AI関連発明の出願状況調査

2024年10月
特許庁 審査第四部 審査調査室
近年、深層学習(ディープラーニング)を中心に、AI(Artificial Intelligence;人工知能)関連の技術がめざましい発展をみせており、AI関連の特許出願も技術分野をまたがって増加しています。また、AI研究者がノーベル物理学賞及び化学賞を受賞するなど、AIが人類の発展に与える影響への注目も集まっています。今後もAI関連の技術開発や特許出願が多数見込まれるところ、国内外におけるAI関連の出願の現況を明らかにするための調査を実施し、2019年7月に調査結果を報告しました。
このたび、2021年までの出願データをもとに調査結果を更新しましたので以下のとおり報告いたします。
報告書のサマリ(詳細は報告書本体を参照してください)
- AIコア発明(FI: G06N)に加え、AIを各技術分野に適用したAI適用発明を「AI関連発明」と定義しました。2023年1月に新FIの付与が開始されましたので、昨年度までの公表数値と異なる場合があります。
- AI関連発明の出願件数は2014年以降急激に増加しており、2022年の出願件数は約10,300件でした。AI関連発明のうちFIとしてG06N(AIコア技術)が付与されている特許出願の2022年の出願件数は約3,000件であり、伸びはやや鈍化しましたが依然として増加傾向にあります(図1)。
- 近年では深層学習の中でもとりわけChatGPT等の「生成AI」が学術界の様々なタスクにおける評価対象になっているだけでなく、社会的な議論をも呼んでおり、今後のAI関連発明への影響も予想されます。
- AI関連発明の主分類として、G06N(AIコア技術)以外ではG06T,G06V(画像処理・認識)が最も多くなっています。また、「その他」にまとめられる主分類の数も増加傾向にあり、AI技術の適用先が拡大していることがうかがえます(図2)。
- CNNに言及するAI関連発明の出願件数は2014年以降増加を続けています。一方で、深層強化学習に言及するAI関連発明の出願件数は近年横ばいが続いています。また、トランスフォーマに言及するAI関連発明の出願件数は2020年に深層強化学習の特許出願を上回るなど増加傾向にあります(図3)。
- 日欧中韓においてG06N(AIコア技術)が付与されている出願件数が増加傾向にあることが分かります。特に、出願件数は中国が突出しており、五庁において主要な出願先となっています(図4)。
図1 AI関連発明の国内出願件数の推移
図2 AI関連発明の主分類内訳の推移(2022年の件数等を表記)
図3 個別の深層学習技術に言及するAI関連発明の出願件数の推移
図4 G06N(AIコア技術)が付与されている出願件数の推移
(各国2014年と2021年の出願件数を表記)
AI関連発明に関する参考情報
[更新日 2024年10月31日]
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