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そこで、【図1】と同じデータを対象にして、特許出願書類の中でも、発明の内容を説明した明細書中にある、「発明が解決しようとする課題」の章を「テキストマイニング」処理してみました。
「テキストマイニング」とは、文章データを単語や文節で区切り、それぞれのキーワードの出現傾向などを分析するものです。今回の分析では、各キーワードが出現する出願件数をカウントし、出願件数の多い技術課題キーワードを対象に、直近10年における件数合計(緑)と、そのうち直近5年の割合(オレンジ)を比較してみました【図4】。なお、技術課題を表すキーワードには、似たような意味を持つキーワード(例えば「制御」や「管理」)があり、企業等によって使用するキーワードが異なる場合があります。そのため、どのキーワードを用いて技術課題を表すかによってデータは変わり得ますが、どのようなテーマが技術課題として注目されているかの全体的な傾向を把握することはできます。
これによると件数が多く、かつ、直近5年の割合が高いキーワードが、特に技術課題として注目されるものと読み解くことができますが、「経路」「自律」「障害物」などがそれに該当するといえるでしょう。
これらは「ロボット農機」を自動運転や遠隔操作させるのに「どのように経路を選ばせるか」「どのように自律させるか」「障害物があった場合どう対処させるか」などに関する技術と考えられます。
なお、「経路」「自律」「障害物」のキーワードについて、出願上位企業を見てみたところ、【図2】のスマート農業における出願数ランキングと変わらず、「クボタ」「ヤンマー」「井関農機」が他をリードしていました。
また、出願件数としては少ないものの、直近5年の割合が100%である「ドローン」も見逃せません【図5】。
日本の農地は大陸のものと比べ、一つ一つの面積が狭く、勾配のある土地が多いことから、生育のモニタリングや水、農薬等の散布等でドローンの活躍が期待されています。
「ドローン」を技術課題キーワードとする特許出願では、「トプコンポジショニングシステムズ」や「ドローンジャパン」などからの出願が確認されましたが、今後さらに各社が出願を増やしてくることは想像に難くありません。