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Vol.63
広報誌「とっきょ」2024年12月17日発行号

特集1:NUProtein株式会社

特許技術ライセンス化で培養肉の普及も後押し
タンパク質危機の克服を狙う「植物分子農業」

家電業界の知財業務で体得したライセンスアウト重視の発想

私は大手電機メーカーで30年近く、SDカードやDVDなどの技術標準化や著作権保護、知財処分取引といった知財関連業務を手掛けてきました。家電の規格戦争は同時に、自社の特許やノウハウをいかに他社に使っていただくかの勝負でもあり、ライセンスアウト(知財権の売却や使用許諾など)の発想が非常に重要です。今回の技術ライセンスプログラムの土台にある「いかにして特許技術を広く普及させるか」という考え方も、家電業界の経験で培ったものかもしれません。

2014年から2016年にかけては、名古屋大学の学術研究・産学官連携推進本部で大学シーズの社会実装や資金の獲得支援などに従事しました。この時にコムギ胚芽由来のタンパク質合成系に出合い、起業を決意したのです。名大ではバイオ系に強い弁理士の松本征二先生(知崇国際特許事務所)の知己を得ることができ、創業後も一貫して松本先生に出願を依頼しています。また、判定請求に対する答弁や異議申立を経験した際に力を借りた弁護士の横井康真先生(むくの木綜合法律事務所)には、技術ライセンスプログラムの契約書草稿などでもお世話になっています。お二方の共通点は、特許庁審査官の経験があること。スタートアップ企業のテーマである「知財戦略のパートナー探し」において、権利化の流れやポイントを把握している審査官経験者というのは非常に重要ではないかと、自分の経験から実感しています。

「タンパク質合成技術のライセンス化」と「培養肉の製造コスト低減」で培養肉の市場を拡大し、タンパク質危機を乗り越える
「イネ由来のタンパク質合成技術」「小麦由来のタンパク質合成技術」イメージ

画像提供:NUProtein株式会社

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