第Ⅱ部 明細書及び特許請求の範囲 第1章 発明の詳細な説明の記載要件
特許制度は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的としている(特許法第1条)。
すなわち、特許制度は、新しい技術を開発し、それを公開した者に対し、一定期間、一定条件下に特許権という独占権を付与することにより発明の保護を図り、他方、第三者に対しては、この公開により発明の技術内容を知らせて、その発明を利用する機会を与えるものである。そして、発明のこのような保護及び利用は、発明の技術的内容を公開するための技術文献及び特許発明の技術的範囲を明示する権利書としての使命を持つ明細書、特許請求の範囲及び図面を介してなされることになる。
特許法第36条第4項は、明細書の発明の詳細な説明の記載要件を規定しており、同項第1号は主に、明細書が技術文献としての役割を果たすために必要な事項を規定したものである。発明の詳細な説明の記載が明確になされていないときは、発明の公開の意義も失われ、ひいては、上記のような特許制度の目的も失われてくることになる。その意味で、本項は極めて重要な規定である。
同号には「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(注)がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。」と規定されている。同号のうち、「経済産業省令で定め」られている要件を委任省令要件(「第2節 委任省令要件」参照)といい、また同号のうち、「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」を実施可能要件という。この節では、実施可能要件について取り扱う。
(注)この部において、「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者」(以下この部において「当業者」という。)とは、請求項に係る発明の属する技術分野の出願時の技術常識を有する、以下の(ⅰ)及び(ⅱ)の条件を備えた者として、想定された者である。
(ⅰ)研究開発(文献解析、実験、分析、製造等を含む。)のための通常の技術的手段を用いることができること。
(ⅱ)材料の選択、設計変更等の通常の創作能力を発揮できること。
第36条第4項第1号は、「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」と規定しているが、ここにおける「その実施」とは、請求項に係る発明の実施のことである。
したがって、請求項に係る発明以外の発明について実施可能に発明の詳細な説明が記載されていないこと又は請求項に係る発明を実施するために必要な事項以外の余分な記載があることのみでは、実施可能要件違反とはならない。
また、どのようにすれば実施できるかを見いだすために、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤、複雑高度な実験等をする必要がある場合も、当業者がどのように実施するかを理解できるとはいえないので、当業者が実施することができる程度に発明の詳細な説明が記載されていないことになる。
(注)「技術常識」とは、当業者に一般的に知られている技術(周知技術及び慣用技術を含む。)又は経験則から明らかな事項をいう。したがって、技術常識には、当業者に一般的に知られているものである限り、実験、分析、製造の方法、技術上の理論等が含まれる。当業者に一般的に知られているものであるか否かは、その技術を記載した文献の数のみで判断されるのではなく、その技術に対する当業者の注目度も考慮して判断される。
「周知技術」とは、その技術分野において一般的に知られている技術であって、例えば、以下のようなものをいう。
「慣用技術」とは、周知技術であって、かつ、よく用いられている技術をいう。
実施例を用いなくても、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて発明を実施できるように発明の詳細な説明を記載することができる場合は、実施例の記載は必要ではない。
審査官は、請求項に係る発明のカテゴリー(注)を把握した上で、発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たすか否かを判断する。
(注)発明のカテゴリーには、物の発明、方法の発明及び物を生産する方法の発明の三種類がある(第2条第3項)。
物の発明について実施をすることができるとは、その物を作れ、かつ、その物を使用できることである。よって、「発明の実施の形態」は、これらが可能となるように(具体的には、以下の(1)から(3)までの要件を満たすように)記載されなければならない。
この要件を満たすためには、当業者にとって一の請求項から発明が把握でき(すなわち、請求項に係る発明が認定でき)、その発明が発明の詳細な説明の記載から読み取れなければならない。
例えば、化学物質の発明の場合には、化学物質そのものが化学物質名又は化学構造式により示されていれば、通常、発明は明確に説明されていることになる。
また、請求項に係る物の発明を特定するための事項(注)の各々は、相互に矛盾せず、全体として請求項に係る発明を理解し得るように発明の詳細な説明に記載されていなければならない。
(注)「発明を特定するための事項」とは、「出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項」(「第2章第1節 特許法第36条第5項」参照)のことである。以下この部において「発明特定事項」という。
なお、物の発明についての発明特定事項として、物の形状、構造、組成等(以下この部において「構造等」という。)の具体的な手段を用いるのではなく、その物が有する作用、機能、性質又は特性(以下この部において「機能、特性等」という。)を用いることができるが、この場合においても、発明の詳細な説明においては、物の構造等の具体的な手段が記載されていなければならない。ただし、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき、当業者がその機能、特性等を有する具体的な手段を理解できる場合を除く。
物の発明については、当業者がその物を作れるように記載されなければならない。このためには、発明の詳細な説明において、作り方が具体的に記載されなければならない。ただし、具体的な記載がなくても、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき、当業者がその物を作れる場合を除く。
機能、特性等によって物を特定しようとする記載を含む請求項において、その機能、特性等が標準的なものでなく、しかも当業者に慣用されているものでもない場合は、当該請求項に係る発明について実施可能に発明の詳細な説明を記載するためには、その機能、特性等の定義又はその機能、特性等を定量的に決定するための試験方法又は測定方法を示す必要がある。
なお、物の有する機能、特性等からその物の構造等を予測することが困難な技術分野において、機能、特性等で特定された物のうち、発明の詳細な説明に具体的に製造方法が記載された物及びその物から技術常識を考慮すると製造できる物以外の物について、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても、どのように作るか理解できない場合(例えば、そのような物を作るために、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤、複雑高度な実験等をする必要がある場合)は、実施可能要件違反となる。
発明の詳細な説明には、実施例として、新規なR受容体活性化化合物X、Y及びZの化学構造及び製造方法が記載されているが、それ以外の化合物については化学構造も製造法も記載されてなく、かつ、化学構造等を推認する手掛かりもない。
また、当業者がその物を作るために必要であるときは、物の発明についての発明特定事項の各々がどのような働き(役割)をするのか(すなわち、その作用)についても記載されなければならない。
他方、実施例として示された構造等についての記載や出願時の技術常識から当業者がその物を作れる場合には、審査官は、作り方の記載がなくても実施可能要件違反とはしない。
物の発明については、当業者がその物を使用できるように記載されなければならない。そのためには、発明の詳細な説明において、どのように使用できるかについて、具体的に記載されなければならない。ただし、具体的な記載がなくても、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき、その物を使用できる場合を除く。
例えば、化学物質の発明の場合において、その化学物質を使用できることを示すためには、一つ以上の技術的に意味のある特定の用途が記載される必要がある。
なお、化学物質に関する技術分野のように、一般に物の構造や名称からその物をどのように作り、どのように使用するかを理解することが比較的困難な技術分野に属する発明の場合に、当業者がその発明の実施をすることができるように発明の詳細な説明を記載するためには、通常、一つ以上の代表的な実施例が必要である。また、用途発明(例:医薬)においては、通常、用途を裏付ける実施例が必要である。
また、物の発明について、当業者がその物を使用するために必要であるならば、物の発明についての発明特定事項の各々がどのような働き(役割)をするのか(すなわち、その作用)についても記載されなければならない。
他方、実施例として示された構造等についての記載や出願時の技術常識から当業者がその物を使用できる場合には、審査官は、使用方法の記載がなくても実施可能要件違反とはしない。
方法の発明について実施をすることができるとは、その方法を使用できることである。よって、「発明の実施の形態」は、それが可能となるように(具体的には、以下の(1)及び(2)の要件を満たすように)記載されなければならない。
この要件を満たすためには、一の請求項から発明が把握でき(すなわち、請求項に係る発明が認定でき)、その発明が発明の詳細な説明の記載から読み取れなければならない。
物を生産する方法以外の方法(いわゆる単純方法)の発明には、物の使用方法、測定方法、制御方法等、様々なものがある。そして、いずれの方法の発明についても、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき、当業者がその方法を使用できるように記載されなければならない。
方法の発明が「物を生産する方法」に該当する場合は、「その方法を使用できる」というのは、その方法により物を生産できることである。よって、それが可能となるように(具体的には、以下の(1)及び(2)の要件を満たすように)「発明の実施の形態」が記載されなければならない。
この要件を満たすためには、一の請求項から発明が把握でき(すなわち、請求項に係る発明が認定でき)、その発明が発明の詳細な説明の記載から読み取れなければならない。
物を生産する方法の発明には、物の製造方法、物の組立方法、物の加工方法等の発明がある。いずれも、(ⅰ)原材料、(ⅱ)その処理工程及び(ⅲ)生産物の三つから成る。そして、物を生産する方法の発明については、当業者がその方法により物を生産できなければならないから、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき当業者がその物を生産できるように、原則として、これら三つが記載されなければならない。
ただし、これら三つのうち生産物については、原材料及びその処理工程についての記載から当業者がその物を理解できる場合には、生産物についての記載はなくてもよい。例えば、単純な装置の組立方法であって、部品の構造が処理工程中に変化しないもの等がこの場合に該当する。
請求項には、「合成樹脂を成型し、次いでひずみの是正処理を行う合成樹脂成型品の製造方法」に関して記載されているが、発明の詳細な説明には実施の形態として、熱可塑性樹脂を押し出し成型し、得られた成型品を加熱して軟化させることによってひずみを除去するもののみが記載されている。この場合において、その加熱による処理方法は、熱硬化性樹脂からなる成型品については不適切と認められる(例えば、熱硬化性樹脂は熱によって軟化するものではないとの技術的事実から、実施例記載の方法ではひずみが除去できないとの合理的推論が成り立つ)とき。
請求項には「物体側から順に正、負、正のレンズからなるレンズタイプを採用したレンズ系であって、像高hにおける歪曲収差がX%以内となるように収差補正された一眼レフ用写真レンズ系」が記載されており、発明の詳細な説明には、当該収差補正を可能とするための各レンズの屈折率等についての特定の数値例又はこれに加えて特定の条件式のみが実施の形態として記載されている。
そして、レンズの技術分野においては、特定の収差補正を実現できる数値例等は一般に特異点であるとの技術的事実が知られており、しかも、その特定の数値例、条件式その他の記載が、一般的な製造条件等を教示していないため、当業者に一般的に知られている実験、分析、製造等の方法を考慮しても、請求項に係る発明に含まれる他の部分についてどのように実施するかを当業者が理解できないとの合理的推論が成り立つ。
審査官は、発明の詳細な説明の記載が、第36条第4項第1号における実施可能要件を満たしていないと判断した場合は、その旨の拒絶理由通知をする。審査官は、拒絶理由通知書において、当業者が実施をすることができない発明を特定する請求項を明示するとともに、実施可能要件違反であって委任省令要件違反ではないことを明らかにする。審査官は、実施可能要件違反となる原因が発明の詳細な説明又は図面中の特定の記載にある場合は、これを指摘する。審査官は、実施可能要件に違反すると判断した根拠(例えば、判断の際に特に考慮した発明の詳細な説明の記載箇所及び出願時の技術常識の内容等)を示しつつ、実施可能でないと判断した理由を具体的に説明する。また、可能な限り、出願人が拒絶理由を解消するための補正の方向について理解するための手掛かり(実施可能であるといえる範囲等)を記載する。
例えば、理由を具体的に説明せず、以下の(ⅰ)又は(ⅱ)のように拒絶理由を記載することは、出願人が有効な反論をしたり、拒絶理由を解消するための補正の方向を理解したりすることが困難になる場合があるため、適切でない。
さらに、拒絶理由は、できる限り文献を引用して示すことが好ましい。この場合の文献は、原則として、出願時において当業者に知られているものに限る。ただし、明細書又は図面の記載内容が、当業者が一般に正しいものとして認識している科学的又は技術的事実と反することにより実施可能要件違反が生じていることを指摘するために引用し得る文献には、後願の明細書、実験成績証明書、特許異議申立書、出願人が他の出願において提出した意見書等も含まれる。
実施可能要件は、当業者が請求項に係る発明を実施することができる程度に、発明の詳細な説明に必要な事項を明確かつ十分に記載することについての記載要件である。特許制度は発明を公開した者にその代償として一定期間一定の条件で独占権を付与するものであるが、発明の詳細な説明の記載が、当業者が請求項に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分になされていない場合は、当業者がその発明を実施することができず、発明の公開の意義も失われることになる。実施可能要件は、このことを防止するためのものである。
他方、サポート要件は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであることについての記載要件である。発明の詳細な説明に記載していない発明を特許請求の範囲に記載してもよいこととなれば、公開されていない発明について特許権が付与されることになる。サポート要件は、このことを防止するためのものである。
このように、両要件は、その内容及び趣旨が異なるものである。したがって、審査官は、実施可能要件に違反すれば必ずサポート要件に違反するものではなく、またサポート要件に違反すれば必ず実施可能要件に違反するものではない点に留意すべきである。
出願人は、実施可能要件違反の拒絶理由通知に対して、意見書、実験成績証明書等により反論、釈明等をすることができる。
例えば、出願人は、審査官が判断の際に特に考慮したものとは異なる出願時の技術常識等を示しつつ、そのような技術常識等を考慮すれば、発明の詳細な説明は、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえることを、意見書において主張することができる。また、出願人は、実験成績証明書により、このような意見書の主張を裏付けることができる。
ただし、発明の詳細な説明の記載が不足しているために、出願時の技術常識を考慮しても、発明の詳細な説明が、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない場合には、出願後に実験成績証明書を提出して、発明の詳細な説明の記載不足を補うことにより、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであると主張したとしても、拒絶理由は解消されない。
反論、釈明等(4.2参照)により、発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たすとの心証を、審査官が得られる状態になった場合は、その拒絶理由は解消する。そうでない場合は、実施可能要件違反の拒絶理由に基づき、拒絶査定をする。
請求項がマーカッシュ形式で記載されており、発明の詳細な説明に一部の選択肢についての実施の形態のみが実施可能に記載されている場合であって、残りの選択肢については、その一部の選択肢についての実施の形態のみでは当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識(実験や分析の方法等も含まれる点に留意。)を考慮しても実施できる程度に説明がされているとはいえない具体的な理由があるときは、実施可能要件違反となる。
例:請求項には置換基(X)としてCH3、OH、COOHが択一的に記載された置換ベンゼンの原料化合物をニトロ化してパラニトロ置換ベンゼンを製造する方法が記載されているが、発明の詳細な説明には、実施例として原料化合物がトルエン(XがCH3)の場合のみが示されている。この場合において、その方法では、CH3とCOOHとの著しい配向性の相違等の技術的事実からみて、原料が安息香酸(XがCOOH)の場合についてはパラニトロ置換ベンゼンを製造することができない、との合理的推論が成り立つとき。
請求項が達成すべき結果によって物を特定しようとする記載を含んでおり、発明の詳細な説明に特定の実施の形態のみが実施可能に記載されている場合であって、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識(実験や分析の方法等も含まれる点に留意。)を考慮しても、請求項に係る発明に含まれる他の部分についてはその実施をすることができないとする十分な理由があるときには、実施可能要件違反となる。
例:請求項には「X試験法によりエネルギー効率を測定した場合に、電気で走行中のエネルギー効率がa~b%であるハイブリッドカー」が記載されており、発明の詳細な説明中には、そのようなハイブリッドカーとして、上記エネルギー効率を得るために特定の制御手段を備えた実施の形態のみが実施可能に記載されている。
そして、ハイブリッドカーの技術分野においては、通常、上記エネルギー効率はa%よりはるかに低いx%程度であって、a~b%なる高いエネルギー効率を実現することは困難であることが技術常識であり、しかも、上記特定の制御手段を備えたハイブリッドカーに関する記載が上記高いエネルギー効率を実現するための一般的な解決手段を教示していないため、この技術分野における一般的技術を考慮しても、請求項に係る発明に含まれる他の部分についてどのように実施するかを当業者が理解できないとの合理的推論が成り立つ。
次に掲げる場合において、発明の詳細な説明の記載が当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないときは、実施可能要件違反となる(実施可能要件違反であるか否かは、3.及び5.に従って判断する。)。
第36条第4項第1号で委任する経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)では、発明がどのような技術的貢献をもたらすものであるかが理解でき、また審査及び調査に役立つように、発明が解決しようとする課題、その解決手段などの、「当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項」を、明細書の発明の詳細な説明に記載すること(以下この章において「委任省令要件」という。)が規定されている。
発明をするということは技術的思想を創作することであるから、出願時の技術水準に照らして発明がどのような技術上の意義を有するか(どのような技術的貢献をもたらしたか)を理解できるように、発明の詳細な説明に記載されることが重要である。そして、発明の技術上の意義が理解されるためには、どのような技術分野において、どのような未解決の課題があり、それをどのようにして解決したかという観点からの記載が発明の詳細な説明においてされることが、有用である。
また、技術開発のヒントを得ること又は有用な特許発明を利用することを目的として特許文献を調査する場合には、解決しようとしている課題に着目すれば容易に調査をすることができる。さらに、発明の進歩性の有無を判断する場合には、解決しようとする課題が共通する先行技術文献が公知であればその発明の進歩性が否定される根拠となり得るが、審査の対象となっている出願の発明の詳細な説明にも先行技術文献にもこのような課題が記載されていれば、その判断が出願人及び第三者にも容易になる。
このような趣旨により、委任省令要件についての規定が設けられている。
発明の詳細な説明には、発明の属する技術分野として、請求項に係る発明が属する技術分野が少なくとも一つ記載されていることが、通常、求められる。
ただし、発明の属する技術分野についての明示的な記載がなくても、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、当業者が発明の属する技術分野を理解することができる場合は、発明の属する技術分野の記載は求められない。
また、従来の技術と全く異なる新規な発想に基づき開発された発明のように、その発明の属する技術分野について、既存の技術分野が想定されていない場合は、その発明により開拓された新しい技術分野の記載で足り、既存の技術分野についての記載は求められない。
また、発明の詳細な説明には、「その解決手段」として、請求項に係る発明によってどのように課題が解決されたかについて記載されていることが、通常、求められる。
なお、このように、課題が想定されていない場合は、その課題を発明がどのように解決したか(解決手段)の記載も求められない。「その解決手段」は、課題との関連において初めて意義を有するものであり、課題が認識されなければ、その課題を発明がどのように解決したかは認識されないからである。
他方、委任省令要件が規定されている趣旨は、発明の技術上の意義を明らかにし、審査、調査等に役立てるというものである。
したがって、委任省令要件については以下のように取り扱う。
また、発明の属する技術分野について、既存の技術分野が想定されていない場合には、請求項に係る発明の属する新規な技術分野が記載されていれば足りる。
例えば、発明特定事項に数式又は数値を含む場合であって、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、発明の課題とその数式又は数値による特定との実質的な関係を理解することができず、発明の課題の解決手段を理解できない場合には、発明の技術上の意義が不明であり、委任省令要件違反に該当する。
従来技術を記載することは委任省令要件には含まれない。しかし、従来技術の記載から、発明の属する技術分野又は発明が解決しようとする課題が理解できる場合は、従来技術の記載は、発明の属する技術分野又は発明が解決しようとする課題の記載に代わるものとなる。
請求項に係る発明が従来技術との関連において有する有利な効果を記載することは、委任省令要件には含まれない。しかし、有利な効果の記載から、発明が解決しようとする課題が理解できる場合は、その記載は発明の解決しようとする課題の記載に代わるものとなる。
審査官は、発明の詳細な説明の記載が、第36条第4項第1号における委任省令要件を満たしていないと判断した場合は、その旨の拒絶理由通知をする。この場合には、請求項を特定し、拒絶理由が委任省令要件違反であって実施可能要件違反ではないことを明らかにするとともに、委任省令の規定により記載が必要な事項(2.(1)参照)のいずれについての不備であるかを示して拒絶理由通知をする。
出願人は、委任省令要件違反の拒絶理由通知に対して、例えば、手続補正書、意見書等により、審査官が認識していなかった従来技術等を明らかにして、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、請求項に係る発明が属する技術分野並びに発明が解決しようとする課題及びその解決手段を理解することができる旨の反論、釈明等をすることができる。また、実験成績証明書によりこのような反論、釈明等を裏付けることができる。
ただし、発明の詳細な説明の記載が不足しているために、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、発明が解決しようとする課題及びその解決手段を理解できるとはいえない場合がある。このような場合は、出願後に実験成績証明書を提出して、発明の詳細な説明の記載不足を補うことによって、発明が解決しようとする課題及びその解決手段を理解することができたと主張したとしても、拒絶理由は解消されない。
反論、釈明等(3.2参照)により、発明の詳細な説明の記載が委任省令要件を満たすとの心証を、審査官が得られる状態になった場合は、拒絶理由は解消する。そうでない場合は、委任省令要件違反の拒絶理由に基づき、拒絶査定をする。
特許法第36条第4項第2号は、文献公知発明(注)のうち、特許を受けようとする者(以下この節において「出願人」という。)が特許出願の時に特許を受けようとする発明に関連する発明を知っている場合には、その関連する発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在(以下この節において「先行技術文献情報」という。)を発明の詳細な説明に記載しなければならない旨(以下この節において「先行技術文献情報開示要件」という。)を規定している。
先行技術文献情報は、特許を受けようとする発明が出願時の技術水準に照らしてどのような技術上の意義を有し、どのような技術的貢献をもたらしたかを把握する際に必要となるものである。そして、先行技術文献情報は、審査官が特許を受けようとする発明の新規性及び進歩性について判断する際に必要となるものである。したがって、先行技術文献情報が記載されることは、迅速な審査に寄与するものである。また、その情報が明らかになることにより、特許を受けようとする発明と先行技術との関係の的確な評価ができるので、権利の安定化にも資することになる。このような趣旨により、同号に先行技術文献情報開示要件が規定されている。
先行技術文献情報開示要件違反は、直ちに拒絶理由になるのではなく、第48条の7に基づく先行技術文献情報開示要件違反の通知(以下この節において「第48条の7の通知」という。)をした場合であって、発明の詳細な説明の記載が依然としてこの要件を満たしていないときに拒絶理由となる(第49条第5号)。
第48条の7は、発明の詳細な説明の記載が先行技術文献情報開示要件を満たしていないと審査官が判断したときに、その旨の通知をすることができることを規定したものである。第48条の7の通知は、一律にされるのではなく、審査官が必要と認めた場合にのみ行われる。これは、先行技術文献開示要件に違反しているとしても、発明に実体的に不備があるわけではなく、そのまま特許されたとしても直接的に第三者の利益を著しく害することにはならないからである。また、先行技術文献開示要件以外の要件に関する拒絶理由がない出願に対しても、必ず第48条の7の通知をしなければならないとすれば、迅速な審査の実現を主な目的として規定された第36条第4項第2号の趣旨にかえって反することにもなりかねないからである。
(注)「文献公知発明」とは、「先行技術」のうち、第29条第1項第3号に該当する発明をいう(第36条第4項第2号括弧書き)。なお、「先行技術」とは、この章において、第29条第1項各号に該当する発明を意味し、特許出願の時に公開されていないものは含まれない。
先行技術のうち、先行技術文献情報が開示されるべき発明(2.1参照)に関する先行技術文献情報が、発明の詳細な説明に記載されている必要がある(2.2参照)。
先行技術文献情報が開示されるべき発明とは、以下の2.1.1から2.1.4までの全てを満たすものである。
文献公知発明には、公然知られた発明(第29条第1項第1号)及び公然実施をされた発明(同項第2号)は含まれないことに、審査官は留意する。
新規性、進歩性及び先行技術文献情報開示要件の趣旨を踏まえると、特許を受けようとする発明に関連するものであれば、自然法則を利用した技術的思想の創作である「発明」(第2条第1項)に該当しないものであっても、その所在に関する情報が発明の詳細な説明に記載されなければならないと解することが妥当である。例えば、特許を受けようとする発明がビジネス関連発明である場合に、関連する文献公知のビジネス方法を出願人が知っている場合には、そのビジネス方法が記載された刊行物の名称が記載されなければならない。なお、審査の対象となっている特許出願(以下この部において「本願」という。)の出願時に未公開であるが、先になされた出願に記載された発明は、文献公知発明ではないため先行技術文献情報開示の対象ではないが、その発明が特許を受けようとする発明と関連する場合には、その出願番号が記載されることが望ましい。
特許を受けようとする発明とは、請求項に係る発明を意味する。
審査官は、文献公知発明が請求項に係る発明と「関連する」か否かは、以下の(ⅰ)から(iii)までの事項を勘案して判断する。
例えば、「…において、…を特徴とする…」という形式で記載されている請求項の「…において」の部分に相当する文献公知発明のように、請求項に係る発明の直接の前提となる文献公知発明は、通常、請求項に係る発明と関連する。
また、請求項に係る発明と関連性を有する技術の蓄積が少なく、技術分野及び課題が同一である等の直接的な関連を有する発明がない場合には、請求項に係る発明の技術的背景となる一般的技術水準を示す発明も、請求項に係る発明に関連する発明に含まれる。
例:請求項に係る発明と文献公知発明とが関連する場合の例請求項に係る発明が「特定のマグネシウム合金からなる筐体を有する携帯電話」に関するものであるのに対して、文献公知発明が「チタン合金からなる筐体を有する携帯電話」に関するものであって、両者が共に携帯電話の軽量化を課題としている場合
出願人が知っている発明としては、例えば、以下のものが挙げられる。
出願人は、通常、請求項に係る発明について発明者が知っている情報を把握していると考えられる。したがって、発明者が知っている発明は、出願人が知っているものと推定することができる。
出願人が複数の場合は、出願人のうち一人でも知っている文献公知発明は、出願人が知っているものに該当する。
特許出願の時に出願人が知っている文献公知発明があるときには、これに関する先行技術文献情報が記載されなければならない。特許出願の時に、請求項に係る発明に関連する文献公知発明を知らない出願人が、新たに先行技術調査をすることは要求されていない。
また、第36条第4項第2号は、出願人が特許出願後に知った文献公知発明について、補正によって発明の詳細な説明に追加することを求めてもいない。しかし、出願人がその特許出願後に知った文献公知発明について、迅速かつ的確な審査に資すると考える場合には、その発明に関する先行技術文献情報を補正により明細書に追加するか、上申書により提示することが望ましい。
下表の左欄に掲げる出願については、右欄に示す時に知っている文献公知発明があるときには、これに関する先行技術文献情報を記載しなければならない。分割出願、変更出願又は実用新案登録に基づく特許出願が特許出願の分割の要件、出願の変更の要件又は実用新案登録に基づく特許出願の要件を満たさないため、新たな特許出願の時にしたとされる場合には、出願人がその新たな出願の時に知っている文献公知発明が、特許出願の時に知っている発明である。
出願の種類 | 特許出願の時 |
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分割出願、変更出願又は実用新案登録に基づく特許出願 | 原出願の出願時(第44条第2項、第46条第6項又は第46条の2第2項) |
国内優先権の主張を伴う出願 | 本願の出願時(第41条第2項) |
パリ条約(又はパリ条約の例)による優先権の主張を伴う出願 | 本願(我が国への出願)の出願時 |
国際特許出願 | 国際出願日(第184条の3第1項) |
先行技術文献情報の記載としては、出願人が特許出願の時に知っている、請求項に係る発明に関連する文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在(文献公知発明を記載した刊行物及び電気通信回線を通じて得られる技術情報その他の情報についての書誌的事項)が記載されていれば足りる。その刊行物等の原本、写し等が提出される必要はない。
先行技術文献情報開示要件は発明の詳細な説明の記載要件であることから、先行技術文献情報は明細書の発明の詳細な説明に記載されなければならない。先行技術文献情報を記載した意見書、上申書等が提出されることで、先行技術文献情報開示要件が満たされるようにはならない。
請求項に係る発明に関連する文献公知発明が多数ある場合には、それらを全て記載するとかえって請求項に係る発明の理解に支障を来しかねず、先行技術文献情報開示要件が規定された趣旨に反することになる。したがって、そのうち関連性がより高いものを適当数記載することが望ましい。また、請求項に係る発明に関連しない文献公知発明は記載すべきではない。
出願当初に記載すべき先行技術文献情報がない場合には、発明の詳細な説明にその旨を理由を付して記載することが望ましい。例えば、出願人が知っている先行技術が文献公知発明に係るものではない場合(例えば、第29条第1項第2号に該当する発明、すなわち「公然実施された発明」の場合)には、その旨を記載する。なお、記載すべき先行技術文献情報がない旨及びその理由は、上申書によって示すこともできる。
先行技術文献情報を発明の詳細な説明に追加する補正は、新規事項を追加する補正には該当せず、適法な補正である。また、先行技術文献に記載された内容を発明の詳細な説明の【背景技術】の欄に追加する補正は、新規事項を追加する補正には該当せず、適法な補正である。しかし、請求項に係る発明との対比等、発明の評価に関する情報又は発明の実施に関する情報を付加したり、先行技術文献に記載された内容を追加して第36条第4項第1号の記載要件についての不備を解消したりする補正は、新規事項を追加する補正に該当し、不適法な補正である。
詳細については、「第IV部第2章 新規事項を追加する補正」の3.3.2(1)を参照。
以下の(ⅰ)及び(ⅱ)に該当する場合には、補正によって先行技術文献情報開示要件が満たされなくなる。この場合は、先行技術文献情報が補正により追加されなければ、先行技術文献情報開示要件は満たされない。
以下に、先行技術文献情報開示要件を満たさないと認められる代表的な場合を示す。
なお、明細書又は図面に従来技術として記載された発明については、出願人が特許出願の時に知っている発明として取り扱う。
請求項に係る発明と技術分野及び課題が同一の文献公知発明について広く一般に知られているにもかかわらず、請求項に係る発明と技術分野又は課題が異なる発明であって、請求項に係る発明と関連しないものに関する先行技術文献情報のみが記載されている場合
例3:請求項に係る発明とより関連性の高い、新しい文献公知発明が広く一般に知られているにもかかわらず、関連性がほとんどない、古い発明に関する先行技術文献情報が記載されている場合
先行技術文献情報開示要件違反は、直ちに拒絶理由に該当するのではない。第48条の7の通知をした場合であって、発明の詳細な説明の記載が依然としてこの要件を満たしていないときに拒絶理由となる(第49条第5号)。
ただし、第48条の7の通知は、この要件が迅速な審査の実現を主な目的として規定された趣旨に鑑み、一律になされるのではなく、審査官が必要と認めた場合にのみなされる。
第48条の7の通知は、基本的に、審査に際して有用である先行技術文献情報を得るために行うものである。したがって、原則として、一回目の拒絶理由通知の前にすることが適当である。
出願人は、第48条の7の通知に対して、補正書の提出によって先行技術文献情報を追加をする、又は意見書を提出して関連する文献公知発明を知らない旨の主張をすることができる。先行技術文献情報を追加する補正(2.3.1参照)をする際には、文献公知発明の内容と、請求項に係る発明と文献公知発明との間の一致点及び相違点等について説明した意見書とを併せて提出することが望ましい。
審査官は、提出された補正書又は意見書により、発明の詳細な説明における先行技術文献情報の記載が先行技術文献情報開示要件を満たすとの心証を得たときは、先行技術文献情報開示要件違反の拒絶理由はないものと判断して審査を進める。
他方、以下の(ⅰ)、(ⅱ)の場合等、補正書及び意見書を参酌しても、先行技術文献情報開示要件を満たさないとの心証が変わらないときは、審査官は次の3.2に従い先行技術文献情報開示要件違反の拒絶理由通知をすることができる(第49条第5号)。
第49条第5号は、第48条の7の通知をしたにもかかわらず先行技術文献情報開示要件を満たさない場合について規定したものであるから、第48条の7の通知をすることなく先行技術文献情報開示要件違反の拒絶理由通知をすることはできない。
新規性、進歩性等の特許要件についての審査をすることなく、先行技術文献情報開示要件違反の拒絶理由通知をする場合には、その旨を明記する。
出願人は、先行技術文献情報開示要件違反の拒絶理由通知に対して、補正書の提出によって先行技術文献情報を追加する、又は意見書を提出して関連する文献公知発明を知らない旨の主張をすることができる。先行技術文献情報を追加する補正(2.3.1参照)をする際には、文献公知発明の内容と、請求項に係る発明と文献公知発明との間の一致点及び相違点等について説明した意見書とを併せて提出することが望ましい。
審査官は、提出された補正書及び意見書により、発明の詳細な説明の記載が、先行技術文献情報開示要件を満たすとの心証を得たときは、その拒絶理由は解消したものと判断して審査を進める。
他方、以下の(ⅰ)、(ⅱ)の場合等、補正書及び意見書を参酌しても、先行技術文献情報開示要件を満たすという心証を得られない場合には、審査官は、先行技術文献情報開示要件違反の拒絶理由は解消されなかったものと判断して拒絶査定をする。
出願人による先行技術文献情報の記載要領は、以下のとおりである。
先行技術文献情報は、発明の詳細な説明に、先行技術文献情報ごとに行を改めて記載する。先行技術文献情報の前には、なるべく【先行技術文献】の見出しを付す。
その際に、(ⅰ)特許、実用新案又は意匠に関する公報の名称を記載しようとするときは、なるべく「【特許文献1】」、「【特許文献2】」のように、(ⅱ)定期刊行物やインターネットの情報等のその他の情報の所在を記載しようとするときは、なるべく「【非特許文献1】」、「【非特許文献2】」のように、記載する順序により連続番号を付した欄を設け、その欄ごとに先行技術文献情報のみを一件ずつ記載する。先行技術文献情報を記載する欄には、先行技術文献情報以外の事項を記載してはならない(4.2.2参照)。
【特許文献1】や【非特許文献1】の前には、それぞれなるべく【特許文献】や【非特許文献】の見出しを付す。
刊行物中の先行技術文献情報の記載箇所を特定できる場合には、先行技術文献情報を記載する欄に、ページ数、行数、段落番号、図番号等を記載することにより、その箇所を特定する。
先行技術文献情報に係る文献公知発明の内容、請求項に係る発明と文献公知発明との間の一致点、相違点等を記載する場合には、発明の詳細な説明の【背景技術】の欄に記載する。
先行技術文献情報に係る文献公知発明の内容等の記載において、先行技術文献情報について言及する場合には、先行技術文献情報を記載する欄の名称(【特許文献1】等)を用いることが望ましい(4.2.1参照)。
特許出願の時に未公開である先行出願に記載された発明を記載する場合には、その出願の出願番号を、発明の詳細な説明の【背景技術】の欄に記載する。
記載すべき先行技術文献情報がない旨及びその理由を記載する場合には、発明の詳細な説明の【背景技術】の欄に記載する。
【0001】
………………【0002】
従来の……は、……している(例えば、特許文献1(第5―7頁、第1図)参照)。
また、……しているものもある(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】【0003】
【特許文献1】特開2001―○○○○○○号公報
【非特許文献】【0004】
【非特許文献1】 ○○○○著、「△△△△△」××出版、2001年1月1日、p.12―34
【発明の概要】【0005】
………………【0001】
………………【0002】
従来の……は、……している。
【先行技術文献】【0003】
【特許文献1】
特開平5―○○○○○○号公報
上記文献には、……が記載されている。
【発明の概要】【0004】
……………… (説明)この例では、先行技術文献情報を記載すべき欄(【特許文献1】等の欄)の中に、先行技術文献情報の内容についての説明が記載されている。しかし、先行技術文献情報を記載する欄には、先行技術文献情報以外の事項を記載してはならない。先行技術文献情報の内容等について説明する場合には、【背景技術】に記載する。