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令和5年4月
特許庁調整課審査基準室
特許法施行規則及び実用新案法施行規則の一部を改正する省令(令和4年2月25日経済産業省令10号)が公布され、令和4年4月1日に施行されました。
本省令改正により、施行後にする特許出願及び実用新案登録出願において、マルチマルチクレーム(注)は認められなくなりましたので、出願をする際にはご注意ください。また、請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれるか否かをチェックするためのツールも提供していますので、ご活用ください。
更新情報(令和5年4月28日)
・マルチマルチクレーム制限後の出願状況について
更新情報(令和4年7月4日)
・マルチマルチクレーム制限後の出願状況について
更新情報(令和4年3月23日)
・マルチマルチクレーム制限に関する改訂審査基準・説明資料の公表
・マルチマルチクレーム検出ツールVer1.1の提供
国際調和並びに審査処理負担及び第三者の監視負担の軽減の観点から、マルチマルチクレームを制限することを可能とするため、経済産業省令で定めるところにより特許請求の範囲の記載形式を規定する特許法第36条第6項第4号に基づき、同号が委任する特許法施行規則第24条の3について新たに第5号を設け、特許請求の範囲に、マルチマルチクレームを記載してはならない旨規定しました。また、実用新案法施行規則第4条においても同旨の改正を行いました。
なお、改正後の特許法施行規則第24条の3第5号は、施行後にする特許出願に適用され、施行前にした特許出願については適用されません。
※出願日が施行日前に遡及する分割出願等については適用ありません。また、国際出願日が施行日前であるPCT出願について、施行後に日本に国内段階移行する場合についても適用ありません。
※一方、優先日が施行日前であっても、出願日が施行日後となる優先権主張を伴う出願については、マルチマルチクレーム制限の対象となりますので、ご注意ください。
マルチマルチクレーム制限に伴う特許・実用新案審査基準の改訂の概要は、以下のとおりです。
※なお、PCT出願の国際段階については、施行前と同様に、マルチマルチクレームについても国際調査・国際予備審査の対象となります。
より適切にマルチマルチクレーム制限に対応いただけるよう、出願人及び代理人の皆様の便宜のために、マルチマルチクレーム検出ツールを提供しています。
出願前の未公開情報を多く扱うことが想定されますので、以下のリンクから、直接ダウンロードしてご活用ください。本ツールは、外部と通信することなく動作するため、オフライン環境でご利用いただくことが可能です。
ツールの更新(Ver.1.1)について(令和4年3月23日)。
一部検出できなかったマルチマルチクレームに対応して、検出精度を向上させました。
※圧縮ファイルのダウンロード後、解凍して「multimultichecker_ver_1_1.html」ファイルから実行ください。
マルチマルチクレーム制限後の出願状況は以下のとおりです。
特許出願全体に占めるマルチマルチクレームを含む出願の割合は、マルチマルチクレーム制限前は65%程度であったのに対して、制限直後は5%程度(令和4年4月出願分は6.0%、同年5月出願分は4.5%)、制限1年後は3%程度(令和5年2月出願分は2.9%、同年3月出願分は3.1%)(※1)に減少しています。また、実用新案登録出願全体に占めるマルチマルチクレームを含む出願の割合も、マルチマルチクレーム制限前は25%程度であったのに対して、制限1年後は3%程度(令和5年2月出願分は1.9%、同年3月出願分は4.0%)(※1)に減少しています。
このように多くの場合において出願前に対応していただいておりますが、特許出願について、出願後にマルチマルチクレームを含むことに気づいた場合は、例えば審査請求するときまでに自発補正することをご検討ください。これにより、マルチマルチクレームに係る委任省令要件違反の拒絶理由が通知されることを回避することができます(※2)。
また、パリ条約による優先権の基礎とされる他国の出願やPCT出願はマルチマルチクレームを含む場合がありますので、パリ条約による優先権の主張を伴う出願を行う際やPCT出願を国内移行する際には、マルチマルチクレームを含まないように請求項の引用関係を変更する必要がないかについてご検討ください。
加えて、出願時や審査請求時だけでなく、例えば拒絶理由通知に対する応答時にも、マルチマルチクレームが含まれないように、マルチマルチクレーム検出ツールの活用等による確認をご検討ください。
引き続きマルチマルチクレーム制限へのご協力をよろしくお願いいたします。
(※1)上記割合は、暫定的な数値です。また、原出願の出願日が施行日前である分割出願等は、全て出願日が施行日前に遡及すると仮定した数値です。
(※2)上記委任省令要件違反の拒絶理由が通知されると、その応答によりマルチマルチクレームが解消された補正後の請求項に係る発明がその他の拒絶理由を有する場合には、最後の拒絶理由が通知され、補正をすることができる範囲が制限されるおそれがあります(上記「マルチマルチクレームに関する審査について」をご参照ください)。
[更新日 2023年4月28日]