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Vol.62
広報誌「とっきょ」2024年10月28日発行

特集2 ラピュタロボティクス株式会社

複数ロボットの群制御技術で
倉庫業務が劇的に効率化

ラピュタロボティクス株式会社 代表取締役CEO モーハナラージャー・ガジャンさん

複数種類のロボットを制御するプラットフォーム「rapyuta.io」を活用し、ピッキングロボット・自動フォークリフト・自動倉庫といった物流現場向けソリューションを提供するラピュタロボティクス株式会社。本格的なグローバル展開を視野に、知財戦略も整備している。

INTERVIEW

ラピュタロボティクス株式会社 代表取締役CEO

モーハナラージャー・ガジャンさん

特待生としてスリランカから来日し、久留米高等工業専門学校卒、東京工業大学にて学士・修士号(工学)を取得後、スイス連邦工科大学チューリッヒ校にて博士号を取得。ロボット向けインターネットの先駆けとなったEU出資の大規模プロジェクト「RoboEarth」で、Rapyutaを構想・開発。2013年にCubliプロジェクトを主導。2014年にラピュタロボティクス株式会社をクリシナムルティ・アルドチェルワン氏(代表取締役CFO)と 共同で創設。

PROFILE

ラピュタロボティクス株式会社のロゴ

ラピュタロボティクス株式会社 [所在地] 東京都江東区平野4-10-5(本社)
[URL] https://www.rapyuta-robotics.com/ja/(外部サイトへリンク)
[設立] 2014年
[事業内容] クラウドロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」の開発と当該プラットフォームを活用したソリューションの提供
[従業員数] 200人以上

複数のロボットを協調制御する独自のプラットフォームが強み

私はもともとチューリッヒ工科大学で「RoboEarth」というプロジェクトに参加していました。目標はいわば「ロボットのためのインターネットを作る」こと。ロボットが独立して活動するのではなく、ロボット同士がつながって学習内容や演算結果を共有し、パフォーマンス向上を目指すのがテーマでした。そのプロジェクトで私が担当したプラットフォーム「rapyuta.io」を携えて、公式スピンオフで設立したのが当社です。

さまざまな業界での応用を検討する中で、挑戦する価値があると強く感じたのが物流分野でした。市場規模が大きいにもかかわらず、例えば製造の分野と比べても自動化が遅れている印象があったのです。多種多様なマシンが動く物流現場では、複数種類のロボットの協調制御を可能にする「rapyuta.io」の強みが十分に発揮できると思えました。また、物流業務には人間の柔軟性が求められる部分も多く、それも自動化が遅れていた一因です。そこに参入するには、投資効果が明確な、柔軟性の高い自動化ソリューションを提示する必要がありましたが、ハードルが高いぶん当社の技術力が武器になるとも感じていました。

2018年に物流事業への参入を本格的に決意し、大手企業さんの協力も得て実証実験を積み重ねて、「rapyuta.io」の群制御技術を物流業務に最適化していきました。サービスの運用を正式に開始したのは2020年です。

FEATURE
rapyuta.io

世界初の※クラウドロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」は、複数のロボットを制御するシステムを作ることを可能にします。ロボティクスには大きく二つの方向性があります。一つは人間型のロボットを作り多様な作業を汎用的にこなす考え方。もう一つは特定の作業に絞って、効率良く処理するロボットを作る考え方。当社は基本的に後者の発想で、シンプルな機構を持つロボットで特定の問題解決に集中します。そして倉庫などの現場には、ロボットや設備が複数配置されるので、分散人工知能の方法を使って群制御技術でコントロールします。「rapyuta.io」は、個々のロボットのハードウェアとソフトウェアを管理しつつ、より上位の制御も何階層にもわたって行います。複数のロボットに協調・競合させることで、全体としての知能を持つ仕組みです。また全ての制御を中央に一元化するのではなく、分散して処理する領域を多く持ち、コストやスピードを向上させています。(ガジャン代表取締役CEO)

https://ieeexplore.ieee.org/document/6853392

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