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平成19年4月に発効する特許協力条約規則(PCT規則)の改正の概要

平成19年3月

国際政策課

平成17年及び18年のPCT同盟総会においてPCT規則の改正が採択され、平成19年4月1日から発効します。

※以下の2.優先権の回復手続の導入についての最新情報は、こちらを御覧ください。

主な改正の内容は、(1)欠落補充手続の拡充、(2)優先権の回復手続の導入、(3)明白な誤記の訂正手続の明確化、の3つになります。これらは、主に特許法条約(PLT)が規定するユーザーフレンドリーな手続をPCTに導入することを目的に改正されたものです。

1.欠落補充手続の拡充

国際出願提出後、国際出願の一部が欠落している場合には、それが図面の場合に限定して認められていた従来の補充に加え、明細書や請求の範囲の一部が欠落した場合についても補充ができるようになります。

また、補充の方法として、優先権主張の基礎となる先の出願に記載されている明細書、請求の範囲又は図面を引用することで、国際出願日を維持しながら補充をする手続が新たに導入されます(引用補充:経過規定について下記参照)*。

(1)後の提出による補充(規則20.3、20.5、20.7)

国際出願提出後、国際出願の一部が欠落している場合には、それが図面の場合に限定して認められていた従来の補充に加え、明細書や請求の範囲の一部が欠落した場合についても補充ができるようになります。

補充ができる期間は、補充の求めの日から2ヶ月、又は補充の求めがない場合には国際出願を意図する書面の最初の提出日から2ヶ月です(20.7)。

後の提出により補充をした結果、条約11条の要件を満たせばその日が国際出願日として認定され、国際出願日認定後に欠落部分の補充をした場合には国際出願日はその欠落部分を提出した日に修正されます(20.5(c))。

国際出願日が修正された場合、出願人は、その修正後の国際出願日の通知日から1ヶ月以内に補充した欠落部分を無視するよう請求することができ、この場合には欠落補充は提出されなかったものとみなされ、国際出願日は修正される前の日に戻ります(20.5(e))。

(2)引用補充(規則4.18、20.6:経過規定について下記参照)*

優先権主張を伴う国際出願に明細書、請求の範囲又は図面の欠落があった場合に、先の出願に記載されているものを引用して国際出願に取り込む方法により欠落部分(要素)を補充する旨を、あらかじめ願書に記載する(実際には願書に印刷済み)ことで、より有利に欠落部分(要素)の補充ができる新しい手続です。この引用補充のためには、引用補充の確認をする書面を提出することと、所定の要件を満たすことが条件となります。

確認の書面を提出できる期間は、確認の求めの日から2ヶ月、又は確認の求めがない場合には国際出願を意図する書面の最初の提出日から2ヶ月です(20.7)。

引用補充を希望する出願人は、確認の書面とともに以下の書面を受理官庁に提出します(20.6(a))。

  • 先の出願から引用をする明細書、請求の範囲又は図面を含む用紙
  • 優先権書類未提出の場合、先の出願の写し
  • 先の出願と国際出願の言語が異なる場合、国際出願言語による先の出願の翻訳文
  • 引用が明細書、請求の範囲又は図面の一部の場合、それが先の出願のどこに記載されているかの説明

受理官庁が、上記の要件(規則4.18及び20.6(a))を満たし、かつ、引用する部分が先の出願に完全に記載されていることを認定した場合には、この引用したものは国際出願を意図する書面に、その最初の提出日に含まれていたものとみなして国際出願日を認定します(20.6(b))。

受理官庁が引用補充の要件を満たしていないと判断した場合には、確認の書面の提出を後の提出による補充がされたものとして取り扱います(20.6(c))。この結果、国際出願日が後の提出日に修正された場合には、上記(1)と同様に、後に提出した書面を無視するよう請求し、国際出願日を修正前の日に戻すことができます。

*国内法令との不適合のため経過規定を適用している官庁についての最新情報は、WIPOのPCTホームページ(下記アドレス参照)の「留保及び不適合」で提供されていますので、引用補充の手続を検討する際には最新の情報を御確認ください。

http://www.wipo.int/pct/ja/(外部サイトへリンク)

引用補充を認めない受理官庁においては、引用補充を確認する書面が提出されても、後の日に欠落が補充されたものとして取り扱います(20.8(aの2))。また、引用補充を認めない指定官庁(選択官庁を含む。以下同じ。)においては、後にされた欠落部分(要素)の提出により国際出願日が認定又は修正されたものして取り扱われます(20.8(c))。

国際出願日が後の提出日に修正された結果、優先期間経過後の出願とされる場面などが想定されますので御注意ください。なお、この場合、引用補充のため後に提出した書面を無視するよう当該指定官庁に請求することができます(20.8(c)、82の3.1(d))。

2.優先権の回復手続の導入

(1)優先権主張の自動的維持

まず、今回の規則改正により優先権主張の自動的維持という概念が導入されました。これは、優先権主張を伴う国際出願がパリ条約の規定する優先期間12ヶ月を超えてなされた場合であっても、国際出願日が優先期間徒過の後2ヶ月以内である場合には、これを直ちに無効とはせず、国際段階の間、優先権主張は維持されるものとして取り扱うものです。これにより、国際段階における期間(国内移行のための期間も含む)計算の起算日として優先日を確定することが可能となり、国際段階における手続の安定が確保されます。

なお、この優先期間徒過後に主張した優先権について、国内段階移行後において有効なものとするためには優先権の回復の請求をする必要があります。

(2)優先権の回復(総論:経過規定について下記参照)**)

注:我が国は、この優先権の回復手続について、国内法令との不適合を理由とする経過規定を適用しています。従って、日本国特許庁に対して以下の理由であっても優先権の回復の手続はできません。また、他の受理官庁が認定した優先権の回復は日本国内段階においてその効果が認められず、優先権はなかったものとして扱われます。

優先期間の徒過がやむを得ない事情に起因する場合、出願人は優先権の回復を申請できることとなりました。国際出願日がパリ条約の規定する優先期間12ヶ月の満了日の後であっても、その満了日から2ヶ月以内(優先日から14ヶ月以内)であり、優先期間を遵守できなかった理由が受理官庁又は指定官庁が採用する以下の判断基準に該当する場合には、優先権の回復が認められます(規則26の2.3、49の3.1及び3.2)**。

<優先権の回復の判断基準>

優先期間を遵守して国際出願を提出できなかったことが、

  • (1)相当な注意を払ったにもかかわらず生じた場合(より厳格な基準)
  • (2)故意でない場合(より緩やかな基準)

(3)受理官庁への優先権の回復の手続(26の2.3)**

優先権の回復の請求は、優先期間満了の日から2ヶ月以内に優先期間を遵守できなかった理由を記載した上で、受理官庁に提出します。その際に、優先期間を遵守できなかった理由を裏付ける証拠もあわせて提出することが望ましく、さらに受理官庁によっては優先権の回復請求にかかる手数料の支払い(優先権期間満了の日から2ヶ月以内)が求められることがあります。

上記の二つの判断基準をどのように用いて優先権の回復を判断するかは、各受理官庁に委ねられており、どちらの判断基準を採用したかによって指定官庁における効果にも差があります。従って、出願人は受理官庁に優先権の回復を請求し、回復が認められたとしても、その効果がどの指定官庁に対し及ぶかに関しては注意が必要です。

(4)受理官庁が認定した優先権の回復の指定官庁における効果(49の3.1)**

上記二つの基準のうち、受理官庁がより厳格な基準すなわち「相当な注意」基準を用いてした判断は、同基準を採用する指定官庁はもちろんのこと、より緩やかな基準すなわち「故意でない」基準を採用する指定官庁にも優先権の回復の効果を及ぼします(49の3.1(a))。

一方、受理官庁が「故意でない」基準を用いた場合、回復の効果は同等の「故意でない」基準又はそれよりも出願人に有利な基準を採用する指定官庁に対してのみ効果を及ぼします。(規則49の3.1(b))。

指定官庁は、合理的な疑義がない限り受理官庁が行った優先権の回復の決定を検査することはできません(49の3.1(d))。また、受理官庁による優先権の回復を拒否した場合であっても、その決定は指定国を拘束しないため(49の3.1(e))、受理官庁に回復を拒否された出願人も、更に指定官庁に優先権の回復を求めることができます。

(5)指定官庁への優先権の回復の手続(49の3.2)**

出願人は、指定官庁に対して優先権の回復を請求することもできます。この場合、優先権の回復の請求は優先期間を遵守できなかった理由を記載した上で、国内移行期限満了後1ヶ月以内に指定官庁に提出します。その際に、優先期間を遵守できなかった理由を裏付ける証拠も併せて提出することが望ましく、さらに指定官庁によっては優先権の回復請求にかかる手数料の支払いが求められることがあります。

また、受理官庁の場合と同様に、上記の二つの判断基準のどちらを採用し、どのように用いて優先権の回復を判断するかは当該指定官庁に委ねられています(規則49の3.2)。

**国内法令との不適合のため経過規定を適用し、優先日から12ヶ月経過後の優先権の回復を認めない旨を国際事務局に通報している官庁もあります。優先権の回復を認めない受理官庁又は指定官庁においては、優先権の回復を請求する書面の提出が受け付けられません。また、他の受理官庁が認定した優先権の回復の効果を認めない指定官庁においては、期間後の優先権主張をしたものとして扱われます。

この経過規定を適用する官庁についての最新情報は、WIPOのPCTホームページ(下記アドレス参照)の「留保及び不適合」で提供されていますので、優先権の回復の手続を検討する際には最新の情報を御確認ください。

http://www.wipo.int/pct/ja/(外部サイトへリンク)

3.明白な誤記の訂正手続の明確化

第91規則が定める明白な誤記を訂正する手続について、訂正権限の所在、誤記の明白さの基準、訂正ができない書類、訂正ができる期間及び訂正の方法、訂正の効果発生日について規定を整理し、手続をより明確化しました。

(1)訂正権限の所在(91.1(b))

  • 誤記が願書にある場合:「受理官庁」
  • 誤記が明細書、請求の範囲、図面又はそれらの補充書にあり、国際予備審査が着手されていない場合:「国際調査機関」
  • 誤記が明細書、請求の範囲、図面もしくはそれらの補充書又は条約19条もしくは34条による補正書にあり、国際予備審査に着手している場合:「国際予備審査機関」
  • 上記いずれにも該当しない誤記:「訂正の請求を受けた官庁、機関、事務局」

(2)誤記の明白さの基準(91.1(c)、(d)、(f))

「なんぴとも認識するほどの明白さ」という曖昧な明白さの程度を見直し、「権限のある機関にとって、関連する書類に記載されたもの以外の何かが意図されていること及び提出された訂正以外の何も意図されていないことが明白であること」とし、誤記が当業者にとって明白な程度であれば十分であるとの基準に変更されました。

誤記が明細書、請求の範囲、図面又はそれらの補充書にある場合、これらの書類の内容のみを考慮して誤記の明白さを判断し、それ以外の書類を参照してはならない規定となりました。

また、明白さの判断の基準日は、国際出願の部分については国際出願日、補充書については補充の日となります。

(3)訂正ができない書類(91.1(g))

明白な誤記による訂正を認めない場合(別の修正方法がある場合等)が明文化されました。

  • 誤記が国際出願の要素または用紙の欠落にある場合
  • 誤記が要約にある場合
  • 誤記が19条補正書にある場合(国際予備審査機関に訂正権限がある場合を除く。)
  • 優先権主張の補充又は追加をする書面であって訂正内容が優先日に影響する場合

(4)訂正ができる期間及び訂正の方法(91.2)

訂正ができる期間を長期化し、優先日から26ヶ月までとしました。訂正を求める方法として、訂正される誤記の特定及び訂正案の提示をすること、訂正案は差替用紙の提出によって行うことを明文化しました。

(5)訂正の効果発生日(91.3(c))

明白な誤記の訂正は、出願時における国際出願の誤記の場合は国際出願日から、それ以外の書類の誤記の場合はその書類の提出日から訂正の効果が発生することが明文化されました。

最新の規則等や各種様式はWIPO国際事務局のウェブサイトを御参照ください。

PCT、PCT規則、実施細則等(WIPOホームページ)
PCT、PCT規則、実施細則等<日本語>(WIPOホームページ)
各種様式(WIPOホームページ)

[更新日 2015年6月24日]

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