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平成21年6月29日
特許審査第一部調整課審査基準室
産業構造審議会知的財産政策部会の「特許制度の在り方について」報告書(平成18年2月)において、分割出願に係る審査の効率化を図るため、「分割出願の特許請求の範囲及び明細書におけるもとの出願からの変更箇所に下線を引くルールを設けることが適当である」という報告がなされました。
また、出願人が有している、原出願の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載されたどの事項に基づいて分割出願に係る発明としたのか、分割出願に係る発明と原出願に係る発明や他の分割出願に係る発明とがどのように相違しているのか、といった情報についても、分割出願を迅速・的確に審査するために必要不可欠な情報です。
これらを受けまして、出願人の方に対し、出願を分割する際に、原出願からの変更箇所を明示するとともに、分割の実体的要件を満たすこと等の説明をした説明書類を上申書として提出していただくよう要請しておりますが、今般、上申書における具体的な説明の仕方、上申書の提出時期等について、下記のように整理するとともに、明確化を行いました。今後も出願を分割する際には上申書を提出していただきますようお願いします。
なお、審査ハンドブック(第VI部 第1章 特許出願の分割)においても同様の趣旨を記載しております(特許・実用新案審査ハンドブック第VI部 第1章 6104参照)。
記
出願を分割する際には、下記の点を上申書において説明してください。
また、上記の点を説明する上申書は、審査請求以前に提出していただきますようお願いします。ただし、「原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用」の適用を申請する場合、上記の点を説明する上申書は、審査請求以前ではなく、中止期間の終了日までに提出してください(「原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について」もご参照ください。)。
分割出願の特許請求の範囲、明細書又は図面について、原出願の特許請求の範囲、明細書又は図面のどの記載を変更したのか、また分割出願に係る発明が原出願の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載されたどの事項に基づいているのか、変更箇所を明示するとともに変更内容を説明してください。
具体的には、以下のように説明してください。
ア. 特許請求の範囲について
(ア)特許請求の範囲に変更がある場合
分割出願の特許請求の範囲に、原出願の分割直前の特許請求の範囲からの変更がある場合には、上申書に変更のあった請求項を転記し、原出願の分割直前の特許請求の範囲の対応する請求項からの変更箇所に下線を施す等により変更箇所を明示してください。また、どのような変更がされたのか、原出願の分割直前の特許請求の範囲、明細書又は図面のどの記載に基づいているのかを説明してください。
(イ)請求項を新たに記載した場合
原出願の分割直前の明細書又は図面に記載されている発明を、分割出願に係る発明として新たに記載した場合には、原出願の分割直前の明細書又は図面のどの記載に基づいているのかを説明してください。なお、この場合には下線を施すことによる変更箇所の明示は省略することができます。
(ウ)分割直前の明細書等に記載はないが、当初明細書等に記載されていた事項を請求項に記載した場合
原出願について補正をすることができる期間内に分割されたものである場合であって、その請求項の記載が、原出願の出願当初の明細書又は図面に記載された事項の範囲内であるが、原出願の分割直前の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載された事項の範囲を超えている場合には、原出願の出願当初の特許請求の範囲、明細書又は図面のどの記載に基づいているのかを説明してください。
(特許請求の範囲の変更箇所の明示と説明例)
【請求項1】受信TV放送データを圧縮して記録する記録手段を有する携帯電話機。
【請求項2】前記記録手段は、放送内容に応じて圧縮率を変えて記録することを特徴とする、請求項1記載の携帯電話機。
【請求項4】前記記録は、MPEG方式で記録することを特徴とする、請求項2記載の携帯電話機。
イ. 明細書、図面について
(ア)明細書、図面に変更がある場合
分割出願の明細書、図面に、原出願の分割直前の明細書、図面からの変更がある場合には、上申書に、分割出願の変更箇所を含む明細書の段落、図面を転記し、原出願の分割直前の明細書、図面からの変更箇所に下線を施す等により変更箇所を明示してください。また、どのような変更がされたのか、原出願の分割直前の特許請求の範囲、明細書又は図面のどの記載に基づいているのかを説明してください。
(イ)明細書、図面に削除や、形式的な変更(段落番号のみの変更等)がある場合
分割出願の明細書における原出願の分割直前の明細書、図面からの変更が、原出願の分割直前の明細書、図面の削除や、形式的な変更(段落番号のみの変更等)である場合には、削除した箇所や、どのような変更がされたのかを説明してください。なお、この場合には下線を施すことによる変更箇所の明示は省略することができます。
(ウ)分割直前の明細書等に記載はないが、当初明細書等に記載されていた事項を記載した場合
原出願について補正をすることができる期間内に分割されたものである場合であって、その明細書又は図面の記載が、原出願の出願当初の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載された事項の範囲内であるが、原出願の分割直前の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載された事項の範囲を超えている場合には、原出願の出願当初の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載されている事項の範囲内であることを説明してください。
(エ)分割直前の明細書、図面からの変更がない場合
分割直前の明細書、図面からの変更がない場合には、その旨記載してください。
(明細書の変更箇所の明示と説明例)
「【0001】
本発明は、油脂でフライ調理せずに、焼成調理されたノンフライのポテトチップスの製造法に関する。」
「【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、焼成調理されたポテトチップスの製造法であって、ポテトチップス生地の焼成前又は後に、ジグリセリドを55重量%以上、モノグリセリドを2.5重量%以下含有する植物性油脂由来の油脂組成物の滴下、塗布、噴霧、練り込み等を行う、焼成調理後の該油脂組成物の含有量が10~35重量%であるポテトチップスの製造法を提供するものである。」
分割出願に係る発明と他の特許出願に係る発明とが第39条第2項に規定する同一の発明に該当しないことを説明してください。分割出願に係る発明と他の特許出願に係る発明との間に、一見して第39条第2項の拒絶理由が生じていないことが明らかな場合には説明を省略することができます。
他の特許出願についての拒絶理由通知であって、分割出願の審査請求前に出願人が知り得た拒絶理由通知がある場合には、その拒絶の理由(例えば、新規性・進歩性欠如、実施可能要件違反等)を解消していること、すなわち第50条の2の通知の対象とならない旨を具体的に説明してください。
[更新日 2023年3月16日]
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