ここから本文です。
特集1
家具・家電から、衣料品や衛生用品まで、
私たちの身の回りの製品には、とてもたくさんの知財が隠れています。
今回はそうした「暮らし」と密接に関わる製品および知財にフォーカス。
現代の豊かな暮らしを形作った歴史的な発明をはじめ、
人々の心地よい生活を支えるものづくりに
注力するユニ・チャーム株式会社の取組をご紹介します。
第二次世界大戦後から現代にかけて、さまざまな社会的背景のなかで多くのイノベーションが誕生した。そうした発明は、より完成度の高いものを目指しブラッシュアップを重ね、また多様な製品に姿形を変え、今の私たちの豊かな生活を支えている。そこには、実は、イノベーションを支える知財があり、またそうした技術的側面に目を向けると、研究・開発に取り組んだ人々の想いや、たゆまぬ努力の形が見えてくる。
今回の特集では、そうした私たちの暮らしを支え・彩る製品や、そこに隠れた知財に注目。戦後から現代までのイノベーションのうち、特に生活と密接に関係があるものをロードマップにして掲載した。
また、後半では、紙おむつや生理用品などの日用品メーカーである、ユニ・チャーム株式会社の知財担当者へインタビューを実施。「人々の生活における負担からの解放」を目指し、国内外で暮らしに寄り添った商品を展開する同社の取組に迫った。また、80を超える国や地域で海外展開を積極的に推し進める同社ならではの、「知財ミックス」の戦略についても紹介したい。
~私たちの生活を支えてきたのは、いつも知財だった~
1930年(発明)
フェライト
鉄を主成分とする酸化物磁性材料。東京工業大学の博士が発明し、東京電気化学工業(現TDK)が事業化。電気・電子産業の発展に不可欠な部材として、ラジオ、VTRなどに用いられた。
1955年(製品化)
自動式電気炊飯器
東京芝浦電気(現東芝)から発売された電気炊飯器ER-4が日本初。炊事の負担を大幅に軽減したことから、人々の生活様式を一変させて「台所革命」とも呼び得るものとなった。
1968年(製品化)
レトルト食品
取り扱いが容易な点、短時間で温め可能な点などが支持を得て家庭における代表的な食品(形態)の一角を担う。市販用レトルト食品としては大塚食品の「ボンカレー」が世界初。
1975年・1976年(製品化)
家庭用ビデオ・カセット
75年にソニーがベータマックス方式の製品を、翌年に日本ビクター(現JVCケンウッド)がVHS方式の製品を発売。両者の激しい規格競争により、日本はVTR生産の中心地となった。
1987年(製品化)
酵素入りコンパクト洗剤
洗剤容器の大型化が進む中、花王は従来の1/4の容量である「アタック」を発売。省資源化や環境問題にも対応した先進的な製品で、酵素入りコンパクト洗剤は世界の主流となった。
1994年(発明)
QRコード®
日本電装(現デンソーウェーブ)が開発。工場の製品管理に使われていたが、オープンコードであったことや、同社が特許権の権利行使をしないと明言したことなどにより、全世界に普及した。