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平成20年9月30日
特許庁
第169回通常国会で成立した「特許法等の一部を改正する法律」(平成20年4月18日法律第16号)により、特許・意匠・商標の拒絶査定不服審判、意匠・商標の補正却下決定不服審判について、その審判請求期間が、これまで拒絶査定又は補正却下決定の謄本の送達日から「30日以内」とされていたところ、「3月以内」に拡大されることとなりました。(施行日は、平成21年4月1日※)
※施行日以降に謄本が送達される拒絶査定又は補正却下決定に対する審判請求について適用されます。
また、特許の拒絶査定不服審判については、審判請求時の明細書等の補正について、これまで審判請求日から「30日以内」に可能とされていましたが、「審判請求と同時」にのみ可能とされています。
これらの改正に伴い、特許法4条等の規定を根拠に現在認められている、在外者等に対する各審判請求期間の延長の取扱いを見直し、改正法施行後の取扱いを下記のとおり変更します。
なお、平成20年8月6日(水曜日)~9月4日(木曜日)の期間、本取扱いについて、パブリックコメント手続を実施し、意見募集を行いましたが、意見提出は0件でした。
平成20年法改正後の在外者等の審判請求期間の取扱い(案)に対する意見募集の結果について
記
現在の特許・意匠・商標の拒絶査定不服審判、意匠・商標の補正却下決定不服審判の審判請求期間については、特許法4条(意匠法68条1項及び商標法77条1項において準用)の規定を根拠に、いずれも一律に、通常の30日の請求期間に加えて、以下の期間、職権による延長を行っています。
特許・意匠・商標の拒絶査定不服審判、意匠・商標の補正却下決定不服審判の審判請求期間については、改正法施行後、手続保障の期間としては、すべての制度利用者に対して十分と考えられる「3月以内」となることから、原則的には、延長は不要と考えられます。
原則は(1)のとおりですが、特許制度では、意匠制度や商標制度と異なり、改正法により、審判請求の際の特許出願に添付された明細書等の補正が「審判請求と同時にのみ可能」と変更されているため、特許出願についての拒絶査定審判請求期間は、明細書等の補正の検討を行う期間としての意義も有することを考慮し、以下の取扱いとします。
(2-1)在外者
これまで、在外者については、明細書等の補正の検討を行う期間が約4月(審判請求期間30日+延長期間60日+補正期間30日=120日)確保されていたため、審判請求期間が「3月以内」に拡大されていても、期間延長を行わない場合、在外者にとっては補正の検討を行う上で不利益変更となります。
したがって、以上を踏まえ、改正法施行後においては、在外者が特許出願人である場合の特許出願に関する拒絶査定不服審判の請求期間※について、特許法4条の規定に基づく、職権による延長期間を「1月」とします。
※なお、特許権の存続期間の延長登録出願に関する拒絶査定に対する不服審判請求期間も、改正法により「3月以内」に拡大されますが、この場合の期間は、明細書等の補正の検討を行う期間としての意義を有しないことから、在外者に対しての延長は行わないこととします。
(2-2)国内の遠隔地等在住者
国内の遠隔地等在住者については、これまでの補正の検討が可能な期間は75日(審判請求期間30日+延長期間15日+補正期間30日)でした。したがって、今回の改正で審判請求期間自体が「3月以内」となったことにより、むしろこれまでよりも補正の検討が可能な期間は延び(75日→3月)、不利益変更とはならないことから、(1)の原則のとおり、延長を行わないこととします。
意匠制度及び商標制度においては、補正の時期に関して特許制度の場合のような制限がない(審査・審判等に係属中はいつでも補正可能)ことから、今回の改正により審判請求期間が3月に拡大されたことを踏まえ、(1)の原則のとおり、延長を行わないこととします※。
※審査官が補正却下決定を行った際の補正後の新出願が可能な期間についても、改正法によりこれまでの「30日以内」が「3月以内」に拡大されていますが、補正却下決定に対する審判請求期間の延長についてこのような取扱いとすることから、補正後の新出願が可能な期間についても、期間延長は行わないこととします。
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法区分 |
現行 |
改正法施行後 |
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通常の国内出願人 |
特許 |
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意匠 |
審判請求期間 |
審判請求期間 3月(延長なし) |
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在外者 |
特許 |
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意匠 |
審判請求期間 |
審判請求期間 3月 (延長なし) |
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国内の遠隔地等在住者 |
特許 |
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意匠 |
審判請求期間 45日 (30日+延長15日) |
審判請求期間 3月(延長なし) |
特許は、拒絶査定不服審判(存続期間の延長登録出願に関するものを除く)。
意匠・商標は、拒絶査定不服審判及び補正却下決定不服審判。
(参考2) 特許法4条、意匠法68条1項、商標法77条1項
特許法
第四条
特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第四十六条の二第一項第三号、第百八条第一項、第百二十一条第一項又は第百七十三条第一項に規定する期間を延長することができる。
意匠法
第六十八条
特許法第三条から第五条まで(期間及び期日)の規定は、この法律に規定する期間及び期日に準用する。この場合において、同法第四条中「第百二十一条第一項」とあるのは、「意匠法第四十六条第一項若しくは第四十七条第一項」と読み替えるものとする。
商標法
第七十七条
特許法第三条から第五条まで(期間及び期日)の規定は、この法律に規定する期間及び期日に準用する。この場合において、同法第四条中「第百二十一条第一項」とあるのは、「商標法第四十四条第一項若しくは第四十五条第一項」と読み替えるものとする。
[更新日 2009年1月19日]
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