるのは、やはり何となく企業が悪者であるというか、やり方が一方的だというところが、若干私は客観的に見て引っかかるような気がいたしておりまして、7ページから11ページにかけて「一方的」という言葉が4か所入っているわけでして、7ページの「第2に」というところから、「一方的に定めている」、「一方的に定めている」というふうに2回書いてありまして、ここは企業が定めている、使用者等が定めているということでいいのではないかという気がしております。 |
事務局 |
いいえ。今の御指摘ですけれども、勤務規則あるいは職務発明規程等を定めるのは使用者というのは当然のことです。ただし、従業者の意見を聞いて定める場合と、そうでない場合がありますので、従業者の意見を聞かないで定めるというニュアンスを出そうとすると、やはり「一方的」という言葉は必須ではないかということでございます。そういう意味で、ここの記載は残させていただきたいと思うのですが。 |
委員 |
済みません。特許庁の言い分はそうだと思いますけれども、我々から行きますと、このままだと意見を聞かないでというよりも、むしろ無視してというふうに取られる可能性の方が、圧倒的に蓋然性が強いのではないかと思います。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
「一方的」というのは今、委員がおっしゃったとおりだと思います。 |
事務局 |
何が一方的で何が一方的ではないのかというのは、確かにちょっととらえ方によってニュアンスが非常に微妙に変わるところがあると思うのですけれども、勤務規則というのは基本的に、使用者が意見をその過程で聞くにしても、最終的には使用者がその責任でお決めになるのだろうと思うのです。もちろんこれはすべてがそうなっていると申し上げているわけではなくて、報告書の中でも「多くの場合」とか、そういう留保をつけながら述べているところもあります。しかし、基本的に先ほど委員の方からおっしゃられたように、理論的可能性として最終的に一方的に定めるということが、使用者側の権利として留保されているということと、それから現実にも、今ある勤務規則がどの程度そうした意見を聞いて、実質的にそれを反映する形で定められているかということの、まあ証明と言いますか、そういうものがあるのかなという気がいたしますけれども。 |
委員 |
済みません、しつこいようですけれども、就業規則については労働協約の手続に従ってやっておりまして、その就業規則の中でいろいろな勤務規則等については、会社側が委任を受けてこれを決めることができるという制度になっていると思います。したがって、そういう規則に違反した場合には就業規則違反になるのだというところは、協定の中でお互いに合意された上でそういうシステムになっているはずでございますが、そういうところをして「一方的に」と言うのは、我々からすると非常に言い過ぎではないかという気がいたします。 |
事務局 |
おっしゃるように、就業規則の場合は、労働基準法で明確に、労働組合の意見を聞かなければいけないということが書かれていると思うのです。そこまでやったのだから、それはもうその就業規則は一方的ではないというふうにとらえることは可能なのかなという気もするのですけれども、いわゆる特許法35条に言う勤務規則、必ずしも就業規則という形態で定められていないかもしれない勤務規則についても、やはり同じことが言えるのだということなのですか。 |
事務局 |
補足しますと、特許法上は「就業規則」という言葉は使われておらず、「勤務規則」というより広い概念で書かれているので、必ずしも就業規則策定の手順によらないものもこの勤務規則には含まれています。「一方的」という言葉を用いている箇所には、「多くの場合」とか、そういうことが多いという言葉を併せて記載させていただいているのですけれども、そういった手順によらないケースがあるという趣旨で御理解いただきたいのですが。 |
委員 |
そういうケースがたまにあるのですよというふうにもしおっしゃっているのだとすれば、表現として適切ではないと私は思いますけれども。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
「一方的」ということの意味は3つあると思うのですが、特許法35条では、「契約」と、それから「勤務規則」というふうに書き分けております。契約であれば、これは当然当事者間の合意ということになるわけですが、カテゴリーとしては、勤務規則は、これは使用者等が一方的に定めるという法的な性質を持っていますから、何らかの価値判断というか、イデオロギー的な意味が入っているわけではありません。技術的な意味で「一方的に」という語を用いることは、特段問題はないというように私は思います。 |
委員 |
よろしいですか。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
何点かあるのですが、まず7ページの一番下に書いてある「一方的」というのは、これは現行法の問題の表現だと思うのですが、これで「基本的な問題点は改善されていない」というのは、ちょっと言い過ぎのように私は思いますが、いかがでしょうか。「一方的に定めるという基本的な問題点は改善されていない」と、現在、これでやること自体が違法なのでしょうかというのが第1点です。 |
事務局 |
今の御指摘の最初の点ですけれども、ここでは違法性を言っているわけではなくて、従業者の納得度が得られないような、一方的なやり方で規程を定めるという点については、改善がされていないということでございます。 |
委員 |
「問題点」というのは何なのでしょうか。 |
事務局 |
従業者にとっての納得を得られるような制度にはまだなっていないということです。それから、2点目でございますけれども、ここは実際に幾つか御意見をいただきましたけれども、最終的にこの小委員会全体としてはこの方向で意見がまとまったということです。完全に一致したというわけではなく、あえて「まとまった」という表現にさせていただいたわけでございます。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
先ほどから7ページが出ているので、最後の3行について特に2行目のところ、この「一方的」という言葉ではなく「上限を撤廃する企業が続出していることは望ましい方向であるが」と書いてあります。しかし、決して我々は望ましい方向だとは思っておりません。できれば、この4行は、あってもなくても同じではないかと思いますので、削除いただけるとありがたいのです。これだと、高い方がより望ましいのだというように意見が出たように思われてしまう、誤解を与えられてしまうと思います。 |
事務局 |
その点につきましては、こちらで少し検討させてください。 |
委員長 |
ほかにございませんか。 |
委員 |
12ページの「第四」というところに書かれている内容なのですけれども、それの後ろから3行目、「包括ライセンス契約交渉において中核をなした」云々ということで、「従業員等からの求めに応じて行うような仕組みも許容すべきこと」と書いていただいておりまして、多分これは企業側のことを考えていただいて書いていただいた内容なのかなという気もするのですけれども、実際、私の経験から行くと、分野ごとにザクッとした契約をしたり、その契約というのは交渉事なので、いろいろな、どうとでもとれるような説明の仕方もまた契約文書に載っているケースもあるのですね。あるいは、契約というのはもともと厳密な機密条項みたいなものが課せられていますので、内容によってはすべて個々の研究者に説明できないようなケースもやはりございまして、だからそういう意味から行くと、仕組みはわかるのですけれども、アカウンタビリティというのですか、具体的に研究者の方からもっと説明しろと言われたときに、説明できないところもやはりございまして、できればこの企業側のために考えていただいた文章なのですけれども、反対をとるとちょっと怖いような内容にもなっていますので、ここの3行は削除いただきたいという気がしております。 |
事務局 |
むしろ、第11回、第12回小委員会において、個々の発明について評価することは難しいというような御意見があったため、このようなアイデアが出されたというふうに理解しております。逆にこの記載を削除してしまうと、個別の発明について説明しなければいけないというニュアンスだけが残ってしまうのではないかと思うので、こういった多様な対応の仕方があるのだという記載は、むしろ残しておいた方がよろしいのではないでしょうか。この点はいかがでしょうか。 |
委員 |
その多様な仕方というのが、今言ったように多様性が企業はいろいろあるわけであって、すごくこれは具体的に書いていただいている文章なのですけれども、ちょっと上に記載された内容からすると、ここの文章だけ急に具体的になってきていまして、ここの内容をやはり残されてしまうと、取り方が幾らでも出てきてしまいますので、多様性を認めていただくのであれば、消していただきたいという意見なのですけれども。 |
事務局 |
よろしいですか。 |
委員長 |
どうぞ。 |
事務局 |
産業界からそのような御意見があったのですが、ほかの産業界委員の方は、この記載を削除してもよろしいでしょうか。この点に関し、我々はこだわりませんが。 |
委員 |
ほかにも幾つかあるのですが。この部分の文章を読んでみますと、この前の所にも「許容されるべきであり」という非常に大きく解釈できる書き方になっています。この最後の部分だけが、「求めに応じて行うような仕組みも許容すべきこと、等である」、これは何を言い表したいのかよくわからない。つまり、策定しなさいとリコメンドしているのか、策定する必要がないと言い表しているのか、どうも非常に曖昧な表現になっているとすごく感じます。企業における実態から判断しますと、特にこれを残す必要はない。記述するとすれば、中核をなしていた発明についてきちっとすべきであると、いうふうに表現した方が良いと思います。 |
委員長 |
いかがですか。 |
事務局 |
後者の点なのですけれども、ここで意見を反映するという、まず「反映」という言葉そのものはむしろ産業界側からの御要望もあって入れた言葉なのですけれども、私どもの意識としては「合意」というところまでは求めていないつもりです。したがって、最終的に契約ないしそれと同等のものになっているということまでは考えておりませんし、「協議」という言葉も使っていますけれども、それは最終的にそれによって完全に両者の意思が合致したというところまでは、ここでは必要としていないというふうに考えております。それから、「正当に代表する者」というのは組合の場合もあると思いますし、もちろん組合ではない場合もあるだろうということで、それは企業の実態に応じて様々な形があるというふうに思います。それについて、少なくとも特許法の世界で、どういうふうな交渉を必ずすべきだというような、いわゆる労働法的な介入というのは必ずしもすべきではないのではないか。それは、むしろ企業、使用者のそれぞれの独自性、そういうものにお委ねした方がいいのではないかというふうに私どもとしては考えているわけでございます。だから、必ずこれをしなさい、あるいは逆に言うと、これさえすればいいのだということを一義的に明示することは非常に難しいと思っております。 |
委員 |
そうすると、不満分子というのは必ずいるわけで、合意性、不合理性の判断を例えば司法に仰いだ時、どこにその合意性、不合理性の判断基準を置くのでしょうか。例えば、組合の意見を反映していればよい。いや、合意していなければためだとなります。ですから、これもまた非常に曖昧となり、実態として非常に困る状況に陥ります。曖昧な表現を用いて自由度を確保していただいているということはよく理解できますが、実際に活動いていくときには、どういうことをやればセーフで、どういうことをやればだめだというところが明確でないと、今となんらも変わらなくなってしまうのではないでしょうか。 |
事務局 |
今と変わらないという点については、基本的に、まずやはりお互いの合意、今、「合意」という言葉を使ってしまいましたけれども、納得を得る、そういうプロセスの中で勤務規則などが形成されていく。それにまずお委ねして、その後、その不合理性というのが明らかに証明された場合だけ、相当対価というところに行くということなので、現在、全てのケースにおいて裁判所がその相当の対価というものを苦労して算定をしている、そういう姿からは大きく解放されるだろうというふうに私は思っております。それで、不合理性ということを判断するときに、いとも簡単に不合理ということになってしまったのでは、今とやっていることは余り変わらないのではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。ただ、実際問題、そういう取り決めがきちんと、例えば手続などを履践して行われるような場合においても、そういうことを考慮しないで、にわかに不合理だという判断がなされることは、そうそうあることではないだろうというふうには思っております。ただ、これをさらに進めて、では判断の基準になるような要件をすべて、例えば法律上こまかく羅列をするとかということは非常に困難で、具体的に例えば労働組合の中に、例えば従業者の研究開発に従事するような方が、例えばどれぐらいの比率を占めていればその労働組合の意見を聞けば足りるのか、あるいはそれ以外の方の意見をどういうふうにして聴取すればいいのかというようなことを、例えば法律上明記するということは難しいし、仮にできたとしても運用上も非常に窮屈なものになってしまうのではないかというふうに思っております。 |
委員 |
今、結局この問題の解決に向けて手続重視の方向に向かっています。私は非常にいいことだと思いますが、大体問題を起こすのは不平不満分子であるわけです。ですから、最低限これを満たしていればもういいという明確な線がない限り、どういうような規則をつくっても、必ず不合理性の話というのは出てきてしまうと思いますので、ですから、今と余り大きく変わらないのではないでしょうかと言っているのです。 |
事務局 |
ですから、その不合理性の議論が出てきたときに、企業側が被告として必ず、例えば敗訴するのではないかというような形に受け止められているのかなと思うのですけれども、私どもはそういうふうには理解をしておりません。したがって、訴えれば何がしかのものが取れるという構造ではなくて、請求棄却になる場合もかなりの程度出てくるだろう。ただ、訴えることそのものをできなくするとか、あるいはそういう機会を失わせるというような法制度というのは、私どもとしても取り得ないということだと思っております。 |
委員 |
ちょっとよろしいですか。 |
委員長 |
はい、どうぞ。 |
委員 |
先ほど意見が出ました12ページの包括ライセンスの件ですが、これは表現そのものが確かにわかりづらいので、私も修正していだきたいという気持ちはあるのです。ただ、基本的に発明個々の対価を決めなければいけないということに対して産業界の方は、先ほどおっしゃっている方は賛成なのでしょうか。私はできないと思っているのですね。ですから、包括クロスライセンスの個々の対象権利に対して対価を決めなければいけないと言われたときに、本当にできるのでしょうか。それの救済を考えていただかないと、運用が難しいのではないかと私は思っているのですね。 |
事務局 |
今の後者の点ですが、後で中核をなすような発明になったということですけれども、当然ライセンス時にライセンスに対するライセンス料というのが決まるわけであって、その後、相手方で価値が変わっても、別にライセンス料が変わるわけではないですから、対価の計算においては、ライセンス時点で中核であったかということを本来問題とすべきであって、ライセンス時においてのコアだからこういう評価をした結果、あなたに幾らということを決めておけばいいのではないかと思いますけれども。 |
委員 |
それはだれから見て中核なのでしょうか。 |
事務局 |
ライセンスをする両当事者ですね。 |
委員 |
両当事者って、クロスライセンスする側は、価値の高いものは中核には持ってきませんけれども、もらう側は。後で中核になるだけであって、交渉のときは中核にしませんね。ですから、交渉のときに中核というのは必ずしも正しくないと私は思っているのです。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
今、委員の言ったことは正しくて、そういうケースが具体的にはいろいろ起こり得るのです。あとは、私が先ほど言ったのは、結局分野、例えば白物家電分野でとか、そんな契約もあるわけですね。そのときに、じゃあ部品が入るのか、入らないのかとか、やはりお互いの契約現場でやることなので、結局、グレーゾーンというのはものすごくあるわけです。それをだからある発明者に急に、この分野が入っている、入っていないというのを言われても非常に困るケースがあるのです。では、その契約は無効なのか、発明者に言われて無効だったのかというと、契約はもう相手の会社とやっているわけですから、ですからこの辺はわかる範囲を私はやってもいいと思うのですけれども、わからない範囲はどうしてもできない。グレーゾーンがどうして生じてきてしまっているので、余り仕組みもとか言われてしまうと実際にできない部分もありますので、これが義務化されてしまうような形は私としてはよしていただきたくて、それは企業側の裁量に任せていただきたい。当然、発明者の代表ともこの辺は交渉するわけであって、こういう文章だから残さないでいただきたいということを先ほど申し上げたのですけれども。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
今の同じページなのですけれども、12ページの上の4行というのは非常にわかりにくい文章になっていると思います。初めの2行の「対価の決定の際における発明価値の評価の単なる違いが存在するに過ぎない場合には」云々というのは、例えば手続は同じだけれども、利益の50%を対価と考えるか、20%を対価と考えるかというのは、そういう数字の違いについては介入しないということをこの上の2行で言っているように思うのですが、その下に書いてある「しかし、債務不履行として、契約、勤務規則等に基づき本来支払うべきであった対価の支払いが認められる」というのは、「本来支払うべき」というのは一体どこでどうやって計算するのでしょうか。つまり、上の中の、20か50かというのはかなり恣意的に、そこに立ち入らないと言っておきながら、本来支払うべきであった対価というのは一方で決定しなければだめなのですね。私は少し矛盾しているように思いますが。 |
事務局 |
ちょっと表現がよくないのかもしれませんけれども、基本的に前段部分で言っているのは、例えば発明が完成したときに、当然、発明に対して、基準がある場合、その基準を当てはめるということが行われる。当然、そのときにこの発明というのはどの程度の経済的価値を持つかというグレード付けをするのだろうと思うのです。非常に簡単に言うと、AランクだとかCランクみたいなものがあって、当然、従業者側はAランクの大発明だと主張する。それに対して、いやこれはいいとこBランク、普通はCランクだろうということで、例えば、そういうところの評価の食い違いというのは常に起こり得ることだろうと思うのですね。そこが食い違ったからといって、直ちに、では対価の決定全体が不合理である、だから裁判所で相当の対価だ、ということになってはたまらないだろうということで、前段部分というのはそういう発明の経済的価値の評価について、食い違いがあったとしてもそれだけで直ちに不合理だなどということではありませんよということを入念に念押しをしている表現です。 |
委員 |
文章自体が非常にわかりくいので、もう少し手を加えていただければと思います。 |
事務局 |
はい。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
先ほど来出ていますこの12ページの「第四に」というところで、包括ライセンス契約云々という、こう書かれるのはという件についてですけれども、恐らくこの「第四に」というところで縷々書かれておりますけれども、どういう発想かと私なりに考えますと、従業者側から、本来はもっと高い対価でなければおかしいのではないかというような主張が出てきたときに、いや、そうではなくて、この程度で本当は合理的なのだよということをどう説明するか、どうやれば納得が得られるか。その納得を得るための方法というのは1つに限られるものではなくて、いろいろな形のものがあり得るだろう。そのときに、例えばもし入れるならば、この包括ライセンス契約交渉において、いや実は中核をなしていなかったのだ。ですから、この発明についての対価はこの程度で少なくとも不合理とは言えないのだと、こういう形でもし説明できるのであれば、そういう方法は認めてもいいでしょう。そういう御趣旨でここは書かれているのではないか。つまり、こうでないといといけないというようなことをおっしゃっているのではなくて、どうすればもっと高いはずだという主張に対して納得が得られるか、その方法としていろいろ例示されておられるわけで、こういう説明が有効な場合もあるということは多分お認めになられる方がほとんどではないかと思いますので、そういう性格の表現だということを踏まえておれば、大丈夫ではないのかなという気がして先ほど来伺っておりました。 |
委員 |
よろしいでしょうか。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
今お話しいただいた点で、説明を聞いているとそうだなとも思うのですが、そもそもこれを直していただきたいという基本が、予見可能性を高めてほしいということがあったのですね。今のこの仕組みで行きますと、やはり企業側からすると予見性などというのは出てこないのですね。例えば、今の御説明だと、学者の立場からはそういう理屈が出るのだと思うのですが、私は一方では裁判官が、今でも対価相当であると額をピシッと決めていますが、あれの理屈はほとんどないのですね。それと同じような意味で、これは不合理である。手続が不合理である、それから対価が不合理であると決めれば、強行規定にスクッと行くわけですね。こういう可能性を十分秘めているのに、予見可能性なんてとても取れないのですよ。ですから、行かないようにする方法はないのでしょうかということで産業界はお願いしているのですが、前座があるよという御説明だけなのですね。前座は確かにつくっていただいたのですが、裁判官の裁量で不合理だと言われればすぐ今と同じ強行規定にそのままスッと行ってしまうわけですね。これで予見可能性が高まったのでしょうかという、そこが一番の疑問なのです。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
さきほど来委員の方々のおっしゃった点も、私は労働法専攻なものですから、労働法の考え方からするとよく理解できるのです。結局、どういうことをすれば企業は従業員から文句を言われないか、あるいは一定の措置が適法とされるかということは、確かに一定の客観的な明確な基準が必要でしょうし、それによって予見可能性が高まるということは確かにあると思うのですね。したがって、たとえば厚生労働省的な発想から言いますと、こういう新しい規定をつくるとガイドラインを出すことが多いのです。ある措置が適法であるためにはこういうことが必要ですよというガイドラインをつくる。そうすると、企業にとっての予見可能性は高まるわけですね。ですから、当然今回もこの報告書を踏まえて、本則を規定して、そしてガイドラインでこういうことをすればこの手続プロセスが履行されたということを明らかにする政策のオプション、選択肢はあるわけですね。 |
事務局 |
まさに今、委員がおっしゃったように、我々はそのように考えておりまして、基本的には、余り厳密に規定することは得策ではないというふうに考えています。それから、いわゆるガイドラインと呼ばれるようなもの、若干の拘束力があると言いますか、そのような強いガイドラインをつくる予定はありません。ただし、今回のこの新しい制度が成立した場合、新しい制度の下で対価の決定が不合理とされないためにはどうしたらよいかについて、産業界あるいは研究者の皆様から質問が出てくるものと思われますので、我々としては、最低限この場合にはどう考えても不合理ですよといった事例を今後検討していって、新しい制度を皆様にご理解いただく上で、参考になるようなものをつくっていきたいと考えています。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
済みません。最後、これは残すのか残さないのかよくわからないのですけれども、例えばクロスライセンスとか、そういうものも全部含まれているのですよね。包括ライセンスというのは実務的にはお金をもらうものもあれば、分野でクロスライセンスをするものもあるわけですね。クロスライセンスした人間にとっても、企業としては報奨しているわけですね。それの実態は多分御理解いただいているとは思うのですけれども、だからそういうところに対して、先ほどの話を聞いていると、何か契約、すごく明確になっていないといけないような、クロスライセンスというのはもっと実務的にはザクッとした契約を結ぶことが多いわけですね、お互いにお金は払いませから。だから、さっきの議論を聞いていると、契約の内容自体が悪いという話のようにも聞こえてきてしまうのですけれどもね、細かく決めていない。そういうことにはならないのですか、それは。 |
事務局 |
ここの包括ライセンスについては、まさに先ほど委員から御紹介があったように、いろいろな手続が許容されるのですよという1つの例示として挙げさせていただいているわけです。ただ、それではこれ以外にこういうケースはどうですかと言うのを列挙していきますと、今度はそれこそガイドライン的になってしまいます。また、1つ1つ網羅的に書き込もうと思っても書き切れないと思うのです。そういう意味で、ここの趣旨をそのように1つの例示としてとらえていただければ良いと思います。 |
委員 |
例示だからそうなのですよ。 |
事務局 |
いえ、こういう仕組みも許容すべきということですから、別にこういう仕組みを取りなさいということではなく、こういう仕組みをつくったときは、それも許容してもいいのではないですかということを書いているに過ぎません。そういう意味で、改めてもう一度確認させていただきたいと思うのですけれども、今数人の委員からこの部分について御意見をいただきましたけれども、今までの議論を踏まえて、あくまでここは削除した方がいいというお考えなのか、それとも、やはりここは残した方がいいのではないかというお考えなのかについて、皆様の御意見を聞いた上で決めたいと思います。事務局としては、先ほど言いましたように、特にこの記載についてはこだわるものではございません。意図は先ほど御説明したとおりでございます。 |
委員長 |
ほかに何か御意見等ございませんか。 |
委員 |
3点、2点御質問と1点は補足ですが、最初に補足ですけれども、先ほどすでに事務局がおっしゃいましたけれども、余り固いルールをガイドラインとして定めるのは妥当ではないと私も言いましたし、おっしゃるとおりだと思いますが、同時に、おっしゃったとおり、さりはさりとて、企業の行動指針が全くないというのも困りますので、何らかの形で解説というのでしょうか、そういうものをぜひ特許庁でおやりいただければと思います。 |
事務局 |
第1点目の御質問については、おっしゃるとおりの御理解で結構だと思います。 |
委員長 |
よろしいですか。 |
委員 |
はい。 |
委員 |
よろしいですか。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
先ほどから委員の方で御指摘の包括ライセンス契約交渉云々のことですけれども、今のままの表現ですと、例えばあなたの発明はCランクの発明ですよという通知をするときに、必ずそれは中核でなかったですからというような説明をしなさいというふうに取られなくもないのですね。で、恐らくおっしゃりたいことは、まずCランクの発明ということの通知をした後で、仮に異議申し立てがあったときには、そういう説明をすることも可能ですよと、恐らくその程度のことだろうと思うのですね。そういう趣旨がはっきりすればいいのかなという気はいたします。 |
事務局 |
前者の御質問なのですけれども、基本的に就業規則と勤務規則というのは法的な意味合いにおいて一応は別物だろうというふうに理解をしております。したがって、就業規則としてもちろん適式に成立したものがあって、その中で職務発明についての規定もあるという場合は、当然その労働組合ときちっと手続を踏まれた上での定めになっているということなのだと思うのですけれども、実際問題として、その労働組合が特許法35条にいう従業者等の意見を必ずしも反映しているわけでもないというふうな場合が仮にあれば、それがここで言うところの勤務規則を定めるに当たっての合理的な手続を踏んだとは言えないこともあるだろうとは思うのです。逆に言うと、就業規則だからそれだけで勤務規則であるということもないし、勤務規則としてきちんとやったから、逆に就業規則の一部たり得るものなのだというようなことも言えないだろうというふうに思っております。もちろん就業規則は特許法35条の勤務規則としての効力を持たないとしてもそのことだけで無効になるということは全くないと思いますが、ただ勤務規則としてその効力を、特許法の世界、特許法35条の世界で勤務規則としての効力を持つためには特許法で定めるところの手続なり、あるいはそういう要件を履践していただくということはあるかというふうに思っております。 |
事務局 |
後段の御意見についてですけれども、12ページの第4のところに使用者と従業者の実態はさまざまであると書いているところ、それから4行目に、個々の実態に合わせて柔軟に決定することが許容されるべきと書いているところで読んでいただければと思うのです。なぜかというと、例えば雇用流動性が高い業種なり職種については、承継時に一括して払うことも許容されると書くと、逆に企業によってはそういったところでも後まで追いかけて実績補償を支払っている企業もあるので、その承継時に払った方がいいというふうに理解されるのもちょっと誤解を生じるかなということで、非常に包括的に実態に合わせて柔軟にできますよということで書かせていただいているのです。そういった意味では、今日の議事録も残りますので、その意図をここでお読みいただければ、当然そういうものも含まれるし、それから後ほど実績補償で、退職後も追いかけて支払うのも当然許容されますし、そこはまさに使用者、従業者の間でどういう規定の仕方がいいかというのをお決めいただければいいということで、御理解いただければと思います。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
先ほどから問題になっている12ページの第4の今のところと関係するところです。今まで何度も個別ではなく、包括的な交渉、包括的なライセンス契約等がありますよというような話が出ておりましたし、上の方に書いてあるものが個別承継を中心に書かれていますので、個別ではなくてもいいですよということを言うためには、やはりあった方が企業のためになるのではないかと思います。ただ、後の最後のところの2行が余りにも具体的で、それからこれを読んでいくときにちょっと読みにくい、わかりにくいというところがあるのだと思うのですね。しかし、許容すべきこと等であるというのですからそんなに心配しなくてもいいと思うのですが、ここの書き方を前の個別承継と同じように、包括ライセンスの場合など、個別的に決めない場合でもその発明の内容とか、それからライセンス契約の態様とか、そういうものを考慮して実質的に評価されるべきであるというふうに書いたらば、つまり少し抽象的に書くということになれば、プラスがあってもマイナスにならないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 |
事務局 |
皆さんはいかがでしょうか。 |
委員 |
おっしゃるとおりだと思います。ここを余り神経質に考えるといろいろなことが起きてきてしまう。要するに、積極的に言うことはなくて、求められたら答えればいいのだよというのが趣旨だろうと思いますので、それは非常にありがたいことであるというふうに私は思います。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
2点ございます。1点は先ほど出た当てはめの問題ですが、これは私の理解では、以前から御説明いただいているように、強行規定には行かない。規定の範囲内で処理されるべきと、こういう理解でよろしいのでしょうか。 |
事務局 |
そのとおりでございます。12ページの上から2行目、「決定全体が不合理であると判断されるべきではない」、不合理であると判断されるべきではないということ、不合理でないということは、強行規定に行かないということです。 |
委員 |
わかりました。 |
事務局 |
今の35条でも、この改正案でも、当然、契約、勤務規則その他の定めで規程することは許されますから、契約はだめと言っているわけではありません。ただ、契約をした場合の合理性というのは、第一のところで書かせていただいておりますけれども、形式的な契約で全く問題なくOKですよというわけではないですよということを言わせていただいているわけで、契約ではだめだと言っているわけではない。また、契約能力がないと言っているわけでもなくて、実質のところを判断して合理、不合理を判断しますよと言っているだけです。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
この間、この議論に参加してきたのですけれども、基本的には基準法なり労組法なり、労働法を全般にとらえて、それと特許法との接点の話をずっとしてきたのだと私は理解をしているのですが、率直なまず全体の印象から申し上げますと、この内容は労働組合の立場から見ても、あるいは一般のそういうことに関わっている労働者から見ても、評価できる内容になっていると思います。 |
委員 |
よろしいでしょうか。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
あきらめられないのでちょっと、(笑声)あきらめられるぐらいだったら、こんな議論はしないで、現行のままでも結構だと思うのですけれども、大体、国際競争力を高めましょうと、そういうことを前段でも随分うたっていただいているのですね。予見性もなく、しかもいつ確定するかわからない状態で、今、国際的な取引の中で知的財産事業とともにですが、活用しようとしたときに、とてもおっかなくてできないですね。国によって、例えば1つの例ですが、アメリカと取引をした場合、アメリカと日本がこれだけ違っておる。それが自分で決めたというか、もちろん合理的な手続を踏んで決めた額で決まるのですよという保証があれば安心して取引をできるのですが、それが強行規定で行きますよという余地をあきらめればうんと高まるのですけれども、高まったら、価格を決められないですね、いろいろな取引の段階で。ですから、積極的に知財を活用しなさいという基本的な方針に対して、活用ができないということなのですよ。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
現行法をこのように改正することによって、明らかに予見可能性が高まります。つまり、立証すべき事項というのが、対価の相当性から、対価を定める手続の相当性に変わるわけですから、明らかに不確実性が低くなります。これは今度の改正の目的です。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
前段の方の全体の趣旨のところに戻らせていただいてお話をさせていただきたいのです。2ページの中段のところ、下から3分の1ぐらいの段落のあるところなのですが、企業側のところで、「こうした資金やリスクの担い手である企業や大学等に対しても、研究開発投資を増大させるようなインセンティブを付与することが必要である」という表現がございます。これは発明者にインセンティブを与えるためにお金を出すというのは、明らかにわかります。しかし、職務発明に対する補償の意味でのインセンティブというのは企業に余り働かないだろうと思います。そういう意味では、増大させるような職務発明のリスクを低減することが必要であるという意味合いならよくわかるのですけれども、何のインセンティブなのかがちょっとはっきりいたしませんというのが1点でございます。 |
事務局 |
今、3点御指摘がありましたが、まず1点目の2ページの使用者側のインセンティブですが、これは後ろの部分に出てくる予測可能性を高めるということの前振りという趣旨でございまして、この記載はそのままで残させていただきたいと思います。結果的にリスクが減るということにもなるかと思いますけれども、第1章第1節では、非常に上位的に、包括的に書いているということでございます。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
今まで長い期間、この問題について議論してきたわけですが、本日の報告書を読み、また皆さんのいろいろな御意見を聞いていて、知財制度の将来のあり方として、現段階において最もふさわしい職務発明制度の構築ができ得るところに到達したのではないかと私自身は思っております。 |
委員長 |
ありがとうございました。 |
委員 |
先ほどの3ページの「絶えずその運用を見守り、その時代に合った制度とすべく見直していくことが大切である」、特にこの部分と、それから15ページの海外の権利に関しての意見との両方を検討しますと、特許法35条の存在というのは本当に一体何なのだろうと思います。例えば、日本の企業がドイツに積極的な研究開発法人をつくるかというと、非常に躊躇する部分が有ります。逆に、日本に特許法35条が存在しますと、海外法人は日本に積極的に研究開発拠点を本当につくるだろうか。やはりその国、自社のベースになっている部分との整合性を考えると、非常に複雑な取り扱いをしていかなければならないということで、日本に研究開発拠点を作ることに躊躇することになります。ですから、今回のこの議論というのは産業競争力強化、あるいは国益にかなう、そういう方向で議論していると思いますが、本当にそれを満たすような法律なのだろうかと思います。 |
事務局 |
可能性としての議論としては、将来廃止ということもあり得るかもしれませんけれども、それはあくまでも可能性の議論であって、将来、どういう制度がふさわしいかというのは、その時点でまた検討させていただければと思います。したがって、この部分については、逐次見直していくという記載でよいかと思います。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
今の部分と非常に近い部分なのですが、先ほど私も「インセンティブを付与することが必要である」と書いてあるところを直してほしいということをちょっと申し上げたのは、現行の制度のもとで、諸外国と比較した場合に、日本の企業が明らかにハンディを持つ可能性があると考えているわけです。一方、発明者にインセンティブを与えることは、これはいい発明が出てくるということで、これはよいことですけれども、これは企業の側が独自の論理でやればいいのだろうと思います。そういう意味では、強制的に規定があるということが必ずしもインセンティブにつながるのかと言うと、余りならないと思います。「インセンティブ」と書くと、何かこの改正によって企業にとって大変よくなって、国際協力上、世界で一番有利ではないか、と思われる節が出てくる。そういう意味で、逆にリスクと思います。インセンティブが減りましたといわれた方がより明確になるのではないかという意味で申し上げました。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
もう時間が来ていますけれども、1つだけです。手続規定を重視して、手続で相当の対価を進呈するということになって非常にいいことだと思うのですけれども、それがちゃんと機能していないといけないと思いますが、デフォルトとしての相当の対価というのがありますので、やはり相当の対価の規定がうまく機能しないと、つまりそれを悪用すればある意味であぶく銭が入るというようなことになっていると、やはりうまくいかないと思います。したがって第4節で「相当の対価」ということで幅広い事情が考慮されるように改正されるということですけれども、前から言っていますように、企業のリスク負担、これが報告書の前文には書いてありますけれども、使用者等のリスク負担というのも明記がされる方が私は望ましいと思います。これは何回か申し上げているのですけれども、それによって、現実には存在しない仮想的な利益を求めて裁判がどんどん起きるという事態を防ぐことができるのではないかと思います。 |
事務局 |
今の御発言の趣旨は、13ページの3.の上から4行目、「具体的利益に直接つながる発明を生み出す研究開発以外にも当該利益に間接的につながる研究開発も幅広く行っている」というところと、それから下から2行目の「当該発明に直接的または間接的に関連性がある限り、上述のようなさまざまな事情が幅広く考慮される」というところでお読みいただければと思います。逆に、何ら関連性のないものまで、相当の対価の算定において考慮するというのは、以前御説明させていただいたとおり、特許法の中ではカバーし切れないので、「間接的に関連性がある限り」というところまでとしたいと考えているのですけれども。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
もう時間がないので簡単に申しますが、私も委員の方のご質問と事務局の御説明を聞いて非常によくわかるのです。ということは、ここにおるとわかるのですが、(笑声)ここにいない人が読むと、同じ疑問点がどんどん出てくるだろうと思うわけです。典型的なのは、12ページの上段で委員のご質問に対して事務局がお答えになると非常によくわかる。そういう点をもう少し何か改良するようにしていただきませんと、同じ疑問点がこの文章を読んだところだけからはどんどん出てきて、結果的によくわからないではないかということになるのではないか。その点の杞憂が1点です。 |
委員長 |
ありがとうございました。 |
委員 |
いいですか。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
確認ですが、今の4項の件ですが、以前の御説明で、遡及項的な効果を持たせたいという御説明がありましたね。今回の報告書を見ていますと、現行規定では、書いていないからそうならないのだと、例えば13ページの2の「問題点」というものの最後にそのような表現が記載されていると思うのですが、それでこう直しますよということで、3番目で方向性が示されているわけですけれども、以前の御説明で遡及項的な解釈論としてそういうものも入っていたのだよということで、現行法で、まだ相当期間訴訟が続くかもしれないときに効果を持たせようという御説もたしかあったと思うのですね。これでそれが可能なのでしょうか。 |
事務局 |
現行法でも4項の解釈にはかなり幅があると思います。それで、それは読めると思いますし、現に処遇等にも配慮している判決も出ているというふうに承知をしております。したがって、4項そのものについてはかなり幅広いものが現行法でも読み取れるというふうに理解をしているのですけれども、それでもやはり不明確なところがあるし、実際、それが読み込まれていないような判決も多々あるということで、それを明確化する趣旨だということです。一番最初の枠囲いの中にも規定を明確化すべきであるというふうに書かせていただいているのはそういう趣旨でございますので、そういうものとして御理解いただければと思いますけれども。 |
委員 |
ただ、しつこいようですが、最後の文章は現行規定だと「画一的、割合的に考慮瀬ざるを得ない」と解釈論を言っているのではないでしょうか。 |
事務局 |
表現はちょっと工夫いたします。 |
委員 |
お願いします。 |
委員長 |
それでは、大体御意見も出尽くしたかと思いますが、よろしいでしょうか。そうしますと、私の方からこの報告書案の取り扱いについての御提案ですけれども、何点かの、先ほどの特に12ページの包括的なライセンスの件なども含めまして、修正が必要な点を御指摘いただきましたので、私と事務局の方できょういただいたコメントを中心に修正をいたしまして、その修正の案を皆様に個別に再確認していただく。その上で最終的に報告書の内容を確定するということにいたしたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。 |
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〔「異議なし」の声あり〕。 |
委員長 |
では、どうもありがとうございました。これからまだ修正、それからその後、パブリックコメントというふうに何段階かまだ残っておりますので、今後も引き続き、御協力のほどをどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。 |
事務局 |
それでは、委員長の御指摘のように、幾つかの修正点がございますので、事務局と委員長で早急に相談いたしまして、できるだけ早く皆様方に修正案をお送りしたいと思います。修正案について皆様の御了解が得られ次第、特許庁のホームページで、約1か月程度の期間、パブリックコメントに付したいと考えております。 |
委員長 |
それでは、以上で第14回の特許制度小委員会を閉会させていただきます。 |
――了――
[更新日 2003年10月30日]
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