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ドイツ 商標法 5

 第5部 標章の国際登録に関するマドリッド協定及びマドリッド協定に関する議定書に基づく商標の保護;共同体商標

 第1章 マドリッド協定に基づく標章の保護

 第107条 本法の規定の適用

本法の各規定は,該当する限り,標章の国際登録に関するマドリッド協定(マドリッド協定)に基づく標章の国際登録に準用される。その国際登録とは,本章又はマドリッド協定において他に定めない限り,特許庁を通じてなされるか又はその保護がドイツ連邦共和国の領域に拡張されるものである。

 第108条 国際登録出願

  • [1] マドリッド協定第3条の規定に基づく登録標章の国際登録出願は,特許庁に対してなされるものとする。
  • [2] 国際登録出願は,標章の登録前にされた場合は,当該標章の登録の日に受理されたとみなされるものとする。
  • [3] 国際登録出願には,国際登録について規定された言語による商品又はサービスの一覧を添付しなければならない。この一覧は,商品及びサービスの国際分類の類の順序に従って記載しなければならない。

 第109条 手数料

  • [1] 国際登録出願を行うについては,料金表に規定された国内手数料を添付しなければならない。国際登録出願が標章の登録前になされた場合は,手数料は,登録の日が納付期日となるものとする。手数料が納付されない場合は,出願は行われなかったものとみなされる。
  • [2] マドリッド協定第8条[2]の規定に基づき納付すべき国際手数料は,世界知的財産機関の国際事務局に直接納付しなければならない。

 第110条 登録簿への登録

登録された標章の国際登録の日付及び番号は,登録簿に登録されるものとする。

 第111条 爾後の地域拡張

  • [1] 標章の国際登録の爾後の地域拡張の請求をマドリッド協定第3条の3(2)の規定に基づき特許庁に提出する場合は,その請求と共に料金表に規定された国内手数料を添付しなければならない。手数料が納付されない場合は,その請求は提出されなかったものとみなされる。
  • [2] 第109条[2]の規定を準用する。

 第112条 国際登録の効力

  • [1] マドリッド協定第3条の3の規定に基づきドイツ連邦共和国の領域に保護範囲が拡張された標章の国際登録は,マドリッド協定第3条(4)に基づく国際登録の日又はマドリッド協定第3条の3(2)に基づく爾後の地域拡張登録の日に,特許庁に備える登録簿への当該標章の登録出願がなされており,かつ,その標章の同登録簿への登録がされていたと同一の効力を有するものとする。
  • [2] [1]に規定する効力は,標章の国際登録が第113条から第115条までの規定に基づき保護を拒絶された場合は,生じなかったものとみなされる。

 第113条 絶対的拒絶理由についての審査

  • [1] 標章の国際登録は,国内登録出願がされている標章と同じ方法により,第37条の規定に基づく絶対的拒絶理由について審査されるものとする。第37条[2]の規定は適用しない。
  • [2] 出願の拒絶(第37条[1])は,保護の拒絶に置き替えられるものとする。

 第114条 異議申立

  • [1] 国際登録においては,登録の公告(第41条)は,世界知的財産機関の国際事務局が発行する公報における公告に置き替えられるものとする。
  • [2] 国際登録に保護を与えることに対して異議申立をすることができる期間(第42条[1])は,国際登録の公告を含んでいる公報の発行月として表示された月の翌月の1日から始まるものとする。
  • [3] 登録の取消(第43条[2])は,保護の拒絶に置き替えられるものとする。

 第115条 保護の事後的取消

  • [1] 標章の国際登録においては,取消事由(第49条),絶対的拒絶理由の存在(第50条)若しくは先の権利(第51条)を理由とする取消請求又は取消訴訟は,保護の取消を求める請求又は訴訟に置き替えられるものとする。
  • [2] 第49条[1]の規定に基づく不使用を理由として保護の取消請求が提出された場合は,登録簿における登録の日は,マドリッド協定第5条(2)の規定に基づく期間が満了した日,又は第113条及び第114条の規定に基づく手続がこの期間の満了時に未だ終了していないときは,世界知的財産機関の国際事務局が保護を与えることに関する最終通知を受理した日に置き替えられるものとする。

 第116条 国際登録を根拠とする異議申立及び取消請求

  • [1] 国際登録を根拠として標章の登録に対し異議申立がされた場合は,登録の日は第115条[2]に規定する日に置き替えられることを条件として,第43条[1]の規定が適用されるものとする。
  • [2] 国際登録を根拠として第51条の規定に基づき取消訴訟が提起された場合は,登録の日は第115条[2]に規定する日に置き替えられることを条件として,第55条[3]の規定が適用されるものとする。

 第117条 不使用を理由とする請求の除外

国際登録の侵害を理由として第14条,第18条及び第19条に規定する請求がされた場合は,商標の登録日は第115条[2]に規定する日に置き替えられることを条件として,第25条の規定が適用されるものとする。

 第118条 国際登録の移転に対する同意

特許庁は,国際登録の移転の場合は,特許庁に備える登録簿に国際登録商標の新所有者について当該標章の登録がなされているか否かに関係なく,マドリッド協定第9条の2(1)の規定に基づき必要とされる同意を世界知的財産機関の国際事務局に与える。

 第2章 マドリッド協定に関する議定書に基づく標章の保護

 第119条 本法の規定の適用

本法の各規定は,商標の国際登録に関するマドリッド協定に係る1989年6月27日のマドリッド議定書(マドリッド協定に関する議定書)に基づく標章の国際登録に準用される。その国際登録とは,本章又はマドリッド協定に関する議定書において他に定めない限り,特許庁を通じてなされるか又はその保護がドイツ連邦共和国の領域に拡張されるものである。

 第120条 国際登録出願

  • [1] 登録出願がされているか又は既に登録されている標章についてマドリッド協定に関する議定書第3条の規定に基づきなされる国際登録出願は,特許庁に対して行うものとする。登録標章を基礎とする国際出願を行う場合,当該標章の登録前にその出願を行うことができる。
  • [2] 登録標章を基礎として国際登録がされる場合及び標章の登録前に国際登録出願がされた場合は,国際登録出願は標章の登録の日に受理されたものとみなされる。
  • [3] 第108条[3]の規定を準用する。

 第121条 手数料

  • [1] 国際登録出願には,料金表に規定された国内手数料を添付しなければならない。
  • [2] 登録標章を基礎として,マドリッド協定及びマドリッド協定に関する議定書に基づき国際登録がされるべき場合は,国際登録出願について料金表に規定された共通の国内手数料を納付しなければならない。
  • [3] 登録標章を基礎として国際登録がされるべき場合及び標章の登録前に国際登録出願がされた場合は,[1]又は[2]の規定に基づく手数料は,登録の日が納付期日となる。[1]又は[2]の規定に基づく手数料が納付されない場合は,出願はされなかったものとみなされる。
  • [4] マドリッド協定に関する議定書第8条[2]又は第8条[7]の規定に基づき支払うべき国際手数料は,世界知的財産機関の国際事務局に直接納付しなければならない。

 第122条 ファイルへの記入;登録簿への登録

  • [1] 登録出願を基礎として国際登録がされた場合は,国際登録の日付及び番号が出願に係る標章のファイルに記入されるものとする。
  • [2] 登録標章を基礎としてされた国際登録の日付及び番号は,登録簿に登録されるものとする。登録出願を基礎として国際登録がされている場合であって,その出願が登録に至った場合にも,第1文の規定は適用されるものとする。

 第123条 爾後の地域拡張

  • [1] マドリッド協定に関する議定書第3条の3(2)の規定に基づく標章の国際登録から生ずる保護の爾後の地域拡張の請求は,特許庁に提出しなければならない。爾後の地域拡張が登録標章を基礎として行われるべき場合であって,その請求が標章の登録前に提出されているときは,その請求は,登録の日に受理されたものとみなされる。
  • [2] 爾後の地域拡張の請求には,料金表に規定された国内手数料を添付しなければならない。マドリッド協定及びマドリッド協定に関する議定書を基礎として,登録標章を基礎とする爾後の地域拡張が行われるべき場合は,爾後の地域拡張の請求には,料金表に規定された共通の国内手数料を添付しなければならない。第1文又は第2文の規定に基づく手数料が納付されない場合は,その請求は提出されなかったものとみなされる。
  • [3] 第121条[4]の規定を準用する。

 第124条 マドリッド協定に基づく標章の国際登録の効力に関する規定の類推適用

第112条から第117条までの規定は,第112条から第117条までにいうマドリッド協定の規定がマドリッド協定に関する議定書の対応する規定に置き替えられることを条件として,マドリッド協定に関する議定書第3条の3の規定に基づきドイツ連邦共和国の領域に保護が拡張された標章の国際登録に準用する。

 第125条 国際登録の転換

  • [1] マドリッド協定に関する議定書第6条(4)の規定に基づき取り消された標章の転換についての同議定書第9条の5の規定に基づく出願が,国際登録簿から標章が取り消された日の後3月の期間の満了前に必要な事項と共に,特許庁に提出されかつ受理された場合は,同議定書第3条(4)の規定に基づくこの標章の国際登録の日又は同議定書第3条の3(2)の規定に基づく地域拡張の登録の日は,国際登録について主張された優先権があれば,その優先権と共に,第6条[2]にいう優先順位の決定についての決め手となるものとする。
  • [2] 転換の請求には,料金表に規定された手数料を添付しなければならない。商品及びサービスの分類の3類を超える類に属する商品又はサービスについて転換が請求された場合は,料金表に規定された類料金は,3類を超える類の各類毎に納付されなければならない。手数料が納付されない場合は,第36条[3]の規定を準用する。
  • [3] 請求を行う者は,国際登録簿における関係国際登録の取消前にその国際登録による保護がドイツ連邦共和国において与えられていた標章及び商品又はサービスを明らかにした,世界知的財産機関の国際事務局の証明書を提出しなければならない。
  • [4] これに加え,請求を行う者は,登録が求められている商品又はサービスの一覧の翻訳文を提出しなければならない。
  • [5] 転換の請求は,その他のすべての点で標章の登録出願として扱われるものとする。ただし,国際登録簿における標章の取消の日に,マドリッド協定に関する議定書第5条(2)の規定に基づく保護の拒絶の期間が既に満了していた場合であって,保護の拒絶又は爾後的な保護の取消に関する手続がその日に係属していない場合は,標章は,事前の審査をすることなく第41条の規定に基づき直接登録される。第2文に基づく標章の登録に対しては,異議申立をすることはできない。

 第3章 共同体商標

 第125a条 共同体商標出願の特許庁への提出

共同体商標に関する1993年12月20日の理事会規則(EC)No.40/94(欧州共同体公報No.L11,p.1)第25条(1)(b)の規定に基づき共同体商標出願が特許庁に提出された場合は,特許庁は,その受理の日をその願書に記載し,審査することなく直ちにそれを域内市場調和庁(商標及び意匠)に送付しなければならない。

 第125b条 本法の規定の適用

次の各場合には,本法の規定が共同体商標規則に基づき出願又は登録された商標に適用されるものとする。

  • (1) 第9条(相対的拒絶理由)の適用については,先に出願又は登録された共同体商標は,本法に基づき先に出願又は登録された商標と同等の地位におかれるものとする。ただし,その適用においては,第9条[1](3)に基づくドイツ連邦共和国における名声は共同体商標規則第9条(1)(c)に基づく共同体における名声と読み替えられるものとする。
  • (2) 共同体商標規則第9条から第11条までの規定に基づく権利に加えて,登録共同体商標の所有者は,損害賠償請求(第14条[6]及び[7]),破棄請求(第18条)及び情報請求(第19条)について本法に基づき登録された商標の所有者と同一の権利を有する。
  • (3) 登録共同体商標から生ずる権利が,本法に基づき登録された後の商標の使用について主張される場合は,第21条[1](権利の喪失)の規定を準用する。
  • (4) 商標の登録に対する異議申立(第42条)が先に登録された共同体商標を根拠とする場合は,第43条[1](使用の一応の証拠)の規定を準用する。ただし,第26条の規定に基づく先の商標の使用は,共同体商標規則第15条の規定に基づく先の共同体商標の使用と読み替えられるものとする。
  • (5) 商標の登録の取消請求(第51条[1])が先の共同体商標を根拠とする場合は,
    • (a) 第51条[2]の第1文(権利の喪失)の規定を準用する。
    • (b) 第55条[3](使用の立証)の規定を準用する。ただし,第26条の規定に基づく先の商標の使用は,共同体商標規則第15条の規定に基づく共同体商標の使用と読み替えられるものとする。
  • (6) 登録共同体商標の所有者は,本法に基づき登録された商標の所有者と同じ方法により輸入又は輸出の差押請求を提出することができる。第146条から第149条までの規定を準用する。

 第125c条 後にする商標の無効

  • [1] 特許庁の登録簿に登録された商標の優先権が,出願又は登録された共同体商標に関し,共同体商標規則第34条又は第35条の規定に基づき主張された場合,及び特許庁の登録簿に登録された当該商標が第47条[6]の規定に基づく保護期間の不更新又は第48条[1]の規定に基づく放棄のために取り消された場合には,取消事由又は無効事由による商標の無効は,請求により,後に確立することができる。
  • [2] 無効は,取消事由又は無効事由による取消と同一の条件で確立されるものとする。ただし,第49条[1]の規定に基づく取消事由による商標の無効は,同条項の規定に基づく取消要件が保護期間の不更新又は放棄による商標の取消の日に既に満たされていた場合にのみ確立することができる。
  • [3] 無効の手続は,登録商標の取消手続に適用される規定によって規律されるものとする。ただし,その登録取消は商標無効の確立と読み替えられるものとする。

 第125d条 共同体商標の転換

  • [1] 出願又は登録された共同体商標の転換の請求が,共同体商標規則第109条(3)の規定に基づき特許庁に送付された場合は,請求者は,特許庁がその転換の請求を受理したときから2月以内に料金表に規定される手数料を納付しなければならない。商品及びサービスの分類の3類を超える類に属する商品又はサービスについて転換が請求された場合は,料金表に規定された類料金は,3類を超える類の各類毎に納付しなければならない。手数料が納付されない場合は,転換の請求は提出されなかったものとみなされる。
  • [2] 特許庁は,転換の請求が共同体商標規則第108条(2)の規定に基づき許容できるものであるか否かを審査する。転換の請求が許容できないものである場合は,その請求は拒絶されるものとする。
  • [3] 転換の請求が共同体商標として未だ登録されていない商標に関するものである場合は,その転換の請求は,特許庁の登録簿への商標登録出願として扱われるものとする。ただし,第33条[1]にいう出願日は,共同体商標規則第27条にいう共同体商標の出願日又は共同体商標について主張された優先日と読み替えられるものとする。特許庁の登録簿に登録された商標の優先権が,共同体商標規則第34条の規定に基づき主張された場合は,第1文に規定する日は当該優先日と読み替えられるものとする。
  • [4] 転換の請求が共同体商標として既に登録されている商標に関するものである場合は,特許庁は,更に審査することなくその元の優先権を維持したまま,第41条の規定に基づきその商標を登録簿に直接登録する。その登録に対する異議申立は,認められないものとする。
  • [5] その他の点に関しては,商標出願に関する本法の規定を転換の請求に適用する。

 第125e条 共同体商標裁判所;共同体商標訴訟

  • [1] 共同体商標裁判所が共同体商標規則第91条(1)に定める管轄権を有するすべての訴訟(共同体商標訴訟)については,係争中の価額に関係なく,地方裁判所(Landgerichte)が第1審の共同体商標裁判所として専属管轄権を有する。
  • [2] 第2審の共同体商標裁判所は,第1審の共同体商標裁判所が所在する管轄区域内の高等地方裁判所(Oberlandesgericht)とする。
  • [3] 州政府は,法定命令により,複数の共同体商標裁判所の管轄区域に係わる共同体商標訴訟をそれらの裁判所の1つに割り当てる権限を有する。州政府は,法定命令により,その権限を州の法務省に委任することができる。
  • [4] 州は,取決により,1つの州の共同体商標裁判所に課せられた職務の全部又は一部を,他の州の権限のある共同体商標裁判所に委任することができる。
  • [5] 第140条[3]から[5]までの規定は,共同体商標裁判所における手続に準用する。

 第125f条 委員会への通知

連邦法務省は,第1審及び第2審の共同体商標裁判所並びにそれらの数,名称又は土地管轄についてのあらゆる変更を欧州共同体委員会に通知しなければならない。

 第125g条 共同体商標裁判所の土地管轄

ドイツの共同体商標裁判所が共同体商標規則第93条の規定に基づき国際的管轄権を有する場合は,土地管轄に関する規定は,特許庁に提出された商標出願又は特許庁の登録簿に登録された商標に適用できるものとして準用する。管轄権が上記規定に基づき確立できない場合は,土地管轄を有する裁判所は,原告が住所を有する土地の裁判所とする。

 第125h条 破産手続

  • [1] 破産裁判所は,出願又は登録された共同体商標が破産財産の中にあることを知った場合は,域内市場調和庁(商標及び意匠)に対し,次の事項を共同体商標登録簿に記録するよう又は出願に関しては出願のファイルに記録するよう直接請求しなければならない。
    • (1) 破産手続の開始,及び未だ記録されていない場合は,処分の禁止
    • (2) 共同体商標登録又は共同体商標出願の放棄又は現金化
    • (3) 破産手続の却下,及び
    • (4) 破産手続の取消(ただし,債務者の監督に関しては,その監督が完了した後のみ)及び一切の処分の禁止の取消
  • [2] 共同体商標登録簿又はファイルへの記録は,破産管財人が請求することもできる。自己財産管理(破産法第270条)に関しては,財産管理人が破産管財人に代わって行動する。

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