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英国のEU離脱(ブレグジット)による特許・商標・意匠等への影響

2021年6月15日

2020年12月31日に、英国のEU離脱(ブレグジット)後の移行期間が終了し(離脱協定第126条参照)、2021年1月1日に、EUの知的財産制度からの円滑な離脱を確保するために英国の知的財産法が変更されるところ、英国知的財産庁(UKIPO)は、2020年10月28日以降、主な変更点の概要を順次公表・更新しております。

移行期間中は、EU法が引き続き英国において効力を有していましたが、移行期間終了後、英国はEUの知的財産制度から離脱しました。英国のEU離脱による特許・商標・意匠への影響は、以下をご覧ください。

本ページの内容は、特許庁の各国における知的財産権制度基盤整備事業による日本貿易振興機構(ジェトロ)の記事(下記リンク)に基づいております。詳細はそちらをご覧ください。

特許

欧州特許庁(EPO)はEUの機関ではないため、英国のEU離脱は現在の欧州特許制度には影響を与えない。英国をカバーする既存の欧州特許も影響を受けない。

英国に拠点を置く欧州特許弁理士は、引き続きEPOに対して出願を代理できる。

商標

移行期間の終了の日(2020年12月31日)よりも後、登録済みのEU商標、及びEUを指定して保護された商標の国際登録の効果は、英国においては有効ではなくなるが、同等の英国商標がUKIPOにより付与される。また、移行期間の終了の日(2020年12月31日)までに登録されていないEU商標及びEUを指定した商標の国際登録について、出願人は、2021年1月1日の後9か月以内に同等の英国商標を登録するために出願でき、係属中のEU商標出願又はEUを指定した国際登録出願の先の出願日を維持する。この場合、通常の英国の料金体系が適用される。(離脱協定第54、56、59条)

詳細は「Brexitの移行期間終了後の知的財産制度に関するEU及び英国政府の動向(ジェトロ、2020年12月26日)(PDF形式)(外部サイトへリンク)」を参照。

意匠

移行期間の終了の日(2020年12月31日)よりも後、登録共同体意匠、非登録共同体意匠、及びEUを指定して保護された意匠の国際登録の効果は、英国においては有効ではなくなるが、これらの意匠に係る権利は、同等の英国の権利(再登録英国意匠、継続非登録意匠、及び、再登録国際意匠)として保護される。また、移行期間の終了の日(2020年12月31日)までに登録されていない又は公告が延期されていた登録共同体意匠及びEUを指定した意匠の国際登録について、出願人は、2021年1月1日の後9か月以内に同等の英国意匠を登録するために出願でき、係属中の登録共同体意匠出願又はEUを指定した国際出願の先の出願日を維持する。この場合、通常の英国の料金体系が適用される。(離脱協定第54、56、57、59条)

詳細は「Brexitの移行期間終了後の知的財産制度に関するEU及び英国政府の動向(ジェトロ、2020年12月26日)(PDF形式)(外部サイトへリンク)」を参照。

英国における商標及び意匠登録の確認方法

英国における商標及び意匠登録の詳細は、英国政府HPのSearch for a trade mark(外部サイトへリンク)Find a registered design(外部サイトへリンク)でそれぞれ確認することができる。

商標

登録済みのEU商標又はEUを指定して保護された商標の国際登録に対して、対応する権利が、それぞれ、UKIPOにより以下の方法で新しい番号が付与され、英国において再登録されている。

  • 登録済みのEU商標に対応する同等の英国商標
    既存のEU商標番号の下8桁の先頭に「UK009」を付した番号
  • EUを指定して保護された商標の国際登録に対応する同等の英国商標
    EUを指定した既存の国際登録番号の先頭に「UK008」を付した番号

意匠

登録共同体意匠又はEUを指定して保護された意匠の国際登録に対して、対応する権利が、それぞれ、UKIPOにより以下の方法で新しい番号が付与され、英国において再登録されている。

  • 登録共同体意匠に対応する同等の英国意匠(再登録英国意匠)
    既存の欧州共同体登録意匠番号の先頭に「9」を付して14桁とした番号
  • EUを指定して保護された意匠の国際登録に対応する同等の英国意匠(再登録国際意匠)
    EUIPOの提供するDesignViewで表示される11桁の登録番号(先頭文字「D」1桁+国際登録番号6桁+意匠番号4桁)の先頭の「D」を「8」に変え、末尾に「0(ゼロ)」を3つ追加して14桁とした番号

詳細は英国政府HPの「Retaining protection in the UK for EU Intellectual Property rights (外部サイトへリンク)」を参照。

代理人の使用及び代理するための住所要件

2021年1月1日以降、英国の代理人は、欧州連合知的財産庁(EUIPO)での新しい出願又は新しい手続について依頼人を代理することができなくなる。英国の所有権者は、EUIPOに対する新しい出願及び手続について本人を代理させるためには欧州経済領域(EEA)の代理人を選任する必要がある。

ただし、離脱協定は、移行期間の終了時に継続している場合(手続)については、英国の代理人が引き続きEUIPOに対して依頼人を代理できることを保障している(離脱協定第97条)。

移行期間の終了後、UKIPOは、EUIPOの職業代理人の名簿に追加される代理人の認定を提供しなくなる。EUIPOは、英国の認定に基づいて代理人を名簿に追加しなくなる。

英国の送達宛先(UK Address for Service (AfS))

2021年1月1日から、英国、ジブラルタル又は及びチャンネル諸島の送達宛先のみが、UKIPOに対する新たな出願及び係争手続を開始するための新たな請求に関して、認められることになる。

当該変更は、全ての登録知的財産権(特許、商標及び意匠)に適用される。

知的財産権の消尽

移行期間後に権利者によって又は権利者の許可を得て英国市場に置かれた商品の知的財産権は、EEAでは消尽したと認められない可能性があり、知的財産権で保護された商品を英国からEEAに並行輸出する企業は権利者の同意を必要とする可能性がある。

移行期間後に権利者によって又は権利者の許可を得てEEA市場に置かれた商品の知的財産権は、英国では引き続き消尽したと認められることになり、EEAから英国への並行輸入は影響を受けないことになる。

英国のEU離脱関連情報

更新履歴

2021年6月15日追加

  • 「英国における商標及び意匠登録の確認方法」を追加する等の修正を行いました。

2021年1月15日追加

2020年8月19日追加

2020年7月28日追加

[更新日 2024年2月19日]

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特許庁総務部国際政策多国間政策第一班

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