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共有に係る特許権等の持分放棄における特許料等の免除措置等の取扱いについて

平成24年3月

特許を受ける権利及び特許権等(以下「特許権等」という。)が、いわゆる「国みなし」の適用を受ける国立大学法人等※1と他者との共有に係る場合において、当該他者の持分に係る特許権等が国立大学法人等に譲渡されると、当該国立大学法人等は「国みなし」の適用を受けることができなくなり※2、特許関係料金の免除措置の対象とならないことがあります。

このような場合、当該他者が、持分に係る特許権等を放棄し、当該放棄した持分(特許権等)が国立大学法人等に帰属するのであれば、当該国立大学法人等は当該放棄の後においても引き続き「国みなし」の適用を受け、特許関係料金の免除措置の対象となります。
また、「国みなし」による免除措置と同様に、共有者から持分譲渡を受けた場合に適用対象外となることがある減免措置につきましても、持分放棄にて対応することで、引き続き減免措置の対象となります。

  • ※1 以下の者が該当します。
    • 産業技術力強化法附則第3条の適用を受ける国立大学法人
    • 大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律附則第3条の適用を受ける承認TLO
  • ※2 国立大学法人等の「国みなし」の適用を受けるための要件として、譲渡人が大学等研究者等の特定の者である必要があり、それ以外の者から譲り受けた場合は当該要件を満たさないため。

免除措置等の適用対象となる場合や手続等については以下のとおりです。

1.免除措置等の適用対象者

免除措置等の適用対象となるのは、特許権等が共有の場合において、その共有者のうち一の者が特許権等を放棄した場合に、当該放棄した特許権等(持分)が契約その他の定めによらず民法第255条の規定に基づき他の共有者の持分割合に応じた按分で帰属している場合です。

※契約その他の定めにより放棄した持分が他の共有者の持分割合に応じずに別の割合で帰属している場合や、放棄ではなく譲渡により他の共有者に持分が承継されている場合は、従来どおり免除措置等の適用対象外となります。

2.適用対象となる持分

免除措置等の適用対象となる持分は、特許法第107条第3項及び同法第195条第6項に規定する「共有に係る場合であって持分の定めがあるとき」に基づき、各共有者間で定められた持分(いわゆる「持分証明書」で定める持分)です。

※具体的には、一の者が放棄する前に各共有者が有している持分に、放棄したことにより帰属する分を加えた持分に対して免除措置等を適用します。

3.免除措置等の適用判断

対象ごとに免除措置等の各要件を満たしていることに加え、以下の(1)及び(2)の要件も満たすことが必要です。

  • (1)特許権等が共有であったときに、その共有者のうち一の者が特許権等を放棄していること。
    ※持分譲渡証書等により譲渡されている場合は対象となりません。
  • (2)当該放棄により、その放棄した特許権等(持分)が他の共有者の持分割合に応じた按分で帰属していること。
    ※当該放棄前後の共有者の持分割合で判断することとなります。

4.免除措置等の申請に係る手続

上記の共有に係る特許権等の持分放棄における免除措置等については、以下の項目について手続(証明書類の提出)が必要となります。

(1)特許権等(持分)を放棄していること

共有者のうち一の者が放棄していることを確認します。具体的には、当該放棄したときの特許庁への手続(出願人名義変更等)において、持分放棄書が提出されていることを特許庁等で確認しますので、特段証明書類等の提出は不要*です。

*出願をする前に共有者のうち一の者が放棄していることを証明する場合は、1)出願前に放棄している旨を証明する「持分放棄証書」(様式見本1)、又は2)出願前に放棄したときの契約書(放棄書)等の写し、のいずれかの書類を特許庁へ提出していただく必要があります。

(2)放棄した前後における共有者の持分割合

放棄した特許権等(持分)が他の共有者の持分割合に応じた按分で帰属していることが必要です。当該放棄前後の共有者の持分割合については、それぞれ以下のとおりです。

放棄前の持分割合

放棄前の持分割合は、当該放棄前に特許庁に提出している持分証明書で証明されている持分が放棄前の持分割合となります。

なお、持分証明書を提出していない場合は、以下のa)又はb)による持分が放棄前の持分割合となります。

  • a)出願から放棄直前までの持分を特許庁に対し明らかにしていない(特許庁に提出された書類(願書等)に持分の記載がない)場合は、民法第250条の規定に基づき、各共有者の持分を相等しいものと推定した持分をもって、放棄前の持分とします。
  • b)出願から放棄直前までの持分が証明されていない(持分証明書を提出していない)ものの、特許庁に提出された書類(願書等)に持分の記載がある場合は、当該願書等に記載された持分をもって、放棄前の持分割合とします。

※上記のa)又はb)にある持分が証明されていない場合においては、放棄前の持分証明書(もしくは共有者間で契約した契約書等で共有者の持分割合の記載のあるものの写し)を必要に応じて提出していただくことがあります。

放棄後の持分割合

放棄後の持分割合については、持分証明書の提出*が必要です。

※持分証明書を特許庁へ既に提出している場合で、当該持分証明書で証明された持分割合が変わらない場合には再度提出していただく必要はありません。

出願前に放棄している場合には、当該放棄前及び放棄後の持分割合がわかる証明書類(持分証明書、もしくは共有者間で契約した契約書等で共有者の持分割合の記載のあるものの写し)を特許庁へ提出いただく必要があります。

(3)放棄後の共有者の持分割合が民法第255条に基づく共有者の持分割合に応じた按分で帰属

共有者のうち一の者が放棄した場合に、その放棄前の持分割合とその放棄後の持分割合とを比較し、当該放棄が民法第255条に基づき共有者の持分割合に応じた按分で帰属しているかどうかで免除措置等の適用可否を判断します。

  • 放棄分の帰属が、民法第255条に基づく共有者の持分割合に応じた按分で帰属している場合は、免除措置等の適用対象となります。
  • 放棄分の帰属が、民法第255条に基づく共有者の持分割合に応じていない帰属(契約その他の定めにより別の割合で帰属等)の場合は、免除措置等の適用対象外となります。

(具体例)

出願人がa,b,cの三者の共同出願である場合において、出願人cが特許を受ける権利(持分)を放棄した場合

減免措置の適用対象となる例

減免措置の適用対象となる例

減免措置の適用対象となる例

減免措置の適用対象となる例

※上図の場合、放棄した出願人cの持分が出願人aに移っていることになるため、出願人aは免除措置等の適用対象外となりますが、出願人bは免除措置等の適用対象になります(免除措置等における各要件を満たしている場合に限ります)。

5.産業技術力強化法附則第3条等に定める「国みなし」の対象となる場合

本取扱いの適用により、産業技術力強化法附則第3条等に定める「国みなし」の対象となる場合は、以下により手続してください。

なお、出願前に放棄している場合で、本取扱いの適用により産業技術力強化法附則第3条等による「国みなし」の対象となる場合は、以下による手続の際に上記4.と同様の証明書類(持分放棄証書、持分証明書等)を添付してください。

本取扱いの適用による出願人(もしくは権利者)が「国みなし」の者のみとなり手続に係る手数料等が免除となる場合*

※国みなしとなる者を含む共有の場合で共有者全員が手数料等の免除となる場合を含みます。

適用日以降に本取扱いの適用により出願人(もしくは権利者)が「国みなし」となる旨の上申書(様式見本2)を提出してください。

※当該上申書は、適用日以降に適用対象となる一案件につき、一度提出していただければ、次回以降の手続における上申書の提出は不要です。

本取扱いの適用による出願人(もしくは権利者)が「国みなし」の者とそれ以外の者(手数料等の納付が必要な者)との共有の場合

適用日以降に行う手続(手数料等の納付を伴うもの)において、本取扱いを適用することにより「国みなし」となる出願人(もしくは権利者)に係る手数料等を免除した金額により手続してください。

なお、当該手続時において、共有者間の持分が証明されていないときは、持分証明書の提出が必要となります。

※上記手続を特許庁に提出された後に本取扱いの適用可否を判断します。本取扱いの要件を満たしていないときは手数料等未納の旨の補正指令の対象となります。

様式見本1:持分放棄証書

持分放棄証書

令和×年×月×日*1

発明の名称*2 ○○○○○○○○
(出願番号*3 特願××××-××××××)

 上記発明に係る特許を受ける権利は、△△△△と●●●●の共有のところ、令和×年×月×日*4に、●●●●の共有持分を放棄したことに相違ありません。
 なお、本権利は、発明者◇◇◇◇より承継したものです。*5

(持分放棄者)

  • 住所(居所) 東京都○○市○○
  • 氏名(名称) ●●●●
  • (代表者) □□ □□
  • *1 持分放棄証書の作成日を記載してください(当該持分を放棄した日である必要はありません)。
  • *2 当該持分を放棄した案件を特定するためのものですので、出願時の明細書に記載する発明の名称を記載してください。
  • *3 持分放棄証書の作成日が、この放棄を証明する発明の出願日以降である場合は、「発明の名称」欄の下に「出願番号」欄を設け、当該発明に係る出願番号を記載してください。
  • *4 当該持分を放棄した日を記載してください。
  • *5 発明者本人が当該持分を放棄する場合は、なお書きの記載は不要です。

様式見本2:上申書

【書類名】上申書
(【提出日】令和×年×月×日)
【あて先】特許庁長官 殿
【事件の表示】 
  【出願番号】特願××××-××××××
【上申をする者】 
  【識別番号】×××××××××
  【住所又は居所】東京都○○市○○
  【氏名又は名称】●●●●
  (【代表者】□□ □□)
  【電話番号】 
(【代理人】) 
  (【識別番号】) 
  (【住所又は居所】) 
  (【氏名又は名称】) 
  (【電話番号】) 
【上申の内容】産業技術力強化法附則第3条の規定の適用*1
【提出物件の目録】 
【その他】*2特許第×××××××号
  • *1 本取扱いを適用する旨の記載は、【上申の内容】欄に国とみなされる場合の根拠条文(産業技術力強化法の場合は「産業技術力強化法附則第3条の規定の適用」)と記載してください。
  • *2 本取扱いを適用する案件が設定登録後(権利化後)の場合は、【提出物件の目録】欄の下に【その他】欄を設け、当該欄に特許番号「特許第×××××××号」を記載するとともに、【出願番号】欄にも出願番号を記載してください。
  • ※【出願番号】欄に出願番号を未記入でオンラインにより提出する場合はエラーとなりオンラインによる提出ができません。出願番号を記載せずに提出する場合は、書面により提出してください(上申書は書面で提出しても電子化手数料はかかりません)。

[更新日 2021年3月29日]

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