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平成20年6月
国際政策課
平成20年(2008年)7月1日に発効する特許協力条約規則、実施細則、運用の改正についてお知らせします。
※以下の4.優先権の回復請求手数料の支払期間の延長についての最新情報は、「正当な理由」による期間徒過後の救済について(令和5年3月31日以前に期間徒過した手続)を御覧ください。
主な改正内容は、1.手数料表の改訂、2.国際公開の中止、3.先の調査の結果の考慮、4.優先権の回復請求手数料の支払期間の延長、5.電子形式による国際出願とともに提出する変換前形式による書類、6.電子メールによる事前の通知、となります。
なお、本記事はあくまでPCT規則や実施細則、様式等の改正の概要を説明する趣旨です。実際には、日本国特許庁が実施しない改正も多く含まれていますので、個々の改正項目毎に日本国特許庁による実施の有無にご注意いただきつつご参照願います。
規則に附属する手数料表が以下のとおり改訂され、2008年7月1日以降に出願される国際出願に改訂された手数料表が適用されます。
(1)手数料表に掲げる国際出願手数料の額(スイスの通貨)が1,400スイスフランから1,330スイスフランに引き下げられました。
受理官庁としての日本国特許庁に対して国際出願をする場合は、以下のリンク先の日本円相当額を御確認ください。(リンク先「国際出願関係手数料」記事へ)
(2)所定の国(日本国は含まれません)の国民かつ居住者である出願人に対する国際出願手数料及び取扱手数料の減額率が引き上げられました。さらに、この減額の対象となる国に九カ国(アンティグア・バーブーダ、バーレーン、バルバドス、リビア、オマーン、セーシェル、シンガポール、トリニダード・トバゴ若しくはアラブ首長国連邦)が追加されました。
受理官庁により送付される国際出願は取り下げられたものとみなす旨の宣言の通告が国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局に到達した場合に、当該国際出願の国際公開が行われないことが、規則に明記されました。
この明確化の趣旨は、出願人が国際出願の国際公開を確実に中止させたい場合には、その旨の通知が国際事務局に対して、準備期限に間に合う様に送付される必要があることを確認する点にあります。国際公開の中止を希望する場合は、直接、国際事務局に対して出願の取下げ手続を期限内に行うことが一番確実ですが、受理官庁経由で行う場合には、今回の改正で明確化されたように受理官庁から国際事務局に対する通知送付に要する期間を考慮する必要があります。
さらに、各種手数料の未払いにより出願が取り下げられる結果として国際公開が中止されると出願人が期待する場合、受理官庁による手数料支払いに関する処理及びその後のみなし取下げに要する期間次第で、上記通知が国際事務局に送付されるタイミングが左右されることから、国際公開を中止させるためには、取下げ手続自体を行うことが推奨されます。詳細については、WIPOホームページ(PCTニュースレター(PCT Newsletter)2007年1月号実務アドバイス等)を御参照ください。
出願人は、出願人が選択する国際調査機関が国際調査を行うに当たり、当該国際調査機関が先に行った調査の結果だけではなく、他の国際調査機関又は他の国内官庁により行われた先の国際調査又は国内調査(「先の調査」)の結果についても考慮することを請求することができるようになります。また、国際調査機関がその先の調査結果を考慮した場合、国際調査機関は、調査手数料を払い戻すことができます。
ただし、日本国特許庁は、他庁が行った先の調査の結果の利用性についての分析がなされていないため、2008年7月1日以降、他庁が行った先の調査の結果を考慮することが請求されたとしても、国際調査手数料の払戻しは行いません。
なお、国際調査における先の調査の結果の利用について、不明な点がある場合には以下に御連絡ください。
日本国特許庁について:
特許庁特許審査第一部調整課審査基準室
電話:03(3581)1101 内線 3112
FAX:03(3580)8122
E-mail:お問い合わせフォーム(外部サイトへリンク)
また、国際調査機関としての欧州特許庁も、他の国際調査機関及び他の国内官庁が行った先の調査の結果の考慮が請求されたとしても国際調査手数料の払戻しは行わない模様です。詳しくは、2008年7月1日以降に以下リンク先にて御確認ください。
欧州特許庁について:
WIPOホームページ「WIPO公示 PCT公報(Official Notices PCT Gazette)」又は「PCT出願人の手引附属書D(PCT Applicant’s Guide Annex D)」(英語版)http://www.wipo.int/pct/en/(外部サイトへリンク)
先の調査結果の考慮を出願人が希望する場合には、国際出願時に、以下の手続上の要件を満たさなければなりません。
国際調査機関の判断により、出願人は次の書類の提出を求められることがあります。
ただし、提出を要求されない場合があります。
出願人が規則に基づき請求を行った場合には、国際調査機関は、
国際調査機関が国際調査を行うに当たり、上記(3)に基づいて先の調査の結果を考慮する場合、当該国際調査機関は、国際出願について支払われた調査手数料を、国際事務局と当該国際調査機関との間の取決めで定める範囲及び条件により払い戻します。
ただし、日本国特許庁は、他庁が行った先の調査の結果の利用性についての分析がなされていないため、2008年7月1日以降、他庁が行った先の調査の結果を考慮することが請求されたとしても、国際調査手数料の払戻しは行いません。
また、国際調査機関としての欧州特許庁も他の国際調査機関及び国内官庁が行った先の調査の結果を考慮するよう請求があったとしても、国際調査手数料の払戻しは行わない模様です。
優先権の回復請求手数料の支払期間は、優先期間の満了の日から2箇月と現状は規定されていますが、規則改正の結果、この期間の満了後2箇月まで、各受理官庁の選択により延長することができるようになりました。
なお、受理官庁としての日本国特許庁は、優先権回復に関する規定が国内法令に適合しないため、経過規定を適用し、優先日から12箇月経過後の優先権の回復を認めない旨を国際事務局に通報しています。
特定の受理官庁に対する電子出願に関し、出願書類を作成した際の文書形式(「変換前形式」)(例.MS-WORD)から電子出願に認められる形式(例.XML又はPDF)に変換する過程において、国際出願のデータが偶発的に変更されてしまうということがありました。
実施細則第706号の改正により、出願人は国際出願とともに変換前形式による書類を提出することができます(ただし、受理官庁が認めるときであって、かつ、その変換前形式が受理官庁により認められているときに限ります)。
国際出願が、実際には、変換前形式による書類の完全かつ同一な写しではないことが判明した場合には、出願人は、優先日から30箇月以内に、受理官庁に対し当該国際出願を変換前形式による書類と一致させるよう訂正を請求することができます。
ただし、受理官庁としての日本国特許庁は、変換前形式による書類の提出を受け付けません。
2008年7月1日より、国際事務局は、出願人の承認があった場合に、出願人又は代理人の電子メールアドレスを使用して、国際出願に関する通知の写しを、事前に送付するサービスを開始します。
ただし、電子メールによる通知はあくまで事前連絡の位置付けであり、紙による正式な通知のみが引き続き法的な通知である点に変更はありません。したがって、この紙による通知書の発送日からのみ規則80に規定する期間が開始する点にも変更はありません。
国際事務局は、当面の間は特定の通知に限定して、この運用を開始する旨を告知しています。
他の受理官庁、国際調査機関及び国際予備審査機関も、自らの裁量で上記の電子メールによる事前の通知を行うことができます(特に、予備審査請求書においては、予備審査機関のみに対する使用の承認)。この事前の通知を行う官庁及び機関については、順次国際事務局から告知される予定です。
受理官庁、国際調査機関及び国際予備審査機関としての日本国特許庁は、電子メールアドレスを利用した通知の写しの事前送付は行いません。
なお、国際事務局から電子メールによる事前の通知を希望する場合は、その手続方法について以下にお問い合わせください。
また、この運用の詳細・注意点、並びに電子メールアドレス及びその使用承認の追加変更にかかる国際事務局に対する手続については、PCTニュースレター(PCT Newsletter)2008年5月号、6月号等、以下のWIPOホームページも御参照下さい。
最新の規則等や各種様式はWIPO国際事務局のウェブサイトを御参照ください。
[更新日 2024年6月17日]
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総務部国際政策課国際出願企画班 電話:03-3581-1101 内線2561 |