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国際意匠登録出願の流れ
国際出願の手続の流れ
1. 国際出願
(1) 出願資格を有する者
- 締約国である国又は政府間機関の構成国の国民
- 締約国の領域に住所、営業所を有する者
(2) 出願の言語
- 英語、フランス語、スペイン語が認められています。出願人は単一の言語を選択します。
(3) 出願の内容
- 国際出願には、以下の内容を含め又は添付します。
- (1) 必須の内容
出願人、指定国、意匠の複製物(図面/写真)など
- (2) 特定の締約国を指定する場合の追加の必須の内容
創作者、意匠の複製物又は特徴についての簡潔な説明など
- (3) 任意の内容
優先権主張など
(4) 国際意匠分類
- 国際出願の国際分類はロカルノ協定に基づきます。
- 国際出願に2以上の意匠を含める場合には、それらの意匠の全てが国際意匠分類の同じ類に属するものでなければなりません。
(5) 出願様式
- 国際事務局が定めた公式様式(DM/1等)により作成します。
(6) 出願の方法
- 国際事務局へ直接出願する方法(インターネット出願(eHague))と、日本国特許庁に書面を提出する間接出願の方法があります。
(7) 手数料
- 手数料は、基本手数料、指定手数料、公表手数料からなり、その金額は、意匠の数、指定した締約国などにより異なります。
- 支払通貨は、スイスフランのみです。
2. 方式審査、国際登録
(1) 国際事務局による一元的な方式審査
- 国際事務局は、国際出願を受理し、方式審査を行います。方式審査で出願書類の記載等に不備が発見された場合は、補正が可能(3月以内)です。
- 以下のような不備の場合は、補正を受理した日に出願日が繰り下がります。
- (1) 国際登録を求める旨の表示、出願人の表示、出願人等の連絡先の表示、意匠の複製物(図面など)、締約国の指定の欠落
- (2) 多言語を用いた出願、所定の言語以外の言語を用いた出願
(2) 国際登録
- 国際事務局は、方式審査を行った後、直ちに国際出願された意匠を国際事務局が管理する国際登録簿に登録します。
- 国際事務局から不備の補正を求められた場合、補正の受理後に直ちに登録されます。
(3) 国際登録日
- 国際出願の出願日が、国際登録の日となります。
- ただし、国際出願時に追加される必須の内容に関連する不備がある場合には、その不備の補正を国際事務局が受理した日又は国際出願日のいずれか遅い日となります。
3. 国際公表
- 国際登録された意匠の内容は、国際意匠公報において公表されます。
- 国際公表の時期は、原則、国際登録の日から12月後です。(ただし、国際出願日が2021年12月31日以前の場合は、国際登録の日から原則6月後です)。
- 出願人の請求により、国際登録後の即時公表又は公表の時期を選択することも可能です。
4. 権利発生(拒絶の通報)
(1) 拒絶の通報
- 指定国の官庁は、国際登録の対象である意匠が自国の法令に基づく実体的な保護の要件を満たしていない場合に、その国際登録に基づく保護の効果を拒絶することが認められています。
- 拒絶の通報が可能な期間は、国際公表から6月又は12月以内です。
- 拒絶の通報は、国際登録簿に記録され、その写しが国際登録の名義人に送付されます(国際事務局に対する代理人がいる場合には当該代理人宛てに送付)。
- 拒絶の通報を受けた国際登録の名義人には、当該指定国の正規の出願の場合と同じ救済手段が与えられます。
(2) 保護付与の声明
- 拒絶の通報を行わない場合、指定国の官庁は、その国で意匠権を生じさせるために、国際事務局に対して保護の付与の声明を行うことが可能です。
(3) 拒絶の通報の後に行う保護の付与の声明
- 指定国の官庁に対する意見の提出や補正手続等により、拒絶の理由が解消した場合にも、拒絶の通報を行った官庁は、その国で意匠権を生じさせるために、国際事務局に対して保護の付与の声明を行うことが可能です。
- 保護の付与の声明ではなく、拒絶の取下げの通報として行われる場合もあります。
5. 維持管理
(1) 登録更新
- 国際登録は、国際登録の日から当初5年間有効であり、その後、更新手続により5年ごとの延長(複数回)が可能です。
- 更新を望む指定国及び意匠数により、手数料額は異なります。
(2) 所有権変更、放棄・限定等
- 国際登録に含まれる指定国(複数)の一部又は全部、意匠(複数)の一部又は全部について、国際登録の所有権の変更が可能です。
- 指定国(複数)の一部又は全部についての、国際登録の放棄、国際登録の対象である一又は二以上の意匠への限定が可能です。
- 国際登録の名義人の氏名(名称)・住所(居所)の変更などが可能です。
指定官庁としての日本国特許庁への手続
1. 手続のポイント
- 手続は国際公表以後に可能となります。
- 手続書面は、国際登録の対象である意匠ごとに作成します。
- 書面(紙)による手続又は出願ソフトを利用したPDF形式による手続(電子特殊申請)が可能です。(書面(紙)による手続を行う場合でも電子化手数料は不要)。 なお、拒絶査定不服審判及び補正却下決定不服審判に係る手続はオンライン手続が可能です(審判手続を書面により行った場合は、電子化手数料が必要です)。
- 手続書面には、日本国特許庁が付与した出願番号を記載します。
- 書面記載の注意点(国内の意匠登録出願の手続書面との違い)
- 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所は、日本語表記と国際登録簿に記録された原語表記を併記します。
- 意匠に係る物品、意匠に係る物品の説明又は意匠の説明は英語で記載します。
- 日本国内に住所又は居所を有しない者は、意匠管理人を介して手続を行います。
- 国際登録の権利の承継や移転、出願人又は名義人の氏名・住所の変更の手続は、国際事務局に行います(日本国特許庁に対して行うことはできません)。
2. 中間書類記載上の注意点
- 必ず、【住所又は居所原語表記】及び【氏名又は名称原語表記】欄を作成し、国際登録簿に記録された住所又は居所、氏名又は名称と同一の内容を記載します。
- 識別番号を用いて【住所又は居所】の欄及びその記載を省略することはできません。
3. 新規性喪失の例外適用の申請
- 新規性喪失の例外適用の申請は、(1)国際出願の願書において、又は、(2)後日、日本国特許庁に対して行います。
- 新規性喪失の例外適用の申請に係る証明書の提出は、国際出願時にANNEX II:「Supporting Document(s) Concerning a Declaration to the Exception to Lack of Novelty(新規性喪失の例外に関する補足書類)」を用いて提出するか、国際公表から30日以内に日本国特許庁に対して行います。
4. 優先権主張
- 優先権主張は、国際出願の願書においてのみ可能です。
- 優先権主張に係る証明書は、国際出願時にANNEX V:「Supporting Document(s) Concerning Priority Claim(優先権主張に関する補足書類)」を用いて提出するか、国際公表から 3月以内に日本国特許庁に提出します。
5. 拒絶の通報への応答
- 拒絶の通報に対して意見がある場合は、意見書の提出が可能です。
- 手続補正書も提出可能です。指定期間は、拒絶の通報の発送の日から、出願人が国内居住者の場合は60日以内、海外居住者の場合は3月以内です。
6. 個別指定手数料返還請求
- 取下げ又は拒絶の場合には、個別指定手数料(登録料相当額)の返還請求が可能です。
- 取下げ又は拒絶の確定から6月以内に、日本国特許庁に個別指定手数料返還請求書を提出します。
7. 日本における意匠権の存続期間
- 国際登録を基礎とした意匠権の存続期間は、日本における意匠権の設定の登録の日からはじまり、国際登録の日から25年で終了します。(国際登録日が2020年3月31日までの出願は、日本における設定登録の日から20年で終了。)
- ただし、5年ごとに国際事務局に対して国際登録の更新手続を行うことが条件です。
[更新日 2023年12月25日]
お問い合わせ
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<国際出願実務について>
特許庁 国際意匠・商標出願室 ハーグ担当
電話:03-3581-1101 内線2683
<制度概要、審査実務について>
特許庁 意匠課 意匠制度企画室
電話:03-3581-1101 内線2934
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