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Vol.58
広報誌「とっきょ」2023年10月19日発行号

特集1:ダイキン工業株式会社

特許の無償開放で、世界中に「共通の土俵」を創る

特許の無償開放で、世界中に「共通の土俵」を創る イメージ画像

世界最大の総合空調メーカーであるダイキン工業。エアコン市場での事業拡大とカーボンニュートラル実現を両立する鍵の一つとなる、「エアコンのR32冷媒を用いた空調機特許オープン化」などの知財戦略について、知的財産グループのキーパーソンに話を聞いた。

ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社 安部 剛夫氏/津田 哲志氏

法務・コンプライアンス・知財センター
知的財産グループ 知的財産グループ長・部長

安部あべ 剛夫たけお (写真右)

大手家電メーカーを経て2013年に入社。R32特許の無償開放、大学やベンチャー企業との協創関係構築などを実現化し、2022年12月から現職。弁理士。

法務・コンプライアンス・知財センター
知的財産グループ 担当課長

津田つだ 哲志てつし (写真左)

2006年入社。空調機の特許権利化業務を経て、R32特許の無償開放を実現化。2022年12月から現職。オープンクローズ戦略に加え今季からは特許分析も担当。

PROFILE

ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社 [所在地] 大阪市北区梅田1-13-1大阪梅田ツインタワーズ・サウス(本社)
[URL] https://www.daikin.co.jp(外部サイトへリンク)
[設立] 1934年(創業/1924年)
[業種] 機械
[従業員数] 単独7,618名、連結96,337名(2023年3月)

エアコン市場の成長持続と環境負荷抑制を両立させる

約百年前に誕生したエアコンは、今後も世界全体で人口増と都市化が進む中、普及率がまだ数%と見られるアフリカなど新興国を筆頭にさらなる需要の拡大が見込まれます。弊社も、その巨大市場における新しい価値創造を目指し、グループ全体で快適な環境と空気の提供に取り組んでいます。

同時に、環境負荷を考慮する必要があります。IEA(国際エネルギー機関)は、「2050年に世界の空調機器は現状の3倍となり、消費エネルギーもまた3倍に増加」と試算。エアコン内を循環する冷媒に使用されるフロンガスによる温暖化も、喫緊の課題です。

リーディングカンパニーの責務として、弊社は長期計画「環境ビジョン2050」で、温室効果ガスを2025年に30%削減、2030年に50%削減、2050年には排出ゼロにする目標を立てています。また、戦略経営計画「FUSION25」において、「カーボンニュートラルへの挑戦」を成長戦略テーマに位置づけています。実現には、省エネ技術の向上、工事・保守などソリューションの充実、冷媒の環境負荷抑制などが重要ですが、特に冷媒に関しては、「次世代の冷媒開発」など社内で進める施策だけでなく、業界全体で取り組めるスキームも大切。一例として、エアコンから冷媒を回収してリサイクルする「冷媒エコサイクル」で、各メーカーが協同する仕組みも構想しています。そして「仲間作り」の知財戦略の特徴的な事例が、冷媒に関する特許のオープン化です。(津田氏)

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