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Vol.49
広報誌「とっきょ」2021年9月14日発行

特集2:IPで拓く企業の未来

中国電力株式会社

地元企業とのコラボを通し、地域の知財活動を牽引

地元企業と積極的に行う知財マッチング

近年では中国地方の企業を中心に知財マッチングも積極的に行っています。例えばメッシュ状の特殊な電極で水を電気分解することで高濃度の水素水を作る弊社の技術があります。これを広島の中小企業に実施許諾し、現在は累計1億円以上を売り上げる事業に成長しました。また、イノシシ被害を抑えるために開発した装置「猪ふまず」※1は、当社グループ会社へ実施許諾し、製品化。高く評価を頂いており、全国で採用事例が増えつつあります。
※1「猪ふまず」は株式会社エネルギアL&Bパートナーズの登録商標です

家庭用水素水生成装置の写真
中国電力の特許をもとに広島の中小企業が製品化した家庭用水素水生成装置
猪ふまずの写真
「猪ふまず」はひづめの間に物が挟まることを忌避するイノシシの習性を活用

こうした動きは、元々は東日本大震災の復興支援として東北の企業に対して無償で特許の実施許諾を行い、事業化に向けた取組を進めたのがきっかけです。残念ながらそのときは、資金面や、距離的制約などが原因で、事業化まで至ったケースはありませんでした。その反省も踏まえ、のちにマッチングの専門チームを作りました。それもあってか2015年くらいから開始した、地元企業を対象にしたマッチング活動は順調に進んでいます。

知財部門以外でも高いリテラシーを実現
エネルギア総合研究所の全景写真
エネルギア総合研究所は知財部門をはじめ、研究・開発を担う技術部門や市場調査・分析を行う経営部門を備えており、知財マッチング先とのハブとして機能している

現在、弊社の知財部門に所属するのは17人と決して多くはありません。しかしこれまでの取組を通じて知財部門以外の各組織にも知見を持つ人材がおり、初歩的なセミナーを毎年行って全社的に知財に対するリテラシーを高めています。また各組織で特許の出願状況を検索できるシステムを導入したり、発明者があまり手間をかけずに出願の書類を作成する仕組みを作っています。

今後も、これまで培ってきた経験や仕組みを生かして、自社の経営に知財面から貢献していきたいと考えています。

お話を聞いたのは
中国電力株式会社 エネルギア総合研究所 知財部長 鹿嶋 慎一郎氏のプロフィール写真

中国電力株式会社
エネルギア総合研究所 知財部長
鹿嶋 慎一郎氏

1988年入社、岡山営業所配属。2002年経営企画室海外事業担当へ異動し、知財部の立ち上げに参画、19年から現職。一般社団法人日本知的財産協会常務理事、一般社団法人広島県発明協会常務理事。

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