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Vol.62
広報誌「とっきょ」2024年10月28日発行

特集2 ラピュタロボティクス株式会社

複数ロボットの群制御技術で
倉庫業務が劇的に効率化

倉庫の生産性を変革する自動化ソリューション

物流現場の作業は二種に大別されます。一つは、商品を最小単位でピッキングする作業。もう一つがパレット(荷役台)や箱単位で荷物を移動させる作業です。

「rapyuta.io」を活用したソリューションとして最初に実用化したのが、前者のピッキング作業を支援するロボット「ラピュタPA‐AMR」です。作業スタッフ1人に2、3台のAMR(自律走行搬送ロボット)がつき、ロボットがピッキング対象商品の前に人を誘導することで歩行距離を短縮し、生産性を約2倍に高めます。主要なメリットは、既存の倉庫や設備をそのまま使いながら導入できること。完全自動化ではなく、複雑な作業は人に任せることで、最適なバランスを実現しています。

次いで開発したのが、自動フォークリフト「ラピュタAFL」。複雑な倉庫オペレーションに対応し、有人フォークリフトの課題である高所作業や転倒リスク軽減にも威力を発揮します。

そして最新のサービスが、自在型自動倉庫「ラピュタASRS」です。自動倉庫のような大型のソリューション導入は既存倉庫では難しいというのが常識でしたが、自由に組み立てられるブロック型の採用で、既存倉庫のかたちに合わせた設置や、レイアウト変更への柔軟な対応を可能にしました。スペースをフルに活用して荷物を保管し、保管率は最大2.5倍になります。生産性向上も重視しているのが特徴で、他の自動倉庫サービスより圧倒的に数多くロボット(AMR)がフロアを走行し、生産性は最大で10倍程度になります。お客様の評価も非常に高く、大手企業の採用決定も進んでいます。資本業務提携によるファイナンス機能や営業ネットワークの提供など、ビジネスの機会がさらに拡大しているのもありがたいですね。今後は「rapyuta.io」をソリューション開発の基盤とするだけでなく、総合的なWES(倉庫運用管理システム)に活用して、在庫・設備・プロセスという倉庫業務の主要な3要素をトータルで制御したいと考えています。

リーガルマネージャーの藤森玉輝氏
知財関連の業務ほか法務・総務を担う、リーガルマネージャーの藤森玉輝氏(右)
海外市場への本格進出も知財戦略と一体化

海外進出も重要なテーマで、現在、米国やカナダの案件で実績を重ねています。米国のピッキングスタッフの給料水準は日本の倍で、倉庫の稼働時間が長いためロボットを導入した時の投資対効果も大きく、有望なマーケット。今後は同様に賃金が高いヨーロッパも視野に入れています。対応して、知財戦略も将来的に日・米・欧をカバーすることを想定する必要があり、特許取得や保持のコストも考慮すると自ずと、数よりも質を重視した、コア技術に重点的に投資する特許戦略になります。

当社は各部門の自律性を重視したフラットな組織ですが、知財に関しては、私自ら知財戦略を決める会議には全て参加し、リーガルマネージャーや特許出願担当のインド子会社メンバーと定期的に情報共有しながら、知財の出願・権利化、知財契約法務全般を統括しています。また、当社の技術力や事業領域に興味を抱いて世界中から集まった人材も、重要な無形資産です。

ラピュタロボティクスの主要ソリューション
自律走行搬送ロボット「ラピュタPA-AMR」
自律走行搬送ロボット「ラピュタPA-AMR」
国内シェアNo.1(※)のピッキングアシストロボット。2023年度グッドデザイン賞も受賞

※デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「サービスロボットソリューション市場展望 2023年度版」ピッキングアシストロボット市場シェア・推移 https://mic-r.co.jp/mr/02850/

自動フォークリフト「ラピュタAFL」
自動フォークリフト「ラピュタAFL」
高い自己位置推定技術で高パフォーマンスを発揮。夜間も稼働して早期の投資回収が可能な点も魅力
自在型自動倉庫「ラピュタASRS」
自在型自動倉庫「ラピュタASRS」
ブロック工法で棚を組み立て、あらゆる倉庫の形状にも対応。「歩行レス」の作業環境や、業務標準化(同じ品質と正確さ)を実現
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