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第13回日ASEAN特許庁長官会合の結果について

2023年9月15日

本件の概要

日本国特許庁(JPO)と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の知財庁による第13回日ASEAN特許庁長官会合が、9月6日にシンガポールで開催されました。本会合では、人材育成、知財の普及啓発および第4回特許専門家会合の開催等に向けた協力を含む2023年度の日ASEAN知財アクションプランに合意しました。

また、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)※1から、ASEAN各国と協力して実施している先端技術分野における特許審査運用に関する調査(第二期)、および、特許情報の活用状況に関する調査について最終報告が行われました。併せて、2023年度に新規に開始される調査が紹介されました。

さらに、ラオス、シンガポールおよびタイと二国間の会談を行い、引き続き協力を進めていくことを確認しました。

第13回日ASEAN特許庁長官会合の開催

1.背景

ASEANは、ASEAN知的財産協力作業部会(AWGIPC)において策定された「ASEAN知財アクションプラン2016-2025」に基づき、ASEAN地域における知財環境の向上に向けた取組を進めています。

ASEAN諸国の取組を支援するため、JPOは長年にわたり様々な協力を行っています。また、本年8月の日ASEAN経済大臣会合で合意された「未来デザイン&アクションプラン」※2では、今後の日ASEANの知財協力の方向性として、社会課題の解決やサステナブルな経済社会の実現に向け、ERIAによる知財調査研究を活用しつつ、日ASEAN知財庁長官会合を通じた高品質の知財サービスの整備が必要である旨、記載されています。

そこで、ASEAN諸国との協力をさらに深めることを目的として、第13回日ASEAN特許庁長官会合をシンガポールで開催しました。

2.結果概要

(1) 2023年度における日ASEAN知財アクションプランの合意

JPOから2022年度における日ASEAN知財アクションプランの内容がすべて実施されたことが報告されるとともに、2023年度におけるアクションプランについて、これまでの日ASEAN協力を継続しつつ、新たな協力を取り込んだ以下の事項について合意しました。

  • ERIAによる、医薬等の注目技術の審査実務に関する調査、および、ブランディングに関する調査の新規実施(新規追加)
  • 先端技術分野における特許審査基準の整備や特許の誤訳の問題に関する知見の共有等を目的とした、第4回日ASEAN特許専門家会合の開催
  • 国際出願制度(マドリッド・プロトコル/ハーグ協定)の加盟/運用協力の推進
  • 人材育成、審査業務管理に関する協力の推進
  • 知財の商業化、知財の普及啓発に関する協力の推進
  • ASEAN IP アカデミー※3への研修提供

(2) ERIAによる調査の最終報告および新規調査の紹介

先端技術分野における特許審査運用に関する調査(第二期)、および、特許情報の活用状況に関する調査について、ERIAから最終報告が行われました。

先端技術分野における特許審査運用に関する調査(第二期)の最終報告の内容は、今年開催される第4回日ASEAN特許専門家会合においても活用される予定です。この専門家会合での議論を通じ、ASEAN各国においてAIおよびIoT関連発明の特許審査実務に対する相互理解や調和が進むことが期待されます。

また、今年度から医薬等の注目技術の審査実務に関する調査、および、ブランディングに関する調査を新規に実施することが、ERIAから紹介されました。

(3)ラオス、シンガポール、タイとの二国間の会談の実施

日本国特許庁と、ラオス、シンガポール、タイの知財庁とで二国間会談を行い、引き続き二国間の協力を進めていくことを確認しました。

3. 今後の取組

JPOは、今後もハイレベルや実務者レベルでの会合の開催を通じて、ASEAN各国の知財庁との相互協力をさらに深化させ、ASEANにおける知財制度の整備およびその発展に向けた取組を積極的に進めていくことにより、日本企業が、ASEANにおいて適切な知的財産権の保護を受けられるように取り組んでまいります。

(写真)第13回日ASEAN特許庁長官会合
第13回日ASEAN特許庁長官会合

(写真)サンティスック局長(ラオス)との会談
サンティスック局長(ラオス)との会談
※左が濱野長官
(写真)レナ・リー長官(シンガポール)との会談
レナ・リー長官(シンガポール)との会談
(写真)ナワラット国際部長(タイ)との会談
ナワラット国際部長(タイ)との会談
※左が松下課長

※1 東アジア・ASEAN経済研究センター(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia, ERIA)は、2008年6月にジャカルタに設立された国際的研究機関であり、東アジア16ヵ国(ASEAN・日・中・韓・印・豪・NZ)における経済統合の深化、開発格差の是正、持続可能な経済成長に向けた政策研究及び政策提言を実施し、東アジアサミットやASEANサミット等、首脳レベルに提言を行っている。また、要請に基づく政策研究も実施している。

ERIAのホームページ(外部サイトへリンク)

先端技術分野における特許審査運用に関する調査報告書(第一期)(2021年11月公表)(外部サイトへリンク)

※2 経済産業省、ジェトロ及び日本商工会議所をはじめとする経済界は、2023年に迎える日ASEAN友好協力50周年を機に、将来を見据えた、新しい時代の日ASEANの経済共創の方向性を示す、「日ASEAN経済共創ビジョン」を公表しました。あわせて、日ASEAN経済共創ビジョンの実現に向けて日ASEAN政府が取り組む施策を記載した、「未来デザイン&アクションプラン」が策定され、2023年8月の日ASEAN経済大臣会合にて合意されました。

「日ASEAN経済共創ビジョン」の最終版を公表するとともに、「未来デザイン&アクションプラン」を策定しました 2023年8月22日(外部サイトへリンク)

※3 ASEAN IP アカデミーは、ASEAN加盟国向けに知財分野の研修を提供することを目的として、2021年9月に設立されたASEANの研修機関です。

ASEAN IPアカデミーの初回の研修としてJPOが特許審査のトレーナー育成研修を提供しました 2021年10月21日~22日

ASEAN IP Academyと連携し、管理職向け研修をオンラインで提供しました 2022年10月25日~26日

 

[更新日 2024年2月16日]

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