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第12回特許制度小委員会 議事要旨

平成15年8月4日
経済産業省
特許庁

8月1日標記委員会(委員長:後藤 晃東京大学教授・先端経済工学研究センター長)が開催されたところ、概要は以下のとおり。

1.職務発明に係る特許権についての使用者の通常実施権について

2.職務発明、自由発明に係る権利の予約承継について

(ここまでは、第11回特許制度小委員会において議論済み)

3.職務発明に係る権利の承継があった場合の対価の決定について

  • 支払われた対価の額に不満を持つ従業者が訴訟を提起し、それに対し裁判所で対価の額の合理性を含めた審査がなされるというのであれば現行制度とあまり変わらないのではないか。
  • 決めた対価の額が相当か否かについて審査がなされる現行制度と、対価の決め方に不合理性はなかったかという点を中心に審査がなされる事務局案とは、根本的に異なっていると言えるのではないか。
  • 事務局案3.(3)「内容(額)の考慮」において記載されている「対価の額」の合理性の要件は削除し、民法90条による審査に委ねればよいのではないか。
  • 民法90条による内容審査では、企業と個々の従業者との同意が重視されることとなる。それでは、むしろ企業の実務にそぐわないのではないか。
  • 規程の定め方が合理的であればそれを尊重し、対価の額が著しく不合理な場合に限り裁判所が介入するという制度であればよいのではないか。
  • 事務局案に賛成。対価の額を決める決め方(手続)が合理的であれば、その対価の額が尊重され、内容審査は大幅に抑制されるということでよいのではないか。
  • 事務局案に賛成。手続きの合理性審査を重視する制度とする場合であっても、交渉力に格差のある使用者・従業者間における取り決めに対しては、内容規制も必要。
  • (2)丸2に「基準の適用」手続と記載されている。しかし、個々の従業者の発明を全体として評価し、昇進・昇給で対応する場合には、そもそも「基準の適用」はできない。このような対応は、事務局案によると不合理と判断されることとなるのか。

4.個々の権利に対する対価額の決定について

  • 特許法において、権利の設定、承継、消滅が、すべて個々の「特許権」に基づいて規定されているからといって、個々の「特許権」に対応させて対価を支払うべきということには必ずしもならないのではないか。
  • 各従業者のなしたすべての発明に対し、一括して対価を支払う旨の契約を結ぶ場合には、個々の権利に対する対価の額の決定を要求する事務局案と整合性がとれなくなるのではないか。

5.裁判所が定める「相当の対価」に関する考え方について

  • 裁判所が「相当の対価」を定める際の考慮要素は、限定的なものとはならず、総合的なものとなるようにすべき。
  • 裁判所が、失敗事例があることを考慮することなく成功事例である訴訟下の「特許権」のみを考慮して「相当の対価」を算定することは、問題ではないか。

6.特許法第35条の適用範囲について

  • 職務発明に係る外国特許に関し、対価についてのみ特許法第35条に規定され、権利の承継については別途民法下の個別契約で対応しなければならないというのは問題ではないか。
  • 特許法第35条において、外国特許に関する規定を設けることは立法論として難しいのではないか。外国特許権の承継や対価については、国際私法と契約による規律に委ねることとすればよいのではないか。
  • 外国特許については、改正が検討されている新法例案の方向性等に配慮しつつ、検討を進めるということでよいのではないか。
  • 米国知的財産協会(AIPLA)から、特許法第35条が適用される使用者及び従業者の範囲についての質問が提起されているが、これにはどう答えるべきか。
  • 外国から日本に派遣された従業者のなした発明、あるいは日本から外国に派遣された従業者のなした発明に対し、特許法第35条が適用されるべきか否かについて、また適用されるとした場合の影響等についても考慮すべき。

7.短期消滅時効に関する考え方について

  • 特許法第35条の対価請求権について、必ずしも一般債権以外のものとして整理することが困難な理由付けはないのではないか。例えば、賃金債権の時効の2年と横並びとして整理することも可能ではないか。
  • 短期消滅時効を採用すべきか否かについて、事務局資料として、もう少し説明を加えるべきではないか。

8.今後のスケジュール等

次回の小委員会は、9月の第1週又は第2週に開催予定。

以上

[更新日 2003年8月6日]

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