第13回特許制度小委員会 議事要旨
平成15年9月9日
経済産業省
特許庁
9月8日標記委員会(委員長:後藤 晃東京大学教授・先端経済工学研究センター長)が開催されたところ、概要は以下のとおり。
1.職務発明に係る権利の承継があった場合の対価の決定について
- 研究者の報酬の在り方を、使用者と従業者に基本的に委ねる方向である今回の事務局案には賛成である。
- 基本的には事務局案に賛成である。ただし、対価を決定するための基準を策定する手続及び基準を具体的に適用する際の手続が合理的であれば、その結果導き出された対価は合理的としてもよいのではないか。
- 対価を決定する手続の合理性が確保されている場合であっても、例外的に結果として導き出された対価が不合理である場合が存在するのではないか。
- 対価を決定する手続の合理性の程度を勘案して、対価の合理性の審査がなされるべきではないか。
- 事務局配布資料の1.
に記載の事項は、望ましい方向を示したものであるとの理解でよいか。
- 事務局案は、使用者による対価の決定が有効とされるか否かの判断基準を、これまでの判例のように裁判所が算定する「相当の対価」に足りているか否かとするのではなく、対価の決定が不合理でないかどうか(すなわち幅のある概念としての合理性を満たすものであるか否か)とする趣旨との理解でよいか。
- 「相当の対価であること」と「対価の決定が不合理でないこと」との関係は制度設計のポイントであるため、改めて整理すべきではないか。
2.裁判所が定める「相当の対価」に関する考え方について
- 「相当の対価」の算定において、様々な事情が幅広く考慮されるよう、第35条第4項の規定を明確化するとの事務局案に賛成である。
- 「相当の対価」を決定する際の考慮要素として、研究開発投資のリスクも勘案されるべきではないか。
- これまでの各判例において、裁判所が算定した「相当の対価」は、国際的な対価の相場からすると高すぎると感じている。
3.特許法第35条の適用範囲について
- 職務発明に係る外国特許権等の承継や承継に対する対価について、特許法第35条の規律を及ぼすことは理論上及び運用上の難点を抱えていることについては理解できる。
- 事務局配布資料の3.
に記載の事項は、望ましい方向を示したものであるとの理解でよいか。
- どのような場合に特許法第35条が適用されるのかを明確にすべきではないか。例えば、米国で雇用された従業者が日本に来て発明をした場合や、日本で雇用された従業者が米国に行って発明をした場合等に、特許法第35条が適用されるか否かを明確にすべきではないか。
4.短期消滅時効に関する考え方について
- 対価請求権の消滅時効について、賃金債権の時効(2年)との横並びで整理することは難しいとしても、例えば、退職金債権の時効(5年)といった他の時効規定との横並びで整理することは可能ではないか。
- 従業者の立場からみた場合、現在の雇用環境下においては、特許法第35条に短期消滅時効の規定をおくべきではないと考えており、事務局案に賛成である。
- 短期消滅時効の規定を設けることを正当化する事由を見いだせない以上、そのような規定は設けるべきではないのではないか。
5.今後のスケジュール等
今回の事務局案に対し、基本的方向性について合意が得られたため、次回の小委員会では、報告書(案)について議論を行う予定。なお、次回の小委員会は、9月末頃~10月上旬頃に開催予定。
[更新日 2003年9月10日]
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