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Googleといえば、広告主から有料広告掲載依頼を受け、オンライン端末を通して利用者の嗜好に応じて適切な広告をレコメンドオファーとして提供、送客することによって広告収入を得ることを主力事業としています。加えて、広告収入での刈取りを起点としつつ、広告での繋がりを作るためにユーザーを増やし、さらにユーザーがオンラインでいる時間を増やすことを目的とした周辺事業にも力を入れており、これまで述べた特許の出願動向から、自動運転分野における事業展開も一貫した同社の事業戦略に沿っていることがみて取れます【図7】。
Googleは自社の強みを活かし、V2X技術のうち「自動車―ネットワークの通信」あるいは、「自動車―歩行者の通信」に特に注力し、自動車業界に参入しています。従来、自動車業界はクローズドな業界であったのが、今まで述べてきたとおり、クルマのIoT化に伴い、近年は異業種企業が各社の強みを活かして参入してくる、あるいは自動車関連企業と異業種企業が協働してそれぞれの強みを活かすオープンイノベーションが活発になってきています。
オープンイノベーションの状況は自動車メーカーによって異なり、互いの企業がWin―Winの関係を築くのは難しい面もあります。しかしながら、例えば欧米・中国を中心とした海外企業の中には、情報通信技術に強みをもつ異業種企業の技術を組み込みながらも、通信技術において処理・解析される「情報の質」を担保するために不可欠な車両のデータインターフェース技術は自社の強みを取り入れ、IT系プラットフォーマーと対等な立場でオープンイノベーションを進めている自動車メーカーもあり、オープンイノベーションの在り方として参考となるものです。
クルマを取り巻く環境は、従来の車両自体の性能が求められるだけでなく、クルマを通した様々なサービスの提供へと変化し、さらに、どのようなサービスを提供するかにより顧客を惹きつける時代を迎えます。今後は日本が誇る「モノづくり」に加えて、「コトづくり」を強化していくことで日本企業がさらに活躍することを期待します。
株式会社テックコンシリエ
代表取締役社長CEO/工学博士 鈴木健二郎 氏
技術資産マネジメントの機能の確立・定着を支援するコンサルタントとして、知財駆動型のR&D改革や新規事業開発等によりクライアントが勝てるビジネスを実現するための戦略立案と実行支援に日々奮闘している。