平成21年8月31日
平成25年11月11日修正
令和6年4月1日修正
特許庁
特許庁は、営業秘密の保護の重要性が高まっていることにかんがみ、特許法第67条の5第2項(改正前第67条の2第2項)に規定する資料(延長の理由を記載した資料)につき、特許法第186条第1項に基づき閲覧等の請求があったときは、当該資料の中に営業秘密が記載されている旨の延長登録出願人からの申出を要件として、閲覧等の制限を行う運用を平成21年9月1日より開始しておりますが運用の見直しの概要の一部を明確にする修正を行いました。
また、当該資料の閲覧等を許可する場合には、特許法第186条第2項に基づく通知を併せて行います。
1.営業秘密の保護について
(1)「営業秘密1」が記載されている旨の申出
特許法第67条の5第2項(改正前第67条の2第2項)において規定する資料(以下「延長の理由を記載した資料」という。)に、営業秘密が記載されている旨の申出がある場合であって、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、閲覧等の制限を行うよう運用の変更を行います。
(2)申出の提出時期
申出は、原則閲覧等の制限を望む書類の提出時に併せて書面にて提出してください。ただし、閲覧等の請求があったときに、申出がなされていない場合は、開示の決定を行う前に延長登録出願人に対し通知を行います。当該「延長の理由を記載した資料」に営業秘密が記載されている場合は、当該通知書の送達を受けた日の翌日から起算して14日以内に、延長登録出願人は申出を行ってください。
(3)申出の書式
申出は、方式審査便覧『58.20(総論-10)』において定める書式により行うことができます。申出書には、営業秘密が記載されている書類名及び営業秘密が記載されている個所を記載し、また、当該営業秘密が記載された箇所を除いた書類を添付してください。営業秘密が記載されている個所を的確に保護するためには、当該個所が特定できるよう詳細な記載が必要です。
特許庁長官は、書類全体の閲覧等を制限するのではなく、該当個所について閲覧等を制限するかどうかの判断を行います。
<参考情報>
1 不正競争防止法(平成5年法律第47号)第2条第6項に規定する「営業秘密」をいう。
(4)申出の対象書類
申出の対象となる書類は、特許法第67条の5第2項(改正前第67条の2第2項)で規定する「延長の理由を記載した資料」です。すなわち、願書に添付した当該資料及び手続補正書により補正された当該資料が申出の対象書類となります。
意見書の意見の内容及び上申書の上申の内容並びに拒絶理由通知等(特許庁からの発送書類)は申出の対象外となります。
また、面接や応対時に提出された資料等は申出の対象外で閲覧対象となりますので御注意ください。
(5)申出の撤回
営業秘密が記載されている旨の申出をした後に、特許法施行令第3条で定める処分を行った省庁において、情報公開法に基づき開示されるなどその他営業秘密として認められないことが明らかとなった場合は、当該出願人は、特許庁長官に対し、速やかにその旨を上申してください。
上申の手続は、方式審査便覧『124.01(書式-1)』において定める書式により行うことができます。
また、延長登録出願人からの上申がなくても、閲覧等の請求人から、営業秘密として閲覧等を制限している個所が既に上記の政令で定める処分を行った省庁において、開示されている旨及びそれを疎明する書類の提出があった場合は、特許庁長官は事実を確認した上で、当該個所の開示を決定することとします。
2.閲覧等の請求人に対する開示・不開示の決定に係る通知について
(1)すべて開示する場合の通知
1.(1)の申出がない場合又は申出された個所を特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めない場合には、「延長の理由を記載した資料」をすべて開示する決定をし、その旨を閲覧等の請求人に対し通知します。
<参考情報>
(2)一部不開示(申出の一部を認め、一部を認めない場合を含む)とする場合の通知
1.(1)の申出がなされた場合であって、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、「延長の理由を記載した資料」を一部不開示とする決定をし、その旨を閲覧等の請求人に対し通知します。
閲覧等の請求人は、一部不開示の決定に不服があるときは、特許庁長官に対して審査請求を行うことができます。
<参考情報>
3.延長登録出願人に対する特許法第186条第2項に基づく通知について
(1)すべて開示する場合の通知
1.(1)の申出がない場合又は申出された個所を特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めない場合には、「延長の理由を記載した資料」についてすべてを開示する決定をし、延長登録出願人に対し特許法第186条第2項に基づきその旨を通知します。
延長登録出願人は、開示に関する決定に不服があるときは、特許庁長官に対して審査請求を行うことができます。
<参考情報>
(2)申出に基づき閲覧等が制限された場合の通知
1.(1)の申出に基づき、「延長の理由を記載した資料」につき営業秘密が記載された個所の閲覧等の制限をする場合は、当該個所を除き開示をする決定をし、延長登録出願人に対し特許法第186条第2項に基づきその旨を通知します。
<参考情報>
(3)申出の一部を認め、一部を認めない場合の通知
1.(1)の申出に基づき、営業秘密が記載された個所の一部を認め、一部を認めない決定をし、延長登録出願人に対し特許法第186条第2項に基づきその旨を通知します。
延長登録出願人は、開示の決定に不服があるときは、特許庁長官に対して審査請求を行うことができます。
<参考情報>
4.営業秘密が記載された個所の閲覧等を許可される者について
(1)書類提出者から閲覧等について同意を得ている者
延長登録出願人から閲覧等に同意を得ている者に対しては、同意を得ていることが書面をもって証明された場合は、すべて開示します。
なお特許法第186条第2項に基づく通知をすることはしません。
(2)延長登録無効審判請求人
延長登録無効審判請求人が、当該延長登録の出願に係る「延長の理由を記載した資料」について閲覧等の請求を行った場合は、当該無効審判請求人に対し、営業秘密が記載された個所を含むすべての開示を、以下の要件を満たす場合には許可します。
<要件>
営業秘密が記載された旨の申出があった個所を開示することが当該延長登録無効審判の審理上必要であるとみとめられた場合
また、営業秘密が記載された個所を含め「延長の理由を記載した資料」について開示の決定を行う場合には、延長登録無効審判請求人である閲覧等の請求人に対する開示決定に係る通知書で、延長登録無効審判請求の目的以外に使用してはならない旨通知します。
<参考情報>
5.閲覧等の実施時期について
特許法第186条第2項の規定の趣旨は、延長登録出願人に対して行政不服審査法による審査請求の機会を確実に与えるためのものですが、今回の運用変更に当たっては、閲覧等の請求人の迅速な開示への期待との利益衡量から、閲覧等の実施を審査請求期間の満了を待たずに行うことで、両者の利益バランスを図ることとします。
その結果、特許法第186条第2項に基づく通知の送達を受けた日の翌日から起算して14日の経過を待って実施します。そのため、開示決定に対して不服を申し立てる場合は、閲覧等の実施日より前に行う必要がありますので注意してください。
6.閲覧等に係る手続の流れについて
[更新日 2024年4月1日]