• 用語解説

ここから本文です。

Vol.55
広報誌「とっきょ」2022年12月19日発行号

特集1:進化するヘルスケア

DXが加速するヘルスケア分野。
「コトづくり」への移行も

EXPERT INTERVIEW
株式会社知財ランドスケープ 代表取締役CEO・弁理士・AIPE 認定シニア知的財産アナリスト 山内明氏のプロフィール写真

株式会社知財ランドスケープ
代表取締役CEO・弁理士・AIPE
認定シニア知的財産アナリスト

山内やまうち あきら

大手メーカーや大手特許事務所、シンクタンク勤務を経て、IPランドスケープ実践に役立つ知財情報戦略を確立。2020年に知財ランドスケープ代表取締役CEOに就任し、ビジネスコンサルティングに注力。

ヘルスケア分野は、規模の大きさ、成長率の高さともに有望な市場で、知財活動も一層活発化しており、IPランドスケープによる戦略提言へのニーズも高まっています。私が2017年に主要な全産業を概観する大規模な分析を行った際、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいる印象を抱いたのがヘルスケア業界でした。先日も、私が代表を務めるIPL経営戦略研究会のメンバーがGAFAMの特許情報を分析し、コロナ禍もあってデジタル化が加速するヘルスケア市場に、IT大手が積極的に進出している状況を明らかにしています。アメリカだけでなく中国勢の台頭も顕著です。

IPランドスケープの視点からは、ヘルスケアは大きく3カテゴリーに区分できます。1つ目は医療機器関連、2つ目は健康管理や行動変容を促すDX関連、3つ目がアンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療法が確立していない疾患に対する医療ニーズ)の高まりなどで期待される新薬関連です。

日本が伝統的に強みを発揮してきた医療機器などについては、ビジネス関連発明の特許出願が増加傾向にあり、製品を売り切る「モノづくり」から、サービスを継続提供する「コトづくり」に移行する動きが認められます。「コトづくり」は、既存の大手メーカーに限らず、スピード感で勝るスタートアップ企業がゲームチェンジャーになれる機会も少なくない分野です。オンライン診療や健康管理などのDXサービスの隆盛も、「コトづくり」のトレンドに含めることができるでしょう。

ロボットのアイコン
1. ロボット
- 手術・介護・調剤・見守り -

体内を立体画像で確認し、手術を行うロボットが実用化。介護ロボットの開発も進む。

Femtechのアイコン
2. Femtech - フェムテック -

生理用品・月経前症候群・不妊治療・更年期ケアなど、女性特有の悩みに応える分野。

3Dプリンターのアイコン
3. 3Dプリンター

臓器や骨モデルを作成しての外科手術支援、血管などの医学教育用シミュレーターに活躍。

ビッグデータのアイコン
4. ビッグデータ

NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)と介護DBの連結解析など。

ウェアラブルデバイスのアイコン
5. ウェアラブルデバイス

睡眠時間や心拍数計測、心電図機能などバイタルデータと健診の連携サービスにも注目。

AI・人工知能のアイコン
6. AI 人工知能

膨大な費用と時間がかかる新薬開発や、脳などの画像解析にAIの応用が進んでいる。

食事・運動管理アプリのアイコン
7. 食事・運動管理アプリ

食事内容を入力して栄養バランス分析やカロリー計算を行ったり、基礎データを管理。

遺伝子解析のアイコン
8. 遺伝子解析

DNA情報を基に、先天的な健康リスクや体質を分析。「オーダーメード医療」実現の鍵。

オンライン診療・オンライン薬局のアイコン
9. オンライン診療 オンライン薬局

モバイル端末などで、自宅で診察や服薬指導を受けられる。医療過疎地域でも威力を発揮する。

ページTOPへ

BACK NUMBER
広報誌「とっきょ」バックナンバー