• 用語解説

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ドイツ 商標法 6

 第6部 地理的原産地表示

 第1章 地理的原産地表示の保護

 第126条 地理的原産地表示として保護される名称,表示又は標識

  • [1] 本法の適用上,地理的原産地表示とは,商品又はサービスの地理的原産地を特定するために取引上使用される場所,地域,地方又は国の名称及びその他の表示若しくは標識をいう。
  • [2] [1]の規定の適用上,一般的性質の名称,表示又は標識は,原産地名称として保護することができない。[1]にいう地理的原産地表示を含むか又はそのような表示に由来するが,その本来の意味を失い,商品若しくはサービスの名称として又は商品若しくはサービスの種類,性質,型その他の特性若しくは特徴の指示若しくは表示として使用されるものは,一般的性質の表示とみなされる。

 第127条 保護の範囲

  • [1] 地理的原産地表示は,原産地を異にする商品又はサービスについての当該名称,表示又は標識の使用がそれら商品又はサービスの地理的原産地について誤認させる虞を必然的に伴う場合は,当該地理的原産地表示によって指定される場所,地域,地方又は国に由来しない商品又はサービスについて取引上使用することができない。
  • [2] 地理的原産地表示を付した商品又はサービスが特別な特性又は特別な品質を示すものである場合は,その原産地の商品又はサービスについて当該地理的原産地表示を取引上使用することは,その商品又はサービスが当該特性又は品質を有しているときにのみ認められるものとする。
  • [3] 地理的原産地表示が特別な名声を得ている場合は,地理的原産地について誤認させる虞がないときであっても,原産地を異にする商品又はサービスについての使用が,そのような地理的原産地表示の名声若しくは識別性を不正かつ不当に利用し又はかかる名声若しくは識別性を害する虞のあるものであるときは,このような異なった原産地の商品又はサービスについて取引上そのような地理的原産地表示を使用することは認められないものとする。
  • [4] [1]から[3]までの規定は,保護されている地理的原産地表示と類似する名称,表示又は標識が使用される場合又は地理的原産地表示が付加して使用される場合にも,適用される。ただし,次の場合に限る。
    • (1) [1]にいう場合は,逸脱又は付加に拘らず,地理的原産地について誤認させる虞があるとき,又は
    • (2) [3]にいう場合は,逸脱又は付加に拘らず,その使用が地理的原産地表示の名声又は識別性を不正に利用し又は害する虞のあるとき

 第128条 差止命令による救済;損害賠償請求

  • [1] 不正競争禁止法第13条(2)の規定に基づき請求をする権利を有する者は,第127条の規定に違反する名称,表示又は標識を取引上使用する者に対し差止命令を請求することができる。
  • [2] 故意又は過失により第127条の規定に違反した者は,その違反により生じた損害を賠償する責を負うものとする。
  • [3] 侵害行為が従業者又は許可された者によって営業施設において犯された場合は,営業施設の所有者に対し,差止命令による救済を主張することができ,また,かかる従業者又は許可された者が故意又は過失により行為をした限りにおいては,営業施設の所有者に対して損害賠償を請求することもできる。

 第129条 出訴期限

第128条の規定に基づく請求は,第20条の規定に基づく出訴期限法の適用を受けるものとする。

 第2章 規則(EEC)No.2081/92に基づく地理的表示及び原産地名称の保護

 第130条 地理的表示又は原産地名称の登録出願

  • [1] 農産物及び食品についての地理的表示及び原産地名称の保護に関する1992年7月14日の理事会規則(EEC)No.2081/9の該当版(欧州共同体公報No.L208,p.1)に基づき欧州共同体委員会が備える保護されている原産地名称及び保護されている地理的表示登録簿への原産地名称又は地理的表示の登録出願は,特許庁に対して行うものとする。
  • [2] 出願には,料金表に規定された手数料を添付しなければならない。手数料が納付されない場合は,出願はされなかったものとみなされる。
  • [3] 登録出願に係る地理的表示又は原産地名称が規則(EEC)No.2081/92及びその実施規定に定める要件を満たしていることが出願の審査で明らかにされた場合は,特許庁は,それに応じて出願人に通知し,出願を連邦法務省に送付する。
  • [4] 連邦法務省は,必要な書面とともに出願を欧州共同体委員会に移送する。
  • [5] 出願に係る地理的表示又は原産地名称が要件を満たしていないことが審査で明らかにされた場合は,出願は拒絶されるものとする。

 第131条 指定を補正する請求

第130条の規定は,規則(EEC)No.2081/92第9条の規定に基づき地理的表示又は原産地名称の指定を補正する請求に準用する。これについては,手数料を納付する必要はないものとする。

 第132条 異議申立

  • [1] 欧州共同体委員会が備える保護されている地理的表示及び保護されている原産地名称登録簿への地理的表示又は原産地名称の登録に対し,又は地理的表示若しくは原産地名称の特定化の補正に対して行われる規則(EEC)No.2081/92第7条(3)に基づく異議申立は,特許庁に提出しなければならない。
  • [2] 異議申立については,料金表に規定された手数料を納付しなければならない。手数料が期限内に納付されない場合は,異議申立は提起されなかったものとみなされる。

 第133条 特許庁の責務;抗告

  • [1] 特許庁に設置された商標部門は,第130条及び第131条の規定に基づく出願及び請求,並びに第132条の規定に基づく異議申立を処理する責任を負う。
  • [2] この章に定める規定に基づき特許庁が行った決定は,連邦特許裁判所に対する抗告及び連邦司法裁判所に対する法律抗告に服する。特許裁判所に対する抗告手続及び連邦司法裁判所に対する法律抗告手続に関する本法第3部の規定を準用する。

 第134条 監督

  • [1] 規則(EEC)No.2081/92及び同規則を実施する規定に基づき必要とされる監督及び点検は,州法に基づく責任ある当局に課されるものとする。
  • [2] [1]の規定の適用上,監督及び点検のために必要とされる限り,責任ある当局の職員は,農産物又は食品を生産若しくは販売する(食品及び日常品に関する法律(Lebensmittel- und Bedarfsgegenständegesetz)第7条(1))か又は共同体内においてかかる農産物若しくは食品を移動,輸入若しくは輸出する企業に対し,それらの営業時間又は就業時間内に次のことをすることができる。
    • (1) 事業施設及び不動産,販売設備並びに運送手段に対して立入点検を行うこと
    • (2) 受取書と引き換えに商品見本を採ること。関係する当事者が求める場合は,見本の一部又は,見本が不可分のものである場合は,別の見本を公の印章の下にその者に残すこと
    • (3) 営業記録を点検し調査すること
    • (4) 情報を要求すること
      これらの権利は,公の場所,特に市場,広場,街路において又は行商人によって販売される農産物又は食品にも及ぶ。
  • [3] 企業の所有者又は管理者は,自己の事業施設及び不動産,販売設備並びに運送手段への立入と点検を認め,点検を適切に行うことができるような方法で点検すべき農産物又は食品を提出し又は提出させ,点検中に必要な補助を行い又は行わせ,商品見本を採ることを認め,営業記録を提出し,それらの調査を認め,その他関係の情報を提供する責を負うものとする。
  • [4] 輸入及び輸出の過程において監督が行われる場合は,[2]及び[3]の規定は,企業の所有者に代わって共同体内において農産物又は食品を運送,輸入又は輸出する者にも準用する。
  • [5] 情報を提供する責を負う者は,自己,又は民事訴訟法第383条(1)1から3までに規定された親族の1人に対して行政反則法に基づく起訴又は訴訟手続の責を負わせることとなるような質問に応じて情報を与えることを拒否することができる。
  • [6] 点検のために規則(EEC)No.2081/92第10条の規定に基づき行われるべき職務上の行為については,費用を賄うための手数料及び実費が課せられるものとする。手数料の対象となる行為は,州法により定められるものとする。

 第135条 差止命令による救済;損害賠償請求

  • [1] 不正競争禁止法第13条(2)の規定に基づき請求をする権利を有する者は,規則(EEC)No.2081/92第8条又は第13条の規定に違反する行為を取引上行う何人に対しても,差止命令を請求することができる。
  • [2] 第128条[2]及び[3]の規定を準用する。

 第136条 出訴期限

第135条の規定に基づく請求は,第20条の規定に基づく出訴期限法の適用を受けるものとする。

 第3章 法律上の命令を発する権限

 第137条 個々の地理的原産地表示の保護に関する詳細な規定

  • [1] 連邦法務省は,連邦経済省,連邦食糧農林省及び連邦保健省の同意並びに州議会の承諾を得て,個々の地理的原産地表示に関する詳細な規定を法律上の命令によって規定する権限を有する。
  • [2] 次の事項は,法律上の命令によって規定することができる。
    • (1) 政治的又は地理的境界への言及による原産地の区域
    • (2) 第127条[2]の規定においては品質又はその他の特性及びこれらに関連する事情,特に,商品を製造若しくは生産する又はサービスを提供する過程若しくは方法又は使用される原材料の品質若しくはその原産地のようなその他の特性,及び
    • (3) 地理的原産地表示が使用される方法

これらを規定するに当たっては,地理的原産地表示の使用において現存する公正な慣例及び風習を斟酌しなければならない。

 第138条 規則(EEC)No.2081/92に基づく出願,請求及び異議申立に関する手続のためのその他の規定

  • [1] 連邦法務省は,州議会の承諾を得ることなく,出願,請求及び異議申立に関する手続(第130条から第133条まで)に関する詳細な規定を法律上の命令によって定める権限を有する。
  • [2] 連邦法務省は,[1]の規定に基づく法規命令を発する権限を,州議会の承諾を得ることなく,法律上の命令によって特許庁長官に全面的又は部分的に委任することができる。

 第139条 規則(EEC)No.2081/92を実施する規定

  • [1] 連邦法務省は,規則(EEC)No.2081/92又は欧州連合の議会若しくは委員会によって発せられた同規則を実施する規定の結果として必要な限りにおいて,連邦経済省,連邦食糧農林省及び連邦保健省の同意並びに州議会の承諾を得て,規則(EEC)No.2081/92に基づく原産地名称及び地理的表示の保護の更なる詳細を法律上の命令によって定める権限を有する。第1文の規定に基づく法律上の命令によって,特に,次の事項に関する規定を定めることができる。
    • (1) 農産物又は食品への標記
    • (2) 保護されている名称を使用する権利,又は
    • (3) 共同体内での移動,輸入又は輸出の監督及び点検のための要件及び手続
      第1文の規定に基づく命令は,加盟国がここでいう共同体法の規定に基づく補足規定を発する権限を有する場合にも発することができる。
  • [2] 州政府は,法律上の命令により,規則(EEC)No.2081/92第10条の規定に基づき必要とされる点検の実施を認可された民間検査団体に委譲し,又はかかる団体にその点検の実施に関与させる権限を有する。州政府はまた,民間検査団体を認可するための要件及び手続を法律上の命令によって定めることができる。州政府は,第1文及び第2文の規定に基づく権限の全部又は一部を法律上の命令によって他の主管庁に委譲する権限を有する。

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