特許庁への手続において旧氏(旧姓)併記が可能になります
令和3年10月1日更新
特許庁
1. 背景
手続書類に記載する氏名は、戸籍上の氏名を記載するべきところ、これについては、ユーザーの方々から、特に発明者等の氏名は旧氏(旧姓)の記載を可能とするよう要望が寄せられていること、また、近年では住民票やマイナンバーカード、運転免許証、旅券等の公的証明書においても旧氏併記を認めていることに加え、社会情勢の変化等を鑑み、特許庁への手続において、氏名欄への旧氏の併記を許容することになりましたのでお知らせします。令和3年9月30日、「特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」が公布されたため、令和3年10月1日より旧氏の併記が可能になります。
2. 旧氏併記の運用について
(1)対象となる氏名欄
- 特許庁に提出する全ての書類を対象に、発明者、出願人、審判当事者等の氏名欄において旧氏を併記(括弧書きで記載)することが可能になります。
- 併記可能な旧氏とは、住民基本台帳法施行令第30条の13に規定する旧氏です。
- 記載例(願書)
【特許出願人】
【住所又は居所】 東京都千代田区霞が関3-4-3
【氏名又は名称】 特許(実用) 太郎
(2)手続方法について
[発明者・考案者・意匠の創作をした者]
- 発明者等の氏名について旧氏を併記したい場合は、特許願(実用新案登録願、意匠登録願(以下「願書」といいます。))の【発明者】等の欄の【氏名】に旧氏を併記した氏名を記載してください。
- ※ 施行日前にした出願の願書に記載した発明者等の氏名について旧氏を併記したい場合は、「手続補正書」により願書の【発明者】等の欄を補正してください。ただし、出願が特許庁に係属している場合に限られます(設定登録後に、発明者等を補正することはできません。)。詳細は「3. 特許庁関係手続における旧氏併記に関するQ&A」のQ3-1及びQ3-2をご参照ください。
[出願人][査定系審判請求人]等識別番号を使用できる手続の者
- 識別番号の付与を受けている者は、「氏名(名称)変更届」(特例法施行規則 様式第2)により、戸籍上の氏名から旧氏を併記した氏名への変更の手続をしてください。(当該氏名(名称)変更届の届出と同時に願書等を提出する場合には、なるべく、願書等に【その他】の欄を設け、「出願人○○の氏名について、令和○年○月○日に氏名(名称)変更届を提出している。」のように記載してください。)
- 氏名(名称)変更届様式(特許庁HPサイト「出願の事前手続様式一覧 」)
- 識別番号の付与を受けていない者は、願書の出願人、出願人名義変更届の承継人又は審判請求書の請求人等の【氏名又は名称】の欄に旧氏を併記した氏名を記載してください。
- ※ 同一人に対して複数の識別番号を付与することはできないため、事件や手続ごとに氏名の記載を使い分けることはできません。
[権利者]
- 特許(登録)原簿の権利者の氏名について旧氏を併記したい場合は、各特許(登録)原簿の権利ごとに「登録名義人の表示変更登録申請書」(特許登録令施行規則 様式第9)の手続をしてください。なお、登録名義人の表示変更登録申請を行う場合には、登録免許税が必要です。
[当事者系審判請求人][異議申立人]
- 当事者系審判請求人等の氏名について旧氏を併記したい場合は、審判請求書の「氏名又は名称」欄に旧氏を併記した氏名を記載してください。
- ※ 審判係属中の事件で旧氏併記を希望する場合においては、審判(異議申立)事件毎に「氏名(名称)変更届」(特許法施行規則 様式第6)の手続をしてください。
[当事者系審判被請求人][異議被申立人(権利者)]
- 無効審判(異議申立)等の被請求人(権利者)が、審判事件(異議申立)の書類において旧氏を併記したい場合は、事前に「登録名義人の表示変更登録申請書」(特許登録令施行規則 様式第9)を提出し、登録原簿の権利者の氏名に旧氏を併記する必要があります。
3. 特許庁関係手続における旧氏併記に関するQ&A
Q1:なぜこの時期に特許等関係手続に旧氏併記を可能とするのですか。
A1:本年4月から旅券の旧氏併記の要件が緩和され、公的証明書において対応が進んできたことから、特許等関係手続においても併記を可能とするものです。
Q2:いつから書面への旧氏併記ができるようになりますか。
A2:令和3年10月1日以降に特許庁に提出する書類の記載から可能となります。
Q3-1:願書に記載した発明者等について、出願後に旧氏併記する補正は可能ですか。
A3-1:願書に記載した発明者等については、出願後であっても手続補正書により旧氏を併記する補正が可能です(Q3-2の場合を除く。)。ただし、出願が特許庁に係属している場合に限られます(設定登録後に、発明者等を補正することはできません。)。なお、施行日前に出願した場合であってもその願書に記載した発明者等について、同様の補正が可能です。
- 例:出願時の願書に【発明者】を「特許 太郎」と記載
- 記載例(手続補正書)
- 【手続補正1】
【補正対象書類名】 特許願
【補正対象項目名】 発明者
【補正方法】 変更
【補正の内容】
【発明者】
【住所又は居所】 東京都千代田区霞が関3-4-3 特許庁内
【氏名】 特許(実用) 太郎
【その他】 発明者○○の氏名について旧氏の併記に変更します。
- (注1)【補正の内容】の欄には、変更後の発明者全員を記載してください。
- (注2)【その他】の欄を設け、発明者○○の氏名について旧氏の併記に変更する旨を明記してください。
- (注3)書面により手続補正書を提出する場合には、電子化手数料が必要です。
Q3-2:出願した後に、婚姻により発明者等の氏名が変更になりましたが、旧氏併記した氏名へ補正することはできますか。
A3-2:出願した後に発明者等の氏名の変更があったことを理由とする補正はできません。
旧氏を併記するための補正(Q3-1)を除き、発明者等の補正については、願書に記載した発明者等の記載に誤記(漢字の変換ミス等)があるときに限り認められます。
Q4:書類の氏名欄に旧氏併記の記載を行うために旧氏を証明する書類をあわせて提出する必要がありますか。
A4:証明書類の提出は不要です。なお、特許庁長官等が必要と認めるときに、旧氏を証明する書面の提出を命ずる場合があります。
Q5:併記が許容される「旧氏」とは何ですか。
A5:住民票の写し、マイナンバーカード、運転免許証のような公的証明書において記載されている旧氏(住民基本台帳法施行令第30条の13に規定する旧氏)を指します。
Q6:特許庁に提出する書類の氏名欄に、旧氏のみの記載はできますか。
A6:個人の氏名の記載については、自然人であることを前提として戸籍名の記載を求めております。今般、旧氏の併記は可能となりましたが、知財情報でもある提出書類に記載される氏名は、特許公報等の公示機能の観点から、旧氏のみでの記載はできません。
また、特許庁からの発送書類の宛名や特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)についても同様に、旧氏のみでの記載はできません。
Q7:外国籍を有する者についても旧氏を併記することは可能ですか。
A7:今般の省令改正により、外国籍を有する方も、同様に扱われます。
Q8:法人の代表者についても旧氏を併記することは可能ですか。
A8:今般の省令改正により、法人の代表者の氏名の記載も、同様に扱われます。
Q9-1:PCT国際出願についても旧氏を併記することは可能ですか。
A9-1:可能です。ただし、PCT国際出願の場合は、括弧書きで旧氏を併記するのではなく、以下のとおりスペースを使用してください。
- 例:「特許」が戸籍上の氏、「発明」が旧氏の場合(個人の出願人及び代理人、発明者全て共通)
氏名 特許 発明 太郎
TOKKYO HATSUMEI Taro
Q9-2:PCT国際出願にスペースを使用して旧氏を併記した場合、当該出願の日本への国内移行の際、国内書面にはどのように記載しますか。
A9-2:国内書面には、戸籍上の氏名又は旧氏を併記した氏名について記載することが可能です。国内書面に旧氏を併記して記載する場合は、旧氏を括弧書きで併記した氏名を記載してください(例:特許(発明) 太郎 ※発明が旧氏)。
なお、PCT国際出願の国際段階で戸籍上の氏名を記載した場合で、国内書面には旧氏を併記して記載するときは、国内書面に【その他】の欄を設けて以下のような記載をしてください。
例:発明者○○(○○) ○○の氏名について、国際段階においては戸籍上の氏名を記載したが、国内書面には旧氏を併記した氏名を記載する。
Q10:意匠の国際登録出願(ハーグ出願)、商標の国際登録出願(マドプロ出願)についても旧氏を併記することは可能ですか。
A10:可能です。ただし、商標の国際登録出願については、基礎出願の出願人又は基礎登録の名義人が旧氏併記である場合は、願書(MM2)に旧氏を併記することができます。
意匠の国際登録出願及び商標の国際登録出願について、名義人の氏名の情報は願書(DM1/MM2)に記載したとおりに国際登録簿に記録されます。
出願した後に提出する手続書類には、国際登録簿に記録されたとおりに氏名を記載しなければなりません。
4. 問い合わせ先
■識別番号に氏名の変更の届出に関すること
出願課 申請人等登録担当
TEL:03-3581-1101 内線:2764

出願手続
【特許】出願手続に関すること
方式審査室第三担当
電話:03-3581-1101 内線:2616

【実用新案】出願手続に関すること
実用新案担当
電話:03-3581-1101 内線:2617

【意匠】出願手続に関すること
意匠方式担当
電話:03-3581-1101 内線:2654

【商標】出願手続に関すること
商標方式担当
電話:03-3581-1101 内線:2657

特許の国際出願(PCT)
国際段階の手続に関すること
国際出願室 受理官庁担当
電話:03-3581-1101 内線:2643

国内段階の手続に関すること
方式審査室 指定官庁担当
電話:03-3581-1101 内線:2644

意匠の国際出願・商標の国際出願
意匠の国際出願(ハーグ協定のジュネーブ改正協定)手続に関すること
電話:03-3581-1101 内線:2683

商標の国際出願(マドリッド協定議定書)手続に関すること
電話:03-3581-1101 内線:2671

登録手続
登録手続(設定、年金)に関すること
電話03-3581-1101
特許担当 内線:2707
実用新案担当 内線:2709
意匠担当 内線:2710
商標担当 内線:2713

特許権等の移転に関すること
登録室 移転担当
電話:03-3581-1101
特許・実用新案担当 内線 2715
意匠・商標担当 内線2717

■審判手続に関すること
審判課審判企画室
電話:03-3581-1101 内線5852

[更新日 2021年10月1日]
お問い合わせ
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本記事に関するお問い合わせ先
(具体的な手続方法は上記の各お問い合わせ先までお願いします)
特許庁総務部総務課業務管理班
電話:03-3581-1101 内線2104

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