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三極特許庁専門家会合(2006年5月22日-24日、東京)結果概要

I.開催日・場所

  • 場所:日本国特許庁 特別会議室
  • 開催日:5月22日(月曜日)~24日(水曜日)

II.参加者

  • 日本国特許庁(JPO):守屋特許技監(議長)、小林国際課長 他
  • 欧州特許庁(EPO):キリアキデス副長官、ジルー欧州・国際部長 他
  • 米国特許商標庁(USPTO):ボランド国際部長、フリーランド最高情報責任者 他
  • オブザーバーとして世界知的所有権機関(WIPO):ウイルソン情報システム部長 他

III.結果概要

相互利用等による審査協力

1.特許審査ハイウェイ

JPOとUSPTOの間で協議を行い、今年7月からの日米間の試行開始に向けて試行の方法について最終確認をしました。また、日米特許庁共同で試行開始のプレス発表を行いました。
今後の三極での実施に関し、EPOも日米間の試行の結果をふまえ前向きに検討していくことを表明しました。

  • 日米特許庁における特許審査ハイウェイ試行プログラムの申出手続きはこちらを御覧下さい。

2.新ルート

新ルート利用の宣言を第1庁に提出することで、1自国への国内出願で他の加盟国にも出願したとみなすとともに、2まず第1庁(自国)でサーチ結果/審査結果を入手した後、出願人が第2庁で審査手続きに入る(出願の翻訳文提出)べきか否かを検討する時間的猶予(優先日から30ヶ月まで)を与えることにより、第2庁が第1庁の審査結果を利用できるようなタイムフレームを制度化するための構想です。
各国特許庁等の意見を踏まえて、第1庁が最初の審査を行うまでの期間等について修正した修正案をJPOより提案しました。三極特許庁は今後も、新ルートについて議論を継続することになりました。

3.特許審査トライウェイ

出願人の選択により、三極特許庁でほぼ同時にサーチすることにより、各庁がお互いの得意分野の言語の文献を補完し合うことを狙いとするUSPTOの提案に関して、質の高いサーチを得たいと望む出願人へのオプションの提供、各庁のワークロード低減の観点から議論が進められ、引き続き検討を行うこととなりました。

4.ドシエ・アクセス・システム

ドシエ・アクセス・システムとは、他庁での審査経過書類(出願人提出書類や拒絶理由通知等)を相互照会するシステムです。
今回会合では、三極特許庁以外のIP庁にドシエ・アクセス・システムの技術的仕様書を配布するためのガイドラインについて、三極特許庁が合意しました。
また、引例キット(拒絶理由通知等、引例リスト、引例自体をセットとし、審査官に提供する機能)の技術的仕様について、JPO作成の叩き台を基に議論しました。その結果、技術的仕様を今年11月の三極特許庁会合までに完成させることに合意し、EPOが技術的仕様の案を6月中旬までに作成することになりました。
さらに、審査官にとってより有用性の高いドシエ・アクセス・システムとするため、三極特許庁で利用状況等の情報を共有していくこととなりました。

5.インポート・ガイドライン

インポートとは、ドシエ・アクセス・システムによって参照した他庁の書類を自庁の書類の一部に取り込むことです。米国のIDS提出負担緩和、審査官のサーチ・審査結果の利用性向上の観点から、オフィス・アクション等のインポートできる書類の拡張について検討を進めました。

6.三極ネットワーク

このプロジェクトでは、三極特許庁間の他庁審査経過書類等を交換するためのネットワークの構築及び運営に関して議論しております。今回会合では、アドホックなタスクフォースにおいて、将来の三極ネットの機能・規模の拡大に向けた費用対効果等の分析を行うことになりました。

7.非特許文献

他庁において引用された非特許文献に簡便にアクセスできるようにすることを目指し、非特許文献作業部会で包括的に非特許文献問題の検討を進めていくことになりました。

8.バイオテクノロジー

バイオテクノロジー作業部会において議論された、DNA/アミノ酸配列等を含む出願の適切な処理及び審査が可能となるように、トレンド調査、データ・フォーマットの統一化、サーチツールの検討結果について報告が行われました。
また、JPOからバイオテクノロジーに関する三極サーチ・ガイドブックの第1版の完成が報告され、三極特許庁の審査官でこれを活用することが合意されました。
サーチ・ガイドブックの外部ユーザーへの公開の妥当性については、次回のバイオテクノロジー作業部会において、議論することになりました。

出願人の手続負担軽減のための取り組み

1.出願様式の統一

昨年の三極特許庁会合で、出願人から強いニーズがありましたOne Applicationの実現のために、出願様式の統一について議論を行うことが合意されました。
今回が第1回目の出願様式の作業部会で、三極ユーザーの意見を踏まえてJPOが作成した様式統一案について、三極特許庁及びWIPOの間で議論を行い、合意項目と今後の検討項目を具体的に特定しました。
また、第2回作業部会を今年9月に開催し、今年11月の三極特許庁会合での統一出願様式の合意を目指すとするロードマップについても合意が得られました。

2.優先権書類交換

優先権書類を庁間で電子的に相互交換することを目的としたプロジェクトです。電子的交換の実現後は、日本の出願人に代わってJPOから外国特許庁へ優先権書類を直接送付するため、日本の出願人の提出手続き負担及び費用が大幅に軽減されます。
これまでEPO-JPO間では既に開始済みであり、EPO-USPTO間では合意済みで2006年中に開始する予定ですが、今回会合では、JPO-USPTO間の電子的交換システムの開発に向けて技術面・運用面の課題を整理しました。また、JPO-USPTO間での電子的交換の開始に当たり、今年11月の三極特許庁会合で締結する両庁間の合意文書について、USPTO作成の案を基に議論しました。
さらに、WIPOより、三極以外の国との優先権書類の交換も可能にするデジタルライブラリーの構想について提案されました

3.電子出願システム

このプロジェクトでは、国際的に、将来の電子出願システムのあり方を、議論・検討しています。
今回会合では、PCT出願書類の電子標準(Annex F)の変更手続きに内在する問題点をJPOが指摘し、EPO、USPTO及びWIPOの理解を得て、この変更手続きの改良案をUSPTOが作成することになりました。また、PCT電子出願(XML)において、現状の差し替えページによる補正に換えて、段落単位の補正を導入する案をJPOが提起し、三極特許庁及びWIPOは、その方向で合意しました。

制度・運用の調和に向けた取り組み

1.審査実務に関する比較研究

審査実務に沿った質の高い出願書類を作成することが、審査の質向上につながる点について理解を求めるとともに、それを支援するために、記載要件、進歩性/非自明性要件について、仮想事例を用いて三極特許庁の審査実務を比較研究し、その結果を出願人・代理人に周知するプロジェクトの新規立上げをJPOより提案しました。 

その他の取り組み

1.途上国協力

このプロジェクトでは、各庁の途上国協力に対する取組について情報交換を行っています。また、今回の会合では、伝統的知識等のデータベースの構築について検討を行い、各庁が何をできるのかについてさらに議論することになりました。

2.機械翻訳

機械翻訳システムの構築・改良を目指し、JPOの機械翻訳について、EPOとUSPTOが誤訳のフィードバック等の協力を継続することとされました。また、EPOから英語と仏・独等欧州各国語との機械翻訳(EMTP)について、2006年中にサービスを開始する予定であることが報告されました。

3.三極データ交換

三極交換データの利用に関するポリシーについて、交換したデータの2次利用の際の問題点の検討を行うこと、及び、各庁が提供可能なデータをまとめたリストを更新することに合意しました。また、JPOがEPOに実用新案のFI/Fタームデータを提供することに合意しました。

4.特許情報普及

三極特許庁の特許情報普及施策について情報交換を行いました。EPOからepolineの日本語インターフェースを開発するとの報告があり、JPOが翻訳等の協力を行うことに合意しました。また、特許情報に関するステータスレポートのフォーマットについて今後検討を継続していくことになりました。

5.広報活動

昨年の三極特許庁会合で、三極協力活動の成果を効果的に広報するために三極特許庁がフェアやイベントに共同参加することが合意されました。これに基づいて今年4月に三極特許庁が共同参加した、ドイツのハノーバー・フェア(ヨーロッパ最大の産業見本市)についてレビューを行い、共同参加の意義を確認しました。また、今年10月に米国で開催予定のAIPLA総会、及び、今年11月に日本で開催予定の特許情報フェアへ三極特許庁が共同参加することを確認しました。

[更新日 2006年6月13日]

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