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平成18年5月24日
経済産業省
特許庁
5月22日~24日に開催された会合において、日本国特許庁と米国特許商標庁は、特許審査ハイウェイの試行を7月から開始することに合意しました。特許審査ハイウェイは、出願人の海外での早期権利化を容易とすると共に、各国特許庁にとっては審査の負担を軽減し質の向上を図ることを目的とするものです。
特許審査ハイウェイは、3月30日に二階経済産業大臣とグティエレス米国商務長官との間で合意された日米共同イニシアティブ(別添1参照(PDF:19KB))の重要課題として掲げられているものであり、今回の合意はその実現に向けた飛躍的なステップとなります。また、特許審査迅速化・効率化推進本部(本部長:二階経済産業大臣)において決定された「特許審査迅速化・効率化のための行動計画」(別添2参照(PDF:12KB))に基づくものでもあります。今回の合意によって、日米の企業は7月3日より、特許審査ハイウェイの試行プログラムへの参加を申し出ることができます。
経済のグローバル化に伴い、企業の諸外国における特許権の取得ニーズが高まっており、複数の国で特許権を得るために、同一内容の出願が複数の地域に出願されております。特に、日米欧の三極間では、年間21万件が他の地域へ重複して出願されております(別添3の第1頁参照(PDF:24KB))。一方、日米欧の特許庁では審査の順番待ち期間が長期化しており、審査待ち期間の短縮が共通の課題となっております。このような状況で、審査の効率化を図り、迅速な権利化を実現するためには、国際協力が不可欠であります。
特許審査ハイウェイは、出願人の海外での早期権利化を容易とすると共に、各国特許庁にとっては、他国特許庁により実施された先行技術調査と審査結果の利用性を高めることにより、審査の負担を軽減し質の向上を図ることを目的とするものです。
出願人の選択に応じて、第1国の特許庁(第1庁)で特許可能と判断された出願については、第2国の特許庁(第2庁)において簡易な手続きにより早期審査を受けることができるようにするものです(別添3の第2頁参照)。
日本国特許庁と米国特許商標庁は、特許審査ハイウェイの1年間の試行プログラムを開始することに合意し、日米の出願人からの特許審査ハイウェイの試行プログラム参加の申し出を7月3日より受け付けることとなりました。
本試行プログラムは、各庁内および出願人に対して制度の周知を図ると共に、特許審査ハイウェイを申請するための出願人の具体的手続、要件に関する妥当性について検証することを目的とするものです。
試行期間は2006年7月から1年間ですが、特許審査ハイウェイの実現可能性を適切に評価するために必要であるとの両庁の合意があれば、最大1年までの追加の試行期間を設けられることとします。また、試行実施を継続しがたい状況が生じた場合には、関係者に所定の周知を行った後に、試行実施を中止する場合もあります。
日米の出願人からの特許審査ハイウェイの試行プログラム参加の申し出を2006年7月3日より受付けいたします。
特許審査ハイウェイ試行プログラム参加の要件、各庁における申出手続きの詳細は、「日米特許審査ハイウェイについて」にて公表しています。
日米間の特許審査ハイウェイについては、1年後に、試行プログラムの結果を踏まえ本格実施へ移行することを目指しています。
韓国との間でも既に特許審査ハイウェイの実現に合意し、2007年内の実施開始が予定されています。
また、他の先進国の特許庁との間については、欧州特許庁が試行プログラムへの参加を検討しているほか、英国特許庁やドイツ特許庁との間で正式に議論を開始したところです。カナダ特許庁についても同様に正式な議論を開始しています。
先進国ほどの審査能力を有しない途上国との関係でも、日本から途上国特許庁への一方的な審査支援という位置づけで、日本からの審査結果の提供に基づき途上国特許庁が早期審査をするような枠組みについて議論を開始したところです。
このように、先進国・途上国を含め、我が国企業が特許保護を求める国々において早期権利化が容易になるような体制の整備を図っていく所存です。
今回合意した特許審査ハイウエイの試行は、二階経済産業大臣とグティエレス米国商務長官との間で合意された日米共同イニシアティブに掲げられた知的財産関連の日米協力事項の一つです。
日米両特許庁は、日米共同イニシアティブに掲げられたその他の協力事項の実現に向けて努力していきます。とりわけ以下のように出願人のグローバルな権利取得を支援するための事項については、積極的にその実現を図って参ります。
グローバルに特許出願をする出願人の支援のため、現在は各国ごとに異なっている出願様式を調和し、自国への出願のために作成した出願書類を他国への出願のためにも可能な限り利用できるよう、出願様式の統一のためのプロジェクトを推進して参ります。
また、現在は各国間で相違している特許要件等の実体規定を調和するための条約案がWIPOで検討されていますが、これは自国特許庁において特許が付与された発明について他国でも同様に特許が付与されるような予見性を高め、出願人のグローバル出願を支援するために有用であることから、日米特許庁は協力してこの取り組みを推進して参ります。
グローバル出願をする際には、第1国出願についての「優先権書類」を第1国特許庁(自国特許庁)から取得し、出願対象国に提出するという特有の手続が必要であり、そのための手数料の支払い等が出願人の負担となっています。
日米特許庁は、この優先権書類を両庁で電子的に共有することにより、出願人による優先権書類の提出という手続を不要とし、出願人が支払う手数料等を大幅に軽減するためのプロジェクトを推進して参ります。
[更新日 2006年5月24日]