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委員長 |
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第15回の特許制度小委員会を開催いたします。 |
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事務局 |
それでは、事務局から資料の確認をさせていただきます。 |
委員長 |
それでは、最初に「職務発明制度の在り方について」の報告書案について審議をいたしたいと思いますので、事務局から資料の御説明をお願いいたします。 |
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事務局 |
それでは、資料3と4-1、4-2の3点使って御説明させていただきたいと思います。 |
委員長 |
どうもありがとうございました。 |
委員 |
4ページの方でつけ加えていただいたところですけれども、この判例は前も読んだことがあるんですが、具体的に、独占することによって得られる増加額というのがどういうふうに考えたらいいのか、非常にわかりにくいんですね。だから、これを何か、もうちょっとわかりやすく、報告書に載せなくてもいいんですけれども、解説があると非常に助かると思うんですが。 |
事務局 |
御意見の趣旨、よくわかります。判例を3つ例示させていただいたのは、裁判所の考え方は無償の通常実施権分を控除するという基本原則に則っていると思いますが、その無償の通常実施権分の算定についてはいろいろなやり方があるようでございます。 |
委員 |
もう一つだけ加えさせていただきますと、私どもの一番の関心は、自社実施分については通常実施権の範囲なんじゃないかと。だから、その分については補償金の対象にしなくてもいいんじゃないかという意見が結構強くて、本当にそれでいいのかどうかというところが、若干紛らわしいというか、どうしていいかわからないという面がございます。その手がかりは、この判例だったんですね。 |
事務局 |
はい。 |
委員 |
ちょっと、そういう意味で非常に関心のあるところでございます。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
先ほどの御説明でパブリックコメントの結果を見た上でも、対価そのものを独立して審査の対象にするということについては変える必要はないという御説明があったと思うんですが、全体のパブリックコメントを見てみますと、ここに直接触れてはいないものの、産業界の多くの意見は、企業と発明者の間で取り決めたものを尊重して、それでやってほしいという、いわゆる予見性をすごく求めていると思うんですね。そういうことがほかに、この報告書全体を見て入っておりませんので、この対価を個別審査の対象にするんだというところを、この委員会の結論だということを余り強調しないでいただきたいと思うんです。 |
事務局 |
介入しないという御趣旨のとらえ方が難しいのですけれども、基本的に、両当事者の意思が真に反映された契約があれば、それが尊重されるという御理解で結構だと思います。 |
委員 |
尊重されるということは……。 |
事務局 |
裁判所によって尊重されるだろうということです。 |
委員 |
司法判断とか、強行規定の方へ行かないという保証はないということですか。 |
事務局 |
保証があるかどうかというのは――だから、裁判の対象にはなる。ただ、真に意思が反映された契約について、請求が認容されることはないだろうということを申し上げております。 |
委員 |
今おっしゃっている「認められない場合」というのは、公序良俗という場合と見てよろしいのですか。 |
事務局 |
この報告書の中には、具体的な契約なり勤務規則の、特に手順を重視して、お互いの立場の相違というものをきちんと埋められるような、そういう手続がなされることがまず必要ですよということは書いてあるわけです。 |
委員 |
なぜ、こういう質問をしているかというと、パブリックコメントの中でも、特に外国の企業からも、はっきりしないのが非常に困るという感じの意見が出ていると思うんですね。それで、日本の企業側も多分同じだと思うんですが、日米間あるいは日欧間の共同作業をやったときの成果に対して、はっきりと予見できないような仕組みで運用ができないんじゃないかと思うんです。それで裁判所に頼らないと、その結果を待たないと先に行けないというのでは、私は、これは産業競争力の強化というよりは、むしろ減退だと思っているんですね。ですから、何かこういうことをやれば大丈夫ですよというのがはっきりするようなものが欲しいと思うんです。 |
事務局 |
「裁判所に行かなくて済む」というのは、多分、言葉のあやのようなところがあるとは思うんですけれども、きちっと手続を踏んでいれば――訴える、訴えないというのは、ある意味で相手方の自由みたいなところがありますし、また裁判を受ける権利というのは皆さん持っておられるので、それは、訴えられるということ自体が不合理だというふうに御主張されても、ある意味では、それをとめる手立てはないということだと思うんです。 |
委員 |
続けてすみません。ほぼ大丈夫だろうとおっしゃいましたけれども、だめだと思われるのはどれぐらいですか。 |
事務局 |
だめだというのは……。 |
委員 |
今、そういう取り決めをしてあった場合、訴えることは避けられないと、それは十分承知しております。ただ、裁判所で本当に取り上げられるというんでしょうか、そういう可能性もあるようにおっしゃったと思うんですが、そういう場合というのはどういう場合なんでしょうか。 |
事務局 |
そこの分水嶺を完全に明確にするのは非常に難しいと思っています。それで、前々回ぐらいの委員会にかけさせていただいた原案に、これは明らかに不合理じゃないかということを幾つか実例でお示ししたんですけれども、それは、むしろ産業界代表の委員の方の猛反対で削除した経緯があるわけですね。ですから、それをここで明確にせよというのは難しいので、それは追って別途の場合を通じて、どういう場合はそれに該当する、該当しないということのある程度の目安のようなものをつくる、そういう作業はしたいと思います。 |
委員 |
すみません。先ほどの表現の方は修正していただけますでしょうか。 |
委員長 |
もう一度、何ページのどこか……。 |
委員 |
11ページでございます。 |
事務局 |
11ページの下の「この点に関し」の3行下ですね。「意見が一部の委員より」というところですね。 |
委員 |
そうです。これ、パブリックコメントをずっと見ますと、産業界は、ほとんどこういう意見を持っているように私は理解したんですね。ですから、こんなに対価を独立で審査の対象にするというようなことは求めていないんじゃないかと思うんです。 |
事務局 |
そういう御趣旨であれば、例えば「意見が産業界の委員より提出された」とするのはいかがでしょうか。 |
委員 |
先ほど、パブリックコメントの結果として2カ所修正されましたね。あれはパブリックコメントを反映したと私は理解したんですが、そうじゃないんですか。 |
事務局 |
そうです。 |
委員 |
ということになると、この表現もパブリックコメントを反映してもいいんじゃないかと思って申し上げたんです。ですから、一部の委員というより、多くの産業界が求めているということだろうと私は理解したんですが。 |
事務局 |
わかりました。「意見が多くの産業界より提出された」という形で修文させていただくことについて、ほかの委員の方々の御意見はいかがでしょうか。 |
委員長 |
多くの産業界というのは、ちょっと変ですね。多少、表現は検討させていただきまして……。 |
委員 |
今の点について、この委員会においては司法審査の対象から除外すべきであるという主張の趣旨は明らかだったんですけれども、パブリックコメントは司法審査の対象から除外するというような趣旨なのでしょうか。 |
委員 |
よろしゅうございますか、今の点で。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
私が理解しましたのは、確かに、こういう組み立てでそれぞれ御意見は全部出ているとは思わないんですが、言っている背景を見れば、取り決めですべて任してほしいというのがほとんどなんですね。ですから、対価を別の切り口で見ますよということは含んでいないと思うんですよ、意見の中では。それは当然、取り決めの中に入っているから、それで任してほしいという趣旨でコメントが出ていると私は理解します。 |
事務局 |
先ほどの御質問ですけれども、必ずしも司法審査の対象から外してもらいたいということを明確に書いている意見がすべてではありませんけれども、具体的に言いますと、先ほどの分厚い資料4-2の3枚目の裏側です。電子情報技術産業協会からのご意見の一番下の部分に、「対価の額そのものについては司法審査の対象としないこととしてもらいたい」とございます。それ以外にも、基本的に合理的な手続をすれば、対価については考慮の対象から除外してもらいたいという御意見も、最終的には同趣旨に近いものだと我々は理解をしています。 |
委員 |
なぜ申し上げたかというと、「司法審査の対象からはずす」という表現自体が法律的な表現として穏当かどうか疑問があります。裁判所はすべての問題について判断をすることができるというのは法治国家で当然なことです。司法審査の対象からはずすというと表現は、統治行為論などでは使われるワーディングだと思いますが。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
先ほどの御意見と関連して申し上げますと、ここで言われている司法審査というのは、内容審査に立ち入らないという程度の意味ではないかと思います。要するに、契約が行われていれば、それ以上、内容についての当不当というのは立ち入らない。そういう意味での内容審査に立ち入らないというワーディングにすれば、我々も非常にすっと理解できるものだろうと思います。 |
委員長 |
まず最初に11ページの、先ほど御提案のあった表現の変更のところですけれども、「内容審査には立ち入らないという意見が産業界から広く寄せられた」というような形に修文するということでよろしいでしょうか。 |
委員 |
そういう意味でございます。 |
委員長 |
それでは、そういうように「内部審査には立ち入らないという意見が産業界から広く寄せられた」という形に、表現はもう少しきちんと整理しますけれども、そういった内容に修文したいと思います。 |
事務局 |
委員のおっしゃるとおりでございます。特許法35条の体系の中できちっと整理をしたいということと、それから、契約においても実質面が尊重されるべきであるということでございます。単に、外形的に契約という形をとっていさえすれば、それでいいんだということではないということでございます。 |
委員長 |
ほかに、いかがでしょうか。 |
委員 |
今、委員がおっしゃったことは、私どもが申し上げたいことを言っていただいたように思うんです、内容的に。それで、単なる形式的にサインしなさいとか判こを押しなさいというのではなくて、通常のプロセスを踏んで契約をしたような場合は、それは100%認められると認識していてよろしいんでしょうか。実際の運用上、それを確認したいのですが。 |
事務局 |
100%完全なプロセスを踏んだかどうかということの確認はだれがするのか、それは、やはり裁判所だろうということを申し上げているわけです。 |
委員 |
理屈から言うと、おっしゃっていることはわかるんですが、企業の運用上、これならいいだろうと判断できるとおっしゃっていただければそれで済むんですが、裁判所で、裁判所でと言われると不安を感ずるだけなんですよ。ですから、そうやっていれば大丈夫ですと言っていただければ安心して実行するんですが、それだけの問題だと思っているんですね。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
基本的な考えは、私も委員や事務局の考えと同じですけれども、確かに、企業の側から見て不安なのは、合理性が欠けるときには、その勤務規則や契約によらないというとき、何が合理性が欠けることの判断基準になるのかということについて、ある程度具体性を示してもらわないと、非常にやりにくいということはあると思うんですね。私もそこは同感ですが、どこまで具体的に書くかということはあると思います。 |
事務局 |
今の御意見に対してのお答えですけれども、まず1点目ですが、恐らく、法文上にそこまで明記するということは難しいと思いますので、12ページの修文にございますように、われわれの方でも事例集をつくりたいと考えております。私も、先ほど御説明したとおり、説明会等の現場において、産業界だけではなく、従業者側にも、御不安があるということをいろいろお聞きしております。したがいまして、この点については、各産業界あるいは従業者、弁護士といった実際に規則をつくる方々の実態なり契約実務も踏まえてどこまで書けるかというのを、一つだけではなくて幾つかの事例、パターンを分けたりして、事例集というような形で皆さんにお示しをさせていただきたいと思っております。 |
委員 |
今のお話ですが、随分先々まで読まれて、いろいろなものを含めておっしゃられるので感心しているんですが、一面驚いているんです。私が申し上げたのは、あくまでも対価のところだけで契約と申し上げているので、それ以外の要素を全部契約の中に含めたら――それを全部、有効としてくださいということを申し上げているのではないことだけははっきりさせていただきたいと思います。 |
委員長 |
ほかに、いかがでしょうか。 |
委員長 |
それでは、御了承いただいたということで、どうもありがとうございます。 |
委員長 |
それでは、まだ議題が、あと2つ残っておりますので、次の議題へ移らせていただきますが、次は「実用新案制度ワーキンググループ報告書(案)について」の報告をしていただきたいと思いますので、事務局から資料の御説明をお願いいたしたいと思います。 |
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事務局 |
それでは、資料5をごらんいただけますでしょうか。実用新案ワーキンググループ、5月ごろだったと思いますけれども、この小委員会で設置の方向について御説明を申し上げて御了解をいただいたと理解をしております。 |
委員長 |
どうもありがとうございました。 |
委員 |
権利付与の対象、1ページの(2)ですが、私は、特許と同じ対象の方がいいんじゃないかと思っているんです。ソフトウエアと物質についてははずそうという御意見もわからないわけではないんですが、それ以外は全部含むと理解してよろしいんでしょうか。現行のままというのではなくて、方法とか、そういうものは実用新案の保護対象になるというふうに理解してよろしいんでしょうか。 |
事務局 |
基本的に、権利付与対象については改正しないという結論になっておりますので、現行のままになってしまいます。 |
委員 |
それでは、お願いとして、ソフトウエアと物質は除いても、それ以外は特許と同じような範囲にしていただきたいと私は思います。 |
事務局 |
方法でございますか。 |
委員 |
そうです。 |
事務局 |
方法についても、議論はして、実用新案制度のワーキンググループでも賛成論と反対論に分かれましたが、やはり、例えばビジネスモデルのようなものが無審査のまま登場するということについての強い懸念というのがあって、それについてはワーキンググループでのコンセンサスを得るにはどうしても至らなかったというのが実態でございますので、そこは御理解をいただければなというふうに思っております。 |
委員 |
そもそも、今なぜ実用新案を改正するのだという、いろいろな理由はあるかと思うんですが、私は、審査促進という視点と、それから出願人からして、3年で審査請求をするかしないかという判断の難しさ、そういったことを総合的に考えて管理しやすいようにする、その実用新案が一つの手助けになるんじゃないかと思っているんですね。 |
委員長 |
わかりました。 |
委員 |
既にこういう結論が出たので、それについては、別に反対するものではありません。しかしながら、実用新案法の改正が、特許審査の負担軽減に伴う特許審査全体の迅速化の一つの方法であるという議論の持ち出し方とすると、極めて不完全なものと言わざるを得ないのではないかと思います。 |
委員長 |
どうもありがとうございました。 |
委員 |
この実用新案制度、平成5年に大改正をして、今、なぜこのような中途半端な改正が必要なのかなというのが、私はどうもよくわからないでおります。 |
委員長 |
それでは、説明をお願いいたします。 |
事務局 |
アンケート調査につきましては、調査対象の件数ですけれども、発送したのは3039件、回答数は777件でした。それで、お送りさせていただいたのは、大企業、それから、当然、実用新案でございますので、中小企業、主たるユーザーと考えられる個人の方もできるだけ含むようにということで、まず知的財産協会さんに御依頼を申し上げたのと、それから、さまざまな中小企業向けの研究開発の補助金とか、そういうものの受け取り手になっておられるような中小企業は、特にこういう問題意識といいますか、利用度が高いというふうにも思いましたので、そういうところにお送りをさせていただいたのと、あとは婦人発明家協会さんにも御依頼をして送らせていただきましたが、やはり大企業の方からの回収率が非常に高い。知財部の組織なども非常に充実しておりますので、御回答もしていただきやすかったということはあるだろうと思っております。 |
委員 |
それで、将来の見通しとして、例えば5年、10年、どういう動きがあるだろうというふうに計算されていたのでしょうか、そこをお願いします。 |
事務局 |
直ちに、これだけ流れてくるというのは、先ほど御指摘もあったように、なかなか見通すことは難しいと思っております。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
先ほどの方法云々という話なんですけれども、私は、権利付与の対象を方法にまで拡大することには反対です。 |
委員長 |
ありがとうございました。 |
委員 |
先ほどビジネス方法の話が出たんですが、一つ教えてほしいんですけれども、ビジネス方法の発明はデータ処理システムというような形で、一応、物の請求項を書くことができるわけですけれども、それは物品の形状、構造または組み合わせとして、実用新案の登録出願した場合に認められているんですか。 |
事務局 |
お答えします。 |
委員長 |
よろしゅうございますか。 |
委員 |
今度の全体の大きな流れというのは、国際産業競争力をいかに高めるかという視点にあるかと思うんですね。 |
事務局 |
競争力というのを、確かに実用新案の制度だけでとらえて理解すると、これが国際競争力に直結するということは、なかなか申し上げにくいとは思います。 |
委員長 |
どうぞ。 |
委員 |
なぜ、今改正するのかという御疑問を持たれる方も多いと思うんですけれども、一つは、審査請求期間が7年から3年になったということが原因していると私は思います。もう一つは、世の中の状況がものすごく変化しているということです。そのために実用新案制度を見直す必要があるのだろうと私自身は考えております。 |
委員長 |
よろしゅうございますか。 |
委員長 |
それでは、そういうふうにさせていただきます。どうもありがとうございました。 |
委員長 |
それでは、きょう最後の議題ですが、特許戦略計画関連問題ワーキンググループ中間取りまとめ(案)について御検討いただきたいと思いますが、事務局の方から、まず資料の御説明をお願いいたします。 |
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事務局 |
資料の7と資料の8であります。この小委員会の下にもう一つのワーキンググループが設置されておりました。特許戦略計画関連問題ワーキンググループということであります。 |
委員長 |
どうもありがとうございました。 |
委員 |
機械翻訳のことに言及されておられますけれども、主に日本語と英語の間でしょうけれども、日英、英日両方向をお考えなんでしょうか。 |
事務局 |
そうです。 |
委員長 |
ほかに、ございませんか。 |
委員長 |
それでは、よろしくお願いいたします。 |
委員長 |
以上で本日の議題はすべて終了いたしましたけれども、最後に、小野特許官から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
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小野特許技監 |
本小委員会におきまして、これまで職務発明制度のあり方について、さまざまな観点から御議論をいただきました。非常に難しい問題であったにもかかわらず、こういう形で報告書を取りまとめていただき、委員長を初め委員の皆様に、本当に感謝しているところでございます。 |
委員長 |
それでは、以上をもちまして、第15回の特許制度小委員会を閉会いたします。 |
――了――
[更新日 2004年2月24日]
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特許庁総務部企画調査課 |