委員長
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それでは、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第19回特許制度小委員会を開催いたします。
今回、委員及び事務局に交代がありましたので、まず事務局よりご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。
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事務局
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私、新たに制度改正審議室長に着任をいたしました田川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まだご到着でない委員の方もいらっしゃいますが、まず、交代をされました委員の方をご紹介させていただきます。
新たにご就任されました委員の方についてのみ名簿順にご紹介をいたします。大変恐縮でございますが、一言御挨拶をいただければと存じます。
まず最初に、日本製薬工業協会知的財産委員会委員長の秋元委員。
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委員
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秋元でございます。よろしくお願いいたします。
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事務局
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続きまして、社団法人電子情報技術産業協会法務・知的財産権総合委員会委員の大野委員。
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委員
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大野でございます。よろしくお願いします。
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事務局
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続きまして、東京大学法学部・大学院法学政治学研究科教授の大渕委員。
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委員
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大渕でございます。よろしくお願いいたします。
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事務局
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続きまして、慶應義塾大学理工学部情報工学科教授、笹瀬委員。
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委員
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笹瀬でございます。よろしくお願いいたします。
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事務局
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続きまして、日本知的財産協会副理事長、志村委員。
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委員
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志村でございます。よろしくお願いいたします。
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事務局
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続きまして、日本弁理士会副会長の富崎委員。
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委員
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富崎です。よろしくお願いします。
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事務局
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続きまして、三鷹光器株式会社代表取締役、中村委員。
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委員
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中村勝重です。よろしくお願いいたします。
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事務局
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続きまして、東京医科歯科大学知的財産本部技術移転センター長の前田委員。
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委員
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前田裕子でございます。よろしくお願いします。
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事務局
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続きまして、東京大学法学部・大学院法学政治学研究科教授の山口委員。
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委員
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山口でございます。よろしくお願いいたします。
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事務局
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続きまして、事務局にも異動がございましたので、本日、出席の幹部職員をご紹介いたします。
特許庁長官として中嶋長官、特許技監として守屋特許技監、総務部長として野澤総務部長、特許審査第一部長として小池部長、特許審査第四部長として高倉部長、審判部長として篁部長、それぞれ交代して新たに事務局となっております。なお、中嶋長官は後刻出席の予定でございます。
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委員長
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どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
本日は、特許制度委員会の再開に当たりまして、守屋特許技監から一言御挨拶をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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守屋特許技監
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御紹介をいただきました特許技監の守屋でございます。よろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙中のところ、当特許制度小委員会に御参加いただきまして誠にありがとうございます。本来でありますと、中嶋長官が御挨拶申し上げるところでございますが、少し遅れてございますので、私の方から一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
少子高齢化、それから経済のグローバル化が進展する中、我が国が持続的な経済成長を続けていく必要があるわけでございますが、そのためには技術革新による製品の高付加価値化、あるいは生産性の向上が鍵となっております。
こうした中で技術革新を促して、競争力を強化していくということが大変大事になっているわけでございますが、そのため、創作活動を活性化し、それから創作活動の成果であります知的財産を適切に保護し、それをまた大いに活用していくという環境整備をすることが非常に大切だと考えております。
こうした観点から、特許制度におきましても革新的な発明を多面的に保護する、あるいは国際的な制度調和を図っていく、模倣品対策を強化していくというような制度への適切な対応が求められているところでございます。
本委員会におきましても、21世紀にふさわしい特許制度の実現に向けまして、活発なご審議を賜ればと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、私のごあいさつとさせていただきます。
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委員長
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どうもありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと思いますが、本日の議事は、お手元の議事次第には「特許制度の在り方について」というふうに書いてありますけれども、これは2つに分かれておりまして、特許審査の在り方について、それから特許権の強化について、この2つなっております。もう少し具体的に申しますと、補正制度の見直し、分割制度の見直し、一部継続出願制度・国内優先権制度について、権利侵害行為への「輸出」の追加、権利侵害行為への「譲渡等を目的とした所持」の追加、罰則の強化、これらが検討課題となっております。たくさんありますけれども、どうぞ十分なご審議をお願いいたしたいと思います。
それでは、まず、事務局より配布資料の確認をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
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事務局
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それでは、配布資料の確認をさせていただきます。
本日の配布資料は、議事次第、配布資料一覧、委員名簿、資料1といたしまして「特許制度小委員会の新たな検討課題について」、資料2といたしまして「特許制度の在り方について」、参考資料1といたしまして、知的財産推進計画のうち、特許制度小委員会関連事項を抜粋したものでございます。それから、参考資料の2といたしまして「補正制度及び分割出願制度の見直しの方向性について」ということで、こちらは本小委員会の下にございます特許戦略計画関連問題ワーキンググループの報告書でございます。
以上でございます。
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委員長
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ありがとうございました。
それでは、早速中身に入らせていただきますが、「特許制度の在り方について」ということで、事務局より説明を行っていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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事務局
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それでは、特許制度の在り方についての前半部分といたしまして、補正、分割、一部継続出願等についての特許審査の在り方につきまして御説明をさせていただきます。
まず、資料1でございますが、特許制度小委員会の新たな検討課題、前半の問題意識と今後の検討の課題でございます。御承知のとおり、特許制度小委員会につきましては、2002年8月に設置をされて以降、これまで「知的財産戦略大綱」や「知的財産推進計画」の具体的な実施に向けまして、特許制度に関する諸問題について検討を重ねてきたところでございます。2003年1月には「最適な特許審査に向けた特許制度の在り方について」ということで、料金等の見直しを提言をしているところでございます。そのほか2003年12月には職務発明制度について、2つの報告書をとりまとめているところでございます。また、本小委員会の下に設置をされておりました実用新案制度ワーキンググループ及び特許戦略計画関連問題ワーキンググループにおきまして、それぞれ検討した結果を「実用新案制度の魅力向上に向けて」という報告書、これは実用新案の魅力向上のために権利期間の延長、あるいは料金の在り方の見直し、それから実用新案から特許への乗り換え等を認めるなどの制度の改正についての報告書でございます。そのほか「世界最高レベルの迅速・的確な特許審査実現に向けて」ということで、特許審査の迅速化に向けた特許法改正のために、先行技術調査の体制の拡充等を報告としてまとめたところでございます。こうした報告につきましては、2003年及び2004年の特許法改正に反映されているところでございます。
また、本小委員会戦略ワーキンググループにおきましては、「補正制度及び分割制度の見直しについて」を昨年の10月にとりまとめをいただいております。そのほか「特許発明の円滑な使用に係る諸問題」ということで、リサーチツールの問題等についてとりまとめが行われたところでございます。
こうした中、本年6月10日に策定をされました「知的財産推進計画2005」におきましては、ワーキンググループの補正制度・分割制度の見直しの方向について、これを新たな課題としているところでございます。
参考資料1にございますように、知的財産推進計画におきましては、さらに出願人のニーズに応じた柔軟な特許審査の推進といたしまして、ニーズに応じた審査時期を担保するという観点から補正制度・分割制度の緩和について検討する、あるいはアメリカのような一部継続出願制度、あるいは国内優先権制度等について検討するということになっております。そのほか利用者の利便性の向上、あるいは知的財産制度の保護・強化といたしまして、営業秘密等の保護の強化の問題、そのほか知的財産に関する刑罰の見直し、模倣品対策といったテーマが掲げられているところでございます。
そこで本委員会におきましては、今般の「知的財産推進計画2005」に盛り込まれている事項、これを中心に特許制度の諸問題について御審議をいただき、方向性をとりまとめいただきたいと考えております。
具体的な検討事項といたしましては、特許審査の在り方として、補正制度・分割制度の見直し、一部継続出願制度、国内優先権制度についてという点が1点。それから特許権の強化ということで、権利侵害行為への「輸出」の追加、権利侵害行為への「譲渡等を目的とした所持」の追加、あるいは刑事罰の強化といったところが本日御検討いただくテーマでございます。そのほかⅢ、Ⅳ、Ⅴといたしまして、特許制度の枠組みといたしまして先使用権制度、特許制度の利便性の向上といたしまして、外国語書面出願の翻訳文提出期間の問題、カラー図面等の取扱い、拒絶理由通知の応答期間の緩和、インターネットを通じた特許審査出願書類の情報提供、新規性喪失例外規定の証明期間についての延長。そのほかの問題といたしまして、特許庁の判定制度とADR機関、仲裁機関との役割分担、2点目といたしまして、中小企業、ベンチャー企業等を念頭に置いた損害賠償制度等の在り方について、といったテーマについて御議論をいただきたいと考えております。
資料2によりまして、順次御説明をいたします。
まず、第1の論点でございますが、特許審査の在り方といたしまして、補正制度、分割制度、一部継続出願等につきまして御審議を賜りたいと思います。
まず、特許制度は、御承知のとおり先願主義の下で出願人の方に特許に関する明細書等を出していただくことになっております。したがいまして、初めから完全な書類をつくるということはなかなか難しいということがございます。また、出願人の方は技術動向であるとか業界動向などに柔軟に対応して出願を補正したり、あるいは分割したりするといったニーズがあるわけでございます。こういったことによりまして、実効性の高い幅広い権利化というものが期待をされているところでございます。
まず、第1点といたしまして、補正制度の見直しについて御説明をいたします。補正制度は今申しましたように、先願主義の下で発明の適切な保護を図るために特許出願の明細書、特許請求の範囲又は図面、こうした明細書等につきまして、一定の制限のもとで補正を認めるという制度でございます。グローバルな権利取得を円滑に進めるためには、特許制度を国際的に調和をさせるということが重要であるという観点が1点、それから補正制度につきましては、各出願の間で取扱いの公平性を確保するといった2つの大きな視点があるかと考えております。この委員会の下に設けられましたワーキンググループにおきまして、昨年、「補正制度及び分割制度の見直しの方向について」ということで報告書がとりまとめられているところでございます。
まず、補正制度の現行の状況でございますが、繰り返しでございますが、先願主義の下に完全なものを求めることは難しく、かつ発明の適切な保護を図るためには、審査官、審判官による審査・審理を経て特許請求の範囲を縮減し、先行技術との抵触関係を回避する。そういった必要があるということから、まず一定の制限のもとで認められているものでございます。
我が国の補正制度は、国際的な調和、迅速な権利付与、出願の取扱いの公平性といった観点から見直しをこれまでも行っております。特に平成5年に見直された結果、現在のような制度になっております。
現在の制度でございますが、まず内容的な制限といたしまして、新規事項を追加する補正の禁止というものが盛り込まれております。平成5年以前につきましては、特許請求の範囲に無関係なもの、例えば、新たな事項を明細書の方に追加をするといったことにつきましては制限をされていなかったわけでございますが、こうしたことを禁止して現在に至っているところでございます。
それから補正の内容の制限といたしまして、最後の拒絶理由通知の後の補正、これは審査が相当程度進んだ段階では、特許請求の範囲の補正というものについて、請求項を削除する、あるいは特許請求の範囲を限定的に縮減する、そういったもののみが認められているところでございます。
3ページ目に移りまして、現在どういう時期にできるかということでございますが、最初に拒絶理由通知を受ける前まで、原則明細書等の補正を行うことが可能になっております。下の図でいいますと、最初の拒絶理由通知というのが真ん中あたりにございますが、そこまでの間は、明細書の範囲内であればいろいろな補正が可能ということでございます。また、最初の拒絶理由が通知された後に、明細書等の補正ができるというのは次の期間に限られておりまして、拒絶理由通知に対する意見書の提出期間、あるいは文献公知発明、これは先行の技術でございますが、それについて現在、特許法におきましては出願人にできるだけ開示を求めているところでございます。それに対する意見、それが不十分である場合の意見書の提出期間、あるいは拒絶査定に対する審判の請求日から30日以内、審判に前置をされる審査、いわゆる前置審査又は拒絶査定に対する審判、又はその審判の確定審決に対する再審における拒絶理由通知に対する意見書の提出期間ということになっております。
補正の内容との関係で、この図で再度御説明いたしますと、真ん中にございます、原則といたしまして最後の拒絶理由通知、この前につきましては、新規事項の追加以外の補正が可能になっております。その最後の拒絶理由通知の後につきましては、請求項の削除等非常に厳しい制限がかかっております。
今回提案をしておりますシフト補正の制限という内容につきましては、③にございますようなケースでございます。その前に2ページの「補正の内容的制限のイメージ」のところで若干説明をさせていただきたいと思います。
まず、最初の拒絶理由通知のときのクレームというのが実線で左の方にございます。例えば右側の例で携帯電話について2つの例を挙げておりますが、これを携帯電話の高感度アンテナについての技術といたします。そういたしますと拒絶理由通知を受ける前につきましては、これをアンテナの収納であるとか、アンテナの位置だとか、最初の発明と重なる部分について、補正することができるわけでございます。さらに現在では、最初の発明と違う内容、全く技術分野が重ならないようなもの、こういったようなものについても補正を許容しているという状況があるわけでございます。こうしたシフト補正を制限すべきではないかという問題意識でございます。
3ページに戻りまして、シフト補正の状況について御説明をいたします。シフト補正には、2つの類型がございます。
まず、タイプ1といたしまして例を示しておりますが、明細書全体の範囲にはAという発明とBという発明、例えば、ここにございますように、携帯電話用の高感度アンテナ、これをAとし、Bの発明として折り畳み携帯電話用のヒンジという接続部分の技術があるといたします。そのときに特許請求の範囲、クレームといたしましてA、つまり高感度アンテナという部分について出願をした場合、審査をいたしまして、Aについて拒絶理由通知が発せられた、その場合、補正として技術分野の重ならない単一性を満たさないようなBという発明に変える、こういったものがまずタイプの1でございます。
続きましてタイプの2といたしまして、クレームといたしまして、携帯電話用の高感度アンテナという発明Aと携帯電話の折り畳み部分のヒンジ、発明Bというものを一緒に出願をしている場合というのがございます。審査をいたしました結果、まず、これが一つの出願として許容されないということで単一性違反、それから順番に審査をいたしますので、Aの部分、これについて審査をして、それが拒絶をされるという場合がございます。その場合にAというのを排除してBに変えるというケースが考えられるところでございます。
こうしたシフト補正につきましては、問題の所在といたしましては、Aという発明を最初に審査をいたしまして、その後に全く違うBという分野を再度審査しなければならないという問題があるわけでございます。現状のシフト補正が大体どれぐらい行われているかということで私どもの方で調べた結果、4ページ目の方にございます。
まず、平成14年の1年間に審査が行われて、まずタイプ1に該当するようなケースとして、進歩性の欠如の拒絶理由が通知された案件、タイプ2といたしまして、進歩性の欠如と単一性違反の拒絶理由が同時に通知された案件のうちシフト補正がなされたもの、こういったものをサンプル調査をしております。サンプル件数として大体650件程度調べたところで、2%くらいがシフト補正に当たるのではないかということでございます。この平成14年の全体のタイプA、タイプBに該当するような拒絶理由が通知されたケースというのが13.4万件ございまして、そういたしますと、実数としては、大体2,600件程度がシフト補正になるのではないかということでございます。
それから、審査請求料の改定が行われておりまして、平成16年以降行われた新出願につきましては、既にこれにつきましては審査が行われているところでございます。同じように進歩性の欠如の拒絶理由が通知された案件及び進歩性の欠如と単一性の違反の拒絶理由が同時に通知された案件3,400件のうち、サンプル調査大体400件程度でございますけれども、シフト補正がなされた後見られるのが約7.2%ということでございます。サンプル数が非常に小さいということでございますので、確定的なことは言えないわけですけれども、審査請求料の改定後の平成16年4月以降の出願につきましては、シフト補正の増加傾向があるのではないかということでございます。
5ページ目にまいりまして、欧米の制度につきましては、拒絶理由通知後に発明内容を大きく変えるという補正は認められておりません。アメリカ、ヨーロッパとも同様でございます。
問題の所在及び対応の方向でございますが、幾つかの視点がございます。まず制度の調和、それから出願人間の取扱いの公平、これは先ほども申し上げましたように、最初の拒絶理由通知の後にシフト補正が行われるというと、最初に先行技術調査、あるいは審査を行ったものと全く別の分野について審査をやり直さなければならないということで、実質的に2件分の審査を行っているということになるということでございます。それから3点目といたしまして、シフト補正の増加傾向が見てとれるのではないかという3つの観点でございます。
対応の方向といたしまして、国際的な調和、あるいは出願人間の取扱いの公平性という観点からは、シフト補正を禁止すべきというふうに考えているところでございます。なお、シフト補正、これは、ある意味ではその発明そのものに実質的な瑕疵があるということではなく、手続あるいは審査効率の観点の問題でもございますので、そういう観点からは無効理由にすべきではないと考えられるところでございます。また、シフト補正違反を無効理由にしない場合、シフト補正か否かの判断は必要以上に厳格にすべきではないとも考えておるところでございます。
その際の具体的な制度設計といたしまして、次のような4点について考えているところでございます。
まず、シフト補正の禁止時期でございます。審査が開始されるまでの間につきましては、出願人が権利化したい発明というものを自由に変更できるということとし、審査が開始された後は一貫して補正を禁止する。つまり拒絶理由を受けて、その後に発明を全く別のものに変えるといったことを禁止すべきではないかということで、その禁止時期を拒絶理由の通知に対する応答時及び審判請求時のシフト補正、これを禁止することとしてはどうかと考えております。
それからシフト補正の判断の基準となる発明につきましては、拒絶理由通知のときの発明を基準とする。
シフト補正の範囲につきましては、基準となる発明と補正された発明の間で単一性の要件、つまり技術的な関連を満たさない場合にシフト補正として取扱うということでございます。
それから、シフト補正違反時の取扱いといたしましては、これは拒絶理由がある場合には、これをしかるべく補正する等によりまして、その拒絶理由を解消することができるということとし、無効理由、そもそも、その特許出願自体が実質的な瑕疵を持つというふうにはしないと整理してはどうかと考えております。
続きまして7ページ、分割制度の見直しでございます。これは補正制度と同様に、出願人にとりましては、一つの発明のアイディアというものを、実効性を確保するために、いろいろな補正とあわせて出願のある一部分について早期に権利化をするとか、あるいは一部分を新たな出願として、そこにまた補正を加えて非常に実効性の高いものにするという観点で、非常に実効性のあるものでございます。この分割制度につきましても、昨年のワーキンググループにおきまして報告書がまとめられているところでございます。
まず、現行の制度でございますが、制度の趣旨は一つの特許出願の中に二つ以上の発明が含まれている場合に、その特許出願の一部を新たな出願とすることができる制度でございます。分割出願につきましては、もとの出願のときにしたものとみなされ、もとの出願日の利益を享受するということでございます。
下の図にありますように、この場合には、発明A、発明Bというもとの出願がありまして、一番典型的なケースといたしましては、発明Aと発明Bに分けるというケースでございます。その場合に、最初の出願に含まれているということで、発明Bについては、実際に分割して出願をされた日から、もとに親の出願日に遡及をするということになります。
分割制度が、どういうふうに使われているかということにつきましては、7ページの下にありますように、特許出願に含まれる複数の発明のうち単一性の要件を満たさない、つまり一つの出願では維持できないというものについて権利化するために、まず分割をするというのが一つでございます。
そういうもののほか、審査過程で最初の拒絶理由が通知をされて、補正が可能な範囲、これが制限をされる、先ほどのケースで見ますと、最後の拒絶理由通知の後は、請求項の削減等に限られるということで、最初の出願に含まれていた、例えば発明Bをもう少し実効性あるような形で書きかえるといったことが現在できないということがございます。また、審査官から拒絶理由通知を示された先行技術文献を参考にして特許性の高いものと低いものに分けまして特許性の高いものについて早期に権利化をするという場合にも使われているところでございます。
時期の制限につきましては、先ほどの補正のできる時期と同様でございます。まず、具体的にはもとの特許出願が特許庁に係属をして、かつ特許査定の謄本の査定が行われる前、かつ最初の拒絶理由通知の前にはいつでも分割することが可能ということになっております。そのほかのケースでございますが、最初の拒絶理由通知の後、あるいは最後の拒絶理由通知の後、そのほか先ほど申し上げました文献公知発明、先行技術について情報記載を求める意見書の提出期間、あるいは審判請求から30日等というふうになっているところでございます。
内容の制限につきましては、現行では分割出願がもとに出願の明細書等に記載されていない新規の事項を含む場合には、適法な分割出願とは認められないということで、これは新たな出願となり、出願日は遡求しないということになっております。また、分割出願の特許請求範囲に、もとの出願の特許請求の範囲に記載されている発明と同一のものが含まれている場合、この場合には、ダブルパテント排除の原則から、いずれか1つしか特許を受けることができないということでございます。
具体的な分割出願の利用状況、8ページの下、④以下書いております。分割出願の件数につきまして、9ページの上の方に最近の推移を書いているところでございます。平成12年から13年は若干減っておりますけれども、14年以降1万134件、1万1,265件、平成16年には1万2,499件とそれぞれ11.5%、11.2%、11%と大体10%程度でコンスタントに、ここ3年間を見ますと増えているところでございます。また、分割の実際の利用状況、分野別に見ますと、アミューズメント分野、情報記録分野、映像機器、こういった分野について分割出願が多く使われているところでございます。
9ページの方に移りまして、審査が行われた全案件の特許査定率と分割出願の特許査定率を比較いたしますと、ほとんど変わりませんが、分割出願の方が近年は若干低くなっております。また、分割出願のタイミングにつきましては、拒絶理由通知に対する応答中に出願を分割するケースがあり、これが52%となっております。拒絶理由通知前の分割が23%、審査請求時が17%、それ以降は8%となっております。
問題の所在及び対応の方向でございますが、幾つかの視点から検討が必要かというふうに考えております。
まず、多面的・網羅的な権利取得の支援ということでございます。フロントランナーの技術のつきましては、非常に幅広く権利取得を図るようにするということが重要でございますので、査定時までに漏れのないクレームを作成するというのが理想でございます。しかしながら、審査官による特許査定、あるいは付随する先行技術調査の結果が提示する前におきまして、どの範囲まで広く権利化できるかということについて、見通しを立てるには限界があるということでございます。
また、フロントランナーの革新的な発明の場合につきまして、本来、特許により保護すべき優れた発明でございましても、特許請求の範囲の発明、これを的確な表現にできないということで拒絶査定になってしまうといったケースもあるわけでございます。こういう観点から査定後の一定期間、分割の出願を認めるということは、査定時の技術やマーケットの動向、技術標準の策定状況に応じたクレーム表現にするということで、非常に効果的な特許取得ができる。それを通じまして、多面的・網羅的な権利取得に資すると考えられるところでございます。
それから不要な分割出願、審判請求の抑止も観点としてございます。現行制度におきましては、拒絶理由が通知されることなく、すぐ特許査定になったという場合には、出願人がこれを分割するということはできないということになっております。そのために、そもそも最初の段階で出願を分割する機会を確保するために故意に拒絶理由を含むようなクレームを作成する、あるいは事前に念のため分割出願を行うといった手段をとられるケースというのもあるようでございます。こういったケースを克服するためにも特許査定後に何らかの機会を認めることが望ましいのではないかということでございます。
それから制度の調和の観点でございますと、欧米では特許許可通知後、特許が発行される前までの期間も出願の分割が認められているところでございます。また、米国におきましては、拒絶査定に相当する通知後にも継続出願が可能ということでございますので、特許査定後及び拒絶査定後に出願の分割を認めるということは、分割制度の国際調和にも資するのではないかということでございます。
下に日米欧の分割可能時期について比較をしております。日本におきましては、親出願について補正をすることができる期間内、アメリカにおきましては、親出願が特許され、放棄され、又は手続が終結されるまでの間、継続している間については分割ができる。欧州につきましても、親出願が係属している期間については分割ができるということでございます。
具体的な対応の方向につきましては、フロントランナーの多面的な保護を図る、それから制度調和を図るということから、特許査定後の所定期間及び拒絶査定後の所定期間、出願の分割を可能とするというのが妥当と考えられるところでございます。
なお、拒絶理由通知応答終了後、査定までの間でございますが、8ページの図でございますと、最後の拒絶理由通知から査定される間、現在でございますと、最後の拒絶理由通知から分割可能な時期は30日ということになっておりますが、これ以降、査定までの期間、これについて検討をいたしましたが、強いニーズがないということ、あるいは拒絶理由通知後の審査着手、いわゆる二次審査のタイミングと無関係に出願ができます。そういたしますと審査が煩雑化するといったこともございます。ということから分割を認める必要は、その部分についてはないのではないかという、一定期間に限ればいいのではないかということでございます。
また、審決後につきましては、分割時期あるいは権利化の時期を先延ばしする目的で審判を請求するという制度濫用の観点につきまして考えますと、ここにつきましては分割を認める必要がないのではないかと考えられるところでございます。
この分割制度につきましては、11ページの(3)の2にございますように、濫用を防止するという観点から一つ重要な点でございます。分割の時期的制限を緩和をいたしますと、分割制度の濫用を招くといったおそれがございます。
これをどうするかということで、対応の方向といたしまして、幾つかアイディアを私どもで考えております。濫用の場合、非常に問題になりますのは、長期にわたる分割出願、こういったものが審査を遅延させるといったこともございます。制度の濫用を抑止する方法として大体2つ考えられるのではないかと思っております。一つの出願から分割できる出願の数を制限するという考え方と、分割の世代、つまり親出願があって、それを次に分割したのを第2世代、さらにその次に第2世代から分割したものを第3世代といたしますと、その世代数を制限するといったことが考えられるわけでございます。
まず、ここにおきまして、一つの出願の明細書に盛り込むことが可能な発明数、これにつきましては制限がない、また、これらすべての発明について権利化する道を確保しておくことが必要ということから、一つの出願から分割できる数というものを制限することはなかなか難しいのではないかと考えております。
一方で明細書等を精査して権利化が必要な発明を抽出するための機会、これは必ずしも無制限である必要はないのではないかということで、分割可能な世代数を制限するということには一定の合理性があるのではないかというふうに考えております。例えば、単一性違反の拒絶理由を解消するための機会として1回、権利範囲を見直すための機会として1回、計2回の分割、したがいまして、親の出願から見ますと、一つの考え方としては第3世代までで制限をするというのが考えられるのではないかということでございます。
また、そのほかの考え方として、分割できるような分割の可能な時期というのを、例えば、出願から何年というふうに制限するというのも一つのアイディアとして考えられるのではないかと考えております。このあたりご議論をいただければと思っております。
そのほか(イ)にございますが、ファーストアクションファイナルの考え方を導入することも考えられるのではないかと考えております。これは少し例外的なケースになりますが、拒絶になった出願とまた同じものを出願する。これも一つの分割出願のケースとして考えられるわけでございます。例えば、A出願があったときに、Aとほぼ同じものをまた繰り返し出願をすると一つの分割出願の類型、若干一般的なケースではないかもしれませんけれども、そういうケースについては制度濫用を防止するという観点から、例えば、もとの出願で通知された拒絶理由をそのまま適用して、1回目の拒絶理由通知であっても最後の拒絶理由通知とするようなことが考えられるのではないかと考えております。
続きまして、手続の関係でございますが、対応の方向といたしまして、分割出願への新規事項を追加した場合、現在は新たな出願として出願日を遡及しないという扱いにしておりますが、これを新規事項があった場合には、拒絶無効として扱ってはどうかというのが1点目でございます。
それから(イ)といたしまして変更箇所のアンダーラインルール化、変わったところを明示していただく。(ウ)といたしまして説明資料の提出、これは審査官が当事者に対して、審査に必要な書類を提出することを求めることができると、そういう規定を利用いたしまして、どういうところが変わったのかということについて説明資料を求める。あるいは、これは(エ)といたしまして、もとの出願と分割出願の近接着手でございます。審査の効率化、あるいは審査のばらつきの防止の観点から、これはできるかどうかさらに精査が必要だと考えておりますが、分割出願の審査をもとの出願の審査時期に極力近接をさせる。(オ)といたしまして、特許電子図書館における分割出願情報の拡充ということでございます。
13ページの下にございますが、分割の内容的制限の緩和といたしまして、分割出願にもとの出願と同一の発明が含まれる場合、この両方を認めるべきではないかという観点でございます。いわゆるダブルパテントの問題でございます。利用者の方のニーズにつきましては、実質同一の関係にある発明につきまして、もとの出願と分割出願の両方で権利化が必要であるというご意見、それから第三者の監視負担や無効審判の負担の増大を招くということで、反対意見も見られるという賛否が分かれているところでございます。そのほか、同一出願について、現行制度の下でも対応が可能ではないかといった観点、あるいは国際的な制度調和、現在ダブルパテントの取扱いについて、WIPOあるいは先進国間において議論が進んでいるということでございます。そうしたことからダブルパテントの問題につきましては、ある程度ニーズは存在するということでございますが、反対の立場のユーザーの方も多いということで、国際的を動向等、これを勘案しながら引き続き検討していくべきではないかということでございます。
続きまして一部継続出願、国内優先権制度でございます。これにつきましては、例えばデータを追加したり、あるいは発明の明確化を図る、そういった出願のある意味内容の拡充・変更につきまして、アメリカの制度、あるいは日本の国内優先権制度について、それを拡充すべきではないかということでございます。
15ページの下にございますように、例えば、バイオ分野等の先端技術分野におきましては、一旦出願した後に追加試験を行う等によりデータの拡充が必要になる。その場合に、現在の我が国の制度では国内優先権制度というものがございまして、1年以内であれば国内優先権制度、下にございますように、図のような考え方のもとに新たに追加をして出願をすることができるということになっております。
具体的に申しますと、発明Aがございまして、それから1年以内であれば、それに関連いたします改良発明A又は追加実験データ、こういったものを追加いたしまして、新たな出願とすることができる。それは1年3か月後にみなし取り下げになる、こういった制度でございます。ただし、最初に含まれた発明Aの部分については、もともとの出願日の効果を享受できると、そういった制度でございます。これについて、さらにその1年というものを拡充すべきではないかというご議論がございます。
もう一つ、アメリカの一部継続出願制度、いわゆるCIP出願でございます。これを日本でも導入すべきではないか、そういう議論があるところでございます。米国の一部継続出願制度につきましては、先の出願の明細書に書かれている発明については、これは先の出願日に出願されたものとして取扱われる。一部継続出願(CIP出願)の出願時に初めて記載された発明につきましては、実際の一部継続出願日に出願されたものとして取扱われるというようなケースでございまして、主な利用のケースといたしましては、先の出願についての改良発明であるとか、あるいは新規の事項を追加する又はダブルパテントとされた二つの出願を一つにまとめて拒絶理由を解消する、そういったケースがございます。
我が国の国内優先権制度と一部継続出願を比較をしたものが16ページ下でございます。我が国の国内優先権制度は先の出願から1年以内でございます。先の出願の存否につきましては、1年3か月経過後にみなし取り下げをされ、権利期間につきましては、現実の出願日から20年というふうになっております。
アメリカのCIP制度につきましては、先の出願の係属中いつでも可能でございます。ただし、実際の先願の地位というものを考慮したときには、実質上、後で御説明いたしますように、2年6月というのが一つの効果的な期間ということでございます。先の出願の存否につきましては、先の出願も残る。権利期間につきましては、先の出願から20年ということで整理をされているところでございます。
このときに一部継続出願制度とグレースピリオドとの関係というのが一つ論点としてあるわけでございます。先の出願の公開後に一部継続出願がなされた場合には、その一部継続出願で新たに記載された改良発明につきましては、先の出願日に利益を享受できないということから、先の出願の公開公報により新規性・進歩性を否定される可能性があるということでございます。
アメリカにおきましては、出願人自らの公開公報につきましても1年間のグレースピリオドが認められておるところでございまして、そういたしますと、具体的には先の出願の公開公報が発行されて1年以内であれば、後の一部継続出願で追加されたものについて、進歩性が否定されることはないということでございます。したがいまして、公開までの1年6月とグレースピリオドを含めまして2年6か月という部分について、一部継続出願のメリットがあるということでございます。
対応の方向といたしまして、まず国内優先権制度につきましては、我が国におきましては、1年6か月後に公開をされるということでございますので、国内優先権制度を現在1年というものを仮に延ばしたといたしましても、6か月よりも短くならざるを得ないという観点が1点ございます。そのほか主要国の国内優先権制度が1年ということになっている観点から、国際調和の観点からいたしますと、主要国と制度が調和しないということから、公平性の観点でも問題が出てくるかということでございます。
対応の方向といたしましては、国内優先権制度の優先期間については、延長できる期間が6か月以下ということで短いと。その場合に、我が国に第一国出願した場合のみ許される制度であるということから、国際的な影響を勘案して、現在のままでよいのではないかということが1点でございます。それから一部継続出願につきましては、米国のこういった制度を導入すべきという考え方につきまして賛否いろいろあるところでございます。
19ページ目に、私どもの方でアンケートをした結果がございます。アンケートの結果によりますと、導入につきまして、特に知的財産協会さんの会員企業の方でございますが、「導入する必要がない」というのが31.7%、「導入すべきではない」というのが48%、約8割が否定的である。大学におきましても、「導入する必要がない」が39.1%、「導入すべきでない」というのが3割ということで、約7割が否定的という状況がございます。
対応の方向でございますが、21ページでございますが、一部継続出願に関しましてはニーズが実際に存在するというものでございますが、大企業、大学へのアンケート、あるいは中小企業へのヒアリングにつきましては、否定的な意見が多く見られたところでございます。このことにつきましては、先の出願に改良発明や追加実験等のデータを拡充できるメリットと第三者の監視負担、すなわち、発明ごとの新規性の判断日が異なる可能性がある。そういったところのデメリット、これをどう評価するかということであろうかと考えております。
そうしたことから、現時点においては、導入につきまして見送ることが適当ではないかというふうに考えられるところでございます。
以上でございます。
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委員長
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どうもありがとうございました。
では、今のご説明に関しましてご意見を伺いたいと思いますが、今の内容は3つに分かれておりまして、補正の問題、分割の問題、最後にCIP及び国内優先権という3点にわたっていたと思いますので、順番に、最初に補正についていろいろとご意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。
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委員
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事務局に質問ですけれども、このシフト補正について、3ページにタイプ1、4ページにタイプ2の記載があります。問題の所在として5ページのところで、最初の拒絶理由通知に対して特許請求の範囲に記載された発明を技術的特徴の異なる別発明に変更する「シフト補正」が問題だとなっていますね。タイプ1はまさにその点だということはよくわかりますが、タイプの2の場合には、最初にクレームは折り畳み携帯電話用のヒンジがあって、折り畳み機構についての実施例の、単一性違反ということで、それをクリアするためにBを残したというのは、技術的特徴のある別発明に変更したことではなくて、発明としては同じで別の理由、つまり先ほどの事務局の説明ですと、多分、審査効率の問題ではないかと思うので、正確に言えば、タイプ1は異なる別発明に変更することの問題であり、タイプ2は審査効率の問題であるということなのかなと思ったのですが、違いますか。
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事務局
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お答えさせていただきます。
タイプ2の方でございますが、クレームA、Bとなっておりまして、この2つのクレームは単一性違反とここでは仮定しております。すなわち、いわゆる特別な技術的特徴が異なる発明がクレームに上がっていることになります。クレームAについて審査し、併せて単一性違反の拒絶理由を通知した場合、結果的にはクレームBについては、まだ審査をしていないことになります。それが補正によってクレームBだけ残ってくるとなりますと、審査対象のクレームAというものが今度新たにクレームBに変わることになります。このように、技術的特徴が異なるものに変わるという意味で、一つのタイプとして挙げさせていただいております。
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委員
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いわゆるシフト補正というものの定義がどういうものかもう一つ定かではありませんけれども、タイプ2の場合に、2つの異なる別発明を含んでいるということの問題があるということはよくわかりますけれども、それをB発明だけにするというのは、異なる別発明に変更したのではなくて、最初から出願しているものの中から、単一性違反という拒絶理由を回避するためにBだけにしたわけで、変更という言葉が当てはまるのかということに疑問を持ったわけです。
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委員長
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最初の中に入っているわけで、審査していなかったというだけということじゃないかと。
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事務局
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確かにタイプBにつきましては、そういう観点では、単一性違反が特に問題で、審査の効率の観点から、私どもとしては、これは禁止をしたいと考えております。その際に、ご指摘のように、これが変更かということにつきましては、ご指摘を踏まえて少し概念整理を再度したいと思いますが、実態として二度手間になるという観点では、タイプA、タイプBともに同じことになるのではないかというふうに考えております。
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委員長
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ほかに何かありませんか。どうぞ。
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委員
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分割等に改正について、特許制度は、よい発明についてきちんとした特許を受けられるということは必要なことでありますから、産業界の委員の方にこれで問題がないかどうかということをひとつお聞きしたいと思います。それから、これは比較法として米国法が出てくるんですけれども、米国法はCIPがあるので、比較法として横並びに並べるのは適当なのか疑問があります。CIPができる場合がありますから、アメリカ合衆国に日本も合わせるんだという議論をするのは適当なのかと思います。
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委員長
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まず最初に、産業界の方の反応はどうかというお尋ねだったんですが、産業界の方といってもたくさんいらっしゃいますけれども、どなたでも。お願いいたします。
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委員
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補正制度につきましては、私、個人の意見は別として、製薬業界としては、大体この方向でよろしいだろうというふうに考えております。これに絡めて、分割制度でございますけれども、特に医薬品業界、製薬業界の場合に用途特許を考えるとき、どうしても最初に、例えば最大5年の期間延長を享受しようと思って、かなりピンポイントで早く特許にしてしまうことがある。そうすると残りの発明の部分につきましては、それを除かないといけない。用途を除かなきゃいけないということで、今の日本のプラクティスだとダブルパテントは認められてないということになりますので、分割については、私ども産業界としてはいろいろ考えてもらわなきゃいけないかなというところもございます。補正そのものについては大きな反対はございません。
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委員長
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業界によってもいろいろと反応が違うかと思いますけれども、どうぞ。
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委員
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知財協としても、この内容で結構かなと思われます。
ただ、3ページ、4ページ、例が挙がっているタイプ1、タイプ2、これほど明確なものは確かにそうだよねという感じがするんですけれども、内容に応じては非常に微妙な、単一性についても微妙なものもあると思うんです。そういうものについては、柔軟な運用というのをやっていただきたいなと思っています。
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委員長
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ほかに産業界の方は。どうぞ。
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委員
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私も、確かにシフト補正のどういう場合がシフト補正かということと、これほどきれいなケースじゃないところで実際実務をやる人は悩むだろうなという感じがするので、基本的には補正をやるということ、こういう内容で補正内容を変えるというのは半端じゃないんですけれども、いまいちシフト補正というイメージが、具体的なそれぞれの業界で持って返ると、ボーダーラインのところはわかりづらいところがあるんじゃないかという感じがしました。
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委員長
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ほかによろしいですか。どうぞ。
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委員
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我々もいろいろ特許を出すわけですけれども、全面的にはこれでよろしいかと思うんです。特にシフト補正というのがどんどん行われますと、何がどれほどかというと非常に微妙なので、そういったところは、むしろ、なしできっぱりいくのがいいかなと思います。分割もいいんですが、特にCIPの方ですけれども、我々いろんな国と参画でやるときに、話が途中で微妙になりまして、その期間でもってプラスアルファとかそういうのが出てきますと、これは第三者の監視がつかなきゃいけない。そういった点でどこまで話しても、それは誰がどこまで特許の内容を知っているか、そういった人がいないところでどんどん事が進んでいくので、特に医療の場合ですと、ものと薬と一緒になってきますので非常に不安定だと。ですから、優先権でぱしっと決めたこっちの方の考え方は、私は賛成です。
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委員長
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ありがとうございました。どうぞ。
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委員
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基本的にこれで結構だと思うんですが、シフト補正と認定されたときは、後ろの方の分割の機会というか、分割の要件と関係しますけれども、それを分割すればいいと思いますし、分割を認めていただくことだと思います。権利としてとりたいのであれば、もう一度お金を払って審査してもらえば良いということです。だからタイプ2も、わざわざ補正という手続をするのではなくて、恐らくBは、37条の審査はしたかもしれないけれども、ほかの要件の審査はしていないということだと思います。審査料を払えば審査してくれるということだと思うので、手続きとしては分割すれば済むことだと思います。その辺は柔軟に運用して頂きたいと思います。先ほどのシフト補正だと認定すれば、分割要件を満たしたことだというようなことにしていただければ、それは簡単に済むことじゃないかと思います。
企業ですから、いろんな観点でのクレームをとりたいと思います。シフト補正を意図的にやりたいというか、シフト補正というと言葉は悪いんですが、こういう権利とこういう権利をとりたいということが戦略上ありますので、その辺のところを考慮していただいて、柔軟な運用で対応して頂ければ、基本的にはオーケーだと思います。
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委員長
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どうもありがとうございました。どうぞ。
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委員
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先ほどに関連するんですけれども、これは質問も兼ねてなんですけれども、拒絶理由通知に対する応答期間のときに、ここでいうシフト補正1、2は認めないということですか。最後の拒絶理由になるという意味か、又は分割の対象になるということですか、実務上どのような取り扱いを考えられているか今の表現のみではわからないのですが。これは先ほど我々のスポンサーの方が申し上げられたんですけれども、意図的にここでいうタイプ1、タイプ2を我々代理人の立場では書かされることがあるんです。料金の関係で率直に言って、ごちゃごちゃになりますので、我々、実務をやる立場としては非常にやりたくないんですけど。意図的にタイプ1、タイプ2を書くことがあるんです。拒絶理由通知が来たら、それでは、ここでいうクレームAでもBでも削除すると、そういう方向でいこうというようなことを指示されることが多いものですから、その辺のことを実務も法律も含めて明確にお願いしたいということです。
以上です。
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委員長
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わかりました。何か。
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委員
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確認なんですけれども、これは拒絶理由が出て、補正はできないけど、分割はできますというパターンを全体としてはセットアップしていますというふうな理解をした方がよろしいんですか。何となく今までは、補正のときと分割は連動してあったのが、わざとずらしてあるような感じですね。
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委員長
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ご説明ください。
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事務局
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今回は全体の考え方といたしましては、審査効率も、いろんな負担になっておりますシフト補正を制限する。ただし、シフト補正を本来、単一性を満たさないものであれば、それは分割をして対応する。そのために、分割時期については緩和をすると、そういう考え方でございます。
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委員長
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あと、委員は大学TLOの立場からご意見おありでしょうか。
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委員
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基本的には、わたし達のような大学で研究者の特許を扱っている仕事は、特許を自分たちが使うというよりも、企業さんに使っていただくために、買っていただかなければなりません。ですから、企業の方が使いやすいような形にしてあることがベストです。先ほど、企業側の方々がおっしゃいましたように、シフト補正でいろいろな制限がかかっても、分割で柔軟性が増していくことで、むしろ、その方が使いやすいと思っています。
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委員長
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どうもありがとうございました。産業界の方は、基本的には異論がないということでよろしいかと思いますが、先ほど委員がおっしゃった2番目の点は、今後注意しなければならないことと思います。制度の一部分だけ取り出して比較すると、全体を見ないで一部分だけ取り出すとミスリーディングな結果に陥るということで、今後気をつけたいというふうに思います。
それでは、補正についてはこれでよろしければ、次に分割に移りたいと思いますが、今のご議論にもありましたように、両方は連動している面が多いわけですけれども、分割については、ご意見いかがでしょうか。お願いいたします。
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委員
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これは質問も兼ねてですけれども、現在の分割制度が10ページの(イ)に書いてあるような問題点があるというのはよくわかりますし、それで一定の方向での改正を検討されるのもよくわかるのですけれども、要件を緩和して問題になるのは、やはり濫用の危険性だと思います。これから先は産業界の方々とあるいは意見が違うかもしれませんけれども、もともと44条はずっと改正はなされてこなかったのに、審査基準だけが劇的に変わった時期があるわけです。いわゆる双方向同一でさえなければいいよということになったわけですが、これはそうしただけの理由があったのかもしれませんけれども、そのこと自体、私が裁判官のときも、また弁護士になってからの実務でも非常に問題だなと思うことがあるのに、ましてや今度は13ページのような内容的な制限の緩和までやって、いわゆるダブルパテントOKというところまで行くというのは、明らかにそれは行き過ぎだと思います。
もう一つちょっとお聞きしたかったのは、現在の審査基準の双方向同一でさえなければ分割の要件を満たすというのと、いわゆるダブルパテントとここで言っている分割出願に、もとの出願の発明の実質的同一も含むというのとの違いというのはどこにあるわけですか。
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事務局
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もともとは、同一というのは双方向同一だと思うんです。どっちから見ても同じということなんですけれども、ご承知のとおり、平成5年法で最後の拒絶通知が入って補正が非常に厳しくなったというところから見て、分割については少し緩和していきますと。というのは、救済する手だては分割しかありませんので、多少分割の要件は緩和しましょうということになったと思うんですね。それが1点。
それから同一の範囲ですね、実質同一も入れるかどうかというところなんですが、新規性のテストは、同一というのは今、入れていないんですね。29条の2と39条だけ入れている。39条は、ご承知のとおりクレーム、クレームでしか見ていないという違いがあって、29条の2と39条はまたちょっと違ったプラクティスをとっているということになっていると思います。それが多分、全部一緒になって議論しているので、議論が混乱しているのかという気がしております。
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事務局
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現在の審査基準で規定しているところは、まず出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内のものかどうかということ、それから原出願の発明のすべてを分割出願の発明としたものでないということが2つ要件として書いてあります。すべてを分割したというのは、もともと一個の発明しかなくて、分割できない場合になります。複数の発明を含む出願を分割した場合については、クレームが親出願と子出願で同一になる場合もありまして、それを39条で整理しています。基準上はこのような切り分けになっております。
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委員長
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よろしゅうございますか。
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委員
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まだもう一つ納得できないところがありますが、それはそれとしまして、先ほど申し上げたように、現行法の不備を感じはするところはありますので、その点を直そうというのはわかるのですが、そうなると先ほど申したように、濫用をどう防ぐかということが非常に問題になってくるだろうと思います。これは実務をやっていましても、親を出願しておいて、あとは相手方のいわゆるイ号の構成を見ながら分割をしていくというようなことがよくあることで、この時期的制限をこれだけ緩和してしまうと、そういうこともかなり自由にできることになってしまうという意味でも問題はありそうだなとは思いますけれども、その辺の歯止めが合計2回出願回数の制限と分割世代数の制限でクリアできるのかどうかということが一つの問題点だろうと思います。
ほかに手だてがあるのかと言われると、私もこういう方法はいかがかということまでここで用意しているわけではありませんけれども、その点、そこを手当すれば、この分割の時期についての要件を緩和する方向で対応することには、実務上の問題は生じないだろうというのが審議室の認識だと理解していいですか。
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委員長
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濫用防止の現在ここで書かれているので十分かどうかということについて、ご説明いただければと思います。
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事務局
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私どもも分割制度について、やはり一番大きな問題というのは、濫用をどういうふうに防いでいくかということでございます。今回、世代の制限、回数の制限ということを一つのアイディアとしてご提示をしているところでございます。さらに、こういう方法があるのではないか、むしろ、そこはいろいろお知恵を、お考えをお聞きしたいところでもございます。
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委員
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質問として、8ページの目のところに書いてありますように、分割に関して分野ごとに見ると、アミューズメントとか、情報記録とか、映像機器という分野が多いということですが、多いときは、分割した場合に、もともと特許をとりたい高い発明のところだけ切り出してやっているのか、もしくは、審査をされたときに分けたほうが良いとの判断により分けているのか、分野によって偏りがあるということは、それに見合った対応をしなくてはならないように思われますが、いかがでしょうか。
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事務局
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簡単に私どもで把握している範囲でお答えを差し上げます。
分割出願の使われ方なんですけれども、アミューズメント分野で非常に多くなっているのは、権利化を目指すにあたって、分割出願を多く利用する戦略をとっているようでございます。
あともう一つ、情報記録とか映像機器といったエレクトロニクスの分野で利用が多いのは、きちんと分析したわけではないんですけれども、例えば技術標準との関係とかで分割を対応されているケースもあるようですので、そういった状況が影響しているのかなというふうに考えてございます。
あと、各分野の出願人の方が委員に出られているので、よろしければ状況を伺えればと思います。
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委員
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私も詳しく知っているわけではありませんが、少なくとも最近の情報に関しては、標準化が非常に早いスピードで進んでいますので、そういう意味では標準に合わせるように変更したいという要求は相当あると思われます。標準から外れてしまうと、特許化してもどうしようもないわけです。そういうことである程度広く出しておいて、標準化動向なり、技術動向を見ながら、特許をとれるものを早くとっていくという方向なのかと思います。
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委員長
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どうぞ。
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委員
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先ほど表明された懸念について、私はそういう懸念は起こり得ないと思います。その理由は、ここに書かれていますように、新規事項がもともと分割では禁止される、それから今の実務を考えてクレームされていない、つまり認識していない発明はクレームされていないわけですから、分割で事実上できるものは、実務をきちんとやっている方が運用していただければほとんどないんじゃないかと思います。だから、時期的制限の緩和というのはもちろんありますけど、そういうのがいいか悪いかはこれから議論をしなきゃいけないと思いますけれども。内容的に濫用されるというのは、現在でも、資料でご指摘されたようにアミューズメント、情報記録、これは技術進歩が激しい、競争が激しい又はイ号物件があるということで分割が増えているのではないかと、私の経験からも言えると思いますけれども。いずれにしろ、分割による濫用の心配は運用の問題であって、むしろ、私にとってはほとんど変わらないという認識なんですけど。
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委員長
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どうもありがとうございました。ほかに。どうぞ。
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委員
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また産業界によって違うかどうかわかりませんが、分割の時期の緩和というのは、米欧も、当然私どもも対応しますから日本でも行っていただきたい。ただ、濫用の防止についてですが、どこでどういうふうにやるのか。あるいは回数でやるのかというよりも、外から見た場合、どなたかの意見にもありましたけれども、電子図書館等の活用というか、データベースをしっかりとしていただいて、親出願からいっても、分割の方からいってもすべて網羅的に、しかもアップデートに早くわかるようなシステムの構築というのをぜひお願いしたいなと考えております。
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委員長
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ありがとうございました。どうぞ。
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委員
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分割の回数の制限につきまして、分割というのは、審査の中で拒絶理由通知等への対応として行われる場合があります、そこで何回が適切かということ決めてしまうことはできないのではないかと思います。
それからもう一つ、11ページの一番下から12ページにかけて、出願日から一定期間に制限することも、これは審査期間が一定であるわけではありません。進行状態に応じて分割がなされるわけですから、出願日から一定期間というのは、実際の審査ということからいうと非現実的ではないかと思います。
それからファーストアクションファイナルにつきましては、アメリカ合衆国では、出願公開されない特許出願もあるわけで、部分継続出願によって先延ばしになると弊害が出るという点は前から議論されていたところでありますが、日本は、状況が違うのではないかと思います。
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委員長
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ありがとうございました。先ほどの電子図書館によって対応すると、報告書に書かれているのですけれども、これは、具体的にはどういうことをどういうタイミングでやるというような計画なのでしょうか。
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事務局
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今ご指摘いただいた点なんですけれども、今でも特許電子図書館から経過情報というのをたどっていただいて、ある出願の番号を入れると、その出願に関連する、下位の分割出願については、一応、網羅的に情報がとれるようになってございますが、ご指摘いただいたような子どもから親を引くような引き方とかは今できるようになっていないので、そういったことを、ちょっと費用の関係とかいろいろあるのでどこまでできるかわかりませんが、そういったご要望をいただければ検討させていただきたいと思っております。
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委員長
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それからご指摘の点で、濫用防止の今ここに書かれてあるようなものについてご意見があったわけですけれども、それについてはいかがでしょうか。
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事務局
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権利をとるタイミングを先延ばしするのは、出願公開制度の下では意味がないんじゃないかというご指摘については、実際にはそういった使われ方をされているような部分もございますので、それについては、出願人の方々にむしろ意見を伺いたいところでございますが。
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委員長
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いかがですか、今の点について。
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委員
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濫用防止に関連してなんですけれども、昨年、技術標準に関連した特許の調査をしましたが、それに関連して、非常にスモールサンプルですけれども、2つ重要なファインディングがありました。1つは、標準が成立して後から出願される特許がたくさんあって、これは米国特許ですけれども、継続出願を使ってかなり特許をとられている。ただ、そういう特許というのは、引用件数等から見て余り価値が高くない初期特許しか保有していない企業でも単に件数を増やすために使われているものが相当あって、お互いに特許料の支払いが件数ベースだということがその背景にあるわけですけれども、それはお互いに消耗戦になっている。そういう面もあって、発明全体としての価値を高めるために必ずしも役に立っていないのではないかという認識を持っています。
もう一つ、標準に関連したホールドアップの問題ですけれども、明細書が公開されてから10年とかそのくらい経ってからクレームが出てくるということになると、その間に起きた技術発展、自分の努力ではない技術を取り込んでクレームをつくることができるという可能性があります。当初明細書にクレームは制限されるといっても、明細書が出された段階とクレームがつくられる段階の間で余りにも時間が経ってしまうと、濫用される可能性が大きいと思います。
そうしますと、どういう形で制限するのが一番いいかということなんですけれども、最初の出願の時点から考えた時期が一番いいのではないかなというふうに考えます。それは市場では時間の経過に比例して新しい技術が出て来る訳で、これを取り込むことを制限する観点からすると、つまり濫用防止というそもそもの趣旨からすると、一番いいのではないかという感じがします。
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委員長
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どうもありがとうございました。時間がなくなってまいりましたので、今、分割につきましては、基本的に賛成のご意見がほとんどだったと思いますが、濫用防止については幾つかのご意見をいただいたと思いますので、事務局の方で再度検討していただきたいと思います。
3番目の一部継続出願、国内優先については、いかがでしょうか。お願いします。
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委員
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ここら辺は業界によって意見が違うので、一本でということにはいかないと思いますけれども、これにまとめて書いていただいているように、現行の制度を変えないでよくて、もう少し欧米の動きをきちんと見定めた方がいいだろうなという感じがしています。
それから、先ほどの分割のやつに戻って恐縮なんですけれども、時期的な緩和は基本的にいいんですけれども、さっきのダブルパテントのところの検討は、もう少し全体像を見渡してやっておかないと、単に分割だからダブルパテントどうのこうのところまでいって、内容的な制限の緩和をどんどん推し進めるというのはちょっとネガティブに見た方がいいんじゃないかなと思います。そこら辺のところは要検討にしておいていただいた方がいいと思います。
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委員長
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ありがとうございました。どうぞ。
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委員
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一部継続については、知財協の反対の意見が多いということで、もう少し議論してからでもいいのかなという感じがしています。すぐに決める必要はないと思います。
私もちょっと戻って恐縮なんですけれども、先ほどの意見で出た11ページの第3世代までに制限してはどうか。あるいは13ページのもとの出願と分割出願の近接ということですね、近接着手。これは一般的には何となくわかるんですけれども、ちょっと電機業界の話からすると、標準規格的な特許がありまして、これは審査があんまり早過ぎ、標準規格書が発行される前に審査が終わったりすると非常に都合が悪いんですね。ご存じのように、標準規格書が出て、そこと文言を全部一致させるような作業を、多分、電機業界ではやっているわけであって、そういう意味では、あんまり近接着手されてもらってもしょうがないこともありまして、この辺は柔軟な対応をお願いしたいなと。
それと、13ページの方に「説明資料の提出」とございますね。アンダーラインのルール化、この辺はいいのかなと思うんですけれども、(ウ)のポチ2つ目「分割出願に係る発明がもとの出願や他の分割出願の発明と同一でない理由」。これを記載するというのは、出願人にとってはすごく負担が大きいのかなということで、これはちょっと考え直していただきたいなという感じがしています。あと分割可能時期については賛成でございます。
以上です。
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委員長
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どうもありがとうございました。ほかに。
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委員
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一部継続でよろしいですか。
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委員長
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はい。
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委員
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一部継続、国内優先権制度についてですけれども、これは私も対案というのは特にないんですけれども、実情を申し上げますと、私は大学TLOだけじゃないんですけど、大学は相当仕事をやらせていただいて、それから個人的なことですけれども、国立の研究機関とか、そうしますと、ご存じのようにベーショックな研究が多くて、学会発表を前に出すというのが最近常識になっていて、出すことは出すんですけれども、ほとんど研究が進んでいないので、応用研究なんかやっていませんので、メーカーさんの大手企業が多いのですけれども、ベーシックないいもの、その周辺を例えば何十件もさっと固められて、ここでいうフロンティア発明をある意味では骨抜きにするような状況があるんです。だから、ぜひ、これは一部継続でそれが国内でもカバーできるかは疑問があるんですけれども、その辺の、せっかく今回の趣旨は、フロントランナーを発明するという意味ではすぐには改正できないとしても、何らかの形でそういうフロントランナーを保護するようなシステムを考えていただきたいと、こういう意見です。
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委員長
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どうもありがとうございました。今後の検討の中で反映させていただきたいと思いますが、時間が大分押してきましたので、もう半分議題が残っておりますので、次の議題に移りまして、その後でまだ何かご意見が追加的にございましたらお伺いしたいと思います。
ここで、2番目の「特許権の強化について」というところを事務局の方でご説明いただきまして、またこれについてご意見をお伺いしたいと思います。
では、よろしくお願いします。
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事務局
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それでは、特許権の強化につきましてご説明をいたします。
まず第1点といたしまして、権利侵害行為の「輸出」の追加でございます。これは特に模倣品対策が非常に重要になっているという状況がございます。我が国は、国際的な模倣品の流通を防ぐと、そういった観点から「模倣品・海賊版防止条約」を海外に対して提唱しているところでございます。こうした状況を踏まえまして、権利侵害行為に「輸出」を追加すべきではないかということの御提案でございます。
まず、現行法の考え方でございますが、「輸出」をどう捉えるかということで、2つの考え方がございます。「輸出」を所有権の移転、あるいは占有の移転として考えた場合、国内でこうしたものが行われる場合には「譲渡」に該当するというふうに言われております。一方で、「輸出」を具体的な内国貨物を海外に向けて送り出すという行為として捉えたときには、現在の考え方では「輸出」が対応できるかどうかというところは否定的という考え方でございます。したがいまして、「輸出」についてどう扱うかということについて、特許法そのほかの知的財産法におきましては、きちんとした整理というものがないということでございます。
24ページ目の図で説明をいたします。輸出に伴って国内で譲渡が行われるようなケースでございますと、この場合、上の図ですが、製造者甲があって、そこで生産をして、輸出業者乙に対して譲渡が行われて、この乙が海外に輸出を行うと。こういった場合につきましては、国内で譲渡が行われているという考え方でございますので、特許権侵害を構成する。一方で輸出に伴って国境を越えた所有権移転が行われる場合、日本国内に甲という者がいて、海外に乙という者がいて、この間に所有権の移転契約が行われるようなケースでは譲渡というふうに考えることができないということでございます。
一方で、模倣品を国際的な流通を防ぐということからは、我が国から出ていく段階でございます「輸出」についても、きちんと手当をすべきではないかというふうに考えているところでございまして、25ページのところでございますが、上の図のケースでは、「譲渡」という中で読み得るわけでございますけれども、具体的な行為といたしまして、内国貨物を海外に輸出する行為を確認的に入れると。あるいは国境を越えた所有権の移転が行われる場合には、この「輸出」というのがどうも明確でないということから、「輸出」というものをここできちんと手当をしようということでございます。
属地主義との関係につきましては、通常でございますとパリ条約の解釈等によりまして、一国の特許権の効力が及ばないということではございますが、例えば、商標法等におきましては、海外でも輸出を権利侵害行為に加えて、あるいはアメリカにおきましても、若干例外的ではありますが、米国内で組み立てられたときに、例えばキットのようなものですけれども、権利侵害となるような部品の輸出、これを権利侵害というふうにしている例もございます。こういう観点から、「輸出」というものを権利侵害行為に加えてはどうかということでございます。
論点といたしまして、現在「輸出」に関して「譲渡」との整理、こういったところが一つ必要になってくるというふうに考えております。それから国際的な状況につきましては、米国では間接侵害として例外的に「輸出」を規定をしているところでございますが、特許権の効力範囲として「輸出」を規定している。これは実際には少ないところでございますが、これを世界に先駆けてきちんと「輸出」というものを規定する。これについてどう考えるかといったところ、3番目に間接侵害規定、現在「輸出」というのが実施行為に入っていないわけですが、そうした場合に、いわゆるみなし侵害、予備的行為として規定をされている間接侵害規定について、「輸出」を追加する。あるいは同じように「輸出」と同様に「通過」についても手当をすることが必要かどうか。それから実用新案法について「輸出」をどういうふうに手当するかといったところが論点でございます。
それから28ページでございますが、権利侵害行為に「譲渡等を目的とした所持」、これを追加するということでございます。市場に投入、拡散される前段階である侵害品が集積した状態、ここをきちんと押えないと、個々の「譲渡」を押えるのみではなかなか難しいということでございます。現在、商標法にも「譲渡等を目的とした所持」というものが侵害行為として規定をされているところでございまして、模倣品対策の万全を期すために、特許法においても、「譲渡等を目的とした所持」というものを追加をしてはどうかということでございます。
なお、海外につきましては、29ページに状況を表にまとめておりますが、ドイツ、イギリス、フランスにおきまして、「譲渡等を目的とした所持」、具体的には「保有」だとか、「保管」、あるいは「ストッキング」といった用語になっておりますが、そういったところを手当しているところでございます。
論点といたしまして、商標法では間接侵害規定、予備的な行為というふうに位置づけられておりますけれども、これを特許の場合にどういうふうに位置づけるかといった観点がございます。
続きまして刑事罰の強化、31ページでございます。知的財産権の侵害の被害というものは、これは最近増えているところでございます。特にそれは商標、あるいは著作権等で特に顕著でございますけれども、特許権につきましても、刑事犯の数字が31ページにございますが、一定程度の侵害が行われております。また具体的な被害額、これは31ページの下の表に掲げておりますが、損害賠償請求における認定額、ある意味で損害額の代理変数になるかと思いますが、特許権が一番大きいということでございます。
対応の方向といたしまして、知的財産権、そのほかの刑事罰も引き上げが行われているところでございまして、不正競争防止法におきましては、平成17年、今般の改正によりまして、不正競争行為につきまして刑事罰、これを懲役刑と罰金刑の併科ということになっております。さらに両罰規定につきましても、3億円を上限とする罰金刑が導入をされております。
32ページは、他の知的財産権の状況及び海外の罰則の関係でございます。
33ページでございます。罰則につきましての刑罰、懲役刑の上限を10年引き上げるということについて、その論点でございます。無体財産権である特許権の侵害罪は現在5年とされているところでございます。他人の財物につきまして、摂取する犯罪である窃盗罪、これが10年ということでございます。こうしたことを参考にして、特許権の現在の水準、現在5年というふうになっておるところを、さらに引き上げることについて、ひとつ検討が必要かというふうに考えております。
そのほか懲役刑と罰金刑の併科の論点、③でございますが、現在は懲役刑又は罰金刑ということで、非常に悪質な場合については、懲役刑のみということで経済的な制裁が欠けるということでございまして、他の法令を参考にして、併科を導入するということが適切ではないかというふうに考えられるところでございます。
そのほか法人重課につきましても、他の法令とのバランスを見て引き上げをすることが適切ではないかということでございます。現在は1億5,000万というふうになっておりますが、これを不正競争防止法の法人重課が最高額3億円とされております。そのほか独禁法5億円、証券取引法5億円と、こういったところを勘案して、どの水準まで引き上げるべきかということでございます。
以上でございます。
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委員長
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どうもありがとうございました。それでは、今、権利侵害行為に対する対応策として、権利侵害行為へ「輸出」を追加するということと、「譲渡等を目的とした所持」を追加する、刑事罰を強化する、3点についてご説明いただきましたけれども、これについてご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
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委員
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最初の「輸出」の追加について、若干お伺いしたいのですが、これに関してはいろいろ法的には検討すべき点があろうかと思いますので、その前提としてお伺いできればと思います。
まず最初に、ある意味では非常に素朴な質問になるのですが、要するに現行法では、実施行為に「輸入」が含められていて「輸出」は含められていないということで、その結果、今回、改正で「輸出」も含めてはどうかということなのですが、現行法で何ゆえ「輸出」は含められていないかについては、諸説あろうかと思います。その点を検討すると、「輸出」を含めることにどのような問題があるのか、あるいは、ないのかという議論の出発点になろうかと思いますので、特許法を所管しておられる特許庁の方ではその点についてどのようにお考えかというところをお伺いできればと思います。
それから2点目としては、侵害行為に「輸出」というものを含めるということとなりますと、差止めの場合は差し止めるということなのですが、損害賠償の場合、損害というのはどのようなものを考えているのか、非常に雑駁にいいますと、国内マーケット関係の損害なのか、それとも海外マーケット関係の損害なのか、あるいは両方なのかといったあたりのイメージについてお聞きできればと思います。それからもう一つは、資料の26ページのところで、諸外国の法制関係を整理していただいており、例えば、イギリス、ドイツの場合ですと、「輸出」は特許法では規定していないけれども、ドイツの方は輸出を止める行政上の規制があるというように、各国ごとにいろいろ違いがあるようなのですが、大変お忙しいところに無理なご負担をおかけするつもりはないのですが、各国の法制がなにゆえここにあるようなそれぞれの立場を採っているのかの理由につきご存じでありましたらそのあたりを少しお伺いできればと思います。
以上です。
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委員長
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3点答えていただきます。
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事務局
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まず現行法において「輸出」が規定されていないということにつきましては、これは相当溯って実は今我々も調べているところでございます。余り明確な議論というのはなされていないようでございますが、そのあたり属地主義との関係でどうかというところもあるかと思います。今、整理をしているところでございます。
それから海外の法制、そもそも特許法等、もともとの権限法といいましょうか、財産権法の方で規定をせずに輸出の方で止めている。これにつきましても、実は今海外の運用についてさらに調べている。商標、それから意匠等を含めて今調べているところでございまして、まとまり次第、また回答させていただければというふうに考えております。
損害賠償の場合、どの利益を損害していることになるのかというお尋ねでございますが、これは参考になる判例が不足していて、一義的に今ここで申し上げられず、少し精査が必要かと思います。1件程度争われた例がございますが、そのケースでは、輸出業者が国内に供給するおそれもあるといったところから、その損害額を算定しておりまして、そのあたり、ほかの商標法、意匠法とも併せて少し整理をしてみたいというふうに考えております。
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委員長
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どうぞ。
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委員
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今のご質問に、あるいはお答えに関係することなんですが、先ほど言われましたように、諸外国ではほかの法律でやっているところで特許法には入れていない。今なぜ日本が先駆けて特許法に入れなきゃいけないのか。ほかの分野ではいつも諸外国を見てからと言っているのに、その理由が明確じゃない、それを教えてもらいたい。
それからもう一点は刑事罰のところですが、商標とか著作権とかの侵害、この辺はかなり明確ですよね。そして意図的にやったのかそうではないのかということも、これも非常に明確だと思います。ところが、特許権というのは非常に曖昧としていまして、侵害しているのかしていないのか、この判断基準はものすごく難しいと思うんです。それに刑事罰も加えるというところ、この辺の基準をどういうふうに考えておられるか、わかりましたら教えてほしいんですが。
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委員長
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最初の点につきましては、特許庁のペーパーには、他国に先駆けて姿勢を示すというふうに書いてありますが。
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事務局
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やはり、模倣品対策というのは非常に重要であって、特にそれは、アジアにおいて知的財産の模倣品対策というのは非常に重要になっているということから、政策的に日本としてもきちんとやらなければならないという課題かというふうに思っております。
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委員
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それはほかの法律でだめなんですかというのが私の質問です。
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事務局
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ほかの法律、例えば水際処置について、関税法あるいは関税定率法でも、そういった措置をどうするかというのは議論が行われております。それに併せまして、もともとの権限法である、それぞれの特許権、そのほか知的財産権について、その輸出自体がだめであるというのを明確にする必要もあるというふうに考えております。そこは連携をとりながら議論をしておるところでございます。
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委員長
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どうぞ。
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委員
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この問題は、商標法の商標の使用の問題、意匠の実施の問題とも全部パラレルに問題になることでありまして、商標制度小委員会でも申し上げましたけれども、1つは属地主義、もう一つは必要性という意味で、ほかの譲渡や引渡しとかの規定のほか、さらに「輸出」を規定する必要性が極めて少ないのではないかということです。もう一つは、「輸出」を規定しても、現在の関税法や関税定率法ではとても輸出のところで水際措置がとれるような規定にはなっていないですよということも申し上げたわけです。
特許の場合にはそれ以外に、2点問題がありまして、1つは、輸出が問題になっている判例は幾つかありますけれども、いずれも間接侵害についての問題ですね。例えば装置についての発明があって、その装置を構成する「にのみ品」である部品を輸出する、それで外国で装置として完成するという場合に「輸出」の規定はないから、そのために間接侵害が成立しないことになるという議論があるわけです。ご存じのように、間接侵害には独立説と従属説がありますから、独立説をとれば「輸出」が規定されることは間接侵害の成立を説明しやすくなります。しかし、独立説をとるか従属説をとるかについては判例も相拮抗しています。従属説をとったら、「輸出」をどんなに規定してみたところで、外国で完成すれば間接侵害は成立しないですね。その問題をクリアできないわけです。その辺のところをどうしようとお考えなのかということの問題と、商標法の場合は、資料を見ますと諸外国でも商標法で「輸出」を規定しているところが多いのに、特許ではほとんどありません。どうしてその違いが生じたかということは、先ほどのご質問とも関連して、ぜひお調べいただきたいと思います。
そういう点、いろいろ問題あるかなということは否定できないところであって、私も「輸出」を含めることが絶対反対だと申しているわけではないですけれども、そういう問題を十分に検討してクリアしないと、「輸出」を規定することはそう簡単なことではないと思っていますので、それだけ意見を申し上げておきます。
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委員長
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どうもありがとうございました。ほかに。どうぞ。
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委員
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刑事罰の関係で2点意見を申させていただきたいと思います。
まず第1点でございますが、懲役刑と罰金刑の併科でございますけれども、これはここに書いているように合理性があるご提案ではないかというふうに考えております。ただ、ちょっと一点気になりますのは、執行猶予になる場合と罰金になる場合と比べまして、執行猶予になる場合が著しく軽いというふうに書かれているんですが、それはどうも法的には必ずしもそうでもない。そういう見方があり得るというのは十分理解できるところでございますけれども、法的にはそういうこともございませんし、経済的にもそうならない場合も、失職するという場合もございますので、この点は率直に申し上げて書き過ぎてはないかという感じがいたしますので、ご検討いただければありがたいと思います。
もう一点は、刑罰の上限の問題でございます。考慮されるべき要素は、ここで書かれているようなことかなというふうに思いますけれども、窃盗と特許権侵害と大体同じような評価にしたらどうか、10年にするというのはそういう考え方かと思いますが、窃盗の場合には、ものが奪われて相手方からなくなるという点がありまして、それは特許権侵害と違うところだというふうに思われます。そういう違いを前提にした上でいろいろな特許権侵害固有の要素を勘案したときに、現在の5年から10年にまでいくのかというあたりは、そういくのかなという感じがいたしておりまして、10年という考え方も理解はできますけれども、そこまでなかなかついていけないというような気持ちがいたしております。
以上です。
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委員長
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どうもありがとうございました。では、どうぞ。
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委員
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おっしゃるとおりだと思います。この間3年から5年にしたばかりなんです。短期間で、3年から5年にして10年にするというのは、いかにも唐突だという感じがします。それから占有の侵奪を伴う窃盗とか、不動産侵奪と知的財産権の侵害というのは、社会的に与える影響というのは全く違うと思います。窃盗などが社会的な平穏を害することもありますので、これが同列というのは若干違和感があります。
それから輸出について、ご指摘のように間接侵害の判例が問題とされています。アメリカ合衆国でも明文規定されているのは間接侵害のケースなので、そこのところをどうするかということをきちんと整理しておかないといけないのではないかと思います。
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委員長
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ありがとうございました。ほかにご意見ありませんでしょうか。
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委員
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「輸出」に関連してですけれども、外国で特許権を持っていない場合も当然あり得るわけですね。そういうところへの輸出を制限すれば、外国の方の国は不利益を被ることになり、これは数量制限を禁止しているWTO規則と整合するかという問題もありますね。特許権がグローバルに成立していれば輸出そのものを規制しても全く問題ないと思うんですが、現実には海外には特許権がない場合もあるという場合にどうするかということも考える必要がある。
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委員長
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ありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ。
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委員
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ちょっとこれはよくわからないんですけれども、特許法を見ると、刑罰の件で検挙数なんですけれども、検挙数を見ると、特許法は検挙率というか、検挙数が絶対数で見るとほとんどないという感じで、これはほかの案件よりも、ほかの法律よりもトラブルが起きていないかというと、多分、特許の方が起きているんじゃないか。商標は相当起きているだろうけど、そんなにトラブルが少ないのか、あるいは経済的に済んでいるのかということでよくわからないんですけれども、ただ、私は新聞記者をしてきたんですけれども、そうすると警察官なり検察官なりは、量刑が大きかったり、罰金が大きくないとやる気がないということがありまして、つまり事件の難しさに対して自分たちのコストパフォーマンスが悪いと考える傾向があるわけですね。そうすると最高刑を上げたり、最高罰金を上げたりしても、実質的に取り締りしてくれて実際の判決というのはそこまでいかないということが多いので、皆さんちょっと否定的な見解も多いようですが、この件数の低さを見ると、司法当局はあんまりやる気ないなというのが数字に出ているような気もするので、私は一慨に慎重になり過ぎることもないのではないかなと思うということを申し上げたいと思います。
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委員長
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ありがとうございました。ほかにございませんか。
それでは、この特許権の強化についての3点につきましては、権利侵害が非常に重要な深刻な問題であるということについては異論はないわけですけれども、ここで提案されているような対応でいいのかというところについては、皆様からかなりいろいろな疑念が提出されたということではないかと思いますが、もうちょっと強化するというようなことについても評価できるというご意見が最後にあったわけですけれども、それ以外の方は、法理論上あるいは実効性といった面で問題がかなり残っているというご指摘をいただいたように思います。
時間がちょうどなりましたけれども、最初の分割補正、それからCIP等に戻って、きょうの議論全体につきまして何か言い残したこととか、これだけは言っておきたいというようなことがおありでしたら、最後にお伺いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
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委員
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どなたかが言われたかと思うんですけれども、この中で何箇所か特許庁さんのワークロードが増えるというようなニュアンスの表現があったと思いますし、ほかの方もそれはやめた方がいいというご意見があったかと思います。これは日本の産業力を強めるという観点ですから、そういうニュアンスにとられるようなところは削除した方がいいんじゃないかと考えます。
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委員長
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ありがとうございました。ほかにございませんか。
ほかにご意見がございませんでしたら、本日の小委員会はこれで終了したいと思いますが、その前に、今後のスケジュールについて事務局の方からお願いいたします。
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事務局
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それでは、今後のスケジュールにつきましてご説明をいたします。
次回第20回会合は11月28日月曜日の16時から、次々回第21回は12月16日金曜日16時から、それぞれ開催予定をいたしております。それ以降につきましては,決まり次第またご連絡をさせていただきます。
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委員長
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以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第19回特許制度小委員会を閉会いたします。どうも長時間ありがとうございました。
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