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Vol.58
広報誌「とっきょ」2023年10月19日発行号

特集1:知財がつむぐ「SDGs」

「社会課題解決」メソッドとして
知財活用は新しいフェーズへ

「SDGsに係る世界的な取組の概要と、SDGsゴール別の主要国特許出願の状況」の記事執筆など、SDGsと知財との関わりを分析している専門家に、状況を概観してもらった。

EXPERT INTERVIEW

デロイト トーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社

パートナー/弁理士、早稲田大学非常勤講師 國光 健一氏のプロフィール写真

パートナー/弁理士、早稲田大学非常勤講師

國光くにみつ 健一けんいち

大手電機メーカー等を経て2014年に入社。2018年より知的財産アドバイザリー統括。知的財産戦略立案、知的財産デューデリジェンス、知的財産価値評価などを専門とする。

ヴァイスプレジデント 濱田 智久氏のプロフィール写真

ヴァイスプレジデント

濱田はまだ 智久ともひさ

国内大手コンサルティングファーム戦略部門等を経て、2020年に入社。知財を軸とした戦略立案や経営管理・業務改革、またAI戦略・倫理関連のコンサルティング業務が専門。

現在の大きな潮流として、ESG(環境・社会・企業統治)の要素を数値化して企業価値に織り込む「インパクト会計」の試みや、上場企業にサステナビリティへの対応を求めた改訂コーポレートガバナンス・コードの施行(2021年6月)など、事業とSDGsとの関係性がより重視されるようになっています。それを背景に、SDGsと関わる特許の活用のかたちも、従来の「権利の独占」や「競争の排除」だけでなく、他社との協業や提携を行う交渉のツールや、社会問題解決への取組のPRに用いられるなど、範囲が拡がっています。また、特許を開放することで市場拡大につなげたり、アライアンスを組んで協創したりするといった知財戦略も有効で、エアコンの冷媒の特許を無償開放したダイキン工業や、ハイブリッド車の電動化技術に関する特許を2030年までオープン化しているトヨタなどが挙げられます。また三菱電機は「Open Technology Bank」、パナソニックでは「技術インデックス」といった、社会課題の解決に貢献する技術資産をweb上で公開し仲間づくりを図るなどの動きも見られます。

地球温暖化の加速などを背景に、GHG(温室効果ガス)関連技術や、サーキュラーエコノミー(循環経済)に直結するリサイクル技術など環境分野は引き続き、世界規模で確実に伸びが見込まれます。知財活動によって新しい研究開発の資源やビジネスモデルが生み出され、SDGsの目標達成に貢献していくありかたが望ましいと思われますので、AIなどのIT技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)がもたらす、新しいソリューションに期待しています。

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